508 :実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー:2014/04/21(月) 12:02:36.02 0
動画を見返してたら滾ったのでコソーリ投下|・ω・)
滾って遅すぎることはない!ソルかが\もぐもぐ/


URL:www1.axfc.net/u/3226339
タイトル:無題
PASS:mugen
ネタ元&設定等:こiろiしiてiでiもiうiばiいiとiる
カップリング(登場キャラ):ソル×嘉神(扇奈、セiシiリiア)
性描写の有無:全年齢
内容注意:女子登場



※このSSには男性同士の恋愛描写が含まれます。
※間違って開けてしまった方はすぐに閉じて削除してください。



#注意#
・ソル×嘉神
・「こ|ろ|し|て|で|も|う|ば|い|と|る」をベースにしていますので当該動画のネタバレを含みます。
・CP要素薄味/妄想具現化/誰だおまえらは!/短い・・・

















 ソルをのぞく業火剣乱チームが、控え室で他のチームについて話していたとき。ふと、扇奈が言葉を途切らせた。

「どうしたんですか?」

 セ|シ|リ|アが訊ねると、扇奈は、「ああ、いえ」と笑って取りつくろう。

「そういえば、ソルさんは私たちを名前で呼んでくださらないな、と思いまして」

 あっ、とセ|シ|リ|アは口に手を当てる。

「私たちのことは『嬢ちゃん』と。嘉神さんのことは『大将』と呼んでいますね」

 しみじみと同意するセ|シ|リ|アに、扇奈は力なくほほえみかける。

「それがちょっと淋しい気がして。距離感、というのでしょうか。もう業火剣乱として組むことなどないのかもしれ
ないのに。今だって、どこに行っているのやら……」

 扇奈はふぅっと息をつき、ちらりと嘉神を見やる。嘉神は扇奈の視線に気づき、紅茶を飲む手を止めた。

「嘉神さんは」

 扇奈が目を細める。そこには、どこか挑発的な色が浮かんでいた。

「嘉神さんは、どう思いますか?」



――――――――――――――――



「……ということがあったのだが、本当のところはどうなのだ」

 会場の敷地にある広場。そこに設えてあるベンチで、ソルはひとり時間を潰していた。人付き合いが面倒なため、
試合以外ではあまりチームメイトと行動を共にしない。
 ソルは、仁王像のように立ちはだかる業火剣乱の大将――嘉神慎之介をじろりと見上げる。あと十五分ほどで午後
の試合が始まるため、広場に人の姿はなかった。だから、嘉神がようやく見つけたというふうに駆けつけてきたとき、
ソルは時間を間違えてしまったのかと肝を冷やしたぐらいだ。

(くそ、脅かしやがって……)

 ソルは視線に険を籠めるが、嘉神はそれを事もなげに受け止める。

「別に、他意はねぇよ。呼びやすいから呼んでいるだけだ」

 嘉神は、ソルの言葉にしばし思案しているようだった。やがて口を開く。

「たとえばの話だ。彼女たちが共にいたとき、どのように呼ぶ? どちらもソルにとっては嬢ちゃんだろう? それ
に私を大将と呼んでは、他のチームの大将が混同してしまう可能性がある」
「そんなときは名前で呼ぶさ」
「それならば、今からでも差し支えないのではないか?」

 あきれたように言いつのる嘉神に、ソルは舌打ちを返した。

「それは文句か? それとも、あんたも嬢ちゃんたちと同じで、おもしろおかしくチームメイトをやっていきたいと、
そう考えてんのか?」

 嘉神は顔色ひとつ変えなかった。この男はいつだってこんな調子だった。表情のバリエーションが少なく声は淡々
としている。言葉も所作もなにもかもが洗練されていた。だからこそ同チームでありながら、試合で苦戦を強いられ
ている彼を観るのが、ソルにとってひそかな楽しみだった。
 苦痛に顔を歪め、焦燥にあえぎ、絶望的な状況下でも足掻こうとする泥くさい姿に、ソルは魅入られ――血がたぎ
るような興奮を覚えるだ。

「文句をつけているわけではない。ただ、波風は立てたくないと、そう思っているだけだ」
「……はいはい。そりゃあご苦労なこった」

 さっさと会話を打ち切ってしまおうと、ソルが立ち上がったときだ。
 もしも、と思う。
 苦痛に歪んだ顔も、焦燥にあえぐ声も、絶望に閉ざされようとする目も、翼をもがれ無様に地を這う姿も、すべて
がソルひとりに向けられたものだとしたら。それはこの上なく愉快なことではないか――と。
 ソルは、口端が吊り上がるのを感じた。嘉神に向きあう。

「おい大将。それは建前なんじゃないのか?」

 嘉神がいぶかしげな顔をする。

「建前?」

 ソルは嘉神の胸ぐらを掴み、抵抗するいとまも与えず、力任せに引きよせる。耳に顔を近寄せると、甘い香りが鼻
先をくすぐった。紅茶だ。いつか、嘉神がソルのために淹れてくれた、あの。

