66 :名無しさん@ビンキー:2010/09/01(水) 10:15:04 0
            \ドス/
花火は8月中!>⊂(゚Д゚↓⊂⌒`つ≡≡≡
間に合わなかった…… o..rz

と言う訳で、アシュアカアシュで微妙に賞味期限の切れた夏祭りネタ花火もあるよ。

URL:ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/149070
タイトル:無題
PASS:mugen
ネタ元&設定等:捏造/独自設定/スレネタ有り
カップリング(登場キャラ): アッシュ×アカツキ×アッシュ  瑞麗&濤羅微妙に登場
性描写の有無:全年齢
内容注意:夏祭り、女装有り、メタ有り





※このSSには男性同士の恋愛的描写が含まれます。
※キャラクターの性格や口調が違う場合があります。
※スレ内の夏祭りネタお借りしました。
※どっちが攻なんだか書いてて自分でも分からない。
※キレイダナー


嫌な予感がした方は、何も見なかったことにしてファイルを削除していただけるとお互い幸せになれると思います。














辺りは薄暗いが通りを行く群衆は浮かれきっている。夏の夜の独特の気配の中に、ソースの香ばしい匂いや綿飴の甘い香りが漂う。
デス様お面(def+3%)を斜めに掛け、夜祭りの雰囲気に紛れ込みながら、アッシュはぐるりと辺りを見回す。金髪銀髪黒髪赤毛。髪や目肌の色は言うに及ばず、人も獣も名すら知らない種族も入り交じって楽しげに屋台を渡り歩いている。射的や金魚掬い等の遊技、お面や風鈴を扱う物売り、既に一回りして堪能したそれらをスルーして探すは食べ物を売る屋台。細い腕には既に鈴カステラやらお好み焼きやらの入った無数の紙袋やビニール袋が提げられていた。
やがて一際香ばしいソースの匂いを発信している屋台を見つけ、歩み寄る。焼きそばを焼いていた山崎が顔を上げ、アッシュの姿に呆れたように唇の端を少し引きつらせた。

「焼きそばを、えっと6パックね」

レジ脇に置いてあるパックの大きさを確認しながら注文する。

「おう。これもう少しで焼き上がるから待ってやがれ」
「はァい。人待たせてるんだから急いでよね」

応えて山崎に背を向け、他に目ぼしい食料品が無いか辺りの店を物色する。
やる気無く椅子に腰掛けて射的の店番をするのはホル・ホース。客にガンつけながらラムネや飲料を売っている煉。さっき立ち寄ったネギ焼きの屋台で黙々と鉄板に向う小十郎。その隣で焼き鳥用の鶏肉を切り刻んでいるのは闇のアギト。

「ここ何、ヤクザ通りとか言うの?」
「バイトだバイト」

そんなやりとりをして代金を払い、焼きそばのパックの入ったビニール袋を受け取る。両手の荷物を確認して流石にこれ以上は持てないなぁ、と独り語ちて祭りの喧噪に背を向けた。
急に人気の無くなった道をしばらく歩き、ある古臭い一軒家の玄関前に立つ。木造家屋、築四十年と言った所か。
少しばかり苦労してチャイムを鳴らす。ついでに近所迷惑とかそういうのを無視して「アカツキさーん!」と叫ぶ。どうせこんな日に寝ている奴なんていないだろう。程なく足音がしてガラスの嵌った板戸がスライドして開かれる。

「夜に大きな声を出すな」

困ったように眉を顰めるアカツキに、こんばんは、と今度は普通の音量で言う。ああ、と笑み、アカツキは身を引いてアッシュを家へ招き入れる。

「おみやげ、買ってきたよ。食べるでしょう?」
「あぁ、感謝する」

両手に下がった袋を目算で半分強ほど受け取り、板張りの廊下を奥へと進むアカツキに続いて、お邪魔しまーす、と呟きながら、彼が根城にしている貸家へと上がる。
踏むとぎ、ぎ、と微かに軋む床は、紙を貼ったランプシェードの明かりを受けて飴色に鈍く光っている。

