197 :名無しさん@ビンキー:2009/10/07(水) 23:31:13
某kk杯のお別れタッグが素敵だったので空気読めずにSS投下。
あの大会はゲニもヨハも格好良いし可愛いしで萌ゆる。

kk杯設定でゲニヨハエロ、大会のネタバレ有りなんで注意。





*某KK杯後設定、知らなくても読めますがネタバレ注意。

*トーナメントやMUGEN動画とは一切関係ない捏造801話です。

*ゲニヨハ、キャラ崩壊、ホモエロが苦手な方は閲覧を回避してください。



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最初に言い出したのは、誰だっただろう。
既に思い出せないほど通例になっている行事が、
まさか自分にも降りかかってくるなどとは、思いも寄らなかった。
何せ、幾らお似合いだ、最凶タッグだと騒がれても、自分たちは男同士なのだから。


『トーナメントで優勝したタッグは結婚する』


都市伝説か、妄言か、はたまたトーナメント直後の熱の所為か、
そんな話を突きつけられたヨハンは「は?」と怪訝そうな顔を向けて同室の相方に問いかけた。
開催されていた人の持つ可能性を試すらしいトーナメントも終わりを向かえ、
お互いを労いながら用意されていたホテルの一室で寛いでいた時のことである。

「おや、貴方もご存知だと思っていましたが、知らなかったんですか?」

飄々とした態度で片手を閃かせ、掌を見せてくるゲーニッツにヨハンは眉間の皺を深めた。
二つ並んだ寝台の片方に腰掛けているヨハンは、
肩から羽織っている自慢のコートの袷を引き寄せ、口を開きなおす。
―――薄紫色のコートはヨハンのお気に入りなのか、試合のたびに燃やすものの、
同じものを大量に持っているらしく、クローゼットは常にヨハンのコートに占領されていた。

「いや、そういうことじゃないだろう。私たちは同性だと言う事を忘れてないか?」

そう言われてみれば、決勝戦で当たったタッグも「コレに勝ったら入籍だ!」と、
騒いでいたような気がするが、あれは確かに傍目から見てもお似合いだった。
タッグでもないのにブラストスクリームくらいまくっていたゲーニッツの傷を態々抉るつもりもないので、
言葉にはしないが、ドラゴン娘とデス・アダーとの連携は夫婦と呼んでも可笑しくないほど息があっていた。

「まぁ、通例ですからね」

幾ら焼かれても蘇るタフな相方が相槌を打つ。
オロチ一族とやらの常識や倫理観と言うものは一般的なものからズレているらしい。
ヨハンも一応邪教の教祖ではあるが、男との結婚に「はい、そうですか」と納得できるわけもない。
怪訝な顔を隠さずに、コートのファーに顎を埋めて見せるとゲーニッツはからかうように目を細めた。

「そう、嫌な顔をしなくとも、何事も一度試してみるのも手だと思いませんか?」

「なにをだ?」

ゲーニッツの問いかけに、ヨハンも語尾を持ち上げて言葉を返した。
自然と上体は前屈みになり、近づいてくるゲーニッツの顔を伺い見る。
視線が絡むと蛇のように縦長の瞳孔を持つ瞳が笑みに撓んだ。
ゆっくりとした仕草で毛足の短い絨毯を踏み、おもむろにゲーニッツは長い指をヨハンの顎にかける。
常は風を生み出し、操る指先だが、特に殺気も感じず、ヨハンは素直に指先に顎を乗せた。
ヨハンの揃えた顎鬚がゲーニッツの指先を擽り、軽く指先が咽喉を撫でるように閃く。
続きを促すヨハンの言葉に、ゲーニッツは勿体ぶって間を置くと笑いながら口を開いた。

「新婚初夜と言うことで如何です」

「投げるぞ」

「お別れで返しますよ」

物凄く良い顔で戯言を吐いたゲーニッツにヨハンは迷わず突っ込んだ。
無論、同等の力を持つゲーニッツも極普通にやり返す。
投げ脳同士の不毛な会話を続ける気はないのか、言葉を返すと共にゲーニッツが動いた。
意外な提案に額に青筋を浮かべて、胡乱な眼差しを投げていたヨハンは一拍遅れてしまう。

