889 :実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー:2012/01/27(金) 23:04:53.84 0
連投になるけどごめんなさい。
団内恋愛と言うか何と言うかそんな感じのものは有りだろうかと考えて居たら何かこうなった。
影二つの方とは別軸と言う事で。

URL:ttp://www1.axfc.net/uploader/File/so/74589
タイトル:無題
PASS:mugen
ネタ元&設定等:こiろiうiば
カップリング(登場キャラ):ワラキアの夜×デュオロン、エディ(アリス、リーゼロッテ)
性描写の有無:全年齢

見事にヤマもオチもイミも無い。




※このSSには男性同士の恋愛的(?)描写が含まれます。
※キャラクターの性格や口調が違う場合があります。



嫌な予感がした方は、何も見なかったことにしてファイルを削除していただけるとお互い幸せになれると思います。






『劇団「死期」』の控え室で、チームの大将にして団長であるデュオロンは、椅子から立ち上がると同時に身に覚えの無い目眩を感じて、訝しげに目元に手を翳した。痩躯の長身が揺らぐ様は、酷く不安定に見えた。

「どうしたのだね、団長?」

傍らで影の舞う気配がして、音もなく顕現する姿。先程の試合で殺奪したばかりのアイテム・エディを引き連れたワラキアの夜が、白い面を微かに傾げてデュオロンを覗き込む。
アリスとリーゼロッテは先程連れ立って出かけてしまったので、部屋にはデュオロンとワラキアの二人しかいない。

「いや―――」
「先程の試合だね?」

否定しかけたデュオロンの言葉を遮って、ワラキアが指摘する。閉じられた瞼の下の存在しない瞳が、錬金術師としてのそれと同じ真剣な色を宿して、デュオロンの状態を分析している。

「―――先程の……?」

ワラキアの言葉に、先刻行われたばかりの試合を思い出す。チーム『天の杯』の大将である少女との試合。少女の繰る黒い影のような、触れるだけで身を焦がす灼熱の苦痛をもたらす泥を、幾度と無く浴びせかけられながらも勝利を奪い取った一戦。しかし負った傷は既に治療を受けた筈だった。

「あれは浸食と取り込みを同時に行う悪性情報の塊だ。通常の治療では取り除けまい」

デュオロンの疑問に答えるように、ワラキアが告げる。

「君も悪性情報に対して多少の抵抗力は有るようだが、相手が悪い。何しろ「この世の全ての悪」だからね」

あの泥の正体は、強力で性質の悪い呪いのようなモノらしい。頭痛を誤魔化すようにデュオロンは前髪を掻き上げる。
時間が経つ毎に目眩は悪化して行く。普段は気にならない髪飾りの重量が酷く重く感じられ、引き上げてテーブルの上に乗せる。

「解呪を……試みるべきか……」

体はいよいよ重くなり、四肢から力が抜けて行く。それに抵抗して、デュオロンは気丈に背筋を伸ばす。もし今、重力に屈して椅子に座ってしまったなら、テーブルに崩れ落ちてそのまま起き上がれなくなってしまいそうだった。

「ならばその呪、私がこの身に引き受けよう。悪性情報の処理ならば、私の方が専門家だ」
「……大丈夫なのか?」
「悪性情報と魔力の塊など、私にとっては甘露も同じだ。それに、あれは元々攻撃用に調整された魔術と言う訳でも無い」
「…………分かった。頼む……どうすれば良い?」

椅子の背に手を乗せ杖として身体を支え、目を伏せて頭蓋を内側で膨れ上がる痛みに耐えながら問う。

「あの泥は魔力の塊のようなモノだからね。汚染を除去するには魔力回路を繋ぐのが手早い手段だ」
「―――魔力、回路……?」

頭痛の中に閃く嫌な予感が具体的な形を得る前に、10cm近くある二人の身長差を埋めるように、ワラキアの靴底がふわりと床を離れる。
上げた視線の目の前に白い顔。閉じた瞼を縁取る薄い色の睫は、女性めいて長かった。
死徒の鋭い爪を備える白い手が肩に掛かる。腕を引く力は、呪いに弱った痩躯よりも身軽な死徒の体を引き寄せた。もう片方の手が、顎に添えられる。
薄い唇の感触。鋭い牙が微かに唇を掠める。歯列を割って口内に侵入する温度の低い滑った舌に、デュオロンは総毛立った。
血の匂いを纏わせた舌先が口蓋をなぞり、驚愕に硬直する舌を絡め取る。唾液と共に、何かが吸い上げられる感覚がした。
一頻りデュオロンの口内を蹂躙して、死徒の舌が引き抜かれ、微かな吐息を残して白い顔が離れて行く。

「……さて、身体は楽になったかね?」

確かに、いつの間にか目眩も止まり、頭蓋の中で反響していた痛みの残滓も消えて行く。
けれど切れ長の目を見開いたまま、デュオロンが硬直している。事態の理解を拒否して、脳が軋みを上げていた。

「パスの繋がらない者の間での魔力の遣り取りには、肉体の接触を必要とする。取り分け効率が良いのが、粘膜同士の接触と言う訳だよ」

聞いて居ようが居るまいが関係ないのだろう。ワラキアは口元の唾液を指先で拭うと、放心するデュオロンを余所に一方的に蘊蓄を述べ立て

「さて、少量と言えどこの密度の悪性情報だ。処理に手間取りそうだから、暫く外させて貰うよ」

優雅にマントの裾を翻す。くるりとダンスのターンのような動作。
デュオロンがふと視線をその足下に落とすと、禁獣が顎の間接が外れたように(否、骨格など元から持っていないだろうが)、ぽかんと口を開いていた。
呆気に取られた表情の禁獣がマントの陰に消え、翻ったマントの裾の中にマントが消え、回転動作の終点と共に、ワラキアの姿は幻のように消え失せた。
部屋にただ一人、立ち尽くした姿のまま取り残されたデュオロンが、ついに重力に屈し、がっくりと膝を突いた。

このページへのコメント

ZG50qc <a href="http://rexvoxmocqdw.com/">rexvoxmocqdw</a>, [url=http://fovowlxzjzmg.com/]fovowlxzjzmg[/url], [link=http://ontpvqyacqmm.com/]ontpvqyacqmm[/link], http://reuuepodblxq.com/

0
Posted by walkocm 2013年11月15日(金) 00:12:10 返信

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます