810 :名無しさん@ビンキー:2010/05/15(土) 13:12:03 0
>807
華麗で美麗なイラストの投稿乙です!!
まさに眼福の一言に尽きます・・・
家族みたいな遣り取りに2828しながら見てましたw
本当にご馳走様でした!!


そして私も投稿をば・・・
蒼炎の嘉神×カインで18禁ヱロ小説です。昼間っから深夜なノリの小説すいません・・・
以前出た温泉旅行ネタになりますが、温泉成分ドコ〜?な感じです。
書いてる間に長くなりました、読み難かったらごめんなさい・・・orz



以前は問答無用で「裏なんか、書けるかーーー!!」
だったのが、今では「裏、なんか書けるか・・・?」
に変わるのだから萌えって凄い・・・

さくっと短くすっきり読める裏書けたらいいのにな・・・取り合えず表現の勉強のためにまた小説読むか・・・
BL小説を真剣な顔して読んでる俺きめぇ(^q^)








【注意】

・R-18 
男性同士の性描写が含まれております。免疫の無い方、苦手な方はこの時点でお引取りを・・・

・蒼炎エロあり小説。嘉神×カインで、温泉旅行ネタです。
・キャラ大崩壊。ここに居るのは嘉神とカインに似た別人デスヨ・・・?
・素敵な心理描写や、言い回し。雰囲気の表現などは期待しないで下さい。orz
・語彙が無いので、拙い表現や似通った表現が度々あります。その上、誤字脱字に言葉の用法間違いが・・・orz 
・乱文及び長文注意!気合の入れ所を間違えて空回りしている感があります。gdgdだぜ!!
・焦らし、軽い拘束、羞恥プレイ・・・etcに注意。ナニカイテンダワタシ・・・
・途中創作単語も出てきたりします。その他、諸々の粗がありまくります。コレガイマノワタシノセイイッパイダヨ・・・orz


以上の様な注意事項を全てクリアし、こんな拙い小説でも読んでやろうという心優しい姐さん方だけお進み下さい。
それは出来ませんという方は今すぐファイルの削除を。

長々と前置きして申し訳ありませんでした。それではどうぞ・・・





〓〓〓〓〓




カランカラーン

抽選会場に高らかに響き渡るそんな鐘の音の後に、「大当たり!」という声と、周りから漏れる「おお!」という歓声。
その後は有無を言わさず引っ張られ「おめでとうございます!!」と言って渡されたのはとある紙切れ一枚。
そこには“二泊三日温泉旅行ペア御招待”の文字が見えた。



「・・・・・・という訳だ」
「成る程、納得がいきました」
嘉神の説明にカインが納得する。
二人は今、温泉宿に来ていた。突然嘉神が「温泉に行かないか?」と誘ったからだ。
特に用事も無く、何より、折角の嘉神の誘いを断る道理も無かったので、二つ返事で了承した。
最初の日は夕飯を食べた後に温泉に入り、移動の疲れからそのまま眠ってしまった。
一眠りした翌日、すっかり疲れの取れた二人は、観光地でもあった温泉場を散策する事にした。
そして今は、どうして突然旅行に誘ったのか、その経緯を話している所だった。

「本当は特賞のこれで無く、二等の米が貰えたらと思っていたのだがな」
そう言って苦笑する。嘉神の本来の狙いは温泉旅行では無く、あくまで米だった様だ。
嘉神らしいといえばらしいので、カインも思わず小さく笑う。

「まあ、こうしてカインとゆっくり旅行が出来たので、結果としては悪く無かったのだが」
「そうですね。私もこうして嘉神と旅行が出来るとは思って無かったので・・・嬉しいですよ」
浴衣姿の二人は、お互いにカラコロと下駄を鳴らしながら笑い、そのまま散策を続ける。
道行く人々の中には浴衣姿に下駄履きの人がちらほらと見かけられ、普段目にする様相とは全く違う。
所々に湯気が立ち上り、辺りには微かに硫黄の匂いがたちこめる。それもまた、温泉地独特の空気を作り出していた。

