968 :953:2010/03/22(月) 04:40:21 0
祭に乗り遅れたが、何とか気合で書いてみた。
>>495あたりででたネタをいまさら…といった感じだが祭だからと出してみる。
今日、これから旅行なのに、何してるんだろう私www
ラオホルで、ラオホルと互いの馬達との関係とかそんな感じです。
ホルホル君の馬を勝手にメスにしてしまったー

凄い勢いで、ホルホル君がアホの子になってしまった…
かっこいいホルホル君には、どこに行ったらあえますか?




#注意#




・スレで語られる北斗家ネタベース…なのか?
・ラオウ×ホル・ホース
・ホルが北斗家に住んでます。
・原作をほとんどしらないので、キャラが違うことがあるかもしれません。
・動物に対してキツイ言葉を発しています。
・誤字脱字、誤変換があるかもしれません。


以上のことをご了承の上、お読みください。
了承できかねる方はファイル削除をお願いします。








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「ほーら、適当に走ってきなぁ」

栗毛のハリのある尻を、音がなるほど強く叩くと、
それに答える様にブルルルッ!と鳴いてから、どこぞへと駆けていく。
しばらく駆けていたかと思うと、今度はそこらの草を適当に食み始めた。
その姿を眺めながら銜えていたパイポを、胸のポケットにしまいこんだ。
やわらかい風が、帽子や服を揺らしている。
生き物なのだから、毎日世話はしなければならないのだが、試合がない日は、特にゆっくりと馬の世話をする。
別に馬が好き、といったわけではない。ただの移動手段である。
だが、嫌いじゃないのも事実であった。休みの日はのんびりしたいのもある。

「気ままなもんだ」

庭に放牧場があるとか、どんな家だと思うが、厩舎の主を見れば、誰もが納得するだろう。
厩舎にいた、黒王の姿を思い浮かべると、自然とため息がでる。
自分の馬を出すために、今日も黒王の前を通ったが、すごい目で見ていた。

(きっと、嫌われてんだな)

聞いた話では、黒王はプライドの高い馬で、自分の認めた者しか、その背に乗せないそうだ。
さすが旦那の馬だと思う、頑固さが主とそっくりである。
ペットとして扱ったことはないから、さしずめ夫婦は似てくる…的な感じだろうか?
とにかく、その点では自分の馬も結構似てるな、と思わなくもない。
少し先で草を食んでいる彼女は、黒王とは正反対で誰にでもなつくし、誰だろうとその背にのせた。
自分は彼女を賢い馬だと思っている。
たった一人の主しか乗せない馬は、その主が居なくなれば、存在意義をなくして殺される。
生きるために誰にでも媚を売る、それは自分の生き方に似ている。

(まぁなんにせよ、旦那には嫌われなくてよかった、よかった)

うん、うん、と頷いていると、急に視界が明るくなる。
頭から帽子が消えた感覚がして、追うように顔を上げると、
目の前の彼女が、自分の帽子を食んでいた。

「んなぁ!て、てめー!!俺の帽子を食うな!このアホ馬!」

手を伸ばして帽子を取り返すが、すでに涎まみれになっており、先ほどまで食んでいた草の汁がべったりと付着している。
それを見て、彼女の自分と似ていない部分を思い出した。
誰にでも媚を売るくせに、彼女は妙に嫉妬深い馬であった。
彼女の傍に居るときに、他を見向きするとこうして拗ねるのだ。
おそらく、考え事をしていて、下を見ていたのが気に障ったのだろう。

(これがなきゃ、ほんと〜に、賢い馬なんだけどよぉ)

不機嫌さを隠さないまま、彼女の首を軽く叩くと、嬉しそうに二度鳴いた。
それがより一層、不機嫌さに拍車をかける。
興味を取り戻したのを確認したからか、彼女はまた柵の中を駆け始めた。
その姿を、見ているふりをしながら、俺は初めて旦那と遠乗りに行った時の事を思い出していた。
旦那を恐れてか、それまで目の前で長話をしていても、彼女が嫉妬を表すことはなかった。
それに安心していた俺は、初めての遠乗りでも、彼女を放牧したまま旦那と様々な話をした。
その帰りだ。彼女は騎乗している俺の言うことを聞かずに、黒王に騎乗する旦那を置き去りにするように、猛スピードで駆け出したのだ。
もちろん、彼女なんかよりずっと優れた馬である黒王が、それに追いつけないはずもなく、直ぐに追いつき、余裕の表情で併走した。
それで諦めたのか、それから彼女は、言うことを聞くようになったが、俺は気まずくって、その後なにを話したか記憶にないぐらいだ。

