お題：好きな人を押し倒してみろ！
最終更新：ID:A2Zde352XA 2010年03月23日(火) 02:14:34履歴
780 ：名無しさん＠ビンキー：2010/03/18(木) 18:06:42 0
＞＞715
萌えるお題を出されたら本気で返さざるを得ないってばっちゃが言ってた。お題お借りします。
初うｐなので不手際がありましたらご指摘願います。
PC:リョウ×ジミー、守矢×内藤、鬼畜ゲニ×ヘタレヨハン、ヘタレゲニ×カリスマヨハン、エディ×ワラキアの夜（×エディ）、バルバトス×ジャギ
びっくりするくらいお別れの性格が違うよ！
※このSSには男性同士の恋愛的描写が含まれます。
※複数の動画ネタが混在していますが、元動画様には一切関係ありません。
※キャラクターの性格や口調が違ったりします。特にゲニヨハ。
・架空の大会にタッグで参加。控え室は同じと言う設定。
・６スレ>>７１５より
「お題：好きな人を押し倒してみろ！」をお借りします。
PC：リョウ×ジミー、守矢×内藤、鬼畜ゲニ×ヘタレヨハン、ヘタレゲニ×カリスマヨハン、エディ×ワラキアの夜（×エディ）、バルバトス×ジャギ。長さは区々、ギャグよりです。
以上の項目にご納得いただけない方は、何も見なかったことにしてファイルを削除していただけるとお互い幸せになれると思います。
お題：好きな人を押し倒してみろ！
・ダブルドラゴンの場合
会場内の自動販売機で二人分のコーヒーを買ってきたジミーが控え室の扉を開こうとした時、あの、と横合いから声が掛かった。振り向くと大会運営のカlンlフlーlマlンが立っている。何か用かと尋ねると、二つ折りにされたメモを渡された。
よろしくお願いします、と丁寧に礼をして踵を返すカlンlフlーlマlンに会釈を返して、ドアを開きつつメモを開く。白い紙面にシンプルに一文。
お題：好きな人を押し倒してみろ！
「ん？」
後ろ手にドアを閉める。首を傾げつつ、缶コーヒー二つをサイドボードの上に置く。押し倒せ……つまり……
「……リョウ」
「どうした？」
メモに目を落としたまま呼ばう。椅子に座っていたリョウが立ち上る。読んでいた雑誌を椅子の上に放り、近寄って来る。ジミーはくるりとメモを反し、リョウに見せる。
（誰でも良いからダウン取れって事か）
パッとメモを落とし、床を蹴る。勢いのまま胸元を狙って手を伸ばす。掴んだ胴着の襟に力を込め、リョウが体勢を整える前に拳を打ち抜くように突き倒す。頭を打たない程度には加減したが、リョウの喉から小さく呻き声が毀れた。襟を握ったままの拳をリョウの胸元に当て上体を抑え込むと、彼と眼が合った。
「で」
リョウが軽く首を傾げながら尋ねる。
「何カウントで一本扱いになるんだ？」
「さぁ」
変則ルール格闘技。双方すっかりカニミソ脳だった。
「そうか。まぁ条件を満たせばアナウンスぐらい出るだろう！」
言い放ってリョウが身体を丸める。持ち上げられた足が腹に当てられた時点でジミーはリョウの襟を放し、半ば自分から飛んで巴投げを受ける。不意打ちのまま勝利するつもりは元々無かった。
宙を飛んで、部屋の奥のベッドの上に着地する。ジミーがスプリングに足を取られバランスを崩している隙にリョウが立ち上り構えを取る。
「ジミーが相手なら覇王翔吼拳を使わざるを得ない！」
「来いリョウ！」
Round1 Fight！！
りざると：理解してない
・守矢×内藤の場合
お題：好きな人を押し倒してみろ！
とかｗｗｗｗゆーｗｗｗｗメｗｗｗモｗｗｗｗうぇｗｗｗｗ貰っｗｗｗたｗｗｗｗ安価乙ｗｗｗｗやるっｗｗｗきゃｗｗｗｗｗないｗｗｗｗｗうはｗｗｗｗｗｗｗおkkkkkkkkｗｗｗｗｗｗｗ
両手剣ナイトの腕力で思いっきり扉を開いて駆け込む。壁に当たって跳ね返ったドアが背後で閉まる音がした。
「守ｗｗｗｗｗｗｗ矢ｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」
素っ頓狂な声に振り向くと、鎧姿の金髪の青年が空中ダイブをかまして来る所だった。一瞬スルーするかカウンターで切り捨てようかと迷ったが、目立つ筈の両手剣も殺気の類も場に存在しなかった事と、何より相手が内藤だった為に、色々諦めて刀の柄に掛けた手を離す。
本来なら受け止めたかった所だが、守矢自身が比較的細身だった事と、内藤の纏う鎧の重量、トドメにダイブの勢いの相乗で二人そろって床に倒れ込む。
どれだけ勢いを付けて飛び込んできたのだと内心悪態を付きながら、守矢は上体を起こし、胴に手を回し腹に顔を押し付けてくる内藤に問いかける。
「どうした」
静かで短い一言だったが、効果は覿面で内藤は勢い良く顔を上げてまくし立てる。
「うぇｗｗｗｗｗこれｗｗｗｗねｗｗｗｗｗ渡されｗｗてｗｗｗさｗｗｗｗ」
