877 :名無しさん@ビンキー:2009/09/15(火) 21:37:02 0
こそっと投下。
ちまちま書いていたら季節外れになりましたorz
暴君ベースのゲニヨハエロssです。
無限の801ss増えますように!




!注意

某暴君動画及びトーナメントとは一切関係ありません。
男性同士の性的描写、キャラ崩壊、ゲニヨハ等に、
耐性のない方はファイル削除でお願いします。





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蝉の大合唱に紫外線の直射日光。
無風の室内は不快指数急上昇で、じっとしてるだけで汗が滴ってくる。

「…ふぅ」

余りの暑さと日差しの鋭さに、ヨハンは息を吐いた。
せめてもの涼を求めて、ベランダに出てみたはいいがそこはすでに大量の洗濯物が幅を利かせており
標準以上に体格の良いヨハンの身の置き場はなかった。
それでも、ついさっき勃発した暑苦しい大喧嘩が繰り広げられている室内に戻るよりベランダの方が
過ごしやすいか、と、邪教の教祖は再び息を吐いた。

「あの馬鹿も毎度懲りないな…」

呟き、ベランダの柵に肘を付き、チラリと視線を室内へ転じる。
ガラス戸の向こうでは家主である黄色男と居候である半裸男が汗を撒き散らしながら闘っている。
その様子に、しっかり青筋をたててから視線をそらした。
いや、ヨハンにも半裸男…デスアダーの言い分が分からないでもない。
なにしろ室温が40度近くあるのに、電気代節約のため冷房どころか扇風機の使用も認められていないのだ。
快適な室内温度を求めて暴動を起こしたデスアダーは、ある意味では正しい。
しかし、そもそも電気代を節約してまで生活費を切り詰めなければならない原因は
人一倍の食料を必要とするくせに一円たりとも所持金がない、ただ飯喰らいがいるからであることを考えると
その言い分は我侭以外の何者でもなくなるわけだが。

「…暑い…」

今日だけで何度目になるかしれない息を吐いた。
そもそも、ヨハンは暑さや寒さに言うほど強くない。
有り体に言えば、弱い。
以前は、過ごしにくい季節が来たとしても全室冷暖房完備、加湿除湿も自由自在の
快適空間があっただけに本来の気温と、一般家庭が味わう常温の室内は耐えられたものではない。
正直な話、電気代くらいヨハンの懐から出せるし、居候させてもらっている手前、毎月の生活費を
フェルデンクライス邸に入れているのだから、フェルナンデスが言うほど家計は火の車ではないとは思うのだが、
そこはお互いの金銭感覚の差なのだろうと早々に諦めた。
そして、いかにこの家が暑くても、
いかに我が家の方が快適であろうともヨハンはこの家から出る気はサラサラなかった。
すでに我が家は安住の地ではないからだ。

「まったく…何故私がこんな目に…」

苛立だし気に髪を掻きあげ、悪態をつく。
汗の所為でしっとりとした赤い髪が鬱陶しい。
暑さと不快感で眉を顰めていると、室内からヨハンを呼ぶ声がした。
振り向くと、ガラス戸越しに、以前より極端に小さくなった黒い球体がコチラを見ていた。

「なんだ?」

ヨハンはガラス戸を開けながら問いかけると、フェルナンデスは小さい身体で精一杯見上げてきた。

「今からお兄ちゃんと買い物に行ってきますデス」

「ああ、分かった。私も行かなくて平気か?」

荷物持ちを買って出るが、小さい同居人は丁重に断った。

「デスアダーを連れて行くので大丈夫デス。それよりも洗濯物を取り込んでて欲しいんデスが…」

「分かった。気をつけて行ってきなさい」

「はいデス!行ってきますデス!」

ヨハンとフェルナンデスがほのぼのと会話をしている間にも、投げで大敗し簀巻きにされたデスアダーが
フェルデンクライスに引き摺られてギャーギャーと喧しく騒いでいた。
血の気の多い暴君は先ほどのようにバトルに発展させそうだったが、なんとか平和的に三人は出かけていった。
常に賑やかな家は、人がいなくなると途端に広さを感じて寒々しい。
一瞬感じた寂しさを誤魔化すように、ヨハンは再びベランダへと出て、頼まれた仕事に取り掛かった。
テキパキと洗濯バサミを外し、軽く畳みながら取り込んでいく。