――…そういえば。

よくよく考えなくても、実は凄まじく危険な体勢だったと、
1フレームからキメてくる問答無用のお別れかまされながらヨハンは相方への認識を改めた。

本当にこのまま別れたいと切に願いながら、ヨハンは目減りした体力と共に寝台に落ちたのだった。




***




「―――ッ、……って、死ぬだろ!」

「Def150ある人が何を言ってるんですか」

肩で息をしながら、それとこれとは別の話だ!と突っ込み疲れたヨハンは心の中で言葉を付け足す。
強姦とも言えるような行為を散々強いられたヨハンは持ち前の頑丈さを振り絞った。
ケロリとしながら自分の中に入り込み、挙句覆いかぶさる不良牧師へ大声を張り上げる。
しかし、酷使まくった咽喉が漏らすのは迫力のある低音ではなく、掠れまくった虫の鳴くような声だった。
こんなことなら、決勝戦でドラゴン娘に消し炭になるまで、
ゲーニッツを焼いてもらえば良かったと心底思いながら、自棄に上機嫌なゲーニッツから視線を外す。

「…………」

しかし、視線の先に無理やり剥かれた服が寝台の外に散らばっていて、
如何にも居た堪れず、無言でゲーニッツに視線を戻す。
コートだけはヨハンの背中の下に敷いているが、燃やす以上に甚大な被害を受けており、
精神的にも現実的にも二度と使えない代物に変わっている。

「――ぅ…っ、急に動くな…ッ」

途方に暮れるヨハンに構わず、不意に首筋に長い舌を這わせてきたゲーニッツを叱る。
まるで蛇に肌の上を這われているような感覚を受けて、素直に鳥肌が立った。

「此処までしておきながら、意固地ですね」

「いや、まるで合意みたいに言うな」

そもそも、汗ばんだ肌を舐めるな。
試合でもないのに激しい運動で熱を上げている肉体をコートの裏地に摺り寄せる。
しかし、僅かに動くだけで、身体の中に埋まる異物感が込み上げてきて自滅してしまう。
微かに出来た結合部の隙間から、溢れる白濁を感じてヨハンは無意識に後孔に力を込めた。
その反動を受けたのか、まったりと、人の首筋と言わず、頬と言わず、舐めていたゲーニッツが
小さく呻き声を出したが、ソレが妙な艶を含んでいるように聞こえて、
思わず、どこぞの若本ではないが、塩をくれてやりたい、と、真剣に考えてしまった。
最初の油断から、なし崩し的に最後まで到ってしまい、酷く腰が痛む。
どだい、なんで良い年した男が足を広げて他の男のものを咥え込まねばならんのだ。
うんざりとしたようにゲーニッツに視線を向ければ、
これ見よがしにヨハンの脚に体重を掛けて、より深くへと押し込んでくる。

「――…ん、…く…!…止めろ…っ」

「殆ど合意のようなものだったじゃありませんか」

腹の奥で生々しい粘性の音を聞いて、眉間に皺が寄る。
腹の中が自棄に熱くて、ゲーニッツの鼓動が近い。
その上、間近で囁かれると何とも言えない感覚に支配されて居心地が悪い。
しかし、眉間に皺を寄せても元凶は態々首を伸ばして、唇を眉間に寄せてくるだけだ。
それで一層に皺を深めると、ゲーニッツは楽しげに唇を撓らせた。

「………ッ、全くっ!」

「如何しました?」

一瞬、ヨハンの中に生まれて消えた居心地の悪さを、誤魔化すように悪態を吐き捨てた。
こともなげに問いかけてくるゲーニッツの襟元に手を掛け、軽く顔を引き寄せる。
ゲーニッツが身に纏っている牧師のようなつくりの緑色の服は、
僅かに首元を寛げているだけで、殆ど全裸に近い自分とは差が激しい。
まるで好きなように暴かれた気がして、ゲーニッツの襟元をグイと引っ張り、
胡乱な眼差しのまま、苛立ちの混じる不平不満を漏らす。

「人の服は滅茶苦茶にしておきながら…、貴様は良い格好だな」

不満たらたらに漏らした声が、自分で考えていた以上に稚気を孕んでいる気がして、首筋に熱が集まった。
まるで、ゲーニッツにまで脱げと言っているようで、熱で頭が膿み始めたと舌打ちを漏らす。
そんなヨハンの微妙な感情の変化を感じ取ったのか、
ゲーニッツは口元に笑みを浮かべて、緩慢な動作で腰を引く。

「―――ッ、ぅ…わ…」

急な衝撃に眼が細まり、散々酷使した咽喉から悲鳴が漏れる。
ズルリと摩擦を繰り返され、解れた窄まりの襞を捲くり上げるように陰茎を引き抜かれた。
ヨハンはゾクゾクとした違和感に苛まれながら、痙攣しそうになる爪先をシーツに押し付け耐える。
今までゲーニッツが埋まっていた奥から、
中で出された熱いものが溢れ出て、コートの上に新たな染みを作った。