「っと、すみません」
「大丈夫か?」
「ええ、お陰で助かりました」
ゆっくり歩いているとカインが何も無い所で転びそうになった。
嘉神が倒れそうになる体を引き止め、転倒は免れる。
カインはお礼を言うとすぐに嘉神から離れた。その顔はどこか恥ずかしそうである。
その様子に、嘉神は思わず忍び笑いしてしまった。
居た堪れないのか、カインのその顔はますます赤くなった。そんな恋人の可愛い反応に、ますます忍び笑いが助長される。
ついには不機嫌になる一歩手前まで来てしまい、嘉神は笑う事を止め謝罪した。
「すまんすまん・・・」
「もう何度目なんでしょうね・・・」
「慣れていないのだから仕方あるまい」
恥ずかしさから、ややぶっきら棒に話すカイン。それを嘉神が擁護する。

カインの言うとおり、転びそうになるのはこれが初めてでは無い。
下駄で歩く事に慣れていないカインは、歩いている時に下駄を引っ掛けて、何も無い所で転びそうになり、その度に嘉神に世話を掛けてしまっていた。
今回は引き止められたが、その前は嘉神の背中に抱き着く形になってしまい、その時は流石に、いきなり抱き着かれた嘉神も驚いていた。
そんな事もあり、転びそうになる度にカインの羞恥心は増していった。
「次こそ転びません」
「どうかな?まあ転びそうになったら私が助けるだけだが」
だから転びません、とどこかムッとした声が後ろから聞こえてきたが、笑って受け流し、そのまま歩いて行った。

それから散策が終わるのは、夕方頃になってからだった。



〓〓〓〓〓



月明かりに照らされたほの暗い部屋に、すっと人影が現れる。
そのまま、どこかふらふらとした足取りで窓際の方へ移動する。
「風に当たるか・・・」
そう言って窓を開け放ったのは、現在この部屋に泊まっているカインだった。
赤い顔をし、どこかボーっとした表情で窓の外を眺める。

カインと嘉神は夕飯を済ませ、一緒に温泉に入った。
ところが、景色を見ながらゆったりと湯に浸かる嘉神の長風呂に根を上げ、カインは最後まで一緒には入れなかった。
嘉神に悪いと思いつつも先に上がったカインは、完全に湯当たりをしていた。
取り合えず部屋に戻り、どこかくらくらしながらも、風に当たるため窓を開けてみたのだった。

窓から流れてくる、少し冷たい夜風が火照った体に気持ちいい。
しかし、それだけではすぐに治りそうに無かった。
「・・・暑い」
髪も高く結わえ上げ、ポニーテールの状態にする。
それでもまだ足りず、今度は浴衣の胸元を持って手で風を送る。
とにかく体から熱を逃がす事に尽力した。
そうしている内にようやく、熱でぼんやりと霞んでいた思考が鮮明になっていった。

(ついでに飲むか・・・)
多少治って来た所で、風にあたるついでにと酒を用意し、先程までは気にする余裕も無かった景色を堪能する。
「ふう・・・本当に綺麗だな」
しみじみと感慨に耽る。月明かりに照らされた夜景はとても美しかった。
旅行は明日で終わり、帰路に着くことになる。
転びそうになったりと色々迷惑を掛ける事もあったが、それでも今日の事は良い思い出になった。
そして今見ているこの景色とも、明日でお別れなのかと思うと、少し寂しくもあった。

景色を肴に酒が進む。
嘉神はまだ帰ってこなかった。






「すっかり遅くなってしまった・・・」
タオルを首に巻きながら、嘉神は廊下を部屋に向かって足早に進む。
景色を堪能しながら温泉に浸かっていたのだが、思ったよりも長くなってしまった。
カインが上がってからそれなりに時間は経つ。とうに待ちくたびれて寝てしまったかも知れない。
そんな事を考えながら、部屋に辿り着き、扉を開ける。
すると、ふわりと涼しい風が嘉神の頬を撫ぜた。窓が開いているのだろう。
風の吹く方に目を向けた嘉神の視界に飛び込んできたのは、
(これは・・・)
暗い部屋の中、こちらに背を向け静かに佇むカインの姿だった。
月華の下に佇むその姿は、絵になる程に美しく見えた。
彼の金の髪が月光を柔らかく反射し、散りばめ、闇の中に浮かぶ月の様に美しく映え、魅せる。

