タイトルなし139
最終更新：ID:O/WJw4W3Dg 2010年05月08日(土) 11:40:31履歴
224 ：名無しさん＠ビンキー：2010/05/03(月) 17:55:11 0
流れぶった切り失礼します。
以前スレで話しに上がった、幕末組みと機械のネタで蒼炎のＳＳが書けたので、投稿させて頂きます。
内容はほのぼの。ところにより塩が欲しくなる気がｶﾞ。
当初はここまでイチャイチャしない筈だった。
これが��スレの魔力なのか･･･？
※注意※
・以前スレに上がった、幕末組みと機械の話で、カプは蒼炎です
・携帯初体験の嘉神の話です
・いつの間にか��ップル化
・そしてカインの乙女思考
・キャラ崩壊に激しく注意。私はこの二人をどうしたいんだ･･･orz
・ほのぼのです。ところより甘い。
・誤字脱字に要注意。言葉の用法間違いも発生している可能性有り
・色々拙い上に粗も目立ちます
以上の様な事柄を許容出来る方のみお進み下さい。
そんなの許容出来ませんという方は今すぐお引取りを！
見なかった事にするのがお互いのためです。
よろしいんですね？それではどうぞ･･･
―‡―‡―‡―‡―
この世界は自分が居た世界とは随分と違う。進んでいるというべきか。
見た事も無い乗り物や建物。“機械”といった便利な道具。
初めて目にするものばかりで随分衝撃を受けた。
そして嘉神は今もまた、新たなものを目の前にしている。
「これは･･･随分と小さいが“機械”の類か？」
「ええ、その通りです」
カインにより手渡されたそれは、手の平サイズの長方形の機械。
手の上のそれを、嘉神はじっくりと眺めながら裏返したり、開けたり閉めたりしてどんな動きをするのかを確認している。
「それは“携帯電話”というもので、番号で指定した相手と、離れていても連絡が取れるものです」
「ほお･･･そのような物があるのか」
「はい、私も持っています」
そう言って、カインは慣れた手つきで見た目が違う同じ様な機械を取り出した。
「これがあれば、いつでも貴方と連絡が取れます。それもすぐに」
「便利な物が生まれたものだな」
嘉神は感心といった眼差しで携帯を見つめる。
しかしその視線はすぐに携帯から外され、カインに向けられる。
その意図がよく分からず、カインが不思議そうな顔をしている。
これを渡され説明された時に、嘉神はある疑問が浮かんできたのだ。
「ところで、どうして急にこの様なものを？」
「連絡を取るのが容易ですから」
「他に理由があるはずでは？」
「え？」
「連絡を取るだけなら、別に今まで通り手紙で不自由は無かっただろうに」
「そ、それは･･･」
素直に疑問に思っていた事をカインに尋ねると、珍しく口篭もった。
視線を彷徨わせ、口をもごもごとしている。その間にもどんどんと顔が赤くなっていく。
何がそんなに恥ずかしいのやら。
そんなカインの気っ相を眺めながら、話し始めるのをのんびりと待つ。
ようやく決意したのか、顔を俯けたままながら、小声で理由の説明を始めた。
「そ･･･その･･･これがあれば、いつでも貴方と話せるから･･･
というか、声が聞けるからというか･･･その･･･えっと･･･だから･･･」
最後の方は殆ど聞き取れない程に声が萎んで、黙り込んでしまった。カインの顔は未だ羞恥に染まっている。
ようするにこれを渡したのは、いつでも話したい、声が聞きたい、そうして近くに居るのを感じたい、という事らしい。
林檎のように赤い顔で、恥ずかしそうに俯くカインの様子を可愛いなどと思ったが、それは黙っておく事にした。
ここでそんな事を言ってからかう様な真似をすると、意固地になるのは目に見えている。
それよりも、プライドの高い彼が勇気を出し、その羞恥を押してまで正直に理由を話してくれた事の方が嬉しかった。
「とにかく、使い方を説明しますね･･･」
まだ気恥ずかしさが残っているようだが、それを紛らわすように説明を始めようとする。
カインに「よろしく頼む」と言うと、待っていましたと言わんばかりに説明が始まった。
「まずはこのボタンを押して、電源を入れます」
「ふむ、これでいいか？」
「はい、次に･･･」