続く徒言を聞き流しながら紙片に目を落とす。なるほど誰の企みかは知らないがこれを実行したのかと納得しながら、胸板に頭を擦り付けて来る内藤に視線を移す。色事めいてと言うよりは、大型の犬か何かに飛び掛られたようにしか感じない。
「鎧が痛い」
「ごめｗｗｗｗ今外ｗｗすｗわｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」
硬い金属の感触に、守屋が微かに眉を顰めている事に気づいた内藤は、慌てて鎧の留め具を外し始めるが、それでも守矢に圧し掛かったまま身を起こそうとはしない。不自然な体勢で不器用に身を捩る内藤を見かねて、守矢が留め具に指を伸ばす。がろんと音を立てて鎧が床に落ちた。日々重い両手剣を何も考えずに振り回している所為で付いたのであろう、服の上から見て取れる程度に起伏のある筋肉のラインが目に入った。
「あｗｗｗｗりｗｗｗがｗｗとｗｗｗｗｗおkkkkkkｗｗｗ」
外した鎧一式を横へ押し退けて、これで邪魔は無くなったとばかりに身を寄せる内藤の髪を梳いてやりながら、いつ引っくり返すかタイミングを伺っている守矢だった。汚いさすが幕末きたない。
りざると：いちゃいちゃ
・お別れの場合（ヘタレヨハン編）
「何だ……これ……」
お題：好きな人を押し倒してみろ！
そう書かれた紙片を小さく震える両手で開いて穴が開くほどに見つめるヨハン。既に軽く涙目である。
今回のお題らしい。空恐ろしい。いっそ袖を燃やすのと同じ様に燃やしてみたら、焙り出しか何かで新しい文章が出てくるかもしれない。それが良い。もしこれがあの男の目に触れでもしたら…………。ひゅうが→やみどうこくぶっぱ→18R突入想像余裕でした本当にありがとうございます。脳裏にサディスティックな蛇の瞳孔が蘇えり、ヨハンは咄嗟に脅える小動物の仕草で辺りを見回した。会場の廊下には誰の気配も見当たらない。
ルガールの所へ逃げ込もうか……考えかけて頭を振る。
「……違う」
別に逃げたい訳じゃないし嫌いな訳でもないしむしろその逆のアレでただ痛いのとか怖いのとか苦手だから怖いだけで逃げたくて逃げてる筈じゃ無いのに身体が自動的に逃げを打つのは結局怖いからでつまり好きだけど怖いけど好きだから怖いのなんとかしたいしして欲しいけどこのままだと多分絶対痛い事になるけどでもこのままルガールの所に逃げ込むのは違うから、違うから……
「そうだ」
混乱し迷走する思考の果て、涙が零れ落ちそうな瞳に光が灯る。そう、お題をクリアしてしまいさえすればいいのだ！元々どちらがと言う指定は無い。ならこちらから奇襲を掛けて押し倒して相手が混乱しているうちに逃げ…………うん、逃げで良いか…………
グッと拳を握る。でも実は十分怖かった。武者震いではない震えが身体を駆け巡っているのを何とか落ち着かせる。メモを握り締め、勇み廊下を突き進み、控え室の前へと辿り着く。
大きく息を吸い込み、扉をノックする。
「はい。鍵は掛かっていませんよ、どうぞ」
耳に心地良い低さの、穏やかな声が返る。怖くない。まだ怖くない事にして置く。だってこの、穏やかな声は好きだ。
「私だ。入るぞ」
嫌な味のする唾液を飲み下して扉を開く。
ドアノブに落としていた視線をゆっくりと上げる。
手にした聖書が静かにサイドボードへと置かれる。
蒼衣の男は優雅な動作で椅子から立ち上がり、部屋の中央でヨハンに向き直った。
…………瞳孔が、思いっきり縦だった。
針の様に細くなった瞳孔がヨハンを射抜いている。
すーっ、と音も無く血の気が引いて行くのが分かった。
こいつ、絶対、お題、もう知ってる。
怖さの余り視線を離す事さえできない。「蛇の前の蛙」ならぬ「大蛇の前の（´；ω；｀）」。今年の流行語大将候補にいかがでしょうか。
ふらりと一歩、魅入られた様に部屋の中へと足を進める。半ば無意識に、後ろ手にぱたんと扉を閉じる。
「逃げると、思っていましたが」
不思議と無表情な顔に似使わない、酷く穏やかな、温かみさえ感じる声の裏側に、奈落の穴の様なものが見えた。恐怖が胸を締め付け、息をする事さえ苦しい。酸素不足の視界がゆっくりと暗くなって行く。
それでも一歩、二歩、足を踏み出し男の前へ立つ。
痙攣する横隔膜を無理やり押し広げる様にして空気を吸い込む。途切れ途切れに震える声を押し出す。
「げー、にっ……つ…………」
「…………ヨハン」
呟いたゲーニッツの手がふっ、と挙がる。
（やみどうこくぶっぱ来る！？）
恐怖の鎖を打ち切って、咄嗟にヨハンの身体が動いた。
「てーっ！（´；ω；｀）」
若干情けない掛け声と共にゲーニッツの腹部に掌底を打ち込む。前屈みになった両肩に手を掛けて、押し込むように力を込める。格闘の定石を無視した動作にゲーニッツが微かに目を見開く。押されるままに二、三後ろへよろめき、ベッドの縁に寄りかかる様に倒れ込んだゲーニッツの上に、自身もバランスを崩し床に膝を着いたヨハンが圧し掛かる。微かに、呆気に取られた表情のままゲーニッツが頭を上げると、彼の上に腰を跨ぐ様にして座り込んだヨハンと目が合った。
口を開きかけたゲーニッツの頭に手を回し、胸元に抱き込む様に引き寄せて、ヨハンは自分の唇をゲーニッツの唇に押し付けた。一呼吸、子供染みたキスを打ち切ってヨハンがバネ仕掛けに似た動作で身を起こす。
「ゲーニッツ、ゲーニッツ！？あぁあ、当たってるぞ！？（´；ω；｀）」
顔を真っ赤に上気させうろたえるヨハンの両肩に手を掛け、ゲーニッツは視線を泳がせるヨハンの瞳を覗き込む。その頬も、薄赤く染まっていた。
「当たっているでしょうね……そりゃあ、こんな事されればこうもなりますよ…………驚きました…………」
ヨハンの肩に置かれたゲーニッツの手に、ぐぐぐ、とだんだん力が篭って行く。お題をクリアしたからと今更逃げようにも、押さえ込まれている所為で立ち上がる事ができない。
「最後まで、付き合って下さいますよね？ヨハン」
「きゃあああああ！（´；ω；｀）」
りざると：アッー！
・お別れの場合�◆淵�リスマヨハン編）
「ウハハハハ！中々良い眺めだな！」
床に転がるゲーニッツの腹に腰を下ろし、ヨハンが哄笑を上げる。
「まさか「動くな」と言われていきなり足払い＋ラリアットが来るとは思いませんでした」
床にしこたまぶつけた後頭部を擦りながら、ヨハンを見上げるゲーニッツ。
「それでも動かなかった所は褒めてやるぞ」
牧師の顔を覗き込みながら、喜色満面の笑みを浮かべるヨハン。その笑顔一つでたった今さっきの、そして継続中の凶行を許してしまいそうな自分を誤魔化す為に渋い表情を浮かべて、ゲーニッツは問いかける。
「今回はどうしたって言うんですか？」
何か彼の機嫌を損ねるような事をしただろうか。していない筈だ。朝は寝起きの悪い彼の為に少しだけカーテンを開けて頬と額にキスをして彼が目を覚ますまで彼の名前を囁いて起こし、朝食は注文どおりに蜂蜜の入ったマフィンを焼き紅茶も完璧に淹れた。昼食はボロネーズ風オムレツと野菜のテリーヌ、デザートに柑橘のアスピック。彼の嫌いなものは入っていない。ティータイムには洋ナシのタルトと紅茶。美味しいと満足していた。
今日は、ティータイムのタルトを買いに行った時以外はヨハンとずっと一緒に居たが、彼の機嫌を損ねる要素は見当たらない。むしろ腹の上で笑う彼は常より上機嫌に見える。
「フフ、これだ」
にやりと笑い、ヨハンは一枚の紙切れをゲーニッツに突き付ける。
お題：好きな人を押し倒してみろ！
その一文のみが記された紙切れを、天下御免の免罪符とばかりにひらつかせる。どうやらまたぞろ主催の気まぐれだか暇つぶしだからしい。付き合う方も大概暇人確定な企画だ。ゲーニッツは掌で顔を覆った。「好きな人」の一文と彼の行動だけで、破壊力は十分だった。嬉しさやら何やらで顔がにやけている自覚があった。
「お前が出かけている時に渡された。本当は暇つぶしに散歩にでも行こうかと思ってたんだが、お前を一番に押し倒すために待って居たんだぞ」
ゲーニッツにしな垂れ掛かり、掌を蒼衣の胸元に這わせながらヨハンが囁く。
「どうだ、嬉しいか？」
「…………えぇ。幸せ過ぎて軽くﾃｰﾚｯﾃｰしそうです」
顔を掌で覆っていても、耳が赤くなっているのが見て取れて、ヨハンは満足げに身を起こす。
「あ、夕食は子羊のポワレって言ったけど、やっぱり鴨のコンフィが良い。デザートはプロフィットロールな紅茶もゲーニッツが淹れろ」
「…………はい」
お前の淹れた紅茶意外はもう飲む気がしない、と言う言葉に、さて素直に喜んで良いのかどうか。
りざると：夕食は鴨のコンフィ
・影二つの場合
「ええと、読み上げた方が良いでしょうか……？」
戸口に立つ目隠しをした顔と、部屋の奥の瞼を下ろした顔とを交互に見やってカlンlフlーlマlンが尋ねた。
「結構ダ」
答えてエディは影を伸ばし、主催からの伝言らしいメモを引っ手繰る。影で眼球を具えた頭部を形成し、メモを覗き込み…………軽く脱力する。メモにはシンプルに一文。
お題：好きな人を押し倒してみろ！
ここの住人のお祭り好きにはほとほと呆れる。既存の祝祭は言うまでも無く、事有るごとにこじ付けで、むしろ何も無くとも思い付きであれやこれやと奇祭を繰り広げる。何より呆れ返るのが、そう言った住民に中てられて「悪くない」と考えている自分だ。そう、今まさに思っている。
小さく苦笑し、カlンlフlーlマlンを返して扉を閉める。
「わらきあ、コチラニ来テクレナイカ？」
呼ばれて、最近の出版らしい戯曲を熱心に追っていたワラキアの夜が顔を上げる。
「どうしたのだね、エディ」
分厚い本を閉じ、サイドテーブルに置くと、ワラキアは重力など存在していないようにふわりとした動作で立ち上がり、床の上を滑るようにエディに近づく。僅かに浮いて宙を漂うワラキアの纏うぞろりとしたマントが、それ自身が一つの生物であるかのように揺れている。