『月華美人』

そんな表現が頭に浮かぶ。

その上平素の格好とは違う浴衣姿に、髪を結い上げよく見えるうなじ。
背中の襟が下がっており、露出した白い肌にはほんのり朱が差している。
美しくも艶かしいその姿に、思わず喉を鳴らす。
嘉神にとってはあまりにも扇情的な姿だった。

(いかんいかん・・・)
思わずぐらつく理性の手綱を締める。気を抜けばそのまま欲望に負けてしまいそうだった。
据え膳食わぬは男の恥。頂いてしまえと本能が訴える。
いくら何でも旅先で致す訳にはいかない。万が一周りに聞かれると自分達があまりに居た堪れない。
理性が本能を抑え付ける。
そうやってああだこうだと言い聞かせながら、必死に平静を取り戻そうとする。

そんな心中の攻防を知ってか知らずか、嘉神が帰って来た事に気付いたカインが声を掛けた。
「お帰りなさい嘉神、随分長かったですね。あまりに遅かったので、お先に頂いていますよ」
くるりと振り返り、手にしたお酒を見せながらにこやかに笑うカイン。そしてまた、視線は景色の方に戻された。
嘉神の脳内に『見返り美人』の単語が追加される。
理性と欲望の天秤が大きく揺れ動く。どう考えても理性の方が分が悪い。

(誘ってはいない!!そうだ、カインは知らない!!)
嘉神からすればあまりに官能的で欲を煽る光景だが、カインはこれがそうだとは知らない。
あくまで嘉神にのみそう見えるのだ。
文化の違いによる認識のズレ。それが原因だった。
以前にもそんな事があった。
初めてカインが嘉神の家に泊まった時、上半身裸で眠る姿に面喰らった事がある。
翌日に聞くと、向こうでは上半身裸で寝る事も多く、それは割と当たり前の事だと聞いた。
その後は説明して納得してもらったので、そんな事は無くなった。

(だから!!誘惑に負けてはいけない・・・!!)
ムラムラと湧き上がる欲を必死に抑える。
そうして悶々としたものを抱えながら、ようやく入り口から移動する。
が、
「そうそう、すぐに眠れるように布団はもう敷いておきました。これでゆっくり飲めますよ?」
「ああ・・・ありがとう」
どことなくぎこちない返事を返す。部屋を見ると、言っている通り二組の布団が敷いてあった。
完璧なまでの状況に頭の中では、不味い不味い不味いとひたすらに声が連呼している。
気を使って布団まで敷いてくれていたカインの気遣いが、理性に更なる追い討ちをかける。

(そうだ、寝よう寝てしまおう)
果たしてこの状況で素直に寝られるかと言われれば、答えは否。
だが、例え眠れなくてもよかった。カインに手を出さずに済むのであれば。
薄皮一枚の理性を総動員して布団へと向かう。が、
「一体どうしたんですか?何か様子がおかしいですよ?」
嘉神の常とは違う反応を気にしたカインが、目の前にまでやって来ていた。
酒が入っているせいでほんのりと赤い顔。
浴衣が乱れ、胸元が微妙に肌蹴ている。そこから見える肌。
どこか気だるそうな熱い吐息。

プッツンという糸が切れる軽快な音が聞こえた。



〓〓〓〓〓



「嘉が!? ふっ・・・むぅ・・・ぁ」
立っているカインを力強く抱き寄せた。
そのまま手早く片手で頭の後ろを押さえ込み、もう片手では体を抱き締め、そのまま貪る様な口付けを送る。
カインは当然驚き、反論しようとするが、それらも全て押さえ込んだ。

(止めなければ!)
即座にカインはそう判断し、嘉神を押しのけようとする。
そもそも初めから、互いに旅先で行うリスクは重々承知しており、行為に及ばないというのは暗黙の了解であった。
それを破る程、何がここまで嘉神を掻き立てたのか。カインにはよく分からなかった。
(このまま情事に縺れ込むのは色々と不味い・・・!)
もし周りに知られるような事になれば。
それだけは何としても避けたかった。必死に離れようとする。
しかし、ただでさえ湯当たりで体が重いうえ、酒が回り始めた現在では嘉神の力強い抱擁には勝てなかった。
嘉神のキスに翻弄され、徐々に力が抜けていく。