嘉神が手にした携帯の使い方を、最初から逐一説明するカイン。
いつの間にか気恥ずかしさが薄れたのか、その顔も声をどことなく嬉しそうで、機嫌がとても良いのがすぐに分かった。
ゆっくりとたどたどしい手つきで操作する嘉神。それを急かす事も無く、ゆっくりと説明を続けるカイン。
しばらくして、電話の掛け方とメールの使い方だけは分かったので、早速試してみる事にした。
「入力というは中々大変だな･･･」
「慣れればどうという事はありませんよ」
「そこまで行くのが大変そうだ」
まずはメール機能から試す事にしたのだが、これまで携帯どころか、こういった機械の類にあまり触れた事の無い嘉神は悪戦苦闘していた。
カインの隣に座っている嘉神は、机の上に置いた携帯に真剣な眼差しで向き合い、ポチポチと指一本で入力操作を行っている。
そのどこか滑稽で微笑ましい様子に、思わず笑みが零れる。
「ふう、やっと終わった」
ようやく入力を終え、メールを送信した嘉神は疲れきっていた。
携帯にメールが届いたのを確認したカインは、内容を読み顔をまた赤くさせた。
そんな様子を横目で確認した嘉神は、してやったりという表情を浮かべた。勿論カインには気付かれない様に。
嘉神からのテストメールには一言“愛してる”とあった。
カインは何とかして動揺を押し隠そうとし、平静を取り戻す事に尽力したが、嘉神にはすでにバレている。
それに気付かず、必死に動揺を隠しながら嘉神のメールにすぐさま返信する。
「もう返したのか」
「はい、次は返信の仕方ですね」
「･･･少し休憩させてくれ」
「この操作を説明したら休憩にしましょう」
指示通り携帯を操作し、メールの確認をする。
そこには嘉神同様一言“私も貴方を愛してます”とあった。嬉しさで思わず顔が綻ぶ。
「―――お茶を汲んできますね」
恥ずかしさで居た堪れないカインは、さっさと立ち上がり、お茶を入れるために慌しく台所に消えて行った。
そんな様子に喉の奥でクックッと笑いを殺しながら、嘉神はその背を見送った。
「次は電話ですね」
休憩も終わり、カインも大分落ち着いてきた所で続きを再開する。
「先程のメールよりも操作は簡単ですので、そんなに苦労はしないと思います」
「その方が助かる」
正直言って文字入力は、手紙を書くよりも重労働だったので、電話がメールよりも単純だったのは非常に助かる。
言われた番号を順番に押していく。ポチポチとボタンを打ち終え、最後に発信ボタンを押す。
するとカインの携帯は音を出さず震えた。カインが携帯を開き確認する。
「繋がったのか？」
「はい」
繋がったのを確認し、一旦そのまま切る。
そして次は、カインから掛かってきた電話を受ける。
ディスプレイに着信相手が表示される。通話ボタンを押し、どこか恐る恐るといった風に受話口を耳に付けた。
『もしもし？聞こえていますか』
「ああ、聞こえている」
耳に当てた携帯を通じ、目の前に居るカインの声が聞こえる。なんだか不思議な感じがした。
確かに、こうやって機械越しとは言え本人の声を聞くと、まるで近くに居る様な錯覚を覚える。
『それでは切りますね』
そういってブツッという機械音の後に、ツーツーという接続が切れた事を告げる音が聞こえた。嘉神もカインに習い、接続を切る。
「如何でしたか？」
「ふむ、悪くは無いな」
素直な感想を告げると、良かったと言ってカインは喜んだ。
ただしメールは別だと言うと、それは仕方無いですねと同意した。
「だが、少し問題があるな」
その言葉に、カインが一瞬不安そうな様子を見せた。
こうして連絡を取り合うのは悪くない。それは確かにそうなのだが、一つ問題が合った。
何が駄目だったのか。問題を確認するため、カインが尋ねる。その声は僅かに震えていた。
「問題･･･とは？」
恐る恐る尋ねる。だがそんなものは杞憂だと言わんばかりの態度で嘉神が返した。
「会いたくなってしまう」
「―――！それは･･･」
一言、そう告げる。
それに対しカインは驚愕するものの、一瞬で意味を理解し、慌て始める。
それな様子を歯牙にも掛けず、嘉神は二の句を継ぐ。
「声を聞くと、居ても立っても居られなくなる。お前にすぐに会いたくなる。