「デート中に余所見すんなってか?」
「なにをしている、ホル・ホース」
「へぅ!」

覇気のある声で、突然後ろから名を呼ばれ、思わず変な声が出た。
あわてて後ろを振り返ると、右手に木のバケツを持った旦那が、それなりに近い位置に立っていた。
俺も暗殺者の端くれではあったが、相手は暗殺拳である北斗神拳の使い手である、歴史も土台も違う。
これでいて、旦那が普段は一番気配が消えてないっていうのだから、もうお手上げである。

「なんだ旦那かぁ」

まだ少し早い鼓動を誤魔化す様に笑みを浮かべ、涎でよれた上に、汚れている帽子を後ろに隠す。
旦那は厳しい視線で俺は見下ろしていて、その姿を見て俺は、男でも惚れるってこういうことかねー、なんて考えていた。
もう少し見ていたかったのだが、後ろから彼女の鳴き声が聞こえてきて、渋々、体を反転させて、彼女の方へと視線を向けるしかない。
また、妙なことをされたらたまったもんではないからだ。

「ずいぶんな言い方だな」

横にきた気配を一瞥し、直ぐに視線を戻す。
そりゃあ、できることなら顔を見て話したいが、今、目を離すわけにはいかない。
一応、話だけなら、彼女を見たままでもできる。

「旦那達は気配が全然ねぇーから、びっくりするんだって!黒王の世話?精がでるねぇ」
「お前も同じだろう」
「まぁ、そうっちゃ、そうだけどよぉ」

旦那と会話をしながら、視線の先にいる彼女の様子を観察する。
やはり、視線をはずさなければ、彼女が妙な行動を起こすことないらしい。
ホッと一息をつくと、視界の端に、旦那の浅黒い肌が入ってきた。

「ホル・ホース」
「なんっ…」

視線の端にある旦那の存在が気になったのと、名を呼ばれたので顔を見上げようとした…
したのだが、俺が旦那の顔を見ることはできなかった。
いや、見えてるっちゃ見えているんだけど、これは見えている内に入らない。
簡単に言おう…何故か、旦那にキスされている。
重ねるだけのキスの後、少しカサついた互いの唇を潤すように、旦那の舌が唇をなぞってから離れていった。

(え?)

視界が開けても、ただ旦那を見上げた。
いったい、何がどうして、どうして何が、いったい何がなんなのか、さっぱりだった。

(ここ…外だよな?そう、外だぜぇ?旦那が?旦那が外で…キス?
 いやいや、外ってかここ家だぜ、外だけど、そう、庭だ、庭。外だけど家だし、庭なんだよぅ)

はっきり言って、自分が今、何を思考しているのかわからない。
つーか、思考というか、整理だ。状況整理。それすら上手くできはいないが…
だって旦那が、家の敷地内で、しかも誰かに見られている可能性のある外で、
強請ってもいないのにキスをしてくれるなんて、今までなかったことだ。

(つーか、何でキス?いや、旦那からってのもなくはねぇーけど…いやいや、嬉しいぜぇ?嬉しいけど、いや、何で?何でよ?)

あぁ、考えが纏まらない。なんだかだんだん頭もボーっとしてきた。
何でこんなに熱いのかも解らない。熱でも出てきたのかもしれない。
そういえば、耳鳴りもしている気がする。心臓が痛いのも、きっとそのせいだ。
だから、旦那もジッとこっちを見てるんだろう。
そうだ、きっとそうだ。そう思って、やっと言葉を発そうとしたその時、
旦那を見上げた俺の視界。旦那越しの空を茶色い物体が通過した。
そう…それは、まるで馬の様な…

「って!俺の馬じゃねぇーか!!!」

思いっきり声を張り上げたら、さすがの旦那も少し怯んでいた。
だが、今はそんな事を気にしている場合ではない。
通過していった茶色い物体を追いかけるように顔を動かすと、彼女か茂みの向こう側へと消えていった。
あの先は勝手口だ。

「おい、待てぇ!この馬鹿!この馬鹿馬!!」

とにかく早いところ捕まえなくては!
俺は、彼女を追いかけて同じように茂みの向こう側へと、突撃していく。
旦那と、汚れた帽子を残して…

「―――またか」

遠くにホル・ホースの喚く声が聞こえる中、ラオウは転がっている帽子を拾い上げ、顔をしかめてそうつぶやいた。
後に、黒王の前で落ち込んでいるラオウを、家に来た東方不敗が見たとか見てないとか…









FIN…?