と。

「うわっ」

いきなりの突風が吹きぬけ、ヨハンの手にあったハンカチを攫ってしまう。
ベランダの手すりを越え舞い上がるそれを掴もうと手を伸ばすが、
僅かに届かず再び風に攫われ地上へと堕ちていく。

「しまった…っ」

ヨハンは慌てて、階下へと消えたハンカチを回収しに走った。







マンションから出て、空を見上げれば、ハンカチは未だ風に嬲られ地に堕ちていなかった。
それどころか、風に吹かれ、空を泳いでいく。
ヨハンはハンカチを目で捉えながらその後を追いかける。
陽光が目を焼いて、正直眩しい。
それでも見失うわけにはいかないと追いかけるが、上を見上げるヨハンは前方に対して注意が散漫になっていた。
フェルデンクライス邸から離れた、何度目かの曲がり角で、ヨハンは注意散漫のツケを最悪の形で払うことになる。


ドンッ


ハンカチを追い、視線を植えに上げたまま曲がったヨハンは、急な衝撃に思わず足を止める。

「――っ、すまない、余所見をしていて…」

「すみません、お怪我は……」







「ッギャーーーーー!!!!」

ヨハンはぶつかった相手を認識すると同時に、本能のままに叫び声を上げた。
その叫び声に、相手…ゲーニッツは不穏な笑みを浮かべることで応えた。
人生最大の天敵にして、我が家を危険地帯へと激変させた、
トラウマしか記憶に残さない牧師の笑顔に冗談抜きでヨハンの心臓が数秒間、活動を停止した。

「……ご挨拶ですね、ヨハン」

「うわあああゴメンナサイゴメンナサイ!謝るから近寄るな!!」

必死に謝罪しながらも無意識にか、確りと喧嘩を売っている言葉に、ゲーニッツはますます笑みを深める。
その笑みは優しげなものではなく、むしろ。

「本当に、ご挨拶ですね、ヨハン」

怯えるヨハンの背後に回り、その腕を捩じ上げながら、耳元で優しく囁く。
しかし、幾ら声音が優しくても、捩じ上げられた腕はギリギリと骨が軋む音が聞こえるのであれば正直悪魔と大差ない。

「いたいー!」

情けない声をあげるヨハンに、ゲーニッツは躊躇いなく力を加え続ける。
あと少しの負荷を掛ければ肩が脱臼するギリギリまで追い詰める。
そこまでいくと、苦痛は生半可なものでなく、鍛えているはずのヨハンですら声も出せない。
ただ引き攣るような音を咽喉の奥から量産するだけである。

「ぅ…ぁっ」

「全く、貴方という人は、礼儀も知らないんですか?」

穏やかに囁かれる声。
とてもではないが、人の腕を捩じ上げて極めている人間が発するような声ではない。
すぐ後ろでから発せられる威圧感と、毛が逆立つような不快感、
物理的に加え続けられる苦痛に、ヨハンは奥歯を噛み締め耐える。
ゲーニッツは、顔色を無くすヨハンを愛でるように見つめると、優しげな手つきで強張った顎をくすぐった。
偽善的なその手つきに、ヨハンの眼に訝しげな色が混じる。
苦しい体勢にも関わらず、意図を探すように振り向こうとするが、それより早く、ゲーニッツの手が首へと滑り、そして。

「………ぐぅっ!」

気道を潰すように締め上げた。
ヨハンの首が酸素を求め反り返り、呼気も吸気もせき止められた臓腑が悲鳴を上げる。
何とか、ゲーニッツの手を解こうと自由な手を動かすが、
継続する痛みと酸欠で、僅かに爪を立てることしか出来ず、内心歯噛みした。