エディが今しがた受け取ったばかりのメモをワラキアに示すと、彼は白い繊手を顎に添え、ふむ、と小さく呟く。芝居好きの死徒が何か思いつく前に、エディは腕を模った影を展ばし、ワラキアの肩をぐいと押す。
「おや？」
どこか間の抜けた声を残して金糸が尾を引くように流れる。倒れ込むと言うには不自然な遅さでワラキアの身体が後ろへ傾ぐ。よく重力を無視する体が変な方向へ行かないようにと足首に巻き付けていた影を外し、ドーム形に盛り上げた非晶質の影でその身体を受け止める。柔らか過ぎるクッション、或いは硬度の低いゴムのように、ワラキアの身体はそれを迎え入れた影の固まりに半ば埋まる。しかし危機感は全く無いようで、抵抗どころか身を竦める事さえしない。
「これは意外…………殊の外快適だ。敢えて言うならば固まりかけた血溜りの感触に似ている」
顎に添えた手すら動かさず、能天気とも取れる、しかし物騒な感想をいけしゃあしゃあと述べる。
「ソウカ」
「我々にとっては極めて贅沢な寝床になるが、あの感触は中々無い。君も気が向いたら試してみると良い」
「遠慮シテ置ク」
短く答えてエディは影を伸ばす。頬に触れた愛しい死肉にも似た温度の無い軟らかさに、ワラキアはうっとりと唇を寄せる。影の肌を這う軟らかく微かに湿った感触に、エディは僅かに肩を竦ませ、膝を着いてワラキアの上に圧し掛かった。白く繊細な作りの顔の横に手を着き、顔を寄せる。エディの金糸がさらさらと肩口を流れ零れ落ちる。
「君に包まれているかと思うと堪らない」
胸の上で両手を組み、夢見心地にワラキアが囁く。
「吸血鬼の最高の寝床は産土を敷いた棺と言うが、それに引き換えても良い」
墓場の土の饐えた匂いのする、砂糖をまぶしたように甘ったるい睦言に、熱を帯びた眩暈を覚える。
「わらきあ」
存在しない心臓の熱を生み出そうとするように身を寄せる。
「エディ」
愛しげに手を伸ばし、流れる髪に指を絡ませる。唇を寄せ、ワラキアの夜が囁いた。
「所で折角の舞台だ。私の演出も堪能して行ってくれたまえ」
「ハ？」
ワラキアの纏うマントがざわりと蠢いた。咄嗟に影でガードしようとしたエディだが、次の瞬間影の大半がワラキアの背の向こうに在る事に気づいて動作の全体が引き攣る。
次の瞬間、吸血鬼の剛力とマントによる一撃に跳ね上げられ、エディが物理的に宙を舞う。床に叩きつけられる衝撃は掻き集めた影を使って凌いだが、ワラキアのマントによって両腕を床に縫い止められる。動かそうとした影も、具現化した情報の黒い渦によって押さえ込まれている。
「マ、待テ！ドウシテコンナおちニナル！？」
「カットカットカット！無粋な台詞は飲み込みたまえ、エディ。舌先に乗せるならもっと洗練された台詞を、だ」
しがない役者に演技指導をしつつ、形勢逆転とばかりに、じたばたと足掻くエディを見下ろす。
「では、ペナルティだ」
酷く楽しそうにワラキアが宣告した。
りざると：ワラキアが偶にエディの影の中で眠るようになった
・バルジャギの場合
控え室のソファにだらしなく腰掛け肘を突き、ジャギはテレビに映るエキシビジョンの試合を眺めていた。扉の開く音。入って来たバルバトスを見やれば、少し様子がおかしい。飢えた獣のような殺気にも似た凄みが僅かに薄い。何事か考えている様子で、ぱたんと妙に大人しく扉を閉める。大斧を傍らの壁に立てかけ、ソファのジャギに視線を留める。
「どうしたってんだぁ？……あ、オイそれ対戦表か」
軽い動作でゴミ箱に投げ込まれた丸めた紙切れをジャギが目で追っている内に、バルバトスがジャギに歩み寄る。
「題を出された所で……やはり小細工は性に合わんな」
何やら勝手に納得したように呟かれた言葉に、ジャギが疑問符を浮かべながらバルバトスへと視線を戻す。目の前に掌が有った。指の合間から見える瞳には、何事も無かったように獣の色味の紫炎が戻っていた。
「どぅりゃあ！！」
真正面から掴んだメットを力任せに床に叩き付ける。三つ向こうの部屋まで伝わる轟音と共に床材に後頭部がめり込む。お題が出たときくらい、少しは婀娜っぽく押し倒してみようかとも思ったが性に合わなかったのでいつも通り力任せにやった。俺の本能が叫ぶのさ、貴様等を殺せと。byバルバトス・ゲーティア
「あ？」
手を放しながら眉を顰める。普段ならとっくに反撃なりアクションを起こしている筈だが、ソファごと引っくり返ったジャギはぴくりとも動かない。
……打ち所が悪かったのかもしれない。
ふと視線を上げて空中に浮かぶ赤い文字を見上げて呟いた。
「あ」
一撃だったらしい。ＫＯ！と威勢の良いアナウンスが流れた。
りざｒ「いつまで寝てんだ！」「ほざきやがれ！」
No Escape！！
蛇足
「大蛇の前の（´；ω；｀）」の読みは「ゲーニッツの前のヨハン」
