551 :名無しさん@ビンキー:2010/03/31(水) 23:07:14 0
流れ遮って申し訳ありませんが、少し前に話題に出た青姦ネタで一つ書けたので投稿。
バルジャギえろで「桜霞」。タイトルの割りにギャグ成分多め。

……まだレスネタのななやんをひきずっているようだ。




※バルジャギ R18
※バルバトスとジャギが同棲済み
※同性同士で性描写あり。
他諸々をご理解の上、↓スクロールでお願いします。















 MUGEN界に来てから何度目の春だろうか。
 桜の花が咲き始めているのをぼんやりと眺めながらジャギはそんなことを考えていた。が、別に感傷に浸っているわけではない。

「桜咲いてやがるよな春だよななのになんでこんなクソ寒ィんだ…ッ!」

 誰にとも無く細く吼えれば言葉と共に吐き出された息が白く煙る。腕を組み猫背を丸め、身を縮めるジャギは今、試合時と変わらぬ素肌にとげ付き革ジャンという出で立ちだった。否、いつもと同じというにはグローブや膝当てが足りないか。
 窓から外を見たときは、日も照っていて桜も咲いており風もそうないようで暖かそうに見えたのだ。勿論玄関を出た時点で間違いに気づいたが、どうせすぐそこのコンビニまでだしとそのまま出掛けたのだ。往復歩いて20分未満。今は帰り道なわけだが絶賛後悔中。コンビニの中が暖かかったから余計に、寒い。
 今のジャギにはたった10分の距離が長く思えた。

「……こういう時は、」

 がさがさとコンビニ袋をあさり取り出したのはカップ酒。躊躇無くタブを開け、ジャギはそれを一気に喉へ流し込んだ。アルコールを得た体が熱を生み始めるがまだ足りない。もう一杯、と手を伸ばし開けたジャギはふと先ほどまで見ていた桜へ視線を戻した。
 5分咲き程度のまだ蕾が目立つ桜の木が立っているのは公園の敷地内だ。もっとも無駄に広い公園から人の気配は無い。これだけ寒いのだ、満開でも無いのにわざわざ花見をしに来る者もいないのだろう―――遊具があるのは此処からだと反対側の僅かな範囲だったように思うからそちらへ行けば人もいるかもしれないが。

 折角だ、花見酒と洒落込むか。
 口中で独り言ち、ジャギはカップへ口をつけつつ公園へ爪先を向けたのだった。






***

 他に比べ花の多い桜の木の正面の木の根元へ腰を下ろし四杯目のタブを開ける。茂みに囲まれこじんまりした空間は外界を拒絶しているようで何となく落ち着けた。飲むのにいちいち持ち上げなければならないヘルメットを脱いで横に置くとカップへ口をつけながらジャギはまだまだ寂しい桜を眺めた。
 薄いピンクの向こう側には青い空が広がっていて、そこに白い雲が漂っている。手をついた地面には人工芝が植えられていて柔らかい。――うっそりとジャギの双眸が細まる。

 あぁ、此処は何て平和なんだろうか。

 あまりにも平和すぎて、あんまりにも平穏すぎて、自分が世界から隔絶されたような気分になる。……そうされても仕方ない程のことを自分はあの荒廃した世界でやってきた。
 尤もそんな殺人鬼も犯罪者も人外も平和に見えるこの世界には五万といる。そしてそんな”悪”を倒せるほどの”正義”も五万といる。だからそんな感傷は妄想の類でしかなく、そんな甘えた考えを抱いた自分をくだらなく思い、ケッ、と口を曲げ酒を煽った。

「おい。」

 唐突に気配が生まれ、怒気を孕んだ声が横手からかけられてジャギは顰めた顔をさらに顰めた。空になったカップを置きつつ顔を向ければ案の定、そこには家で待っているはずのバルバトスが腕を組み立っていて。紫色の双眸を細め、バルバトスが口を開く。

「貴様……人を待たせておいてこんなところで悠々と花見酒とは、いい度胸じゃねぇか。」
「ハッ、人を無理矢理買出しに行かせておいてよく言うぜ。テメェこそ家で大人しく待ってられねぇのかよ。」
「公平に決めてやっただろうが。」
「狂上位に強上位が勝てるか馬鹿野郎…!」