「……が…ッ……」

ゲーニッツは、ヨハンの行動全てを意に介さず、確かな意思を持って力を込め続ける。
苦しさに、ヨハンの口が開き、涙が頬を伝う。

「―――――…ぁ……」

ヨハンの腕が、力無く落ちる。
苦痛と酸素不足でヨハンが気を失うと、ゲーニッツはようやく拘束していた身体を解放した。
支えを失った身体は、そのまま重力に従い地へと沈んでいくが、ゲーニッツが背後から抱き込むことで衝突を避ける。
向かい合うようにヨハンの身体を回し、その顔を覗き込む。
蒼白になった、涙の残る顔。
胸の内に沸き起こる暗い満足感と充足感と…些細な痛み。

「―――貴方は…」

ゲーニッツは、小さく眼を細め、慈しむように涙を掬った。

「私のものです」

ヨハンから、視線を引き剥がす。
そして、その身体を肩に担ぎその場から離れていった。







至近距離で何かが擦れる音がして、ヨハンは気だるげに瞼を起こした。
薄暗い室内は部屋のようだが、窓が遠い。
差し込んでくる明かりから意識を失って幾らも経っていないことだけは知れた。
意識を浮上させ、霞む視界を正常に戻すように瞳を瞬くと自分の赤い髪が波を打つ。
どうやら寝台にうつ伏せに寝かされているらしい。シーツが自棄に冷たく感じる。

「ようやく眼を覚ましましたか」

「!――…う、わっ、なんだ!コレッ」

聞き覚えのある声に今までぼんやりしていた意識が一気に覚醒する。
反射的に起き上がろうとして、腕を動かすも、丁度腰の辺りで手首ががっちりと縛られており敢え無く失敗した。
動かせば肉が縄に食い込み、痛みを覚えるほど強く縛られている。
指先だけは何とか動かすことは出来るが、うつ伏せと言う体勢も相俟って粗方の行動が制限されている。
全ての諸悪の根源を睨みつけるように視線を向けると、恐ろしいほどの笑みとぶつかった。
トラウマを彷彿とさせるその笑みに、ヨハンから表情が消えた。

「暴れてくださっても構いませんが、その分酷くしますよ」

大人しくしていても酷くしそうなゲーニッツに言われてもなんの説得力もない。
しかし、嫌と言うほどゲーニッツの酷さを理解しているヨハンは頬が引き攣り、顔が青ざめる。

「今でも十分酷いだろ!離せっ、この、暴力牧師ッ」

「………暴力牧師、ですか」

「――ひッ」

事実を告げただけなのに、気にしているのか、
怒気を孕んだ笑顔で言葉を返してくるゲーニッツに生理的な恐怖を覚え、
喉の奥で酸素が引き攣った音がする。
何とか逃げなくては今まで以上に酷い目に合わされるのは日を見るより明らかだった。
不自由な体勢ながら上半身をのたうたせて、ヨハンは逃避に走る。
しかし、あっけなくゲーニッツに肩を押さえつけられ、シーツに縛られた。
万事休すの言葉がヨハンの脳裏を過ぎり、せめてもの抵抗で激しく頭を振った。
全身から拒絶の意を示すヨハンにゲーニッツは不敵に笑い、赤髪の合間から覗く左耳に歯を立てる。

「いた――ッ、やめろ、ゲーニッツ!」

人体の特に柔らかい部分を容赦なく噛んでくるゲーニッツに怒声を飛ばして牽制した。
今の状況からはなんの効果も無かったが。

「煩いですね」

じゃあ、止めてくれ、今すぐ。と心底からの懇願を口にする前に、歯が外耳に食い込んできた。
如何やっても鍛えられないそこは容易く裂け、まるで耳そのものが千切れるほどの痛みをヨハンに齎した。
生温いゲーニッツの唇が溢れた血を舐め取り、傷口を更に齧ってくる。
痛みを通り越して、ひたすら熱いばかりの感覚は過ぎた愛撫のようだった。

「ぅ……、い、ッ――」

顎をシーツに埋め、痛みと熱を誤魔化すヨハンの耳裏を舐め上げる。
髪の生え際まで濡らされて、酷い不快感がヨハンを襲った。
ゲーニッツの手はヨハンの着衣に伸びて、首元から寛げさせていく。