■□■□■□■↓おまけ↓■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■




これはやさしさなのだろうか、それとも嫌がらせかなにかなのだろうかと、ホル・ホースは頭上を見上げた。

「あーマジかよぉ」

柵を越えて脱走しようとした自分の馬を、やっとの事で捕まえ、厩舎まで引きずってきたのはいいが、
無視できようもない、その存在と光景に、思わず手綱を離してしまったほどだ。
あわてて手綱を握りなおしたが、幸いもう満足していたのか、馬が走り去ることはなかった。
あれだけ駆け回ればそりゃそうだ、と馬の主であるはずのホル・ホースは肩を落とす。
最後の方には、何故か柵の外側を延々と回っていただけなのだ、完全に遊ばれていた。
まぁ、そんな事は今はいいのだと、ホル・ホースはもう一度、問題の物を見上げた。
入ってすぐの馬房は、この厩舎の主の住まいである。
高いプライドと強さに見合う堂々たる姿で、黒王はホル・ホースを見下ろしていた。
その頭に、ホル・ホースの帽子を乗せたまま。
そこが問題だった。
黒王がそこらの人間から、おとなしく帽子を乗せられるはずがない。
そして、間違いなくホル・ホースは、ラオウの近くに帽子を落としていったという確信があった。
これらの結論から導き出されるのは、もちろん、この帽子を乗せた人物がラオウだという事実だ。
黒王の馬房には柵が設置されていないので、黒王と対面するとかなり恐ろしい気持ちになる。
ホル・ホースはスタンド使いであるし、暗殺者ではあるが、北斗のレベルからみると、まっとうな人間であった。
だから、馬に蹴られれば無事ではいられない。
ラオウの情人であるうちは、黒王がホル・ホースを傷つけることはないのだが、それでも肝が冷える。

「それ、返しちゃくれねーかぁ?」

おずおずと頭上の帽子を指しながら言い出してみるが、黒王はまるで聞こえていないという風で、ホル・ホースはガクリと肩を落とした。
黒王は賢い馬だ。柵がなくてもどこかに行ってしまうことはないし、声が聞こえる範囲なら呼べば直ぐ来る。
あきらかに、黒王はラオウの言葉を理解している時がある。
だから、手振りを交えたホル・ホースの言葉を、黒王が理解できていないわけがない。
黒王が自分を嫌っていることに、ラオウは気づいていないのか…と、良かった様な、さびしい様なそんな気持ちになった。
諦めがつかず、あぁ、返してくんねぇかなぁ、と思いながら盗み見るように黒王を見上げると、黒王は、ふとその顔を別の方向へと向けた。
ホル・ホースがそれを自然な流れで追うと、その先には自分の馬が居る。
ブルゥ!と、黒王が威嚇するように鳴き、ホル・ホースはドキリと体を強張らせた。
逆に、ホル・ホースの馬の方は、黒王の事をチラリとも見ずに、早く進めとばかりに、ホル・ホースの肩口に鼻を擦り付けている。

(いやいや、どういう神経してんだよぅお前!)

黒王が恐ろしいという表情は微塵もない。早く馬房に戻って飼葉を食べたい、といった感じである。
その証拠に、早く早くとホル・ホースの袖を齧っていた。

「うわっ!馬鹿やめねぇか!」

かなり遅れてから袖が齧られていることに気づき、あわてて袖を引っ張り出す。涎でベトベトであった。
黒王の方を窺うと、すでに興味をなくしたようにそっぽを向いていた。
それにホッと胸をなでおろし、機嫌の変わらぬうちにと、そそくさと馬を馬房に運び、馬が休める場を作って馬房をでる。
今日は馬に振り回されてばかりだと、いつも以上の疲労を感じながら、ホル・ホースは再び黒王と対面した。
ここで諦めるのが最良だと解っているのだが、帽子を乗せた犯人がラオウとなると、無視をするわけにもいかない。
何かで釣る作戦は、逆効果なのはわかっていたが、性格上それを取りたくなる。
その気持ちを抑えながら、ホル・ホースは飛び切りの笑顔と、いつもの調子で黒王に話しかけた。
馬相手に何をしてるんだか、という思いは頭の中から蹴りだしておく。

「黒王ちゃんよぉ。俺の帽子、旦那から預かってくれてたんだろぅ?」

ちょーだい。とばかりに両手を差し出す。
厩舎の中には、飼葉を食べる音だけが響いた。
今、この姿を誰かに見られたら、思わず自分のスタンドを撃ちそうだった。
沈黙の重さって何キロだ?などと考えていると、黒王の頭がスッと下がり、その頭上からホル・ホースの帽子が滑り落ちた。

(やりぃ!)