「約束通りだね。カッコイイよ」

鈍い明かりに照らされるアカツキは、紺鼠色のしじら織りの甚平を着ていた。
別れ際に「じゃあ夜には遊びに行くから、お互い”お祭りっぽい格好で”ね!」と言い放っただけの一方的な「約束」を、律儀な彼が守っている事に笑みを深める。

「あぁ…………所でアッシュ」

がらりと襖を開きながら、アカツキは肩越しにちらとアッシュを振り返る。

「それは女物だぞ?」
「知ってるよ。似合ってるでしょ?」

歩きながらくるりと回ってみせる。赤地に扇に花車の柄の華やかな浴衣の袖を翻し、柔らかい兵児帯がふわりと揺れる。

「アカツキさんも着ればいいのにユカタ。カワイイよ?」

ほらネイルも夏っぽく金魚。とクリスタルブルーの爪に深緋の金魚が泳ぐ、渾身の作品を見せびらかす。

「遠慮する。美しいのは確かだが、俺には似合わんだろう」

律儀に応えながら、袋を背の低い食卓の上に並べる。

「もったいないなー」

けらけらと笑いながら、同じように袋をどさどさと置く。

「あちらは大分、賑やかなようだが」
「うん、すっごく。大騒ぎだったよ」
「やはりか」

アカツキが僅かに顔を曇らせる。
古い日本の出身であるアカツキは、雑多な人混みが苦手であるらしい。目が回るようだ、と以前も零していたのを覚えていたから、アッシュもアカツキを無理には誘わなかった。


『アカツキさん家、お祭りの近くだよね?』『あぁ。そうだ。祭りを堪能したらこちらに来るといい』『良いの?』『あぁ』『じゃあ―――』


それにこうして甚平姿の彼を独占している方が、「お得」な感じがするのだ。

「あ、そうだ、アカツキさん、これ!」

デス様お面の下から、重ねていたもう一つのお面を取り出してアカツキに渡す。

「……これは」
「雰囲気、雰囲気♪」

カービィお面(atk+3%)を困ったような顔でしばらく見つめ、アッシュと同じように斜めに掛ける。

「子供の様だ」

ふと、壁際の電源の落ちた古い型のテレビの画面に映った自分の姿を見て、くつくつと苦笑する。始めて見る屈託無い表情に、アッシュの頬にさっと朱が差す。
息を呑むアッシュの姿に、アカツキは笑顔を引っ込めて首を傾げる。

「アッシュ?どうかしたのか」
「う、ううん。なんでも」

ひょっとして今、凄くレアな物を見ちゃったんじゃないか。写メっとけば良かったかな。そんな事を考えながら、アッシュは首を横に振る。
そうか、と短く答え、立ち上がったアカツキが冷蔵庫から取り出した麦茶とコップを二人分持って来る。日頃、日光に晒されない前腕や臑は、意外な程白かった。
やっぱり写メ撮らないともったいないよね。一人で納得して帯に挟んでいた携帯を引っ張り出し、カメラを起動してアカツキに向ける。

「アカツキさーん、こっち向いてー」

声を掛け、振り向いた所を一枚。保護を掛けて厳重に保管する。うきうきと携帯を操作するアッシュに、アカツキが呆れたような表情をする。

「こんなむさ苦しい男を撮っても詰まらないだろうに」
「えー、楽しいよ?エキゾチックでとっても素敵じゃない」

待ち受けにしようか、いや流石にそれは不味いか、じゃあ彼からのメールの受信画面にしよう。等と考えながら、袋から割り箸を取り出す。一膳はアカツキに渡して、もう一膳をぱきりと割る。