「何を――ッ」

最後までヨハンの声を聞くことなく、今度は首裏に噛み付いた。
普段、赤い髪に埋もれている首筋を食み、骨に響くほど強く力を掛けて噛まれると、首に歯形が刻まれる。
耳からはタラタラと止め処ない鮮血が溢れ、シーツに小さな染みを作っていく。

「ッ、いい加減に……っ」

何で私がこんな目に合わなければならないんだ!と、こんな不利な状況で強いられても、
ラスボスとしてのなけなしのプライドを奮い立たせ、脚を大きく閃かせてゲーニッツの背中を狙う。
しかし、ヨハンがゲーニッツに一矢報いるより先に指が鳴る音がして、
生み出された小さなカマイタチに脚が巻き込まれた。

「ぐぁ、あっ!」

加減はされているものの、皮膚を切り裂くほどの凶悪な風に脚がシーツに再び落ちる。
角度を変えながら、何度も首筋に歯を立て、痕を残していたゲーニッツは口角を舐めながら、顔を起こす。
ヨハンはゲーニッツの顔に、かつて幾度も見た嗜虐性を見つけ、上がりかけた悲鳴を噛み殺した。

「酷くします、と言ったでしょう。大人しくいていないと腱が切れますよ」

シーツに落ちたヨハンの脚から血が溢れている。
大きな怪我ではなさそうだが、抵抗すればするだけ傷は深くなっていくだろう。
なんにしろ、体勢が悪すぎる。
何とかしなければと考えるが、ゲーニッツは思考すらも許さぬように歯形のついた首裏を舐め上げた。
自分で傷つけておきながら、一々舐めてくる気色の悪さがゾワゾワと肌を粟立てさせる。
やめろ、と言葉を発したいのに恐怖で咽喉に声が絡まり、上手く呼吸することも侭ならない。
ヨハンに出来る抵抗といえば、僅かに身じろぐだけで酷く無力なものだった。
ゲーニッツは無遠慮に服を剥ぎ、首から背中に掛けて噛んでいく。
一つも容赦せずに刻み付けられていく歯形は、熱を孕んで肌の下へと染みこむ。

「―――…っ」

痛みだけなら何とか耐えられるか、と思考をシフトさせかけたところで、
ゲーニッツはヨハンの臀部を弄ってきた。
武骨な指先が双丘の形を確かめるように滑り、紅の上着の中に手を差し込むと、
灰色のボトムを擦り下げ、肌に直接触れてくる。
同性にそんな場所を触れられる嫌悪感に額をシーツに擦り付け、ヨハンは悔しさに顔を歪めた。

「おや」

一声漏らし、眉間に皺を刻み、苦痛に彩られた顔に手を掛け、ゲーニッツはヨハンの顔を覗き込んだ。
忌々しげにゲーニッツを睨みつけてくる瞳には、強い実力者たる光が覗いている。
普段より格段に性質の悪い嫌がらせを仕掛けてくるゲーニッツに、常の苦手意識も忘れ睨みつける。
その顔に満足げな呼気を漏らすと、ゲーニッツはヨハンの肩に齧りつく。

「こんな無様を晒しておきながら、眼光だけは鋭いですね」

「―――く、…貴様…!」

明らかな余裕を見せるゲーニッツに視線を更に研ぎ澄ますと、
顎を勢い良く引き、顎を捕らえているゲーニッツの指に噛み付いた。

「―――ッ」

反射的に腕を引くゲーニッツに、縛られていても易々と堕ちると思うな、と怒気をぶつける。
威勢よく噛み切られたゲーニッツの指は傷ついて、赤い血が伝っていた。
一矢報いたとヨハンは溜飲を下げ、同時にこれで興ざめしてくれたら、と、淡い期待を抱く。
ゲーニッツは、しばし、その指に視線を落としているも、不意に楽しげに唇を歪ませ、低い笑い声を漏らす。

