308 :名無しさん@ビンキー:2010/03/28(日) 01:54:12 0
270ですが、先ほど投下したスレイヤー×DIOのSSはあまりにも内輪的だなぁと
思うので…毎回保管して下さる方も大変でしょうから、
保管しないで下さいお願いします。と、念のために言っておきます。
これだけではアレなので、さっき勢いで書いたDIO×アレックスのSSを投下。
見事にアレッシーのブームに乗り遅れたでござるの巻。

受け攻めどちらもイケるDIO様は本当に美味しいお方。




!DIO×アレックスのギャグ。
!アレッシーモード注意。
!でもDIO様は精神的に幼児化してません。
!DIO様ならしょうがないな。
!アレックスの性格が分からない。
!MUGEN故致し方なし。

以上を確認のうえでご覧下さい。



トーナメント会場の廊下を見渡したアレックスは、常とは異なる雰囲気に首を捻った。
試合の最中であっても人や怪物、神など多種多様な者たちが行き交う会場で、なぜか今日に限って誰ともすれ違いすらしないのだ。勿論、控え室に行けば誰かしら会うことはできようが、わざわざ用もなく会いに行くほどか、と聞かれればそれほどの事ではないような気もする。要するに微妙な違和感なのだが、微かに唸るに留まり彼はロビーへと差し掛かった。
吹き抜けとなったロビー。そこも廊下同様静まり返っており、やはりここもか、とアレックスが踵を返そうとしたその時、こちらへ背を向けたソファーの向こう側で何かが光り、彼はその足を止めた。
「…髪…?」
ふわり、柔らかく揺らめく光の束。遠くからでもよく目立つそれは近付いてみれば自分と同じ金色の毛髪であるようだった。だがあのような見事な金髪の、更にこれだけ近いてソファーの背凭れから頭も見えないような小さな出場者などいたろうか?関係者以外は立ち入り禁止であるこの場でアレックスの疑問は膨らむばかりで、そのソファーにギリギリまで歩み寄ると背凭れをヒョイと覗き込んだ。
「……やっぱり見覚えがないな」
特別大きく設計されたソファーに埋もれるように座っていたのは、まだ十にも満たないであろう幼い男児であった。
差し込む陽光をめいっぱいに浴びる金糸がきらきらと輝き、透き通るような肌は眩しいばかりに光を反射してまるでよくできた人形のようでもある。といってもこの世界においては『MUGEN故致し方なし』で全てまかり通ってしまうので、あながちこんな人形が置いてあったとしても不思議ではないのだが。
しかしその心配もなかったようで、先ほどの彼の独り言に反応したのかその子供は徐々に目を開き、きょろきょろと辺りを見回すとほぼ真上に位置したアレックスへと、その青い瞳を向けた。
「お前一体…」
「おはよう、アレックス」
どこから来た。そう訊ねようとしたアレックスへ子供はにんまりと、音が立つほどに笑みを浮かべる。見知らぬ子供に急に呼ばれたことと、見知らぬはずの子供のその笑みになぜか思い当たるものがあるように感じて彼は目を見開いた。
「おま、なんで…っ」
胸をせり上がるいやな予感。言葉を詰まらせる彼を尻目に、子供はううん、と伸びをするとソファーから身を翻して真正面から彼と向かい合う。いや、顔をつき合わせるといったほうが正確だろうか。それほどまでに近づいた子供の顔はやはり見覚えがないようで、どこか見たことがある気もした。
「“なんで”…とはずいぶんじゃあないか、アレックス?」
わたしとお前のなかだというのに…。にまにまと、大仰なその態度。その笑い方に急速にある男が思い当たり、アレックスは反射的に飛びのいて距離を取ると驚愕のあまり震える指でその子供を指す。
「お前…っ!DIOか!?DIOなのか!?というか俺とお前の仲ってなんだ!!?」
「しつもんは一つにしろよ。そんなにおどろかなくたって良いじゃあないか…」
腕を肩で広げ、やれやれなどとどこかで聞いたことのある口癖に思わず突っ込みかけるが、なんとか喉の奥で押さえ込むと彼はソファーの反対側へと更に距離を取った。DIOらしき子供はその場から動かないが、DIOのスタンド能力であればこの程度の距離など無いにも等しいのだから油断はできないのだ。
「そう、わたしはディオだ。100年いじょうむかしのすがたの、な」
自らDIOと名乗った子供が、いかにも尊大な様子で手を胸に当ててくつりと哂う。子供らしからぬ老獪な笑みと無駄に偉そうな態度は、ふだんのDIOそのままのものであった。なるほど、思えば彼の部下にはアレッシーなどという幼児化能力を持つ男がいたように記憶しているし、相手がDIOとなれば最早MUGENがどうこう以前の問題として何でも有り得ると思えてしまう。
「そうか、そんな姿になって大変だな。それじゃ!」
DIOと判ればもう長居は無用とばかりにアレックスは早急に背を向けた。いままでの嫌がらせとも思えるDIOの行動にはもう、うんざりしていた。その上厄介ごとに巻き込まれるなどもっての外であるし、何せDIOには自称最強のスタンドがあるのだ。大抵のことは誰かが手を貸すまでも無い。
しかし、そろそろ射程圏外に出る、というところでアレックスは足を止めた。振り向けば、DIOはまだ同じ場所にポツンと佇んだまま無表情にこちらを見ているだけだ。
「……追って、来ないのか…?」
思わず呟けば、フン、と鼻で笑いDIOが肩を竦める。
「おってほしいのか?」
「いや、そういうワケじゃ…」
ただ、拍子抜けしてしまったのだ。もはやアレックスは『世界』の射程から離れてしまっているし、なにが起きても対処できるよう油断も慢心も無い。それでも何のアクションも起こさないDIOの表情がどこか物憂げで拗ねているようでもあり、普段の自分勝手で気ままな帝王とは程遠いそれについ調子が狂ってしまう。ただでさえ世話焼きな彼は子供が嫌いでないのだ。
「いまのわたしでは、お前をおえない…このすがたでは、スタンドすら出せないのだからな」
「…なんだって?」
幼い姿に血のような紅い瞳はなりを潜め、つまりは吸血鬼ですらないのだろう。更にスタンド能力さえ無いというのだから、ここにいるDIOは確かにただの子供であるのだ。それではアレックスに敵うはずもない。
だから追わないというのか。
「…なんだか、お前らしくない、な…」
何度拒絶しても諦めをしらない帝王が、試みる前に放棄している。それが信じられなくて、アレックスは妙に居たたまれなくなる。まるで自分が悪いみたいじゃないか。とさえ思った。