 ふん、と鼻を鳴らしつつ隣に座るバルバトスへ唸るように怒鳴ったのは”公平な”手段というのがMUGENらしく試合だったからだ。勿論、開幕ぶっぱで10割余裕でした。
 まぁ、それはもうどうでもいい。どうせいつものことなのだ。そんなことよりもとりあえず顔を隠そうとヘルメットへ手を伸ばしたジャギからバルバトスがヘルメットを奪って。ひくり、とジャギの顔が引き攣った。

「オイッ、返せ!」
「酒を飲むのにコレは不要だろう。」
「いいから、返しやがれ!」

 身を乗り出し腕を伸ばしてヘルメットを奪い取ろうとすればバルバトスの手が遠ざける。「このッ」さらに身を乗り出せば身体が密着するのだが構わずジャギは手を伸ばした。――唐突に、耳朶を噛まれて体が跳ねる。

「ヒッ!? てめ、何しやがる!!!」
「フン、無防備に人の目の前へ弱点を晒す貴様が悪い。」
「あ゛ァ!? 誰の何が弱点だ! フざけんな!!」
「…ほぉ? つまり、耳は貴様の弱点じゃないと?」
「当たり前だ! 言いがかりつけんじゃねぇよ!! そんなことよりもさっさと返しやがれ!」

 怒鳴り手を伸ばすジャギの目はヘルメットしか見ておらず、だから顔の横でバルバトスが不吉に笑った事に気づかなかった。
 伸ばした指がヘルメットの飾りへ引っかかる。そのままヘルメットを手中に取り戻したジャギは安堵感から僅かに身体の力を抜いた。その瞬間、世界がぐるんっと回転し背中に衝撃を受け息が詰まる。条件反射で受身を取った手の中から固い感触が転がり落ちたけれど、目を開いた眼前に獰猛な紫色があって硬直した。
 くつり、と哂いを零した唇が耳元へ寄せられる。笑みを孕んだ吐息が入口をくすぐって、嫌な予感にジャギの手がバルバトスの肩を掴んだ。

「おい、何の――ッ!」

 唾液で濡れた舌が耳を舐めてビクリと肩が揺れる。くちゅりと鼓膜に響く卑猥な水音から逃げようと暴れるけれど左肩を地面へ縫い付けられており碌に動くことも出来なかった。反対の手はジャギの頭を抑えながら耳を塞いでいて、余計に音が反響して聞こえ喉が引き攣る。
 形を確かめるようにねっとりと舐められ、前触れ無く歯を立てられ、時々僅かに音を立てて吸われ、出そうになる嬌声を飲み込むけれどわざと吹き込むように耳元で哂われるとどうしようもない痺れが走った。
 反響する粘着質な水音に脳味噌まで犯されているような感覚に陥って眩暈がする。

「やめっ、」
「どうした? ん?」
「ヒッ、ァ、そ、な、声で…しゃべんな…!」
「ココは弱点じゃァないんだろう? だったら、どうともない筈だが?」
「ンッ…う、るせぇ…ッ!」

 嬌声を低くかみ殺し唸るように抗議するけれどバルバトスは喉で愉しげに笑うだけだった。腹立だしいのに身体はぞくぞくと愉悦に震えて、中心へ集まりだした熱にジャギは忌々しげに舌打ちした。それに気づいたバルバトスの膝が布越しにジャギのものを擦り上げて、かみ殺せなかった嬌声が跳ねる。

「うあッ!」
「くくく……随分と硬くなってるじゃねぇか、あぁ? 触ってもねぇのによォ」
「違ッ、これは…!」
「これは、何だ? ん? 言ってみろよ。」
「ぐ……な、何かの、間違いで、」
「ほぉ? 間違いねぇ…くく……間違いで、テメェはここをこんなにおっ勃ててやがるわけだ? そりゃあ随分とまぁ淫乱な身体してるんだなァ?」
「〜〜ッ!!?」

 大いに反論したかったが今口を開けばあられもない声が漏れそうで、ジャギは歯を食いしばって呼吸ごと声を飲み込んだ。
 意識はバルバトスの揶揄に怒りを覚えている筈なのに身体はその一言一言に煽られどうしようもなく熱い。

「どうした? 返事が無いようだが、手前の身体がエロい事は自覚していたか。」
「馬鹿か…ッ! 誰が、」
「ジャギ?」
「ッ」

 優しく、それでいて嬲るような声で囁かれて息が詰まった。ずくりと中心が脈打って泣きたくなる。
 苛められて悦ぶなんざ、変態じゃねぇか。そう思うのだけれど、身体はもっと強い刺激を求めてもどかしさに震えている。