「そうですか…、そんなに酷くされたいのですか」

「な…!?なんで、そう―――ん、ぐぅ…!?」

怒りと驚きに発した言葉は途中で四散し、苦しげな悲鳴に変わる。
ボトムの内側に張り込んでいた指が、無理やりヨハンの秘所を抉じ開けたのだ。
滑りも何も無い乾いた指が暴力のように体内へ入り込んでいく。
圧迫感と途方も無い痛みに襲われ、ヨハンは呼吸を忘れて本能的に息を吐き出し、獣のように喉が鳴る。

「ぅう……ぐ、ぅ…う゛…」

無理やり拓かれる身体は当然のようにゲーニッツを拒絶するが、
呼吸の隙を狙い、奥へ奥へと指は入り込んでくる。
乾いた太い指に媚肉を摩擦されると、焼けるような痛みがヨハンを襲う。
ヒリヒリとした身体の内側から齎される痛みに耐え切れず、ヨハンの眦に生理的な涙が浮かんだ。

「狭いですね、もう一本挿れますよ」

「ま……ッ!?」

静止の言葉を発する前に、一本目に添わせるように二本目もヨハンの体内に潜り込んできた。
痛みが倍増し、息苦しいほどの排泄感に襲われて息が更に上がる。
肺が壊れるのではないかと思わんばかりにフル稼働し、心臓が喧しいほどの早鐘を打つ。
二本に増えた指は更に暴力的に振る舞い、体内で左右に指腹を押し当て、狭いそこを強引に拡張した。
拡げられた媚肉を外気が撫でて、気が触れそうなほどの羞恥心と違和感を覚える。

「あッ!も、……嫌だっ、やめろ、ゲーニッツ!」

息も絶え絶えに喚くヨハンを他所に、指を中で折り曲げ、ぐるりと掻き回しながら、柔らかい媚肉を存分に玩ぶ。
指に纏わりついてくる肉襞を暴き散らし、
指を纏めて引き抜くとヨハンはゼェゼェと苦しげな息を吐き出して、肩を弾ませる。

「指は嫌ですか、それでは仕方が無い」

「……ハ、……ぅ…?」

解放された身体は弛緩してしまい、危険だと分かっていても力が入らなかった。
胸板を上下させながら、ゲーニッツの発した言葉の意味が汲み取れず、疑問の眼差しを諸悪の根源に投げかけた。
ゲーニッツは眼差しには応えず、中途半端に脱がしていたヨハンのボトムに手を掛け、下着ごとズボンを引き抜いた。
下半身を露出させ、腰を捕らわれたところでヨハンもゲーニッツの目的を察して、驚愕を顔に走らせる。

「――な!?……待て!何を考えているんだ、お前!?」

「貴方のことですよ」

サラリと悪びれなく告げるゲーニッツは、ヨハンの身体を起こし、膝立ちにさせて己の下半身を跨がせる。
シーツと足の傷が擦れる度、顔を歪めて苦痛を堪えるヨハンを愛でながら、既に勃起している熱を取り出した。

「止めろ!洒落になら―――うぁあッ!!」

ゲーニッツは抗議を無視し、腰を引き寄せ、ヨハンの中へと己の滾る欲望を飲み込ませた。
然して慣らしてもいない体内は熱源に絡みつき、ヨハンの下半身が強張る。
言葉に出来ないほどの衝撃に、ヨハンは喉を反らし、堪えきれない悲鳴を上げた。
どれだけ力を入れて拒んでも、重力を味方に付けたゲーニッツは無慈悲に体内を蹂躙していく。
身体の中に他人がいる感覚にヨハンは吐き気すら覚えた。

「あ…っ、う、ぁッ」

臀部と腰がぶつかり、ゲーニッツの全てがヨハンの中に納まった。
ヨハンは腹の中でゲーニッツの鼓動を聞き、耳まで熱が上ってくるのを自覚する。
紅の上着に邪魔されて、結合部だけは見えないものの、それが余計に卑猥さを際立たせていた。
腕を縛られているため、バランスが上手くとれず、身体を動かすたびに、中に居るゲーニッツが内側を擦ってくる。
中を摩擦されるたびに、ゲーニッツを締め付け、粘膜同士がきつく触れ合う感覚に自爆してしまう。