※3/23 誤字修正・加筆
＞＞715
萌えるお題を出されたら本気で返さざるを得ないってばっちゃが言ってた。お題お借りします。
初うｐなので不手際がありましたらご指摘願います。
PC:リョウ×ジミー、守矢×内藤、鬼畜ゲニ×ヘタレヨハン、ヘタレゲニ×カリスマヨハン、エディ×ワラキアの夜（×エディ）、バルバトス×ジャギ
びっくりするくらいお別れの性格が違うよ！
※このSSには男性同士の恋愛的描写が含まれます。
※複数の動画ネタが混在していますが、元動画様には一切関係ありません。
※キャラクターの性格や口調が違ったりします。特にゲニヨハ。
・架空の大会にタッグで参加。控え室は同じと言う設定。
・６スレ>>７１５より
「お題：好きな人を押し倒してみろ！」をお借りします。
PC：リョウ×ジミー、守矢×内藤、鬼畜ゲニ×ヘタレヨハン、ヘタレゲニ×カリスマヨハン、エディ×ワラキアの夜（×エディ）、バルバトス×ジャギ。長さは区々、ギャグよりです。
以上の項目にご納得いただけない方は、何も見なかったことにしてファイルを削除していただけるとお互い幸せになれると思います。
お題：好きな人を押し倒してみろ！
・ダブルドラゴンの場合
会場内の自動販売機で二人分のコーヒーを買ってきたジミーが控え室の扉を開こうとした時、あの、と横合いから声が掛かった。振り向くと大会運営のカlンlフlーlマlンが立っている。何か用かと尋ねると、二つ折りにされたメモを渡された。
よろしくお願いします、と丁寧に礼をして踵を返すカlンlフlーlマlンに会釈を返して、ドアを開きつつメモを開く。白い紙面にシンプルに一文。
お題：好きな人を押し倒してみろ！
「ん？」
後ろ手にドアを閉める。首を傾げつつ、缶コーヒー二つをサイドボードの上に置く。押し倒せ……つまり……
「……リョウ」
「どうした？」
メモに目を落としたまま呼ばう。椅子に座っていたリョウが立ち上る。読んでいた雑誌を椅子の上に放り、近寄って来る。ジミーはくるりとメモを反し、リョウに見せる。
（誰でも良いからダウン取れって事か）
パッとメモを落とし、床を蹴る。勢いのまま胸元を狙って手を伸ばす。掴んだ胴着の襟に力を込め、リョウが体勢を整える前に拳を打ち抜くように突き倒す。頭を打たない程度には加減したが、リョウの喉から小さく呻き声が毀れた。襟を握ったままの拳をリョウの胸元に当て上体を抑え込むと、彼と眼が合った。
「で」
リョウが軽く首を傾げながら尋ねる。
「何カウントで一本扱いになるんだ？」
「さぁ」
変則ルール格闘技。双方すっかりカニミソ脳だった。
「そうか。まぁ条件を満たせばアナウンスぐらい出るだろう！」
言い放ってリョウが身体を丸める。持ち上げられた足が腹に当てられた時点でジミーはリョウの襟を放し、半ば自分から飛んで巴投げを受ける。不意打ちのまま勝利するつもりは元々無かった。
宙を飛んで、部屋の奥のベッドの上に着地する。ジミーがスプリングに足を取られバランスを崩している隙にリョウが立ち上り構えを取る。
「ジミーが相手なら覇王翔吼拳を使わざるを得ない！」
「来いリョウ！」
Round1 Fight！！
りざると：理解してない
・守矢×内藤の場合
お題：好きな人を押し倒してみろ！
とかｗｗｗｗゆーｗｗｗｗメｗｗｗモｗｗｗｗうぇｗｗｗｗ貰っｗｗｗたｗｗｗｗ安価乙ｗｗｗｗやるっｗｗｗきゃｗｗｗｗｗないｗｗｗｗｗうはｗｗｗｗｗｗｗおkkkkkkkkｗｗｗｗｗｗｗ
両手剣ナイトの腕力で思いっきり扉を開いて駆け込む。壁に当たって跳ね返ったドアが背後で閉まる音がした。
「守ｗｗｗｗｗｗｗ矢ｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」
素っ頓狂な声に振り向くと、鎧姿の金髪の青年が空中ダイブをかまして来る所だった。一瞬スルーするかカウンターで切り捨てようかと迷ったが、目立つ筈の両手剣も殺気の類も場に存在しなかった事と、何より相手が内藤だった為に、色々諦めて刀の柄に掛けた手を離す。
本来なら受け止めたかった所だが、守矢自身が比較的細身だった事と、内藤の纏う鎧の重量、トドメにダイブの勢いの相乗で二人そろって床に倒れ込む。
どれだけ勢いを付けて飛び込んできたのだと内心悪態を付きながら、守矢は上体を起こし、胴に手を回し腹に顔を押し付けてくる内藤に問いかける。
「どうした」
静かで短い一言だったが、効果は覿面で内藤は勢い良く顔を上げてまくし立てる。
「うぇｗｗｗｗｗこれｗｗｗｗねｗｗｗｗｗ渡されｗｗてｗｗｗさｗｗｗｗ」
続く徒言を聞き流しながら紙片に目を落とす。なるほど誰の企みかは知らないがこれを実行したのかと納得しながら、胸板に頭を擦り付けて来る内藤に視線を移す。色事めいてと言うよりは、大型の犬か何かに飛び掛られたようにしか感じない。