(これは・・・酒か)
カインの口内からは酒の味と匂いがし、飲んでもいないのにこちらも酔った様な感覚に陥る。
体を僅かに捩らせながら、弱々しくカインが抵抗するが、抱き締める力を強め抵抗を完全に封じる。
歯列をなぞり、歯茎を擽る。そしてカインの逃げる舌を追い掛け、絡ませる。
口付けを深めていき、どんどん抵抗する気力を削いでいく。
「ふっ・・・はぁ・・・」
くちゅくちゅと音が上がり、時々鼻に掛かったような甘い声が聞こえる。
そんな声を聞く度に、興奮が嘉神の背中を這い上がる。
抱き締めた体から伝わる体温が互いの熱を高め合う。鼓動がどんどん速まり一つになっていく。
昂ってゆく興奮に身を任せ、野生の獣の様にカインの口内を貪った。
あまりに長い接吻に、息の上がったカインが酸素を求め口を離そうとするが、嘉神はそれを許さない。
苦しさからか、カインの目には涙が浮かび始め、紅い瞳は潤んでいた。

「は・・・ぁ」
口内を蹂躙し尽し、ようやく満足のいった嘉神が口を離す。
互いの口から一瞬糸が引き、切れる。飲み込み切れなかった唾液がカインの口の端から垂れる。
ハア、ハア、と息継ぎをするのが精一杯で動けないカインの代わりに、垂れた唾液を嘉神が指で優しく拭う。
抵抗する気力も気勢も完全に削がれ、カインは嘉神の腕の中でくったりとしていた。殆ど腰砕けで、立っているのもやっとの状態だった。
ボウッとした表情のカインの紅い瞳はどこか虚ろだった。カインの眦に滲んだ涙を吸う為、、無意識の内に唇を付ける。
カインから発せられる艶やかな色気に中てられ、再びぞくぞくとしたものが嘉神の背中を這い上がり、否が応でも熱が上がる。
自分でも、もうどうしようも無いほどに欲情していた。

「カイン・・・お前が悪いのだぞ・・・」
折角こちらが我慢していたのにという言葉は飲み込み、カインの顔を見つめる。
困惑の表情。どうしてだか分からないといった表情をカインはしていた。
分かっている。向こうは煽るつもりなど無かった。こちらが勝手に意識しただけだ。
しかし、無視し続けるにはあまりに強い色香だった。
(そうだ・・・無意識にとは言え、そこまで煽ったお前が悪い)
こうして暴走してしまった事も含め、自分は悪くないと言い聞かせ、全ての責任を無理矢理カインに押し付ける。
ようやく息が整い始めたのか、カインの唇が動き、言葉を紡ごうとするのが分かった。
だがそれに構う余裕も、嘉神にはすでに無かった。

「誘ったのは・・・そちらだ」
「私は・・・!?―――ふっ・・・」
唇で再び口を塞ぎ、疑問も抗議も押さえ込む。
そして抱き締めたカインを、用意されていた布団の上に押し倒し、上から覆い被さる。首に掛かっていたタオルが近くにパサリと落ちる。
カインは恥ずかしさからか、腕で顔を覆った。
「もう・・・やめ、て・・・もう・・・」
「その腕は邪魔だ」
「あっ・・・い、や・・・」
小さな声で紡がれる制止も聞かず、邪魔な腕を顔から払うと、その下からこれでもかと顔を紅潮させたカインが現れた。
普段は凛々しく澄ました表情と態度。それが自分の手でこの様に崩される。
ゾクリとしたものが這い上がり、体を震わせた。嘉神の中の男の性が刺激される。
もっとこの手で乱したい。その表情を羞恥と快楽に染めさせたい。嬌声を上げさせたい。もっと善がらせたい。
(そうだ、もっと・・・)
自分の事で一杯にしたい。
欲望と共に、数多の感情が湧き上がる。口の端がゆっくりと上がっていく。
この時にはもう、危惧も懸念も何もかも、全てが呑み込まれていた。