「いただきます」
「いっただっきまーす♪」

郷に入っては、とアカツキに合わせてアッシュも合掌して唱える。後は各自気の向くままに、積まれた食べ物へと手を伸ばす。もっとも、ペースの方はアッシュがたこ焼きを一つ食べている隙にアカツキが焼きそばを一パック平らげていると言った有様だった。一応遠慮はしているのか、各種類一つずつ、アッシュの為に残している。しかしアッシュの方からすればそんなに食べきれない。結局の所、九割五分をアカツキが胃に収め、二人で麦茶を飲んで息を吐く。

「む、そろそろ時間か」

壁の時計を見遣ったアカツキが呟く。立ち上がり障子を開くと、黒々とした空に十六夜の月が浮かんでいた。麦茶の他に、蚊取り線香だの団扇だのと細々とした物を整えた彼に手招きされ、アッシュは縁側のアカツキの隣に座る。
辺りの家は背が低く、垣根の向こう、少し遠くに祭りの会場の神社の森が見えた。
浅く座り床板に手を突き、足をぶらぶらと揺らす。慣れない草履で半日歩き回ったせいで、足の指がまだ少し痛かった。隣のアカツキを見遣ると、胡座を掻いた彼は神社の上の空を見つめていた。胡座でも背筋がぴんと伸びているのが生真面目な彼らしくて、内心で小さく笑う。

「始まるぞ」

アカツキの言葉に、アッシュは視線を空へ戻す。会場から、わっと歓声が聞こえた。
すっと尾を引く光が昇り、ぱっと赤い火の花が咲く。僅かに遅れて、どん、と体の底に響く音が届き、ぱらぱらと散って行く。続いて二発。ど、どん。と響く。夜空に吸い込まれるように消えて行く金色の花。代わる代わる開く。開いた後に色を変える変わり花火。鳳仙花が弾けるように小さな花を散らすもの。噴水のごとく火花を吹き上げるもの。

「ターマヤー」

意味は良く分からないが、そう言う合いの手を入れるらしい。口にしてみて、ふとアッシュは横目にアカツキを見る。
夜空へじっと視線を投げかける、花火の光を映しては光る黒々とした瞳。表情は薄く、けれど微かに和らいだ雰囲気のその顔は、きっと人の入り乱れて騒然とした会場では見る事の出来なかったものだろう。

「どうした、アッシュ」

視線を感じたアカツキがアッシュを見返す。

「んーん。綺麗だね、花火」
「あぁ」

アカツキを視界の端に収めながら、空を眺める。ただ座っているだけなのに満ち足りている。とくりとくりと心臓の音。浮き足立つような高揚感を覚えているのに、気分は奇妙に穏やかだ。
どん、ど、どん。とランダムに音が響く。少しだけ、アカツキに身を寄せてみる。微かに香るつんとした樟脳の匂い。からん、と麦茶の氷が溶けて鳴った。

「綺麗、だねぇ」
「あぁ」

ゆったりと団扇で扇ぐと、アッシュの色素の薄い金髪が揺れる。電光機関を起動していない為、すとんと大人しく流れているアカツキの黒髪も微風に揺れている。
わざと大きめの動作で顔をアカツキに向ける。気づいてアッシュへ視線を向ける黒い瞳をじっと見つめる。花火の音はいつの間にか止んでいた。遠くから、祭りの喧騒が微かに聞こえる。どちらともなく口を開きかけ






『ヴァーン! ヴァーン! ガメヴァメヴァアアアアア!!』

素っ頓狂な騒音に遮られる。

「はぁ!?」

雰囲気をぶち壊され、軽く青筋など浮かべながらアッシュが夜空を睨む。
夜空を背景に宇宙意思VS問題児が戦闘(?)を繰り広げていた。

「…………何で天地創造(仮)再現してるの」
「第二幕だな」

やたら喧しくて眩い戦いを眺めながら、アカツキが平然と答える。

「『【神・論外】納涼花火大会プチトーナメント【キレイダナー】』とチラシにあった」
「どーしてここの人達はこう…………花より団子よりバトルみたいな方向に話を持って行きたがるんだろうね…………」