「〜〜〜〜っ」

粘性の高い代物が逆流する感覚は始めてのもので、
思わずヨハンは顎を引き、顎鬚を首に押し付けて頭を振る。
癖のある赤い髪が波打つと、まるで炎が揺らいでいるように見えてゲーニッツの唇が弓形に撓む。
そのあからさまな笑みにヨハンは羞恥心を無理やり押さえつけて、諸悪の根源を睨みつけた。

「おや、抜いて欲しかったのではないのですか?」

「この…ッ」

ヨハンの視線の真意を理解していながら、茶化してくるゲーニッツに更に凄むが、
首筋から胸元まで鬱血の痕に彩られ、目頭に熱を溜めている姿では威力など無いに等しい。
現にゲーニッツは笑みを深めこそすれ、ダメージを受けたようには見えず、
おもむろに腕を伸ばしてきて、ヨハンの腰を捕まえた。

「そんな顔では誘っているようにしか見えませんよ」

解放と同時に逃げようとした身体に腕を回し、ヨハンの身体を抱き起こす。
離せと怒鳴る間もなく、ゲーニッツはヨハンをコートで包んで軽々と肩に担ぎ上げた。

「!?」

平均以上の体格を持つヨハンを容易く抱えるゲーニッツに動揺を隠せず、
暴れると言う最終手段まで忘れてしまい、驚きの後に放心が追いかけてくる。
確かにゲーニッツは人の頭を軽々と掴んで、酷いお別れかましてくるが、
試合の時の、風に支えられているそれとは違う現状に妙に意識してしまう。

「―――…何処へ連れて行く気だ…」

半ば諦めたように忌々しげに呟くも、ゲーニッツの行く先など予想できる。
それでも、あえて言葉にして問いかけてしまうのは、他人に体重を任せる不安定さの中で、
覚束ない浮遊感を悪くないと考えてしまいそうになる思考を振り払うためだった。

「いえ、――…私も脱げば、問題ないかと思いまして」

やっぱりか、と予想が的中し、律儀に答えてくるゲーニッツに隠さぬ溜息を漏らす。
不意に視界に入ったゲーニッツの顔が恐ろしいほど良い笑顔だったのは言うまでもなく、
多大な不安を抱えて、ヨハンはコートに包まれたまま浴室へと連れ去られていった。



***



広々とした脱衣所まで運ばれると、早速コートを剥がれそうになり、
流石にそこまで唯々諾々と受け入れるつもりはないとばかりに暴れ、
殆ど落下に近い形でゲーニッツから距離を取った。
痛む腰に己の拳を宛がいながら、壁に手を付き、起き上がると、ゲーニッツの方を見やる。
獲物は腕から逃したものの、完全脱出は不可能だろうと踏んだのか、
ゲーニッツは悠々と自らの服に手を掛けていた。

(……一緒に入るつもりなのか…)

「………はぁ」

思わず、声に出してうんざりとした溜息を漏らすも、服を脱いだゲーニッツは流石に引き締まっており、
ストイックなまでに着込んでいる姿しか知らぬヨハンは、
不思議な感覚に捕らわれて、それを自覚すると急に視線が外せなくなった。
風のように…と言うか風そのものであるのだろうが、素早い動きを可能にさせる肉体が、
明かりの下に晒され、同性だと言うのにヨハンはジリ、と耳裏が焼けてしまう。

「―――ッ」

妙な熱に耳を焼かれて、思わず手背で耳裏を擦って誤魔化す。
同時に視線を外し、ゲーニッツの言動に流されているんじゃないか。と自分を叱咤した。

「何を一人で遊んでいるんです」

ゲーニッツはそんな内心を知ってか、知らずか、何食わぬ顔で問いかけてくる。
なんでもない、と視線を捨てながら短く答えて、コートを脱ぎ捨てると浴室に脚を踏み入れた。
しかし、じりじりと熱と痛みを訴えてくる腰が自然と引ける。

「―――待ちなさい」

声と共に伸びてきたゲーニッツの両腕が覚束ないヨハンの身体を支えた。
ヒタリ、と触れ合う素肌の感触に反射的にヨハンの肩が揺れる。
背中に触れてくる胸板も布地のそれとは違い、熱も心音も近くて、
ヨハンは生まれて初めて自分の髪色に感謝した。