「嘉、嘉神・・・これ以上は・・・」
それに気付く余裕が全く無いカインは、すでに効果を失った説得を続けていた。
始めは抑えられても、そのまま続ければ自分の上げる嬌声が周りに聞かれる恐れがある。
宿の備品である布団を汚しでもしたら、従業員が気付くだろう。
(もし、知られでもしたら・・・!)
周りに気付かれたくないカインは、嘉神に必死に訴える。
「頼む・・・声を聞かれたくなんか無い・・・それに、周りを汚しでもしたら・・・!!」
カインは羞恥に震える声で嘉神に懇願する。すると嘉神がにこやかな笑顔を向けた。
微かな希望が頭を過ぎる。ここで終わってくれると。
しかしその直後に気付いた。その柔和な笑顔の裏に潜む気配に、その瞳に。
それは捕食者の笑みだった。獲物を捉え、嬉々として貪らんとする。
(そんな・・・)
カインの訴えは、今の嘉神にとっては興奮を煽る材料にしかならなかった。
嘉神は顔を近づけ、耳元につけた。そして、
「知られたくないのなら、そう努力してくれるな?・・・さあ、始めようか」
カインの耳朶に口唇を寄せて、どこか笑いを含んだ声でそう囁いた。



囁き声に続き、嘉神はそのまま耳に舌を差し込み、舐り上げた。
ぬるりとしたものが耳の内側を擽る。
「ひゃ・・・ぁっ・・・」
思わずそんな声が漏れ、カインは口を強く噤んだ。
そんな声をもっと引き出そうと、嘉神が耳を攻める。
耳朶を軽く噛み、熱い吐息を吹き掛ける。
「ふっ・・・・・・んぅ・・」
敏感になった箇所を執拗に攻められ、その刺激に鼻から甘い声が抜けていく。
未だに諦めきれずに押し返そうとするが、全身がぐずぐずと熱に溶けていき、襲い来る快楽によって抵抗はほぼ出来なかった。

(せめて、声だけは・・・)
弛緩して抵抗もままならなかったカインは、せめて喘ぎ声だけでも漏らさぬ様にと、口に手を当て少しでも漏れ出る声を抑える。
(そうか、あくまで声は殺すつもりか・・・ならば、そう出来なくするまでの事だ・・・)
嘉神はその行動に些か不満を覚えたが、すぐに悪戯な考えを思い付き、どこまでカインが持つのか試す事にした。
啼かぬのなら、啼かせてみたくなるというもの。
手始めに、普段は隠れているうなじに唇をよせ、吸い上げる。
再び耳元、次に首、鎖骨に胸元と、徐々に口付けを下降させてゆく。
チュッという軽いリップ音と共に次々と紅い華を散らしていく。

「・・・・・・っ・・・ぅ・・・ん」
軽く吸われる度にゾクリと、得も知れぬ震えがカインの体を駆けた。
それでも聞かれたく無い一心で声を抑える。
そんな姿がより嘉神の欲を煽り立てるが、当のカインはそれどころでは無い。
(このままだと・・・呑まれる)
ともすれば、快感で一気に全ての意識を持っていかれそうになる。
嘉神の愛撫はそれ程までに気持ち良かった。
もしここが宿などで無ければ、抑制する事も無く声を上げていたかも知れなかった。

「・・・・・・っ」
ぞわりとした刺激に体を仰け反らし、また声を漏らしそうになった。
キスの雨を降らす間に、嘉神は肌蹴た浴衣の隙間に手を差し入れ、カインの胸を撫でていた。
胸の突起に触れると、再びピクリと反応し、思わず高い声が漏れる。
「あっ・・・・・・」
「周りに聞かれたく無ければ、最後まで頑張る事だな」
「んぅ・・・そんな・・・」
わざと羞恥を煽る様な事を言い意識させると、カインの顔がまた一気に紅潮し、羞恥と快楽で瞳は涙に濡れた。
そしていやいやと首を振る。そんな可愛い仕草に嗜虐心をそそられる。
どんどん昂る熱。羞恥すらも、性質の悪い媚薬の様に快楽の味付けに変わってゆく。

「はっ・・・あっ・・・」
そのまま愛撫を続けると、徐々に艶のある声が増えてきた。嘉神はその反応に気を良くし、更に愛撫を続ける。
胸の飾りの片方は、掌で擦り、突起を指で摘み上げ、軽く爪を立ててカインを責める。
もう片方は舌で転がし、舐め上げる。軽く噛み、強い刺激を与える。
「・・・っ・・・っぁ」
カインの息は更に乱れていく。押さえても押さえても両手の間から声が零れそうになってきてしまった。

