576 :名無しさん@ビンキー:2010/10/31(日) 22:36:27 0
ギリギリっぽいですが、自分もハロウィンSS投下させてください
素敵なほのぼの甘SSたちの後なのが申し訳ない苦めのビリアルです。
最近のビリアルの流れに萌えた結果がこれとかどうなんだ私よ…

URL:ttp://www1.axfc.net/uploader/File/so/53451
タイトル:TRICK or TRUTH ?
パス:mugen
ネタ元・設定等:師i範i代の人の動画ネタベース
カップリング:限りなく両片想いなビリー×アルバ
性描写の有無:なし。キスすらないよ!
内容注意:キャライメージをそれなりに崩す恐れがあります。あとちょいメタっぽい表現有?

なんて書いてたら>>575にもう一本キター!
早速読ませていただきます!




 
 ☆ ビリー×アルバ……というかビリー→←アルバな話。
 ☆ ビリーがなんというヘタレ。
 ☆ アルバが乙女なのか何なのかよくわからない感じ。
 ☆ それはちょっと……って方は今すぐこのファイルを投げ捨てるが吉。

 大丈夫だ、問題ない。って方はこのまま読み進めてください。






























この世界ではハロウィンはほぼ強制参加のイベントである。
仮装をしていないと何処からともなく黒子やカlンlフlーlマlンが現れ、黒い三角帽子やらお化けシーツなどの簡単なアイテムを支給されるのである。
幸いなのかどうなのかはよく分からないが、ビリーは既に兄からパンプキンを象ったニット帽を手渡されていたので、そんな奇妙な施しは受けずに済んだ。
その帽子は、カニミソの洗礼を受けた女子たちが集まって作ったもので(だからといってその作品にカニミソな要素は特別ないようだ)、参加者の男性陣にプレゼントしているそうなのである。
互いに特殊な状況に置かれたせいなのか何なのか、七i星i祭メンバーを始め参加者達の仲はなかなか良好なのだ。

「こういう帽子は初めてでね、ちょっと変な気分だな」
「はは、確かにあんたニット帽って感じじゃないもんな」

偶然出会ったアルバも同じ帽子をしていたが、重そうな赤い服やシャープなサングラスにはやや不釣合いで、ビリーは思わず噴出してしまった。
気を悪くしたかと思いきや、アルバ自身も自覚していたため、頷いて苦笑するだけだった。
クールだとかスタイリッシュだとか(接頭に『ダサ』が付くことは多々あれど)カッコイイと評される彼の照れたような顔が見れるのは非常に珍しい。
なんか可愛いかも……とよからぬ方向へ靡きそうな思考を正常に戻すため、ビリーは会話を進める。

「そうだ、あの黒い尖がり帽子、アレならマシになるんじゃないか?」

ビリーがそう提案すると、アルバは顎に手をやり「ふむ……」と想像してみたようだったが、すぐに緩く首を振る。

「そうかもしれないが、フロイラインが私達のために、と作ってくれた逸品を無駄にはしたくないな」
「ああ……なるほどな」

フェミニスト然とした気障な言い方だが、アルバが言うと何となく似合っているような気がしないでもない。
素直に誉められないのはビリーがその手の言い回しが苦手なせいである。

「それよりも、互いにこうして一応の仮装しているからには、お決まりのあの文句を言わねばならないのだろうね」
「あー……そっか」
「では、私から。トリック・オア・トリート?」

右手をすっとビリーへと差し出しながら、アルバは微笑んでそう告げた。
その掌へと、ジャケットのポケットから取り出した、袋に包まれたキャンディを三つほどころん、と乗せる。

「こんなもんしかねぇけど、いいか?」
「いや、有難う。正直なところ、持っていなくて困らせてしまうか不安だったんだよ」
「アンタの悪戯くらいじゃどうってことねぇだろうけどな。それ以上に怖い奴がごろごろいるだろうよ」

だから一応持ってたんだ、とビリーは笑った。
中には「お菓子はいいから悪戯させろ!」などとのたまう輩もいるそうだが、どういう原理なのか、菓子を与えられたら悪戯となる行動には制限がかかるという補正が全員にかけられているようである。
この世界では日常生活・年中行事においてもある程度の調整は必要なのである。

「……少し、つまらないな」

ぼそり、とアルバが呟く。
だがビリーには上手くそれが聞き取れず、「なんだって?」と尋ねる。

「……いや、配る分のお菓子をね、控え室に置いてきてしまったな、とね」
「んじゃトリックで……と思ったが、たいした悪戯も思いつかねぇし、トリートでお願いするよ」
「そうか、すまないね」

そうして、アルバに連れられるまま、彼の控え室へと移動する。
ソファに腰掛けながらチョコかクッキーかはたまた何だろうかなどとビリーは思案していたが、そのどれもが渡されないとアルバの言葉で知る事となる。

「困ったな、君に会う前にあげた分で最後だったみたいだ」
「あれ? そうなんだ?」
「どうやらトリックの方になってしまったようだね」

苦笑しながら、アルバがビリーの隣へと腰掛けてくる。
オレンジ色のニット帽を外して、微笑みながらビリーを見つめる。

「さあ、どんなトリックでも好きなだけどうぞ」

たったそれだけの言葉で、ビリーの心臓がどきりと跳ね上がる。
どんなトリックでも、と聞いて不埒な思い付きが頭から離れなくなる。
それに加えて好きなだけ、ときたらもう甘美な誘惑のようにしか思えなくなってきて、たまらなくなってしまう。
サングラスの奥の瞳は一体どんなトリックを予想しているのだろうかと考えては、自分の都合のいいように持って行ってしまう。

(まずい、やばすぎるぞ、これは……!)

このまま勢いに任せてしまいたいが、『悪戯』としてやってしまうのは憚られた。
そんな都合のいい理由じゃなくて、もっと、大事な意味をもってすべきなのだと理性が叫ぶ。
そうは思っていても、両手が自然とアルバの頬へと伸びていってしまう。
ここまで来て降ろすのはあまりにも不自然すぎる。

(どうする? どうしたら……!)

そこではっと閃く。
苦し紛れもいいところだが、そのまま手を両の耳へと持っていき、サングラスをすっと奪い取る。
露になった碧い瞳は驚きにぱちくりと開かれていた。

「こいつは今日一日いただいてくぜ」

にやりと、出来る限りの悪戯っぽい笑みを浮かべてアルバを見据える。
すると、アルバの瞳が少し細められて、困ったように笑う。

「……裸眼のまま人前に出るのはあまり好きじゃないんだ。これはなかなか痛いな」

咄嗟の思いつきにしてはなかなか上出来だったようだ。
とりあえずの悪戯が無難な方向で成功したことに内心安堵して、ビリーはそそくさと控え室から出ていく。
去り際、菓子がないと大変だろうから、ともう幾つかキャンディを置いていって。










「……脈はある筈なんだがなぁ……」

はあ、と溜息を吐いて、アルバはソファにだらしなく崩れる。
赤いジャケットのポケットの中ではビリーに貰ったのとは違う菓子がじゃらじゃらと揺れる。

「やはり菓子を頂いた上でのトリックは制限されてしまう訳か……」

小さく自嘲しながら貰ったキャンディのひとつを手に取り、ゆっくりと包装を剥がしていく。
現れた透明な黄色いそれを舌で転がせば、酸味の効いたほのかな甘みが口腔を満たす。
今のアルバにはその酸っぱさは妙に強く感じられて、胸まで痛くなっていくような気がしていた。

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