(ああ、あれも、案外悪くなかった)

 ソルは、すまんな、といって嘉神の手からカップを受け取った。いつもならば断わっていたところだ。だが、その
ときはちょうど喉が渇いていた。嘉神はなぜか目をぱちくりとさせ――そして、小さく笑った。どう対応していいの
かわからないといったふうな、困ったような、照れたようなほほえみだった。

「あんたも淋しいと感じているんだろう? だから、わざわざここにやってきた。あんたがもっと素直になってくれ
たら、俺も態度をあらためてやってもいい」

 嘉神からの返事はなかった。
 ソルは不審に思い、身体を引く。
 嘉神に変わった様子は見られなかった。何をほざいているんだとでも言いたげな目を向けている。

「……聞いてた、よな?」

 ソルは肩透かしを食らったような思いで、つい確認してしまった。

「聞いていたが?」

 嘉神が答える。歯牙にもかけない声だった。

「……で、あんたの返事は?」
「特にない。ところでソルよ」

 いって、懐から懐中時計を取りだしソルに突きつけてくる。

「すでに十分を切っている。早く会場にもどらねばならぬ」

 嘉神は懐中時計を懐にしまうと、服を掴んでいるソルの手をほどく。くるりときびすを返し、毅然とした足取り
で去っていった。ソルは茫然とそれを見送る。やがて思考がもどってくると、ムカムカと腹が立ってきた。

(一筋縄じゃいかないってことか?)

 自分のしたことが馬鹿らしく思えた。もう二度としてやるものかと、ソルは自暴自棄になりながらも固く誓った。




――――――――――――――――




「あっ。嘉神さんどこに行ってらっしゃったんですか?」

 会場にもどると、扇奈が嘉神を見つけて小走りに駆け寄ってきた。

「全然帰ってこないから、探しにいこうと思っていたんですよ? もう、心配させないでくださいね?」

 扇奈は、めっ、と指を突きつける。いたずらをした息子を叱りつける母親のような姿に――実際のところ、扇奈の
ほうがずっと年下なのだが――嘉神は、つい苦笑をこぼした。

「ああ。すまなかった。では、ゆくとしようか」 
「ええ。ですが、ソルさんがもどってこないんです。どこにいるかご存知ですか?」

 控え室を出るとき、ソルに会いにいく旨を伝えていなかったことを、嘉神は今になって気づく。

「それなら広場のほうにいたぞ。早く会場へもどるようにいっておいたから、ほうっておいてもくるだろう」
「そうですか……」

 扇奈はほっとしたように息をつき、それから、嘉神を上目遣いに見てきた。

「嘉神さんのほっぺが赤いのは、ひょっとすると、ソルさんの仕業だったりします?」

 えっ、と嘉神は目をみはる。つい、ほおに手を伸ばしてしまった。それがまずかった。
 扇奈の顔に、会心の笑みが浮かぶ。

「ふふふ。これじゃあ、ソルさんからいろいろと訊かなくてはなりませんね? ああ、ご心配なさらずとも、このこ
とは秘密にしておきますから。嘉神さんは安心してもどってください」

 制止するまもなく、扇奈はひらりとスカートをひるがえすと、会場を出ていった。嘉神はあわてて追いかけようと
したが、かえって誤解を与えてしまいかねないと思いなおす。扇奈がどういった方向に持っていこうとするか予想が
つくだけに、そんな恐ろしいことはできない。

(それに、ソルには秘密にしておくといったのだし……)

 嘉神は、自分で自分の言葉に愕然とした。   

(あれはいきなり耳元でささやかれたから驚いただけだ……っ! 別にやましいことなどない!)

 しかし、それを否定するかのように、とある記憶が呼び覚まされる。 
 控え室で待機していたときのこと。その日、扇奈とセ|シ|リ|アが持ち寄った菓子と嘉神の淹れた紅茶で、初めての
お茶会が開かれた。ソルも珍しいことに同席していた。同席といっても会話に参加するわけでもない、ただそこにい
るといった様子だった。場所を移すのが面倒だったのだろう。現に彼の態度からは、拒絶しか伝わってこなかった。
 嘉神は、扇奈とセ|シ|リ|アだけに紅茶を振る舞うのは差別かと思い、ソルの分もしかたなく淹れることにした。受
け取るはずなどないと思っていた。これでもソルという人間性を把握しているつもりだった。馴れ合いを好まない一
匹狼。それがソルなのだと。――しかし、それは、見事に裏切られることとなった。

(ああ、そうか。もしかしたら、あの日から、私は……)

『あんたも淋しいと感じているんだろう?』

 耳をふさぐ。どくどくと、胸が激しく波打つ。言いようのない切迫した思いが、嘉神を内から焼き尽くそうとして
いた。

(ああ、きっと私は今、とてつもなくみっともない顔になっているにちがいない……)

 嘉神はしばらくの間、そこから動くことができなかった。




おわり

――――――――――――――――




お粗末さまでした!

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