「鎧が痛い」
「ごめｗｗｗｗ今外ｗｗすｗわｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」
硬い金属の感触に、守屋が微かに眉を顰めている事に気づいた内藤は、慌てて鎧の留め具を外し始めるが、それでも守矢に圧し掛かったまま身を起こそうとはしない。不自然な体勢で不器用に身を捩る内藤を見かねて、守矢が留め具に指を伸ばす。がろんと音を立てて鎧が床に落ちた。日々重い両手剣を何も考えずに振り回している所為で付いたのであろう、服の上から見て取れる程度に起伏のある筋肉のラインが目に入った。
「あｗｗｗｗりｗｗｗがｗｗとｗｗｗｗｗおkkkkkkｗｗｗ」
外した鎧一式を横へ押し退けて、これで邪魔は無くなったとばかりに身を寄せる内藤の髪を梳いてやりながら、いつ引っくり返すかタイミングを伺っている守矢だった。汚いさすが幕末きたない。
りざると：いちゃいちゃ
・お別れの場合（ヘタレヨハン編）
「何だ……これ……」
お題：好きな人を押し倒してみろ！
そう書かれた紙片を小さく震える両手で開いて穴が開くほどに見つめるヨハン。既に軽く涙目である。
今回のお題らしい。空恐ろしい。いっそ袖を燃やすのと同じ様に燃やしてみたら、焙り出しか何かで新しい文章が出てくるかもしれない。それが良い。もしこれがあの男の目に触れでもしたら…………。ひゅうが→やみどうこくぶっぱ→18R突入想像余裕でした本当にありがとうございます。脳裏にサディスティックな蛇の瞳孔が蘇えり、ヨハンは咄嗟に脅える小動物の仕草で辺りを見回した。会場の廊下には誰の気配も見当たらない。
ルガールの所へ逃げ込もうか……考えかけて頭を振る。
「……違う」
別に逃げたい訳じゃないし嫌いな訳でもないしむしろその逆のアレでただ痛いのとか怖いのとか苦手だから怖いだけで逃げたくて逃げてる筈じゃ無いのに身体が自動的に逃げを打つのは結局怖いからでつまり好きだけど怖いけど好きだから怖いのなんとかしたいしして欲しいけどこのままだと多分絶対痛い事になるけどでもこのままルガールの所に逃げ込むのは違うから、違うから……
「そうだ」
混乱し迷走する思考の果て、涙が零れ落ちそうな瞳に光が灯る。そう、お題をクリアしてしまいさえすればいいのだ！元々どちらがと言う指定は無い。ならこちらから奇襲を掛けて押し倒して相手が混乱しているうちに逃げ…………うん、逃げで良いか…………
グッと拳を握る。でも実は十分怖かった。武者震いではない震えが身体を駆け巡っているのを何とか落ち着かせる。メモを握り締め、勇み廊下を突き進み、控え室の前へと辿り着く。
大きく息を吸い込み、扉をノックする。
「はい。鍵は掛かっていませんよ、どうぞ」
耳に心地良い低さの、穏やかな声が返る。怖くない。まだ怖くない事にして置く。だってこの、穏やかな声は好きだ。
「私だ。入るぞ」
嫌な味のする唾液を飲み下して扉を開く。
ドアノブに落としていた視線をゆっくりと上げる。
手にした聖書が静かにサイドボードへと置かれる。
蒼衣の男は優雅な動作で椅子から立ち上がり、部屋の中央でヨハンに向き直った。
…………瞳孔が、思いっきり縦だった。
針の様に細くなった瞳孔がヨハンを射抜いている。
すーっ、と音も無く血の気が引いて行くのが分かった。
こいつ、絶対、お題、もう知ってる。
怖さの余り視線を離す事さえできない。「蛇の前の蛙」ならぬ「大蛇の前の（´；ω；｀）」。今年の流行語大将候補にいかがでしょうか。
ふらりと一歩、魅入られた様に部屋の中へと足を進める。半ば無意識に、後ろ手にぱたんと扉を閉じる。
「逃げると、思っていましたが」
不思議と無表情な顔に似使わない、酷く穏やかな、温かみさえ感じる声の裏側に、奈落の穴の様なものが見えた。恐怖が胸を締め付け、息をする事さえ苦しい。酸素不足の視界がゆっくりと暗くなって行く。
それでも一歩、二歩、足を踏み出し男の前へ立つ。
痙攣する横隔膜を無理やり押し広げる様にして空気を吸い込む。途切れ途切れに震える声を押し出す。
「げー、にっ……つ…………」
「…………ヨハン」
呟いたゲーニッツの手がふっ、と挙がる。
（やみどうこくぶっぱ来る！？）
恐怖の鎖を打ち切って、咄嗟にヨハンの身体が動いた。
「てーっ！（´；ω；｀）」
若干情けない掛け声と共にゲーニッツの腹部に掌底を打ち込む。前屈みになった両肩に手を掛けて、押し込むように力を込める。格闘の定石を無視した動作にゲーニッツが微かに目を見開く。押されるままに二、三後ろへよろめき、ベッドの縁に寄りかかる様に倒れ込んだゲーニッツの上に、自身もバランスを崩し床に膝を着いたヨハンが圧し掛かる。微かに、呆気に取られた表情のままゲーニッツが頭を上げると、彼の上に腰を跨ぐ様にして座り込んだヨハンと目が合った。
口を開きかけたゲーニッツの頭に手を回し、胸元に抱き込む様に引き寄せて、ヨハンは自分の唇をゲーニッツの唇に押し付けた。一呼吸、子供染みたキスを打ち切ってヨハンがバネ仕掛けに似た動作で身を起こす。
「ゲーニッツ、ゲーニッツ！？あぁあ、当たってるぞ！？（´；ω；｀）」
顔を真っ赤に上気させうろたえるヨハンの両肩に手を掛け、ゲーニッツは視線を泳がせるヨハンの瞳を覗き込む。その頬も、薄赤く染まっていた。
「当たっているでしょうね……そりゃあ、こんな事されればこうもなりますよ…………驚きました…………」
ヨハンの肩に置かれたゲーニッツの手に、ぐぐぐ、とだんだん力が篭って行く。お題をクリアしたからと今更逃げようにも、押さえ込まれている所為で立ち上がる事ができない。
「最後まで、付き合って下さいますよね？ヨハン」
「きゃあああああ！（´；ω；｀）」
りざると：アッー！
・お別れの場合�◆淵�リスマヨハン編）
「ウハハハハ！中々良い眺めだな！」
床に転がるゲーニッツの腹に腰を下ろし、ヨハンが哄笑を上げる。
「まさか「動くな」と言われていきなり足払い＋ラリアットが来るとは思いませんでした」
床にしこたまぶつけた後頭部を擦りながら、ヨハンを見上げるゲーニッツ。
「それでも動かなかった所は褒めてやるぞ」
牧師の顔を覗き込みながら、喜色満面の笑みを浮かべるヨハン。その笑顔一つでたった今さっきの、そして継続中の凶行を許してしまいそうな自分を誤魔化す為に渋い表情を浮かべて、ゲーニッツは問いかける。
「今回はどうしたって言うんですか？」
何か彼の機嫌を損ねるような事をしただろうか。していない筈だ。朝は寝起きの悪い彼の為に少しだけカーテンを開けて頬と額にキスをして彼が目を覚ますまで彼の名前を囁いて起こし、朝食は注文どおりに蜂蜜の入ったマフィンを焼き紅茶も完璧に淹れた。昼食はボロネーズ風オムレツと野菜のテリーヌ、デザートに柑橘のアスピック。彼の嫌いなものは入っていない。ティータイムには洋ナシのタルトと紅茶。美味しいと満足していた。
今日は、ティータイムのタルトを買いに行った時以外はヨハンとずっと一緒に居たが、彼の機嫌を損ねる要素は見当たらない。むしろ腹の上で笑う彼は常より上機嫌に見える。
「フフ、これだ」
にやりと笑い、ヨハンは一枚の紙切れをゲーニッツに突き付ける。
お題：好きな人を押し倒してみろ！
その一文のみが記された紙切れを、天下御免の免罪符とばかりにひらつかせる。どうやらまたぞろ主催の気まぐれだか暇つぶしだからしい。付き合う方も大概暇人確定な企画だ。ゲーニッツは掌で顔を覆った。「好きな人」の一文と彼の行動だけで、破壊力は十分だった。嬉しさやら何やらで顔がにやけている自覚があった。
「お前が出かけている時に渡された。本当は暇つぶしに散歩にでも行こうかと思ってたんだが、お前を一番に押し倒すために待って居たんだぞ」
ゲーニッツにしな垂れ掛かり、掌を蒼衣の胸元に這わせながらヨハンが囁く。
「どうだ、嬉しいか？」
「…………えぇ。幸せ過ぎて軽くﾃｰﾚｯﾃｰしそうです」
顔を掌で覆っていても、耳が赤くなっているのが見て取れて、ヨハンは満足げに身を起こす。
「あ、夕食は子羊のポワレって言ったけど、やっぱり鴨のコンフィが良い。デザートはプロフィットロールな紅茶もゲーニッツが淹れろ」
「…………はい」
お前の淹れた紅茶意外はもう飲む気がしない、と言う言葉に、さて素直に喜んで良いのかどうか。
りざると：夕食は鴨のコンフィ
・影二つの場合
「ええと、読み上げた方が良いでしょうか……？」
戸口に立つ目隠しをした顔と、部屋の奥の瞼を下ろした顔とを交互に見やってカlンlフlーlマlンが尋ねた。
「結構ダ」
答えてエディは影を伸ばし、主催からの伝言らしいメモを引っ手繰る。影で眼球を具えた頭部を形成し、メモを覗き込み…………軽く脱力する。メモにはシンプルに一文。
お題：好きな人を押し倒してみろ！
ここの住人のお祭り好きにはほとほと呆れる。既存の祝祭は言うまでも無く、事有るごとにこじ付けで、むしろ何も無くとも思い付きであれやこれやと奇祭を繰り広げる。何より呆れ返るのが、そう言った住民に中てられて「悪くない」と考えている自分だ。そう、今まさに思っている。
小さく苦笑し、カlンlフlーlマlンを返して扉を閉める。
「わらきあ、コチラニ来テクレナイカ？」
呼ばれて、最近の出版らしい戯曲を熱心に追っていたワラキアの夜が顔を上げる。
「どうしたのだね、エディ」
分厚い本を閉じ、サイドテーブルに置くと、ワラキアは重力など存在していないようにふわりとした動作で立ち上がり、床の上を滑るようにエディに近づく。僅かに浮いて宙を漂うワラキアの纏うぞろりとしたマントが、それ自身が一つの生物であるかのように揺れている。