「んん…、――…ぅ、う」

歯を食いしばり、嬌声を抑えても、緩やかに立ち上がり、上着を押し上げている前は言い訳すら出来ない。
指とは違い、中を余すところなく満たす欲望に熱が絶え間なく生まれて、全身に広がっていく。
得体の知れないざわめきが身体の至る所で湧き上がり、ヨハンを攻め立てる。
しかし、体内に齎されるのは微かな疼きのみで、ゲーニッツが動く気配はない。
余りの静かさを疑問に思って顔をあげ、ゲーニッツを見やると、
凄まじく人の悪そうな笑みを浮かべて、ヨハンを観賞していた。

「ん…っ、何を…、見て……いる――ッ」

「いえ、随分、気持ち良さそうにされているので」

密やかな笑気を交えた言葉に余裕が見え隠れして、ヨハンは奥歯を音が立つほど噛み締めた。
流石にゲーニッツも息は上がっているようだが、追い詰められている度合いが明らかに違う。
解れた赤髪の合間から、噛み付くような視線を向けると、体内で更にゲーニッツが大きくなり、下半身に力が入る。
思わず締め付けてしまった衝動から逃げるように腰を浮かせれば、
鰓の張った亀頭が性器裏を掠めて、酷く情けない声が口から漏れた。
その一連の動作は、まるで自分の方がゲーニッツを強請り、誘っているような錯覚に陥る。

「……ッ、…そのまま、ご自分で動いてみては如何です?」

小さく息を詰めたゲーニッツが恐ろしげな提案を口にして唆してくる。
結合部はジンジンと熱く、触れ合う場所から焼け付きそうだった。
ゲーニッツに動くつもりがなければ、この地獄のような責め苦は何時まで経っても終わらない。
熱に浮されながらも、現状を打破したがる思考が巡り、戸惑いを顔にサッと走らせる。
まさか、男の上で腰を振れと言うのか。しかも、他の誰でもないゲーニッツの上で。
溶けそうなほど熱い下半身を持て余しながらも、一線を越えられず、眉間に皺を寄せた。

「……!……ぁ、ッ」

待つのに飽きたのか、軽く身体を上下に揺すられ、無防備な声が漏れる。
脆くなるラインを狙って撫で上げられると、肩が震えるほど感じてしまう。
縛られている指先で無力にも空を掻いて、快楽に耐え切れぬように身体を撓らせた。

「……動かないと何時までも終わりませんよ」

悪魔の声を間近で聞いて、傷ついている耳朶に生温い息が絡んできた。
身体中の何処もかしこもが熱くて、今にも気をやってしまいそうなのに決定打が足りない。

「……この、……ッ」

小さく悪態を吐きながら、意を決したヨハンは膝に力を込めて、
己の体躯を持ち上げ、緩々と上下運動を開始する。
腰を持ち上げれば、ゲーニッツを絞るように締め付けてしまい、
腰を落とせば、窄まった奥を拡げるように貫かれて、声が抑えきれない。
単調な上下運動だけでなく、微かに身体を動かすと内側で当たる部分が変わり、新鮮な快楽がヨハンを襲う。

「ぅ、あ―――ッ」

特に弱い一点を自ら擦りつけると、勃起している自身の先端が上着を押し上げ、じわりと服の色を濃く変えた。
まるで自分で自分を慰めている惨めな感覚に陥りながらも、
揺らめく腰が止められず、胸を反らしながらゲーニッツの欲を貪ってしまう。

「いやらしいですね、ここが良いんですか?」

低い声が、ヨハンをからかい、好い場所ばかりに腰を動かして、擦り付け、締め付けてくる様を笑った。
ゲーニッツは両手をヨハンの臀部に掛け、左右に大きく広げさせながら、下から茶化すように突き上げた。
ヨハンの喉が息を飲み込んで引き攣り、奥から沸き起こる絶え間ない蠢動が悦楽を浮き彫りにさせていく。

「身体は素直ですね」

嫌がるように赤髪を振り乱していても、ヨハンの身体はこれ上なく素直に悦びを表して、
媚肉をきつく窄め、ゲーニッツを強請るように包み込む。
ぴったりと密着した内壁はより身近に熱を感じてしまい、自分の鼓動とゲーニッツの脈動が重なって聞こえる。