基本がアグレッシブ過ぎるよ。がっくりと項垂れながら呟く。会場から聞こえるあまりの騒音に、ウザイなぁ、と顔を上げる。取り敢えず光っていた。ビームとか何かが飛び交っては派手な轟音と閃光を上げている。威力は一発で地球何個分とかそんな適当な成分表示みたいな感じ。

「「キレイダナー」」

二人で空を見上げながらハモる。他に言う事が無かった。
何試合か繰り広げられて、最終試合でステージ端の結界が少し破れたらしい。余波で神社の辺りが軽く阿鼻叫喚になって、静かになった。相変わらず人類には未だ早いようだ。

「…………あちらは、大丈夫だろうか……?」
「大丈夫なんじゃない?あー、何か目が疲れちゃった」

軽く伸びをしながら無責任かつ投げやりに答える。
すっかりと静まり返った、デスとか付かない星だけが瞬く夜空をもう一度見上げ、氷の溶けきった麦茶を飲み干す。行儀悪くコップの底で額の辺りを冷やしていると、アカツキがそう言えば、と立ち上がる。

「どうしたの?」
「以前に濤羅殿と瑞麗殿がこの家の庭に花火をしに来た事があって……」

公園や川などでは誰が来るかも分からなくて危険だ、とは過保護な濤羅の言葉である。
答えながら、アカツキは戸棚の引き出しを探る。

「その時の余りが……有った」

引き返して縁側のアッシュに手の中の物を見せる。細い紐のような線香花火が一束。

「これだけなのだが、どうだろう」
「シメは線香花火ってやつだね。イイね、やろうやろう♪」

縁側の下から引き出した雪駄をアッシュにも履かせ、庭へ出る。中程に二人向かい合うように屈みこみ、分けた線香花火を一本、アッシュに持たせる。

「火は?」
「大丈夫だ」

庭石の上に残りの花火を置いて、アッシュの持つ花火の先に両手を伸ばす。片手で覆い風を避け、もう片手を先端を摘むように近づける。アカツキの髪がふわりと浮き、ばちっ、と指先から火花が散った。

「わ」

手が退けられると、線香花火の先端に赤い玉が生まれていた。じじじ、と蚊の羽音よりも微かな音を立て、燃えていたそれから火花が弾ける。

「綺麗」

無邪気な笑みを浮かべ、アッシュは手の中の花火に見入る。常のような含む物の無い、子供のような笑顔にアカツキの頬に薄く朱が差す。

「あ、落ちちゃった。じゃあ、次はボクね」

燃え止しの花火を左手に持ち替え、手を伸ばして残りの花火の一本を手に取り、彼に持たせる。薄闇の中の事だったのでアッシュからは見えなかったが、咄嗟に頬の色を隠そうと俯く。それを花火に視線を落としたのだと思い、クスリと笑って指の先に溢れる泡のような炎を灯す。

「…………これは」

ぽ、と線香花火に生まれた球体はアッシュの炎を移したコバルトグリーンをしていた。ぽぽっ、と音を立て、緑色の泡の炎が浮かぶ。火種から尾を引いて飛び立ち、ぽっ、と弾けて小さな泡になり、夜の空気に溶けて行く。ぽぽぽっ、ぽぽ、気泡が生まれては弾ける。

「フフッ、面白いでしょ?」

小さな球体の光は蛍の光に似て、何処か優しかった。

「あぁ。美しいな」

一本一本、代わる代わるに火を灯す。火種を落とさないようにと息を潜める静寂の中、僅かな息遣いと、線香花火の小さな音だけが耳をくすぐる。それはどこか秘密の儀式めいていて、燃え尽きないで、少しだけ、もう、少しだけ、と。祈るように思いながら、火と、それを映す互いの瞳を見つめていた。












オチ
瑞麗「花火は朴念仁のために仕込んでやったの。感謝するといいの」

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Posted by gclnsoc 2013年11月15日(金) 07:27:25 返信

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