「――畜生…ッ!!」
「何だ、もう限界か?」

 くつくつと喉で哂いながらの言葉に、どうとでもなれ、と、細く息を吸った。

「あァそうだよ、限界だ…ッ どうせ俺は、テメェの声だけでどうしようもなくなるド淫乱だよッ! 認めてやるから――さっさと、イかせやがれ…ッ」

 唸るような怒声に、沈黙。くつり、と一度耳元で笑ったバルバトスはゆっくりと顔を上げた。
 交わった紫色の瞳は冷静に獰猛で、ギラギラと情欲に濡れたその眼差しにごくりと唾を飲む。噛み付くように口付けられて応じれば下着ごとズボンを引きずり下ろされ乱暴に昂ぶったものをつかみ出され扱かれ、くぐもった嬌声をバルバトスの口中へ零した。
 
「んゥ、フ…ゥッ、んむ、んんッ…! ハァ、うあっん、んッンンンッッ!!」

 ピリッと米神に電流が走り、ブーツの中で足先を丸め突っ張った下で土がえぐれる。深く唇を合わせたままの絶頂に、酸素不足で眩暈がした。
 漸く顔が離れて荒い呼吸を繰り返す。その間に濡れたバルバトスの指が後孔を抉って「いっつ…!」慣れていることとはいえ悲鳴が漏れた。少しでも負担を和らげようと腰を浮かして足を広げれば見下ろすバルバトスが満足げに笑みを浮かべて、その向こうで枝を広げ木漏れ日をちらつかせる桜とのアンバランスさにジャギは双眸を細めた。
 唐突に前立腺を擦られ身体が撓る。詰めた息を吐き出して、視界に広がるひっくりかえった空と地面に此処が外だという事を再認識しこみ上げる喘ぎ声を必死で噛み殺した。

「おい、ジャギ」
「ン、だよッ」
「脱げ。」
「………あ? ッ!」

 ずるり、と、三本に増えていた指を一気に引き抜かれて息を詰める。「ハァ…」熱く吐息して、漸くバルバトスの言った意味を理解した。
 つまり、ブーツが邪魔でいつものように剥けないらしい。緩慢な動作で言われるまま靴を脱ごうとして……ふと鈍っていた思考が戻った。
 もしこのまま靴を脱げば、下は全てとっぱらわれるだろう。そうなればジャギは外でほぼ全裸状態になるわけで、それは流石に、嫌だ。

「……いや、別に脱がなくてもいいだろ、後ろからヤりゃァ」
「それだと顔が見れねぇ」
「見なくていいだろ……」

 むしろ見られたくない。

「うだうだ言ってねェでさっさと脱げ!」
「そう言いつつ脱がすんじゃねぇよ馬鹿野郎!! オイ、靴投げんな!!」

 脱がしたブーツを後ろへ投げ捨てるバルバトスに怒鳴るけれど、抗議を聞いてくれるほど可愛らしい男ならそもそもこんなことになっていない。舌打ち一つで諦めて、ジャギは案の定下着ごとズボンを剥ぎ取ろうとするのを腰を上げて手伝った。
 脱がした衣類を靴と同じ場所に放ると同時にバルバトスがジャギへ被さる。日の下で取り出された雄はギリギリまで昂ぶっていて、思わずごくりと生唾を飲み込んだ。
 膝裏へ手を入れられ高く持ち上げられる。露出した秘部に羞恥心がこみ上げたけれど、すぐにそこへ熱をねじ込まれて霧散した。
 肉壁を擦りながら奥へねじ込まれる肉棒に、その味をよく知る体が震え進入を手助けるよう無意識に動く。ねだるような自らの浅ましい動きを忌々しく思うのだけれど、最奥へたどり着くと同時に始まった激しい律動に揺れる腰を止めることが出来なくなった。
  
