最終更新:ID:dkH4AYZH0w 2011年11月03日(木) 02:35:53履歴
652 :実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー:2011/09/23(金) 16:22:29.91 0
|・ω・) ダレモイナイ トウカスルナラ イマノウチ
今回はいろんなCPを同軸にぶち込んだけど、各CP単体ずつの軸も大好きなんだぜ!
URL:ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/277310
PASS:mugen
ネタ元&設定等: オiーiルiスiタiーiゲiーiジi増i々iトiーiナiメiンiト、僕iのi夢iはi魔i物i使iいiトiーiナiメiンiト
カップリング(登場キャラ):阿部×DIO、ザッパ、アレックス、スレイヤー、息子、山崎
性描写の有無: 全年齢
内容注意: ギャグ/同軸多CP
この煽りをここで使うことになるとは思わなかった。
※このSSには男性同士の恋愛的(?)描写が含まれます。
※キャラクターの性格や口調が違う場合があります。
※スレ内のネタ幾つかお借りしました。
嫌な予感がした方は、何も見なかったことにしてファイルを削除していただけるとお互い幸せになれると思います。
DIO・ブランドーは美しい。
そしてその美しさを自覚し、武器として磨き抜いてきた。
悪のカリスマであり、老若男女がその魅力に惹き付けられ、平伏すのも頷ける話である。
だが、あれだ。
飽くまで『あれ』は売り言葉に買い言葉だったと言うか、
言葉の綾なのだ。
「や ら な い か」
「よかろう。やってみろ……このDIOに対して!」
『(戦闘的な意味で)』のつもりだったのに。
別にホモセクシャルがどうのバイセクシャルがこうの言うつもりはない。DIOは人間を辞めた身であり人間を超えた存在であり、今更性別如きを超越できない筈が無く、しなやかで力強い彼らが性別を超えて欲するに足るものであると、DIO自身も思っている。
だがそれとこれとは別の問題だ。
人気の少ない路地裏を駆ける速度は、人の形をしていながらも豹に匹敵する程のとも言われる吸血鬼としての身体能力をフルに活用したものであり、走行する車にさえ追いつける脚力を誇る。
しかしながら追跡する気配を振り切れる節が無い。どこかの運命を操るスカーレット・デビルが面白半分に介入していないだろうな。と、思わずあどけない容姿の友人を疑う。
何しろ追跡者は飽くまで人間だ。身体能力こそ人にしてはそれなりだが、スタンド能力も魔術の類も使わない、ごく一般的な範囲に収まっている身の筈だ。性癖以外は。
行く手の曲がり角から覗いた青いツナギ姿に、とっさに壁を蹴り垂直に跳び、逃走経路を立体機動に切り替える。
……尻を狙われた経験は正直初めてだった。
三角跳びを繰り返して四階建ての建物の屋上に立ち、小さく息を吐く。
「おーい。そんなにツンケンしなくても良いじゃないか」
下から呼びかける声は低く穏やかで、耳には心地良いが精神にはおぞましい。
「だが断るッ!」
答えて向かいのビルに跳躍する。相手は謎の追跡能力を持ってはいるが、所詮人の身。縦方向への動きには着いてこれないようで、最終的に捕獲される危険性は薄い。
本来ならば手っとり早く、倒してしまっても良いのだろう?とフラグを立てても良いのだが、何と言うか、あんまり触りたくないし近付きたくない。投げ間合いに入るのは絶対に嫌だ。当て身を取られた日には目も当てられない。
部下に助けを求めるのも論外だ。部下とは心酔させ忠実に仕えさせるものであり、弱みを見せる為の相手では無い。
そう言う事情のためにDIOは単独でビル街を駆ける。
屋上を跳び、駆け、もういい加減に撒いただろうかとDIOの気が緩み駆けた頃、降り立った屋上の、建物内へと続くドアが前触れもなく開いた。
「そろそろ諦めてくれないか?俺もこのままじゃ収まりが付かないんだ」
「さては新手のスタンド使いだな貴様ッ!!」
ハイウェイ・スターと同じタイプのスタンドとかに違いない。
叫んで、とりあえず屋上の手摺りを乗り越えて路上へ飛び降りる。
短い落下感覚の後、軽く屈んで着地の衝撃を逃がす。