「転びますよ」

「誰が」

短く吐き捨てる声が震えてしまう。
それを悟られぬように、身を捩るが、腰を捻ると痛みが込み上げてくる。
けれど、それ以上に不味いのは後孔から溢れる白濁が内股を伝い、流れ出すことだった。
幾ら下半身に力を入れても、重力には逆らえない。
背後にゲーニッツが居なければ、このまま座り込んでしまいたいところだ。
そんなふうに、ヨハンが身体の内側からも苛められている姿を存分に観賞してから
ゲーニッツはシャワーヘッドに手を掛けた。
コックを捻ると、暖かい湯がヨハンの肩に掛かる。
肌の上で湯が跳ねて、ヨハンの身体のラインをなぞるように水滴が筋を作った。

「暖かいでしょう?腰を下ろしなさい」

諭すように柔らかい声を掛けられて、ヨハンは渋々と言葉に従う。
身体がだるいのは確かだし、何より逆らって長引かせるよりもさっさと終わらせてしまいたかった。
しかし、腰を落ち着けてもゲーニッツは腕を引かずに抱きしめたままだった。

「――…この腕を離してくれた方が、洗いやすいんだが」

「私がやるので、ご心配なく」

何の心配なのか、寧ろ、ゲーニッツに任せたほうが心配なんだが。とヨハンは言外に眼差しに含ませる。
しかし、当然のように視線を無視したゲーニッツは、
シャワーを掬い上げるようにヨハンの身体に指を這わせ、汗と体液を洗い流していく。
まるで慰撫するような手つきに、疑っていたヨハンは小さく息を漏らして、身体から力を抜いた。
ゲーニッツに身を任せることに抵抗はあるが、
流石に何度も初めての相手へ無体を働かないだろうと、気を緩める。

「気持ち良いですか…?」

「ん、……ああ」

トーナメントの疲れとその後の暴挙により、疲労していたヨハンは、身体をゲーニッツに預け、
肌の上を流れる湯と、柔らかく撫でてくる指先に神経を解されていく。
身体を清められ、頭も甲斐甲斐しく洗って貰うと、ようやく人心地付いた。
そろそろ終わりかと、伏せがちになっていた瞳を持ち上げると、
不意にゲーニッツの蛇のような双眸と視線がぶつかった。

ゾク、と一瞬、本能的な警鐘が身体の奥で鳴る。

「――…ゲーニッツ、そろそろ……ッ!?」

原因の知れぬ危機感を覚えたヨハンが身体を起こしかけた途端、
ゲーニッツの指が後孔まで伸びてきて、言葉が途中で途切れる。
トントン、と指先で窄まりをノックして、具合を確かめるように触れられると、慌てて声を上げた。

「何をする。……そ、そんなところは良いっ」

「中まで綺麗にしないと後で酷いことになりますよ」

拒否の言葉をゲーニッツはあっさり無視して、
赤く腫れて唇を突き出しているような窄まりへ、指を不躾にも潜り込ませてきた。

「――――くッ!」

思わず、小さな声が零れた。
酷いのはお前の方だ!と言うか、そもそも何もかもがお前の所為だ!と、文句は思いつくものの、
中を満たされてしまうと、唇から溢れるのは荒い吐息だけで、奥歯を噛み締めようにも、
震える身体は歯が噛みあわず、小さく擦れた声が零れてしまう。
湯が絡んだ指先に内側の膨らみを撫で上げるだけで、頭の芯に霞が掛かり、前に熱が集中する。
今まで、優しく洗われていたにも関わらず、発火が異常に早いのは、
先刻の情事の名残を鮮明に覚えている所為だ。
指を折り曲げて、内側を拡張するゲーニッツから先ほどまでの労わるような気配は感じられない。

「……おや」

背中に胸板をピッタリとあわせて来るゲーニッツがヨハンの耳元で可笑しそうに囁いた。
耳朶を擽る吐息を厭うようにヨハンは首を振り、濡れた髪は肌に纏わり付く。
ゲーニッツの視線が何を捉えているかなど、見なくても分かる。
痛いほどの視線にヨハンの中心がピクリと痙攣した。

「いけない人ですね、こんなことで感じてしまうんですか?」

「お前の…、せい……だろう、が…っ!」

切れ切れの吐息の合間に反論を返しても、勃ちあがっている自身は隠しようもない。
力が抜けていく身体は腹の立つことにゲーニッツに凭れかかってしまう。

「そうですね、それなら責任をとらないといけませんね」

人の悪態を曲解して、ゲーニッツはヨハンの熱源に指を絡めてきた。
キュ、と指で締め上げてから、優しい手つきとは裏腹に裏筋を圧迫しながら摩擦し、
強引に小火を大火事に変えてくる。

