44 :名無しさん@ビンキー:2010/03/02(火) 23:30:22 0
やったー! 鯖復活!
鯖が沈んでた間に書いた暴l君lのl嫁l探lし斧アダ小ネタ投下します。
元にしたのは昨日自分が見た夢なので、
原作とは合わない部分もありますがご了承ください。



暴l君lのl嫁l探lしの設定に乗っ取っていますが、元動画とは関係ありません。
男性?同士の恋愛的な描写が含まれます。
話のモデルは書き手が見た夢。なので設定は曖昧です。
デスアダー←斧。

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石造りの巨大な城の一角。その扉は巨大な鎖と強い魔法で封じられている。
「……退屈ですね」
部屋の中で、ソレは声を出した。感情がひどく薄い声。
だが、そこに人影はない。
ただ、黄金色に輝く斧が一振り、鎮座しているだけである。
そう。声を上げたのは、その斧であった。
ソレ、あるいは彼の名は、戦斧(ゴールデンアックス)。
神々により作り出された強大な力を持つ魔斧である。
「巨人戦役以来、ここに閉じ込められたまま、というのは、
 毎日思いますが退屈ですね」
戦斧の姿が、ゆらめき、消える。次の瞬間には、一人の少年が佇んでいた。
年の頃は、十にわずかに及ばないくらいであろう。
黄金色の髪を肩と眉毛の上で切り揃え、褐色の肌にまとうのは
ごくごくシンプルな一枚布から出来たワンピースである。
中世的な見た目と相まって、ともすれば少女に見えないこともない。
「……こうでもしなければ、窓の外すら眺められない」
発せられた声は、戦斧と全く同じもの。
少年は、即ち戦斧のもう一つの姿なのであった。
今、この世界に住む人々は、彼にこのようなことが出来るとは知らない。
武器として振るわれていた頃には、この姿を取る必要もなかった。
平和な世には、巨人族の血を吸った斧は、似つかわしくない、とばかりに、
英雄の武具だからと理由をつけて、城の一室に押し込まれている。
だから、誰も知らない。彼がこうやって、空を眺めていることを。
「……ん?」
窓の向こうから、何かが飛んでくるのが見えた。
「飛竜(ドラゴン)?」
その影は、ぐんぐんと城に近づいてくる。
「へ……」
珍しく感情の、驚きのこもった声を彼は上げていた。
ドラゴンの背から、何か、いや誰かが窓を突き破ってきたのだ。
とっさに窓際から離れた彼の前に、ごろごろと転がる巨体。
ごん、と鈍い音を立てて扉にぶつかった。
「ってぇ……」
体中を切り傷塗れにしながらも、目の前の男が立ち上がる。
「へへ、まあ成功、だな」
声は、思ったよりも若い。ひょっとしたら、十を越えたくらいだろうか。
「誰です、あなた」
自然と、問いが口をついて出た。
「あ?」
声をかけてようやく、男は彼の存在に気がついたらしい。
「ああああ?! 何でこの塔に人間が居るんだッ!
 確かこの塔の人間共はここを捨てて出て行った、って聞いてたぞ?!」
振り向いた顔は、体躯に似合わず若々しい、いや、幼い。
だが、それよりも彼が口にした言葉を聞きなおした。
「人間が、ここを、捨てた?」
「あ、ああ、そうだ。長老達の話じゃあ、ここに居た人間共は、
 とっくにここを引き払ったらしいぜ。何でも、忌まわしい何かから、
 離れようとしたとか……でも、まさか、その
 こんな、かわ、いいその……」
何やらごにょごにょと口ごもる男を尻目に、
戦斧は口元に自虐的な笑みを浮かべた。
成る程。忌まわしい一族の血を吸ったものもまた、忌まわしい、か。
それで、思いあたった。目の前のこの男は。
「あなたは、巨人族、ですか?」
「お。何だ知ってんのか。そーだ。へっへー人間共も馬鹿だよなー。
 俺達があの戦役で絶滅したと思ってやがんだ」
何処か自慢げに、鼻をこすりあげながら男が笑う。
「巨人戦役。忌まわしい巨人族を、神々が与えし金の斧により、
 人間の英雄が打ち倒した伝説」
「それそれ。……でもよ、俺達はまだ世界を諦めてねえ。
 薄暗い地の底に追いやられようと、必ず、人間共に復讐するんだ」
笑顔で告げられる事実は、人間への死刑宣告。
どうやら、しばらく経った間に巨人達も少しは進歩しているらしい。
だがそれでも、と思う。それでも、巨人族は勝てまい。
彼が、そこに存在している限り。
「ですが、人間共には神が与えた力があるじゃないですか。
 ……戦斧(ゴールデンアックス)が」
口に出してみて、笑いたくなった。神が与えた力などではない。
神が捨てたものが、たまたま、この世界に落ちてきただけのこと。
その身に流れるは神にも匹敵しかねない力。
しかし、神からは忌まれた存在。
それが、彼(ゴールデンアックス)。
「あ? そんなもん、奪えばいいだけじゃねえか」
さらりと、そんなことを抜かすものだから、彼は心底驚いた。
それから、ああ自分にもまだこんな感情があったのかと、また驚いた。
「大体よー、神様が与えた力だーってんなら、
 この世界に生きてる俺達にだって、使う権利はあるはずだぜ?
 神様がどんな奴かは知らないけどよー、そういうもんだろ?」
目の前の男は、何でもないように言ってみせた。
「……そういうのも、悪くないかもしれませんね」
巨人を殺戮して回った力が、今度は巨人の手に渡る。
それは何故かひどく愉快なことにさえ思えた。
「まあな。あーでも、その斧が何処にあるかはわかんねえんだよなあー」
ぼりぼりと頭を掻く。赤茶色の髪が揺れる。
「あなた、名前は?」
「あ? 俺か? 俺は……」