「あ、…ッ、ぅ……ぁくッ」

「ほら、此処を擦られると中が良く締まるんです。――…分かりますか?」

分かりたくないッ!と言う心底からの叫びは自分の嬌声に邪魔されて、失墜する。
ごりごりと亀頭で前立腺を転がされ、ヨハンは知らずの内に腰を動かし、生み出される摩擦の熱に縋りつく。
卑猥な水音が室内に響き、鼓膜まで犯されて、五感全てでゲーニッツを感じてしまう。

「ぐっ…う、ぁ……は、…ッ」

涸れた喉からは掠れた低音しか零れず、息すらも上手くできない。
ヨハンの限界を肌で感じたゲーニッツは下から放埓なリズムで突き上げ始めた。
今までの緩々とした結合とは一線を画し、重い衝撃が身体の奥まで響く。
腕を縛られたままの不安定な体勢では、好きなように貫かれるばかりで抵抗も出来ず、深い場所まで受け入れてしまう。

「うッ、く…、う、ぅん…っ」

体内を出入りする熱に翻弄され、ヨハンの腹筋が小さく痙攣する。
ズ、と性腺を撫でるように突き入れられ、とうとうヨハンは掠れた悲鳴を上げて、上着の中で精を解き放った。
上着の染みが一気に広がり、自分で出したものが性器に纏わりつく。
しかし、その不快感を意識する前に、体内でゲーニッツも頂を迎えた。
重々しい精液が中に浴びせられ、これ以上ないと言うほど熱くなっていた内壁に、
更に焼け爛れるほど熱いものをぶちまけられ、目の奥で火花が散る。
身体の奥を燃やしつくし、内側からヨハンを作り変えてしまうような質量に喉が引き攣り、
中で出されながら、とうとうヨハンは涙腺を決壊させた。
双眸が歪み、透明な涙が頬を伝う。拭いきれない屈辱を身に受けているのに、
腹の中を満たされて、奇妙な充足感を覚えてしまう自分すら忌々しい。

「……ッ、…ヨハン」

何処か、優しげに名を呼んでくるゲーニッツに引き寄せられ、放心気味のヨハンは素直に肩口に額を寄せた。
そうして、ゲーニッツに凭れていると、目の奥からジワジワと堪えていた涙が溢れてくる。
身体中の何処もかしこも――あまつ、身体の中まで痛くて苦しいのに、
そうさせた張本人に体重を寄せ、情けない涙を見せてしまう。

「お、お前……なん、……こんなこと…ぅ」

一度零れてしまった涙は止めようもなく、次から次へと勝手に溢れてくる。
額をゲーニッツの肩に擦り付け、愚図るように力なく首を振るう。
赤い髪の合間から泣いているヨハンの横顔が見え隠れして、ゲーニッツは珍しく息を呑んだ。

「ヨハン…」

「……ぅ…く、…ひ、…どぃっ…ぅ…く…う…っ」

泣き声を殺そうとしているのに、喉が勝手に音を上げ、ゲーニッツに縋って泣いてしまう。
幾度もの摩擦により、赤く熟れた入り口は嗚咽を漏らすたびにゲーニッツを柔らかく喰い絞めて、
息を吐き出すたびに開くそこから、注がれた白濁が滲むように零れていく。
普段、怯えて逃げていく姿とはまた違う、悲惨なまでに弱弱しいヨハンに、ゲーニッツの内側で新しい火が灯る。

「――ッ!?」

濡れた体内で再び硬度を蘇らせるゲーニッツにヨハンは狼狽以上の驚きを露わにした。
ゴリ、と内壁を再び押し上げてくる質量に反射的に顔を上げると、
まるで捕食者のようなゲーニッツの瞳と視線がぶつかった。