エディが今しがた受け取ったばかりのメモをワラキアに示すと、彼は白い繊手を顎に添え、ふむ、と小さく呟く。芝居好きの死徒が何か思いつく前に、エディは腕を模った影を展ばし、ワラキアの肩をぐいと押す。
「おや？」
どこか間の抜けた声を残して金糸が尾を引くように流れる。倒れ込むと言うには不自然な遅さでワラキアの身体が後ろへ傾ぐ。よく重力を無視する体が変な方向へ行かないようにと足首に巻き付けていた影を外し、ドーム形に盛り上げた非晶質の影でその身体を受け止める。柔らか過ぎるクッション、或いは硬度の低いゴムのように、ワラキアの身体はそれを迎え入れた影の固まりに半ば埋まる。しかし危機感は全く無いようで、抵抗どころか身を竦める事さえしない。
「これは意外…………殊の外快適だ。敢えて言うならば固まりかけた血溜りの感触に似ている」
顎に添えた手すら動かさず、能天気とも取れる、しかし物騒な感想をいけしゃあしゃあと述べる。
「ソウカ」
「我々にとっては極めて贅沢な寝床になるが、あの感触は中々無い。君も気が向いたら試してみると良い」
「遠慮シテ置ク」
短く答えてエディは影を伸ばす。頬に触れた愛しい死肉にも似た温度の無い軟らかさに、ワラキアはうっとりと唇を寄せる。影の肌を這う軟らかく微かに湿った感触に、エディは僅かに肩を竦ませ、膝を着いてワラキアの上に圧し掛かった。白く繊細な作りの顔の横に手を着き、顔を寄せる。エディの金糸がさらさらと肩口を流れ零れ落ちる。
「君に包まれているかと思うと堪らない」
胸の上で両手を組み、夢見心地にワラキアが囁く。
「吸血鬼の最高の寝床は産土を敷いた棺と言うが、それに引き換えても良い」
墓場の土の饐えた匂いのする、砂糖をまぶしたように甘ったるい睦言に、熱を帯びた眩暈を覚える。
「わらきあ」
存在しない心臓の熱を生み出そうとするように身を寄せる。
「エディ」
愛しげに手を伸ばし、流れる髪に指を絡ませる。唇を寄せ、ワラキアの夜が囁いた。
「所で折角の舞台だ。私の演出も堪能して行ってくれたまえ」
「ハ？」
ワラキアの纏うマントがざわりと蠢いた。咄嗟に影でガードしようとしたエディだが、次の瞬間影の大半がワラキアの背の向こうに在る事に気づいて動作の全体が引き攣る。
次の瞬間、吸血鬼の剛力とマントによる一撃に跳ね上げられ、エディが物理的に宙を舞う。床に叩きつけられる衝撃は掻き集めた影を使って凌いだが、ワラキアのマントによって両腕を床に縫い止められる。動かそうとした影も、具現化した情報の黒い渦によって押さえ込まれている。
「マ、待テ！ドウシテコンナおちニナル！？」
「カットカットカット！無粋な台詞は飲み込みたまえ、エディ。舌先に乗せるならもっと洗練された台詞を、だ」
しがない役者に演技指導をしつつ、形勢逆転とばかりに、じたばたと足掻くエディを見下ろす。
「では、ペナルティだ」
酷く楽しそうにワラキアが宣告した。
りざると：ワラキアが偶にエディの影の中で眠るようになった
・バルジャギの場合
控え室のソファにだらしなく腰掛け肘を突き、ジャギはテレビに映るエキシビジョンの試合を眺めていた。扉の開く音。入って来たバルバトスを見やれば、少し様子がおかしい。飢えた獣のような殺気にも似た凄みが僅かに薄い。何事か考えている様子で、ぱたんと妙に大人しく扉を閉める。大斧を傍らの壁に立てかけ、ソファのジャギに視線を留める。
「どうしたってんだぁ？……あ、オイそれ対戦表か」
軽い動作でゴミ箱に投げ込まれた丸めた紙切れをジャギが目で追っている内に、バルバトスがジャギに歩み寄る。
「題を出された所で……やはり小細工は性に合わんな」
何やら勝手に納得したように呟かれた言葉に、ジャギが疑問符を浮かべながらバルバトスへと視線を戻す。目の前に掌が有った。指の合間から見える瞳には、何事も無かったように獣の色味の紫炎が戻っていた。
「どぅりゃあ！！」
真正面から掴んだメットを力任せに床に叩き付ける。三つ向こうの部屋まで伝わる轟音と共に床材に後頭部がめり込む。お題が出たときくらい、少しは婀娜っぽく押し倒してみようかとも思ったが性に合わなかったのでいつも通り力任せにやった。俺の本能が叫ぶのさ、貴様等を殺せと。byバルバトス・ゲーティア
「あ？」
手を放しながら眉を顰める。普段ならとっくに反撃なりアクションを起こしている筈だが、ソファごと引っくり返ったジャギはぴくりとも動かない。
……打ち所が悪かったのかもしれない。
ふと視線を上げて空中に浮かぶ赤い文字を見上げて呟いた。
「あ」
一撃だったらしい。ＫＯ！と威勢の良いアナウンスが流れた。
りざｒ「いつまで寝てんだ！」「ほざきやがれ！」
No Escape！！
蛇足
「大蛇の前の（´；ω；｀）」の読みは「ゲーニッツの前のヨハン」
※3/23 誤字修正・加筆
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