こんなものでは無く、直接お前の声を聞き、そして･･･」
混乱するカインを他所に嘉神が立ち上がる。そのまますっとカインの後ろに回り、そして、
「こうして抱き締めたくなる」
途轍もない殺し文句と共に、ふわりとカインを抱き締めた。
驚きや恥ずかしさ、嬉しさなどが混ざり合い、頭の中が大混乱に陥ったカインは、赤い顔のまま硬直する。
頭のが真っ白になり、酸素を求める魚の様に口をパクパクしながら、声にならない声を上げるカイン。
それを静かに抱き締める嘉神。互いの温かさがじんわりと伝わり、鼓動が響きあう。
しばらくその状態が続き、ようやく混乱が収束し始めたカインが、上から被さっている嘉神に声を掛けた。
「あ、の･･･嘉神」
「どうした？」
「そろそろ･･･離して頂けませんか？」
「そうだな、すまん」
しどろもどろとした口調で小さく抗議する。
それに素直に従い、名残惜しみながらも嘉神はカインから離れた。
未だに動悸は治まらず、自分の拍動が嫌でも耳につくのが分かった。
嘉神の顔がまともに見られない。
「まあ何にせよ、随分と便利なものを頂いた」
その笑顔にまた心臓が跳ねそうになる。
このままでは自分の心臓が持たない。
そう考えると、目の前で余裕そうにしている嘉神が恨めしく見えた。
「使いこなせる様に努力しよう。お前と私のために」
止めの台詞と笑顔。
まだまだ言いたい事が山ほどある。
いや、あった筈なのだが、それらは全て吹き飛んでしまった。
(ああ、もう！！)
カインは考えるの止めた。
数日後、やたら携帯を気にし、掛かってきたらきたらで、嬉しそうに会話するカインの姿が見られたとか。
オマケ
カイン「気になっていたのですが、携帯のメールがあるのになぜ手紙を？」
嘉神「同じ様に文章を送るなら、こっちの方が楽だ。それに」
カイン「それに？」
嘉神「無機質で電子的な手紙より、手書きの手紙の方が温かみを感じるのでな」
カイン「それは･･･同感です」
嘉神「だろう。という事で、お前の温かい手製の返事を待っているぞ」
カイン「･･･はい」
結局殆ど元通り
―‡―‡―‡―‡―
流れぶった切り失礼します。
以前スレで話しに上がった、幕末組みと機械のネタで蒼炎のＳＳが書けたので、投稿させて頂きます。
内容はほのぼの。ところにより塩が欲しくなる気がｶﾞ。
当初はここまでイチャイチャしない筈だった。
これが��スレの魔力なのか･･･？
※注意※
・以前スレに上がった、幕末組みと機械の話で、カプは蒼炎です
・携帯初体験の嘉神の話です
・いつの間にか��ップル化
・そしてカインの乙女思考
・キャラ崩壊に激しく注意。私はこの二人をどうしたいんだ･･･orz
・ほのぼのです。ところより甘い。
・誤字脱字に要注意。言葉の用法間違いも発生している可能性有り
・色々拙い上に粗も目立ちます
以上の様な事柄を許容出来る方のみお進み下さい。
そんなの許容出来ませんという方は今すぐお引取りを！
見なかった事にするのがお互いのためです。
よろしいんですね？それではどうぞ･･･
―‡―‡―‡―‡―
この世界は自分が居た世界とは随分と違う。進んでいるというべきか。
見た事も無い乗り物や建物。“機械”といった便利な道具。
初めて目にするものばかりで随分衝撃を受けた。
そして嘉神は今もまた、新たなものを目の前にしている。
「これは･･･随分と小さいが“機械”の類か？」
「ええ、その通りです」
カインにより手渡されたそれは、手の平サイズの長方形の機械。
手の上のそれを、嘉神はじっくりと眺めながら裏返したり、開けたり閉めたりしてどんな動きをするのかを確認している。
「それは“携帯電話”というもので、番号で指定した相手と、離れていても連絡が取れるものです」
「ほお･･･そのような物があるのか」
「はい、私も持っています」
そう言って、カインは慣れた手つきで見た目が違う同じ様な機械を取り出した。
「これがあれば、いつでも貴方と連絡が取れます。それもすぐに」
「便利な物が生まれたものだな」
嘉神は感心といった眼差しで携帯を見つめる。
しかしその視線はすぐに携帯から外され、カインに向けられる。