「随分気持ちよさそうではないか」
「!? いや・・・やめてくれ・・・もう・・・ああっ・・・!!」
嘉神が膝を股の間に割り込ませ、そのまま膝を使って下着越しにカインの性器に触れた。
感じ易い場所を直接刺激され、カインからは甲高い声が上がる。
「濡れているな」
「・・・・・・・・・っ!!」
くすりと笑い指摘すると、カインの全身がかっ、と朱に染まり、ふいと視線を横に逸らした。

これまでの刺激で、カインのものからは先走りが零れ、下着を濡らしていた。
直接触られる事も無く、散々焦らされたそこは、更なる快感を求めひくついていた。
身を捩らせ逃げようともしたが、浴衣ごと踏まれているので逃げ出せない。嘉神の責めを甘んじて受けるしかなかった。
胸を弄る手も再開し、敏感な場所を同時に責められる。
これまで以上に必死になって口を押さえつけ、声を抑える。しかし、
「・・・・・・ん、ふ・・・・・・くぅん・・・・・・!」
一度甲高い声を上げてしまうと、それを皮切りに引っ切り無しに甘い声が上がる。
それでも出来る限り声量を落とし、耐えた。

「嫌だと言う割りに、体は随分素直だな・・・もうこんなにさせて」
ぐり、とやや乱暴に膝で扱かれ、電流の様なものが体を駆ける。その瞬間に頭の中は真っ白になった。瞼の裏に光が爆ぜる。
「ふぁっ・・・あぁ・・・・・・・・・!!」
「達ったか・・・」
やや乱暴な膝での愛撫も、最後の刺激を求めていたカインにとっては痛みよりも快感の方が勝った。
精を放った事により、どっと疲れが押し寄せる。体が重い。

嘉神の手が下半身に伸びる。そして躊躇する事無く下着を剥ぎ取り、秘所が外気に晒される。
自身の白濁に塗れたカインの性器は酷く卑猥だった。白濁を掬い取り、後孔に丹念に塗りつける。
「・・・ぁ・・・くっ」
嘉神の手が精液を掬い取るため、局部を行き来する。
先程精を放ったばかりだというのに、たったそれだけの刺激で敏感になった性器は反応を始め、屹立していく。

「うっ・・・」
固く閉ざされた蕾に異物の挿入を感じ、圧迫感と共に呻く。
「まずは一本」
そう言って、性急に指を抜き差しする。
指一本とはいえいきなりの注挿に、苦しさを覚える。
しかし指が前立腺を掠めると、苦しさ以上に体に疼いていた熱が一気に膨張する。
「あっ・・・はっ・・・」
無意識に体が快感を追い縋り、弾けそうになる。

このままではまた達してしまうという所で、嘉神の片手が頭に伸びた。
そして、くん、と髪の毛が引っ張られる感覚に眉を眇める。嫌な予感がした。そしてその先の行動に思い当たる。
「嘉神・・・まさか・・・!?」
その言葉を続ける前に、嘉神がカインの髪の毛を纏めていたゴムで、屹立していたものの根元を括った。
絶頂に至ろうとしていたものを無理矢理塞き止められ、開放されなかった熱が体中を狂ったように駆け巡った。達せない苦しみに身を捩じらせる。
灼け付く様な熱に耐え切れず、手を伸ばし外そうとしたが、その手は嘉神によって頭上に縫い留められた。
そして自身の浴衣の帯を抜き取ると、そのまま緩く拘束した。
「い・・・や、ぁ・・・」
「駄目だ。汚したく無いと言ったのは、そちらだろう?」
優しい声色で残酷に告げた。