「…………」
意識が、覚醒した。
彼が今行っていたのは、人間でいえば眠る、と言う行動に近い。
最低限のエネルギー以外を、全て記憶の整理に使っていたのである。
いくら無尽蔵に近い容量やエネルギーを持つとはいえ、
時々、こうやって整理を行わねばスムーズに動けなくなる。
実に人間らしく、あの色ボケした神共は作ったものだ、と皮肉げに笑った。
「くっそおおお、何で俺はモテねえのかなあ」
聞こえてきた主の声に意識を向ける。
またか、と呆れたように言葉を紡ぐ。
「馬鹿じゃねーの? モテると思ってんの? 何なの?」
「はぁ? ふざけんじゃねえぞ! あーあー、こんなことなら、
 あの時、あの子を持ち帰っておくんだったぜチキショー」
「だからデスね、誘拐は犯罪だって言ってるデスよ!
 何処の誰をさらうつもりだったんデスか!」
同居人である黒い球体としか形容し得ない魔界の王が、
たしなめるように呆れるように声を上げる。
「俺の初恋のコだよ! はぁ、可愛かったなぁ……」
「へえ。どんな子だったんだ?」
何が楽しいのか、珍しく地味な方の同居人が続きを促した。
「キレーな金髪でよぉ、白いワンピースがよく似合っててなあ。
 ……ま、会ったのは一回きりだったんだが。
 多分人間じゃなかったから、亡霊かなんかだったのかなあ」
うんうんと一人合点しながら、懐かしそうな口ぶりである。
「……えい」
無機質で無感情な声と、ぼきり、という何かが折れる音。
「ぎゃああああ?! てめえ斧何しやがる?!」
「何かしたり顔だったのがむかついたので。
 というか、お前の甘酸っぱい話など聞きたくないわボケェ」
そのまま、痛い痛いとわめく主の声を、意識して遠ざける。
今程、自分が人でなくてよかった、と思ったことはない、と彼は思う。
きっと、人間だったら、顔が真っ赤になっていただろうから。
本当に、あの色ボケ神共は自分をややこしく作ったものだ。
道具である自分に感情をつけるなど、余計なことをしてくれた。
この精神的な気恥ずかしさと高揚感を、どうすればいいのだ、と
うろたえる彼の思考に、答えは出そうになかった。

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はいはい俺得俺得。

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