その意図がよく分からず、カインが不思議そうな顔をしている。
これを渡され説明された時に、嘉神はある疑問が浮かんできたのだ。
「ところで、どうして急にこの様なものを？」
「連絡を取るのが容易ですから」
「他に理由があるはずでは？」
「え？」
「連絡を取るだけなら、別に今まで通り手紙で不自由は無かっただろうに」
「そ、それは･･･」
素直に疑問に思っていた事をカインに尋ねると、珍しく口篭もった。
視線を彷徨わせ、口をもごもごとしている。その間にもどんどんと顔が赤くなっていく。
何がそんなに恥ずかしいのやら。
そんなカインの気っ相を眺めながら、話し始めるのをのんびりと待つ。
ようやく決意したのか、顔を俯けたままながら、小声で理由の説明を始めた。
「そ･･･その･･･これがあれば、いつでも貴方と話せるから･･･
というか、声が聞けるからというか･･･その･･･えっと･･･だから･･･」
最後の方は殆ど聞き取れない程に声が萎んで、黙り込んでしまった。カインの顔は未だ羞恥に染まっている。
ようするにこれを渡したのは、いつでも話したい、声が聞きたい、そうして近くに居るのを感じたい、という事らしい。
林檎のように赤い顔で、恥ずかしそうに俯くカインの様子を可愛いなどと思ったが、それは黙っておく事にした。
ここでそんな事を言ってからかう様な真似をすると、意固地になるのは目に見えている。
それよりも、プライドの高い彼が勇気を出し、その羞恥を押してまで正直に理由を話してくれた事の方が嬉しかった。
「とにかく、使い方を説明しますね･･･」
まだ気恥ずかしさが残っているようだが、それを紛らわすように説明を始めようとする。
カインに「よろしく頼む」と言うと、待っていましたと言わんばかりに説明が始まった。
「まずはこのボタンを押して、電源を入れます」
「ふむ、これでいいか？」
「はい、次に･･･」
嘉神が手にした携帯の使い方を、最初から逐一説明するカイン。
いつの間にか気恥ずかしさが薄れたのか、その顔も声をどことなく嬉しそうで、機嫌がとても良いのがすぐに分かった。
ゆっくりとたどたどしい手つきで操作する嘉神。それを急かす事も無く、ゆっくりと説明を続けるカイン。
しばらくして、電話の掛け方とメールの使い方だけは分かったので、早速試してみる事にした。
「入力というは中々大変だな･･･」
「慣れればどうという事はありませんよ」
「そこまで行くのが大変そうだ」
まずはメール機能から試す事にしたのだが、これまで携帯どころか、こういった機械の類にあまり触れた事の無い嘉神は悪戦苦闘していた。
カインの隣に座っている嘉神は、机の上に置いた携帯に真剣な眼差しで向き合い、ポチポチと指一本で入力操作を行っている。
そのどこか滑稽で微笑ましい様子に、思わず笑みが零れる。
「ふう、やっと終わった」
ようやく入力を終え、メールを送信した嘉神は疲れきっていた。
携帯にメールが届いたのを確認したカインは、内容を読み顔をまた赤くさせた。
そんな様子を横目で確認した嘉神は、してやったりという表情を浮かべた。勿論カインには気付かれない様に。
嘉神からのテストメールには一言“愛してる”とあった。
カインは何とかして動揺を押し隠そうとし、平静を取り戻す事に尽力したが、嘉神にはすでにバレている。
それに気付かず、必死に動揺を隠しながら嘉神のメールにすぐさま返信する。
「もう返したのか」
「はい、次は返信の仕方ですね」
「･･･少し休憩させてくれ」
「この操作を説明したら休憩にしましょう」
指示通り携帯を操作し、メールの確認をする。
そこには嘉神同様一言“私も貴方を愛してます”とあった。嬉しさで思わず顔が綻ぶ。
「―――お茶を汲んできますね」
恥ずかしさで居た堪れないカインは、さっさと立ち上がり、お茶を入れるために慌しく台所に消えて行った。
そんな様子に喉の奥でクックッと笑いを殺しながら、嘉神はその背を見送った。
「次は電話ですね」
休憩も終わり、カインも大分落ち着いてきた所で続きを再開する。
「先程のメールよりも操作は簡単ですので、そんなに苦労はしないと思います」
「その方が助かる」