 つま先から脳髄までを快楽が支配し全身が震える。骨に響くような突き上げに縋るものを求めた手がバルバトスの背中へ回され爪を立てた。
 立ち上がった肉棒が互いの腹に挟まれ擦れヂリヂリと絶頂感が上ってくる。密着した状態での深い挿入は内側に音を響かせて、内壁を擦られる生々しい感触と音に込み上げる羞恥心さえ愉悦に摩り替わってジャギを追い詰めた。
 嬌声を必死で抑える唇をバルバトスの舌が舐め、開かせると歯列を割って舌を引きずり出す。熱に浮かされたまま応えれば呼吸の合間合間に甘い声が鼻から抜けて、下からも上からも食らい尽くされるような感覚に何も考えられなくなっていく。
 紫色が眼前で傲慢に笑い―――ふいに、視線を逸らされた。

「む、ゥん…ん…? …!」

 視線の先へ意識を向ければ、複数の気配に気づいてサァーッと血の気が引いてゆく。幸い距離はまだ遠く、低木に囲まれているので相手からは見えていないだろうが此処はMUGEN界だ。戦闘に長けた者の多さは言うまでも無く、透視能力を持つ者や妙に耳のいい者も少なく無い。
 行為の中止を訴え目に力を込めたけれど、口付けさえ止めてもらえず米神を引き攣らせた。

「ンッ、てめ、状況、ッ! わかっ、んぐ…!」

 抗議の声を食らい、腰の動きを止めないバルバトスに青筋が立つ。怒りに任せて相手の舌に歯を食い込ませたが広がった血の味にバルバトスが双眸を眇めたのに気づいて顎を引いた。すぐに傷口を押し付けるよう舌を合わせられて鉄錆の味に眉間へ皺が寄る。ずくりと体内で脈打つ雄に自分の行動が逆効果だったことに気が付いたが後の祭りだ。
 唇が離され、首元へ牙を立てられる。それも甘噛みなんて優しいものではない。ぶちぶちと繊維を千切られる痛みに、逸らした喉から細い悲鳴が漏れた。

『……ぃ、………か?』
『……?』
『……、…………。』
「!!!!」

 耳が拾った声に硬直する。血の流れる傷口へ潜り込む舌に本能的な恐怖から悲鳴が出そうになるけれど自分の腕を噛んで必死に堪えた。粘着質な水音が響く度に居場所がばれるのではないかと心臓が跳ねる。
 焼き切れそうになる愉悦に逆らいつつ神経を張り巡らせて気配を探っていたジャギは、突然肉棒を握りこまれて目を剥いた。

「バッ、」

 馬鹿野郎、何考えてるんだ、テメェは! そう怒鳴りそうになり慌てて飲み込む。殺気混じりに睨みつければ赤く濡れた口角を吊り上げたバルバトスの手が乱暴にジャギを扱き始めて、駆け上ってくる絶頂感に全身が引き攣った。
 止めろ、と、眦の朱い目で睨むけれどバルバトスを煽るばかりで効果は無い。引き攣る喉で嬌声を留めるけれど腰は開放を求めて揺れている。
 鼓膜が誰かの会話を拾うけれど快楽に追い詰められたジャギには何を言っているのか理解できなかった。ただその音が確実に先ほどより近いことに気づいて泣きそうになる。
 先走りの滲む先端へ爪を立てられ悲鳴が漏れる。まだ鮮血を流す傷口に歯を立てられ、同時に深く突き上げられて、網膜の裏で光が激しく明滅し快楽が弾けた。

「や、ぁああああッッ!!!?」

 堪えられずに嬌声が跳ねる。弾けた熱がバルバトスの手を汚し、遅れて体内を熱いものが満たした。生理的な涙を流す双眸は絶頂を迎えた余韻で蕩けている。
 ――――が、駆け寄ってくる気配があるのに気づくと即座に青ざめた。反射的にバルバトスの服を掴めば顔に何かを被せられて、それがヘルメットであることに気づくと同時に腕を引っ張られ上体を起こされた……結合したまま。
 文句を言うより先に、「大丈夫ですか!?」場違いな若い声が聞こえて思わずそちらを向く。
 長方形に整えられた小低木の少し向こうで、声の主だろう見覚えのある金髪の青年がぽかんと口をあけたのを見て、くらり、と、絶望感に眩暈がした。

「……え? あれ……バルバトスに、ジャギ? え?」
「フン、」

 バルバトスが腕を広げるのにあわせて闇が広がる。浮遊感にしがみつけばすぐに視界が晴れて、気が付けばジャギは自宅の寝室にいた。
 見られた事実への混乱と、現状への混乱に思考停止状態へ陥ったジャギは、何事も無かったかのように行為を再開しようとするバルバトスにハッと我に返った。