返してもらえたと、まるで子供のように喜び勇んで、帽子を受け取ろうと伸ばした手をあざ笑うかのように、
帽子は、ホル・ホースの手に落ちてくる前に、空中でその動きを止めた。
いや、帽子が空中に浮くなんてあるはずがない。
帽子は黒王の口に銜えられ、その場にとどまっていた。
おちょくられた!と、思わず罵倒の言葉が口につきそうになったが、なんとかそれを寸前で飲み込んだ。
あぁ、俺ってすげーえらい!と、ホル・ホースは自画自賛しながら、
今ならタバコの一本や二本吸っても怒られないんじゃねぇーか、とまるで悪魔に囁かれたかの様にフラリと思うが、
あぁ、でもそれだと、また旦那にキスしてもらえなくなるか…と、何とか持ち直す。
そんな事を考えていると、またもスッと帽子が降りてきた。
今度こそ返してもらえる、という気持ちと、今度こそ返してもらう、という気持ちから、
かなり勢いよく、ホル・ホースは自分の帽子を掴みにいったが、その手はむなしく空をかいた。
帽子は黒王に銜えられたまま、右へと移動していた。

「なっ!」

それを追って、ホル・ホースの手が伸びる。

「ちょっ!」

厩舎内に乾いた音が鳴っただけで、手は何も掴まない。
帽子は右上。

「くっ!」

またまたそれを追う手と、乾いた音と、空の手。
帽子は左。
くそっ!という言葉は寸前のところで喉の奥に押し込んだ。
リズミカルに手を叩く音がしばらく鳴り響いた後、ホル・ホースはいろんな事が馬鹿らしくなり、
止めだ止めだと、きつく黒王を睨みあげた。

「このデガブツ!俺を舐めるのもいい加減にしろよ!お前も、走れなくなるのは嫌だろ?なぁ」

もちろん、自らのスタンドで黒王を撃つ気などなかったが、この腹立たしさをぶつけずには居られなかった。
あぁもうどうとでもなれと、殴るような勢いで手を伸ばすが、やはり手は空を切っただけ。
ちょっと、泣きたくなってきた…そう思っていたホル・ホースの頭に、ポフリ、と何かが乗るような感覚があった。
続いて、それをさらに押し込める上からの力が続く。
あわてて頭に乗せられたそれを触ると、間違いなく自分の帽子だった。
米神の辺りの痙攣を我慢しながら、ホル・ホースは負け惜しみの様に笑みを作る。

「可愛くねぇ馬だ」

吐き捨てるように言うと、ホル・ホースと黒王の間に、妙な緊張感が走る。
黒王との距離は変わらないので、再び帽子を取られる可能性があった。
ホル・ホースは十分に警戒して、絶対にそれを阻止しようと心に決めたのだが…
決めたその瞬間、隣からガン!ガン!と、木箱が揺れる音がして、条件反射で叫んでいた。

「うるせー!どんだけ食うんだてめぇは!これ以上太ったら、牛として売っぱら……あ」

気づいた時には既に遅かった。
グッと、帽子が頭にめり込んでいた。
黒王が鼻先でさらに帽子を押し込んだのだ。それは、ホル・ホースの負けを示していた。
押し込む代わりに帽子を取ることだってできた。
恥ずかしさとか、悔しさとか、自分の馬への腹立たしさとか、ラオウへのぶつけ様のない怒りとか、
そんなもので、ホル・ホースの頭は見事に爆発した。

「馬に蹴られて死にやがれ!!!」

馬に向かってそれはない、と言ってくれる人物が居るはずもなく、
ただ、馬鹿野郎ぅぅぅ!と、ホル・ホースの声が遠のいていくだけであった。





この帽子ゲームが気に入ったのか、黒王はこの後も、何度かホル・ホースで遊ぶ様になった。
黒王がホル・ホースと仲良くなったのはいいのだが、その間ほったらかしにされている事に寂しさを覚えるラオウが、
一人と一匹攻防を眺めながら、しょんぼりと立ち尽くす姿を見て、栗毛の馬が愉快そうに鳴いたとか、鳴いてないとか…







FIN

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