「…だから、お前がきてくれるだろう?」
「――………は…?」
耳を素通りしたDIOの言葉が、アレックスの頭をグルグルと巡る。
聞き間違いではないだろう。両手を広げ、受け入れるポーズをとったDIOは今までに見たことも無いような無邪気な笑顔を見せる。その天使のような愛らしい笑みに不覚にも絆されかけ、フと我に返ったアレックスは頭を激しく振ってその考えを振り払った。
「な…何を言ってるんだ!お前はDIOだろうが!!何をされるか分からないのに、そんなことをすると思うか!!」
そうだ、いくら外見が幼い子供でも、中身は普段のDIOなのだ。
危ない危ない…と胸を撫で下ろしたアレックスに、DIOはしおらしく項垂れるとギュウ、と胸の辺りを強く握り締める。
「なにもできないこどもを…凶ランクがウヨウヨしているところに、おいて行くのか…?」
なるべくアレックスが考えないようにしていた事を、DIOは幼い姿でドスリ、鋭い刃で貫いていく。
「ぶ、部下に来てもらえば良いだろう…!」
「このすがただぞ?スタンドもなしで…さとられれば、はんぎゃくするのが目にみえている。だいさんしゃの、お前しかたよりがないのだ…」
潤んだ上目遣いで極太の刃を刺され、アレックスは崩れ落ちた。どこかで『K.O』のアナウンスが聞こえた気がして、もう逃げ場のないことを悟る。
相手は何も出来ぬ子供なのだと、何かあればすぐに引き剥がせるのだと、そう心で念じながら鉛のような足を引きずってこちらへ腕を伸ばすDIOへと近づいた。

ヒョイ、と綿のように軽い体を抱きかかえると、嬉々としてDIOはアレックスの太い首に腕を回した。容姿だけは愛らしい腕の中の子供に、彼はこれがDIOでなければ…と心の底から悔やんだ。
「…おい!何をしてる!…触るな!!」
「雄っぱいは良いな、やはり」
わさわさと、小さな手がアレックスの大胸筋を這って回る。いつものように後ろからわし掴まれるのとは違って、なんだかこそばゆい。
「…放り投げるぞ」
「……」
予想通りの展開に凄みをきかせ唸るが、下手に触れれば折れてしまいそうな小動物染みたDIOの姿で、更に無言であの上目遣いをされ、グ…と言葉に詰まってしまった。そんなアレックスに見えぬよう雄っぱいに顔を埋めてそっとほくそえむと、DIOはまた幼い手をいっぱいに広げて撫で回す。
どう足掻いても逃げられないと知ると、「I can't escape…」と呟いて彼はガックリと肩を落とした。

実はアレッシーにわざと幼児化させ、さらに二人の上空にはヴァニラ・アイスが自身の亜空間に身を潜めていたのであるが、アレックスにそれを知る術はなかった。

END

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