「ひぃいっ!?」
傍らで上がった素っ頓狂な悲鳴に視線をやると、DIOの表情がしばらくぶりに和らいだ。
「ザッパにアレックスではないか」
ビルの一階に入っていたファーストフードのオープンテラスで一緒に食事をしていたらしい。その実DIO被害の愚痴大会だったのだが、DIOにとっては思わず笑みがこぼれるような眼福な光景だった。
「共にこのDIOのものになる相談でもしていたのか、と言いたい所だが、今は時間が無いのだ。ついでにここから早く離れる事を奨めておいてやろう」
雄πタッチする寸暇も惜しんで二人に背を向ける。DIOの様子に、身構えていたアレックスが怪訝な顔をする。
と、DIOを追って飛び降りた阿部がオープンテラスの真ん中に着地した。
「ひぃっ!?親方!空からイイオトコがっ!?」
驚愕に白目を剥くザッパ。アレックスも顔を引きつらせて更に厳戒態勢を取る。
二人を心配してDIOはチラと後ろを振り返る。危機感を覚えた憑依霊自身が対応する事にしたらしい。黒い犬が唸り声をあげ、赤い剣がザッパ(とついでにアレックス)を守るように周囲を旋回し、三つ子の霊が手近な物を投げ付ける。
「おっと。ここまで身構えられちゃ手も出し難いな」
飛んできた空き缶を避けながら苦笑して、二人に手を振ってDIOに視線を向ける。
GJ悪霊!と内心で歓声を送り、DIOも前に向き直り逃走に集中する。
一度視界から消えてもいつの間にか接近されているので、例え吸血鬼のスタミナを有すると言えど、トップスピードで走り続けて消耗するのは愚作だ。大きくスピードを落とした、それでも人間のマラソン選手を軽く追い抜くような速度で走りながら考える、そろそろあのスタンド(違う)の正体と能力を見極めなければならない。さらに1Km近く移動する。一度大通りに出て、向かい側の路地に飛び込むDIOに続く阿部。
「あ!阿部のおじちゃん!」
横合いから掛かった声に阿部が止まる。その場駆け足をしながらやや下方からした声の主に視線をやると、阿倍の顔が綻び、今にも再び駆け出しそうだった足が止まる。
「やぁ、ムスコ君じゃないか」
マントを羽織った金髪の少年が阿部をニコニコと見上げていた。
「こんにちは!」
「あぁ。こんにちは」
金色の髪を撫でてやろうと伸ばした阿部の手から、子猫を掴むように少年をひょいと持ち上げて遠ざける手。
宙に伸ばされた行き場の無い手をそのままに、阿部は首を傾げて少年を自分の後ろに隠してしまった人物に目をやる。
黒いピチTがウホッな男、山崎竜二は片手をズボンの後ろポケットに入れ、もう片手で少年を持ったまま、渋い顔で阿部を眺めている。
「竜二おじちゃん?」
小首を傾げた純粋な瞳に見上げられ、山崎がしぶしぶ少年を地面に降ろす。
「今日はこっちの良い男とお出かけかい?」
「うん!いっしょにカイジュー見に行くの!」
その”怪獣”が映画か何かを指すのか、リアルに暴れているヤツを指すのか判らなかったが、山崎は子供一人守れないような甲斐性の無い男では無かったので、阿部は特に心配はせずに、そうかい。所で俺の股間の怪獣を―――と言いかけた所で飛んできた山崎のジャブを避けて言葉を切る。
「おっと。そう言えば、他の連中も元気かい?」
「うん!ベアトお姉ちゃんが遊びに来いって」
その名前に山崎の表情がもう一段渋くなる。ドS猟奇魔女とガチホモ。ついでに言うと闇のブローカー。余りにも濃ゆい縁故である。息子の明日はどっちだ。
「そうか。じゃあ今度、顔を出すか」
ぽん、と少年の肩に手を置いた所で山崎がベルトに挟んだ長ドスに手を伸ばしたのを見て、直ぐに降参の形に両手を上げる。
「試合中以外で子供に手を出す気は無いさ」
試合中なら出すんかい。突っ込んだら負けな気はするが流すには看過し切れないこの台詞。
「ムスコ君は将来に期待。今は、どっちかって言うとアンタの方が気になるね。良い雄っぱいだ。新日暮里に来たらモテるぜアンタ」
「よし、死ねや!」
止めのセクハラ発言に、山崎が額に青筋を立ててドスを抜く。からからと快活な笑い声を上げ、阿部は二人に手を振って再び走り出した。
だいぶDIOに距離を離されてしまったが、大丈夫だ、問題ない。
阿部さんには超高性能な股間のレーダーが付いているのだ!
