ファブレスとは、製造業であるが工場を全く保有しておらず、生産を100％委託の形で完全に外部企業へ依存しているメーカーのことである。

ファブレス自らは、製品の設計やマーケティング、販売などを専門としている。自社工場を持たないことで、資産が固定化しない、生産性が向上の規模に左右されない、タイムリーに製品を生産できる、リスクを軽減できる、といった強みを得ることができる。ファブレス企業の中には、販売まで外部に委託して設計のみを行なうような、一層専門化を進めた企業もある。

他方、生産施設を持たないことで、コストダウンによるメリットを得づらいこと、あるいは納期や品質の管理、製品のアフターサポートなどが比較的困難となるといった弱みもある。ファブレスは、半導体などのように製品サイクルの短い切り売り型の製品を扱うのに適しているといえる。

なお、ファブレスとは逆に、他社からの委託による生産を専門に手がけるメーカーというのも存在する。半導体産業におけるそのような企業は、特にファウンドリと呼ばれる。一般にファウンドリは製造技術の水準が高く、多くの企業の製品を手がけるために生産が大規模でコストも低い。このため、ファブレス企業が生産を委託するのはファウンドリ企業であることが多いが、自社で工場を用意するよりも高度な技術を用いて生産することができるなどの理由で、大手企業がファウンドリを利用する例も多い。

代表的なファブレスとしては、任天堂や米Dell Computer（現 Dell）、米Rambusなどが挙げられる。特にRambusは、半導体の設計という知的財産だけで成り立っており、専門性の強いファブレスであるといえる。

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