「やめ…っ、両方、……動かす、な――ぅあッ、ぁあ――ッ」

前を扱くリズムに合わせて、窄まりを穿たれ、前後からの刺激にヨハン首を振る。
恐ろしいことに先ほど開発されたばかりの後ろは、
ゲーニッツの齎す快楽に逆らうこともせず、指を柔らかく締め付けてしまう。
まるで、もっと強い刺激を求めるように身体が疼いて先走る。
ゲーニッツの手の中で熱が爆発しそうなほどの質量を持ち、透明な液体が湯に混じった。

「――ぅ、…何が、……処理、だッ」

眦に生理的な涙を溜めたヨハンは尾てい骨に摺り寄せられるゲーニッツのものを指摘した。
熱と硬度を持ち、背中越しにヨハンにあからさまな熱を訴えている。
ゲーニッツは悪びれもせずに首筋へ唇を押し当てて、皮膚を震わせるような低音を吐く。

「貴方も、責任を取ってください」

理不尽な言葉に息と声を詰めるが、同時にヨハンの身体の中を甘い痺れが走った。
どう答えることも出来ず、首を大きく振って、視線を濡れたタイルに移すと、
その反応を了承と取ったのか、ゲーニッツはヨハンの中から指を引き抜いた。
ヨハンは衝撃に耐え切れず、内壁が蠢動を起こし、吐息を漏らす。
しかし、息を整えきる前に、指とは比べ物にならない質量がヨハンを貫いた。

「ぅ、ぁああ――ッ!?」

「………くっ」

ヨハンの身体を引き寄せ、背後から抱きかかえるように体勢を整えられると、
自重も相俟って、ゲーニッツを深い場所まで迎えてしまう。
熱い灼熱の棒に身体の中心を貫かれているようで、
ヨハンの身体は縋るようにゲーニッツを締め上げて、眦から涙を溢れさせた。
咽喉を反らし、赤い髪を振り乱して、擦れた嬌声を搾り出す。
ゲーニッツは身を捩るヨハンを押さえ付け、容赦ない律動を開始した。

「くッ、や…、ゲーニッツ…!ぁ、ぅ…っ、ああッ」

「――ハッ、……良い声ですね、ヨハン」

二度目の結合は当然一度目よりスムーズだが、
それゆえに感覚が愉悦を優先的に拾ってしまって、ヨハンの心身を乱していく。
ゲーニッツは背後からヨハンの両足を抱え上げて、わざと卑猥な姿をとらせた。
ヨハンの秘所を押し広げ、中へと埋まっては、腰を引き、内壁を摩擦する様を見せ付ける。

「ぐ…ッ、ぅ、――ゲーニッ…、いい加減、に…ッ、ん」

ヨハンは自分の声が浴室に響いて、聴覚からも犯される感覚に陥った。
身体の中に熱い楔があって、中から燃え上がった火が脳まで焼く。
下から放埓に揺さぶられる身体は、激しい突き上げの度に強張ってしまう。
貫かれるたびに快楽が矜持を呑み込み、
悪態を吐きながらも自らも腰を揺らして、熱を追い求める行為に没頭する。
チリチリと肌が焼けて、鼓動が駆けていく。
息苦しいのに声が止められず、中を抉られる度に気をやってしまいそうになる。
身体の中から作り変えられるような熱に縋り、前は傷むほど張り詰めていた。
幾度もゲーニッツの名前を呼びながら、身を捩るヨハンを愛で、
一際緊張を走らせるヨハンの限界を感じて、ゲーニッツは中へ逐情した。

熱い飛沫がヨハンの中に流れ込み、背後から抱きしめられる腕の強さに、
胸ごと締め付けられるような痛みを感じながら、ヨハンは意識を手放した。




***




濡れたヨハンの髪をすくいあげ、腕の中ですっかりと気を飛ばしている身体を抱きなおす。
泣きつかれたのか、伏せた瞳は熱を孕んでいて何処か幼げに見える。
ゲーニッツは恭しく顎を引きながら、そっと赤い髪にキスを乗せた。
ゲーニッツの肩に頭を乗せているヨハンの、露わになった首筋が微かに痙攣し、
その上を伝っていく雫にすら、胸が焼けてしまい、やんわりと細い眼を更に撓め、
湯船から立ち上る湯気に隠すように、身勝手な呟きを漏らす。

「本当に、嫁いでくれば良いんですがねぇ」

吐息のような笑い声を密やかに零し、指に長い髪をくるくると巻きつけて戯れながら、
ゲーニッツは心地良さそうに湯船に身を沈めて、瞼を伏せた。









(おしまい)

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