眼下には、開放されなかった熱に苛まれポロポロと涙を零すカイン。
それを見て、どくん、と自身のものが大きく脈打つのが分かった。
(こちらも限界か・・・)
本当なら、後ろをきちんと解してから挿入してやりたかったのだが、散々焦らした分、己のものも限界に達していた。
仰向けになっているカインの両足を持ち上げ、腰を浮かせる。そして熱り立つ己のものをカインの後孔に押し付けた。
後孔に熱い塊を宛がわれたカインの顔色がサッと変わる。
「待て、まだ・・・!」
「すまんが待てん・・・」
グッと突き入れる。だが、充分に解していないそこは嘉神の侵入を拒絶する。
「―――つぅっ・・・!」
「やはりきついな・・・っ」
引き攣れる様な痛みに襲われたカインが呻く。
ぎちぎちとゆっくり拡がりはするものの、やはり厳しい様で、先端部分を飲み込むので精一杯だった。
「仕方ないか・・・」
これ以上の侵入は今は無理だと判断した嘉神は、先端だけで浅く注挿する。そして、
「くっ・・・!!」
「!!」
小さく息を詰め射精し、自身の精液をカインの中に流し込んだ。
「動くぞ」
打ち込んだ楔を抜く事無く、流し込んだ白濁を潤滑剤にして嘉神は腰を進めた。
先程より幾分か解れた秘所は、新たな潤滑剤の力を借り、さっきとは打って変わって嘉神を迎え入れた。
その事を確認した嘉神は一気に律動を始め、徐々に勢いを上げていった。


嘉神が腰を強く穿つ度に、脳天を突く電流の様な衝撃が走る。
押さえる事の出来ない口からは、上擦った甘い嬌声が上がる。
火照りきった敏感な体は、律動で起こる衣擦れですら快感として拾ってくる。
欲の開放へ体が戦慄く。それなのに、塞き止められて開放出来ない。
拷問にも等しい快楽に溶けきった思考は、カインの意識を呑み込み理性や羞恥を奪い去ろうとする。

「嘉、神っ・・・」
「どうした?」
息も絶え絶えに嘉神の名を呼ぶカインは、懇願する様な表情をしていた。
「もう・・・耐えられ・・・ない・・・」
何に耐えられないのかはすぐに分かった。開放したくて堪らないのだろう。
ここで開放してしまうのは簡単だったが、ある考えが頭に浮かんだ。
「開放したいか?」
その問いにこくこくと首を縦に振る。恥も外聞も掻き捨て、只管に熱の開放を求める。
「だったら、私の名前を呼ぶんだ」
「・・・・・・慎・・・之・・・す、け・・・」
「そうだ」
「慎・・・慎・・・・・・慎・・・・・・」
うわ言の様に嘉神の名前を繰り返して呼ぶ。
今のカインにはもう羞恥も何も残っていなかった。
解放されたいがため、嘉神の名をひたすらに呼ぶ。
そして、懇願する。
「おねが、い・・・達かせて・・・・・・!!」
「ああ・・・一緒に達こう」
カインの呼び掛けに満足した嘉神は、まずは腕を開放し背中に手を回させた。
そしてカインのものを苛んでいたゴムを外す。
「いくぞ・・・!!」
「はっ・・・あっ・・・慎・・・もうっ・・・・・・!!」
律動を速め、一気に最奥を貫く。
「っ・・・・・・・・・!!」
「あぁっっ・・・!!」
そして、同時に果てた。
嘉神はカインの中に、カインは己の腹の上に欲望を迸らせた。

待ちに待った開放に、頭の中が真っ白になったカインは、そのまま意識を失った。



〓〓〓〓〓



「起きろ・・・カイン、起きるんだ」
「う・・・ん」
嘉神の声に眠りから覚まされる。目を開け、嘉神の顔を見つめる。
今一うまく働かない思考。しばらくそのままボーッと過ごす。
そして、
「あ・・・・・・・・・」
昨夜の痴態を思い出し、顔を真っ赤にさせる。
思わず俯く。相手の顔がまともに見られない。

「カイン、もう起きな・・・「わーーーー!!」」
恥ずかしさから、嘉神が何か言い切る前に声を上げ、手近にあった枕を相手の顔に向けてボスンッと投げ付けた。
「あっ・・・・・・」
枕を投げ付けられた嘉神は見事に引っくり返った。
「す、すみません」
感情で先走った行動だった。慌てて謝ると、嘉神は笑顔で許してくれた。
「やれやれ、起き立て早々に元気で何よりだ」
「・・・それは」
再び赤くなって俯く。
嘉神はそんなカインの様子を気遣いながら話しかけた。
「それよりも、体の調子は大丈夫か?今日は帰らないといけないのだが・・・」
「・・・・・・随分無理をさせられた気もしますが、何とか大丈夫ですよ」
「本当にすまん・・・」
僅かに怒気を孕んだ声に、次は嘉神が謝る番だった。
しゅんとする嘉神が何となく見ていられなくて、話を進める。
「そう言えば、新しい浴衣に着替えてありますが、これは嘉神が?」
「ああ、そうだ」