「なんっ、テメ、何しやがった!?」
「次元を歪めて移動したんだよ。」
「……ハァ!!? テメェ!ンな事できるならもっと早く…!」
「ほう? 随分と興奮しているようだったからギリギリまで待ってやったんだが…余計な気遣いだったようだなァ、そりゃあ悪かった。」
「!!!! テ・ん・メェ…ッ!!!」

 にやにやと、意地悪い笑みを浮かべてのまったく心が篭っていない謝罪に頭に血が上る。ヘルメットを被せられたおかげで素顔は見られなかったにしても、相手に個人は特定されてしまったのだ。間に障害物があったおかげで胸より下は見られていないだろうけれど、ナニをしていたかなんて簡単に想像がつくだろう。
 頭を抱えようとしたジャギは、再びヘルメットを奪われてバルバトスを睨み付けた。

「この変態野郎ッ! 二度と外でなんかしねぇからな!!!」
「そんな事よりもっと寄越せ。」
「テメェ…ッ」

 ひくり、と怒りに頬を引き攣らせるジャギに構わずバルバトスは噛み付くように口付けるとその身体をベッドへ押し倒した。ナカのものを動かされ、強制的に行為を再開されて背中が弓形に撓る。
 ……何か忘れている気がしたけれど、そんな危惧はすぐに快楽へ沈んでいった。







END…?


***おまけ***
 
 声をかけた姿勢のまま硬直するロックを見て、彼を追いかけてきた者達は揃って溜息を吐き出した。だから余計なことに首を挟むなと言ったのに、変に正義感を発揮するからこんなことになるのだ。
 ―――茂みの中から声がすると言ったら、十中八九ナニしか無いだろうに。

「確認して気が済んだだろう、さっさと行くぞ。」
「せ…刹那? 今のって……」
「忘れろ。……おい七夜、さっきから何をしている。」
「ちょっとね。ネタは暖かいうちに書き込まないと、だろ?」
「意味がわからん。」

 カチカチとケータイを弄る七夜にうんざりと嘆息し、いまだ硬直するロックを引きずってこようと歩み寄る。「行くぞ、」腕に手を伸ばしたところで、青ざめたロックの視線が一点へ注がれていることに気が付き、ひょい、と刹那は目をやって――瞬間、後悔した。

 そこには脱ぎ捨てられたズボンとブーツが、妙に生々しく転がっている。
 硬直する二人へ歩み寄った七夜が、ソレを見つけて後ろで噴出した。

「ぶふゥッ……く、くくくッ……さ、最高だなあのおっさん達…!」
「おい、言いながらケータイを構えるな」
「…………ど…どうしよう……」
「こんな場所でしていた奴らが悪い。いいから、行くぞ。」
「でも…! ふ、服を届けるとか…!」
「止めてやれそれは流石に。」

 どう考えても、それは止めだ。

「放っておけよ、自業自得だろう? それに後で取りに来るの想像したら笑えるじゃんか。――お、良いもの見っけ。」

 言いつつ小低木を軽く跳んで跨ぎ、七夜が拾い上げたのはコンビニ袋に入ったアルコール類だ。10本以上は入っているそれを持って戻ってくる七夜に刹那とロックが眉を顰める。

「おい、」
「それってあの二人のだろ? どうするんだよ。」
「勿論、貰っていくのさ。見たくも無いモン見せられたんだ、慰謝料代わりだよ。」
「普通に泥棒だろそれ。」
「どうせ今頃第二ラウンド開始してて忘れてるって。」
「第二ラウンドって…!」
「……はぁ、もういい。とにかく行くぞ。待たせると煩い。」

 言い捨て返事を待たずに踵を返し目的地へ向けて歩き出す。そもそも、こんな寒い日に突然花見をしようなんぞと言い出した馬鹿が全部悪い、と、刹那はギースへ殺気を飛ばした。
 目的地では、既にハワート家の連中と彼らに呼ばれた数名が待っていることだろう。

「ちょ、待ってくれよ刹那!」
「やれやれ、せっかちだねぇ」

 さっさと行ってしまう刹那を追いかけ二人も駆け出す。
 ―――目的地にロックが呼んだ承太郎が連れてきたらしいケンシロウがいるのを見て、七夜が噴出し二人が気まずくなるのは数分後。



END

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