正直言って文字入力は、手紙を書くよりも重労働だったので、電話がメールよりも単純だったのは非常に助かる。
言われた番号を順番に押していく。ポチポチとボタンを打ち終え、最後に発信ボタンを押す。
するとカインの携帯は音を出さず震えた。カインが携帯を開き確認する。
「繋がったのか？」
「はい」
繋がったのを確認し、一旦そのまま切る。
そして次は、カインから掛かってきた電話を受ける。
ディスプレイに着信相手が表示される。通話ボタンを押し、どこか恐る恐るといった風に受話口を耳に付けた。
『もしもし？聞こえていますか』
「ああ、聞こえている」
耳に当てた携帯を通じ、目の前に居るカインの声が聞こえる。なんだか不思議な感じがした。
確かに、こうやって機械越しとは言え本人の声を聞くと、まるで近くに居る様な錯覚を覚える。
『それでは切りますね』
そういってブツッという機械音の後に、ツーツーという接続が切れた事を告げる音が聞こえた。嘉神もカインに習い、接続を切る。
「如何でしたか？」
「ふむ、悪くは無いな」
素直な感想を告げると、良かったと言ってカインは喜んだ。
ただしメールは別だと言うと、それは仕方無いですねと同意した。
「だが、少し問題があるな」
その言葉に、カインが一瞬不安そうな様子を見せた。
こうして連絡を取り合うのは悪くない。それは確かにそうなのだが、一つ問題が合った。
何が駄目だったのか。問題を確認するため、カインが尋ねる。その声は僅かに震えていた。
「問題･･･とは？」
恐る恐る尋ねる。だがそんなものは杞憂だと言わんばかりの態度で嘉神が返した。
「会いたくなってしまう」
「―――！それは･･･」
一言、そう告げる。
それに対しカインは驚愕するものの、一瞬で意味を理解し、慌て始める。
それな様子を歯牙にも掛けず、嘉神は二の句を継ぐ。
「声を聞くと、居ても立っても居られなくなる。お前にすぐに会いたくなる。
こんなものでは無く、直接お前の声を聞き、そして･･･」
混乱するカインを他所に嘉神が立ち上がる。そのまますっとカインの後ろに回り、そして、
「こうして抱き締めたくなる」
途轍もない殺し文句と共に、ふわりとカインを抱き締めた。
驚きや恥ずかしさ、嬉しさなどが混ざり合い、頭の中が大混乱に陥ったカインは、赤い顔のまま硬直する。
頭のが真っ白になり、酸素を求める魚の様に口をパクパクしながら、声にならない声を上げるカイン。
それを静かに抱き締める嘉神。互いの温かさがじんわりと伝わり、鼓動が響きあう。
しばらくその状態が続き、ようやく混乱が収束し始めたカインが、上から被さっている嘉神に声を掛けた。
「あ、の･･･嘉神」
「どうした？」
「そろそろ･･･離して頂けませんか？」
「そうだな、すまん」
しどろもどろとした口調で小さく抗議する。
それに素直に従い、名残惜しみながらも嘉神はカインから離れた。
未だに動悸は治まらず、自分の拍動が嫌でも耳につくのが分かった。
嘉神の顔がまともに見られない。
「まあ何にせよ、随分と便利なものを頂いた」
その笑顔にまた心臓が跳ねそうになる。
このままでは自分の心臓が持たない。
そう考えると、目の前で余裕そうにしている嘉神が恨めしく見えた。
「使いこなせる様に努力しよう。お前と私のために」
止めの台詞と笑顔。
まだまだ言いたい事が山ほどある。
いや、あった筈なのだが、それらは全て吹き飛んでしまった。
(ああ、もう！！)
カインは考えるの止めた。
数日後、やたら携帯を気にし、掛かってきたらきたらで、嬉しそうに会話するカインの姿が見られたとか。
オマケ
カイン「気になっていたのですが、携帯のメールがあるのになぜ手紙を？」
嘉神「同じ様に文章を送るなら、こっちの方が楽だ。それに」
カイン「それに？」
嘉神「無機質で電子的な手紙より、手書きの手紙の方が温かみを感じるのでな」
カイン「それは･･･同感です」
嘉神「だろう。という事で、お前の温かい手製の返事を待っているぞ」
カイン「･･･はい」
結局殆ど元通り
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