一方逃亡を続けるDIOは、阿部の気配が急に離れたことに、逆に警戒感を高めていた。四方八方に注意を向けながら走る。
「ッ!―――!!ザ・ワールド!!!」
道の前方に見えた姿に、とっさにスタンドを呼び出す。
停止した時間の中、優雅に足を踏み出しかけた姿勢のまま停止した、モノクルの吸血紳士スレイヤー。
DIOにとっては年上の友人のような存在である。格好が付かないので、彼にはこのコマネズミのように走り回る姿は絶対に見られたくなかった。彼の前では、優雅な悪のカリスマで居なければならなかった。
時間を停止させたまま、スレイヤーの前を駆け抜ける瞬間、ふっと呼ばれたようにその顔に視線が行く。
……時間が止まっている筈なのに目が合った。
背筋に走る寒気に止まりかけた足を叱責し、何かをぐっと堪えて走り抜ける。角を曲がった所でザ・ワールドの効果が切れた。
ザッと再び流れ出したノイズの様な喧噪が耳に届く。泣きそうになんかなってない。
どれだけ走っただろう。喧噪から沸き上がった泡のように、一つの台詞がDIOの耳に滑り込んだ。
「やらないか」
そしてDIOは悟った。
このまま追いかけっこを続けた所でこの男は振り切れまい。いつの間にか入り込んだ人気の無い公園のベンチの前で、DIOは足を止める。
「よかろう」
倒さねばならぬ敵。乗り越えなければならぬ壁。ていうかもう逃げるのめんどい。
「やってみろ―――このDIOに対して!!」
DIOの戦いは始まったばかりだ!!
|・ω・) ダレモイナイ トウカスルナラ イマノウチ
今回はいろんなCPを同軸にぶち込んだけど、各CP単体ずつの軸も大好きなんだぜ!
URL:ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/277310
PASS:mugen
ネタ元&設定等: オiーiルiスiタiーiゲiーiジi増i々iトiーiナiメiンiト、僕iのi夢iはi魔i物i使iいiトiーiナiメiンiト
カップリング(登場キャラ):阿部×DIO、ザッパ、アレックス、スレイヤー、息子、山崎
性描写の有無: 全年齢
内容注意: ギャグ/同軸多CP
この煽りをここで使うことになるとは思わなかった。
※このSSには男性同士の恋愛的(?)描写が含まれます。
※キャラクターの性格や口調が違う場合があります。
※スレ内のネタ幾つかお借りしました。
嫌な予感がした方は、何も見なかったことにしてファイルを削除していただけるとお互い幸せになれると思います。
DIO・ブランドーは美しい。
そしてその美しさを自覚し、武器として磨き抜いてきた。
悪のカリスマであり、老若男女がその魅力に惹き付けられ、平伏すのも頷ける話である。
だが、あれだ。
飽くまで『あれ』は売り言葉に買い言葉だったと言うか、
言葉の綾なのだ。
「や ら な い か」
「よかろう。やってみろ……このDIOに対して!」
『(戦闘的な意味で)』のつもりだったのに。
別にホモセクシャルがどうのバイセクシャルがこうの言うつもりはない。DIOは人間を辞めた身であり人間を超えた存在であり、今更性別如きを超越できない筈が無く、しなやかで力強い彼らが性別を超えて欲するに足るものであると、DIO自身も思っている。
だがそれとこれとは別の問題だ。
人気の少ない路地裏を駆ける速度は、人の形をしていながらも豹に匹敵する程のとも言われる吸血鬼としての身体能力をフルに活用したものであり、走行する車にさえ追いつける脚力を誇る。
しかしながら追跡する気配を振り切れる節が無い。どこかの運命を操るスカーレット・デビルが面白半分に介入していないだろうな。と、思わずあどけない容姿の友人を疑う。