あれから嘉神は、気を失ったカインの後処理をしていた。
タオルで体に飛び散ったものを拭い、新しい浴衣を着せ、汚れた衣類はすぐに洗った。
「布団などは汚れてなかったから、そちらは気付かれないと思うのだが・・・」
少々困惑した顔でそう締めた。
そこまで言われ、はっとした。最初はいいとしても、最後はあれだけ声を上げていたのだ。
今更ながら、自分たちの行為が周りに知られていないか心配なってきた。
それでもすでに後の祭り。思わず溜め息が出る。
「・・・バレていない事を祈るだけですね」
「・・・そうだな」
お互いに、どこか遠くを見つめてそう言った。


『昨日はお楽しみでしたね』


などという態度は誰にも取られなかった。
行き交う従業員も湯治客も、昨日となんら変わりが無い。
その事にカインは安堵の息を吐いた。
すっかり元の服に着替え、大量のキスマークも見事に隠している。
朝食を食べに部屋を出たはいいものの、やはり周りの目が気になり、完全にバレていないだろうと確信するまで気が気では無かった。
それは嘉神も同じだったらしく、同じく一息吐いていた。
「何とか・・・なったみたいだな」
「みたいですね・・・」
顔を見合わせ、互いにそれを確認してからようやく朝食に手を付けた。

朝食の後は、宿を出るために部屋の片付けを行った。
その間の話題と言えば昨日の事だった。何故嘉神が暴走してしまったのか。
その事について嘉神が答えると、カインが申し訳無さそうに謝った。
「すみません・・・」
「いや、こちらこそ・・・」
嘉神も暴走してしまった事について謝る。
「もういいですよ。別に怒ってはいませんから」
お互い様だと答えると、二人で苦笑する事になった。

そうやって苦笑しながら、カインは昨日の事を考えていた。
その時はそうだとは思わなかったが、後で冷静になって分かった事だ。
(実は“聞かられるかも”という状況に普段以上に興奮してしまっていた。なんて言えませんしね・・・)
本当はその事実があって、怒るに怒れなかった。
もう一度同じ状況でどうだと言われれば確実に“NO”な訳で、その事実に関して、カインは胸の内に収める事にした。

「ところでカイン、一つ聞きたい事があるのだが・・・」
「なんですか嘉神?」
大方の用意を済ませた所で嘉神が問い掛けてきた。
そのまま気軽に応える。
「もう“慎”と名前では呼んでくれないのか?」
「それは・・・」
何となく気恥ずかしくなり黙り込む。
別に言えない訳では無い。本当にただ気恥ずかしいのだ。
「そちらは熱に浮かされて言っただけだったかも知れんが、私は嬉しかったのだよ・・・“慎”と名前で呼ばれてな」
どことなく寂しそうな笑顔を向けられ、心臓が跳ねる。
名前を呼ぼうと口を開くが、たった一文字の言葉が出てこない。口をパクパクとさせる。
そんな様子を見かねた嘉神がカインに助け舟を出す。
「無理はしなくていい、今すぐで無くていい。ただ、いつかまた呼んでくれればそれでいい」
「嘉神・・・」
嘉神の優しさが胸に染み入り、カインに勇気を与えた。
「“慎”」
「え?」
ポツリと小さく呟いた。思わず嘉神が聞き返す。
けれど、カインは応える事はしなかった。
「何でもありません」
そう照れ笑いをする。嘉神もそれ以上の追求は止めた。
「さて、時間も迫っていますし、そろそろ帰りましょう。嘉神」
「ああ、そうだな」
そうして笑顔で部屋を後にした。

なんだかんだと色々あったが、記憶に残るという意味ではいい温泉旅行だった。






その後カインは、まれに嘉神の事を“慎”と呼ぶ様になったとか。

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