「―――ぃや、いやだ…や…ゲーニッツ…も…いや、だぁッ…」

身の危険を感じ取り、暴れだすヨハンに体重を掛けてベッドに押し倒すと、
シーツが大きく波を打ち、ヨハンの髪が散らかった。
ヨハンの流した血と精がこびりつくシーツの上で、ヨハンの髪は良く映える。
後ろ手で縛られた手首が下敷きになり、腕が悲鳴を上げた。
しかし、足を大きく開かされて、腰を突き進めてくる衝撃のほうが大きく、持ち上がった爪先にまで痙攣が走る。

「う、わ…ッ、や…っ、も――!…ぁ…っ、あぁ――ッ」

揺さぶられる衝撃に涙が玉となって飛び散り、ベッドが軋む音に喘ぎ声を重なって、
喉を反らしながら、横顔をシーツに擦り付けて身悶えた。
穿たれるたびに中に注がれた精液が溢れて、シーツに新しい染みを作る。
散々泣き喚き、矜持を砕かれ、身体を貫かれて、ヨハンは涙で歪んだ視界の向こうにゲーニッツを捉えた。
濡れて赤みを増した瞳に誘われるように、ゲーニッツは身体を倒し、ヨハンの唇を塞いでくる。
触れるだけの生易しい代物ではなく、唇に噛みつかれ、
無理やり舌でこじ開けられて、口腔を弄られる強引な口付けだった。
呻き声すらゲーニッツに奪われて、腰を打ち付けてくる衝撃についていけない。
ハッ…、とキスの合間に息を漏らし、溺れるように喘ぐ。
その仕草がまるで唇を食み返すようで、焼けた脳裏にはどこか甘ったるくさえ感じる。
現に初めて触れたゲーニッツの唇は生暖かく、柔らかくて、
散々酷い目に合わされ、甚振られた後なのに、何故だかとても、満たされる気がした。
きっと錯覚に違いないと、朦朧とする意識の中で微かに沸いた感情を否定しながら、
ヨハンは逃げるように意識を失った。








ゲーニッツがささやかな眠りを堪能し、ゆっくりと目を開けると、
西日が室内に陰影を落とし、黄昏の到来を告げていた。
見慣れた寝室を背景に、その視線が捕らえるのは、豊かな赤髪。
寝起き特有の気だるさと、寝入る直前まで致していた行為による倦怠感に身を任せ、
間近に拡がる赤い髪に指を絡ませた。
触れられるのが分かるのか、ビクリッ、と震える均整の取れた身体に欲が湧き上がる。
瞬間、必死に抵抗する姿や、快楽に耽る姿、
無防備に泣き濡れた姿が脳裏を走り、寝込みを襲おうかと本気で思案しかけたが、
夜になる前に帰さねば面倒になると思い直し、寸でのところで思い留まった。
あの家の住人を相手にするとなると、いかなゲーニッツでも些か分が悪い。
指は髪を一頻り玩ぶと、そのまま静かに離れていく。
ゲーニッツの思案は、ヨハンの現在の潜伏先が、フェルデンクライス邸だと情報を得ている故の思案である。
しかし、その情報をゲーニッツが掴んでいると、ヨハンに知られるわけにはいかないのだ。
知られれば、今度は完璧に、痕跡を残さず逃げられる。
何処に逃げようと、必ず見つけ出す自信はあるが、出来るだけ身近に潜伏されたほうが手間がない。
その為にも、フェルデンクライス邸が安全な場所だと、
ゲーニッツに知られていない場所だと思わせておく必要がある。
例え、真実が何処にあろうとも。

「…あぁ、忘れてました」

呟くと、ベットの下に脱ぎ捨てた上着のポケットから、白いハンカチを取り出す。
ヨハンの手を逃れ、風に攫われ、偶然にもゲーニッツの元へとヨハンを誘導したあのハンカチだ。
そんな偶然があるか!と、この場で唯一反論する権利があるヨハンは、
消耗した体力を回復するための眠りに捕らわれている。

「ご苦労様でした」

ゲーニッツは、まるで功労者を労わるように囁く。
その顔は、ヨハンを味わっているときに浮かべていた酷く満足げな表情だった。





果たして、何処までが自然の風の悪戯で、何処からが吹き荒ぶ風の策謀なのか。
全ての答えは黄昏色に染まる部屋の中に消えていった。

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