何しろ追跡者は飽くまで人間だ。身体能力こそ人にしてはそれなりだが、スタンド能力も魔術の類も使わない、ごく一般的な範囲に収まっている身の筈だ。性癖以外は。
行く手の曲がり角から覗いた青いツナギ姿に、とっさに壁を蹴り垂直に跳び、逃走経路を立体機動に切り替える。
……尻を狙われた経験は正直初めてだった。
三角跳びを繰り返して四階建ての建物の屋上に立ち、小さく息を吐く。
「おーい。そんなにツンケンしなくても良いじゃないか」
下から呼びかける声は低く穏やかで、耳には心地良いが精神にはおぞましい。
「だが断るッ!」
答えて向かいのビルに跳躍する。相手は謎の追跡能力を持ってはいるが、所詮人の身。縦方向への動きには着いてこれないようで、最終的に捕獲される危険性は薄い。
本来ならば手っとり早く、倒してしまっても良いのだろう?とフラグを立てても良いのだが、何と言うか、あんまり触りたくないし近付きたくない。投げ間合いに入るのは絶対に嫌だ。当て身を取られた日には目も当てられない。
部下に助けを求めるのも論外だ。部下とは心酔させ忠実に仕えさせるものであり、弱みを見せる為の相手では無い。
そう言う事情のためにDIOは単独でビル街を駆ける。
屋上を跳び、駆け、もういい加減に撒いただろうかとDIOの気が緩み駆けた頃、降り立った屋上の、建物内へと続くドアが前触れもなく開いた。
「そろそろ諦めてくれないか?俺もこのままじゃ収まりが付かないんだ」
「さては新手のスタンド使いだな貴様ッ!!」
ハイウェイ・スターと同じタイプのスタンドとかに違いない。
叫んで、とりあえず屋上の手摺りを乗り越えて路上へ飛び降りる。
短い落下感覚の後、軽く屈んで着地の衝撃を逃がす。
「ひぃいっ!?」
傍らで上がった素っ頓狂な悲鳴に視線をやると、DIOの表情がしばらくぶりに和らいだ。
「ザッパにアレックスではないか」
ビルの一階に入っていたファーストフードのオープンテラスで一緒に食事をしていたらしい。その実DIO被害の愚痴大会だったのだが、DIOにとっては思わず笑みがこぼれるような眼福な光景だった。
「共にこのDIOのものになる相談でもしていたのか、と言いたい所だが、今は時間が無いのだ。ついでにここから早く離れる事を奨めておいてやろう」
雄πタッチする寸暇も惜しんで二人に背を向ける。DIOの様子に、身構えていたアレックスが怪訝な顔をする。
と、DIOを追って飛び降りた阿部がオープンテラスの真ん中に着地した。
「ひぃっ!?親方!空からイイオトコがっ!?」
驚愕に白目を剥くザッパ。アレックスも顔を引きつらせて更に厳戒態勢を取る。
二人を心配してDIOはチラと後ろを振り返る。危機感を覚えた憑依霊自身が対応する事にしたらしい。黒い犬が唸り声をあげ、赤い剣がザッパ(とついでにアレックス)を守るように周囲を旋回し、三つ子の霊が手近な物を投げ付ける。
「おっと。ここまで身構えられちゃ手も出し難いな」
飛んできた空き缶を避けながら苦笑して、二人に手を振ってDIOに視線を向ける。
GJ悪霊!と内心で歓声を送り、DIOも前に向き直り逃走に集中する。
一度視界から消えてもいつの間にか接近されているので、例え吸血鬼のスタミナを有すると言えど、トップスピードで走り続けて消耗するのは愚作だ。大きくスピードを落とした、それでも人間のマラソン選手を軽く追い抜くような速度で走りながら考える、そろそろあのスタンド(違う)の正体と能力を見極めなければならない。さらに1Km近く移動する。一度大通りに出て、向かい側の路地に飛び込むDIOに続く阿部。
「あ!阿部のおじちゃん!」
横合いから掛かった声に阿部が止まる。その場駆け足をしながらやや下方からした声の主に視線をやると、阿倍の顔が綻び、今にも再び駆け出しそうだった足が止まる。
「やぁ、ムスコ君じゃないか」
マントを羽織った金髪の少年が阿部をニコニコと見上げていた。
「こんにちは!」
「あぁ。こんにちは」
金色の髪を撫でてやろうと伸ばした阿部の手から、子猫を掴むように少年をひょいと持ち上げて遠ざける手。
宙に伸ばされた行き場の無い手をそのままに、阿部は首を傾げて少年を自分の後ろに隠してしまった人物に目をやる。
黒いピチTがウホッな男、山崎竜二は片手をズボンの後ろポケットに入れ、もう片手で少年を持ったまま、渋い顔で阿部を眺めている。
「竜二おじちゃん?」
小首を傾げた純粋な瞳に見上げられ、山崎がしぶしぶ少年を地面に降ろす。
「今日はこっちの良い男とお出かけかい?」
「うん!いっしょにカイジュー見に行くの!」
その”怪獣”が映画か何かを指すのか、リアルに暴れているヤツを指すのか判らなかったが、山崎は子供一人守れないような甲斐性の無い男では無かったので、阿部は特に心配はせずに、そうかい。所で俺の股間の怪獣を―――と言いかけた所で飛んできた山崎のジャブを避けて言葉を切る。
「おっと。そう言えば、他の連中も元気かい?」
「うん!ベアトお姉ちゃんが遊びに来いって」
その名前に山崎の表情がもう一段渋くなる。ドS猟奇魔女とガチホモ。ついでに言うと闇のブローカー。余りにも濃ゆい縁故である。息子の明日はどっちだ。
「そうか。じゃあ今度、顔を出すか」
ぽん、と少年の肩に手を置いた所で山崎がベルトに挟んだ長ドスに手を伸ばしたのを見て、直ぐに降参の形に両手を上げる。
「試合中以外で子供に手を出す気は無いさ」
試合中なら出すんかい。突っ込んだら負けな気はするが流すには看過し切れないこの台詞。
「ムスコ君は将来に期待。今は、どっちかって言うとアンタの方が気になるね。良い雄っぱいだ。新日暮里に来たらモテるぜアンタ」
「よし、死ねや!」
止めのセクハラ発言に、山崎が額に青筋を立ててドスを抜く。からからと快活な笑い声を上げ、阿部は二人に手を振って再び走り出した。
だいぶDIOに距離を離されてしまったが、大丈夫だ、問題ない。
阿部さんには超高性能な股間のレーダーが付いているのだ!
一方逃亡を続けるDIOは、阿部の気配が急に離れたことに、逆に警戒感を高めていた。四方八方に注意を向けながら走る。
「ッ!―――!!ザ・ワールド!!!」
道の前方に見えた姿に、とっさにスタンドを呼び出す。
停止した時間の中、優雅に足を踏み出しかけた姿勢のまま停止した、モノクルの吸血紳士スレイヤー。
DIOにとっては年上の友人のような存在である。格好が付かないので、彼にはこのコマネズミのように走り回る姿は絶対に見られたくなかった。彼の前では、優雅な悪のカリスマで居なければならなかった。
時間を停止させたまま、スレイヤーの前を駆け抜ける瞬間、ふっと呼ばれたようにその顔に視線が行く。
……時間が止まっている筈なのに目が合った。
背筋に走る寒気に止まりかけた足を叱責し、何かをぐっと堪えて走り抜ける。角を曲がった所でザ・ワールドの効果が切れた。
ザッと再び流れ出したノイズの様な喧噪が耳に届く。泣きそうになんかなってない。
どれだけ走っただろう。喧噪から沸き上がった泡のように、一つの台詞がDIOの耳に滑り込んだ。
「やらないか」
そしてDIOは悟った。
このまま追いかけっこを続けた所でこの男は振り切れまい。いつの間にか入り込んだ人気の無い公園のベンチの前で、DIOは足を止める。
「よかろう」
倒さねばならぬ敵。乗り越えなければならぬ壁。ていうかもう逃げるのめんどい。
「やってみろ―――このDIOに対して!!」
DIOの戦いは始まったばかりだ!!
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