最終更新:ID:lA7qQttsFw 2010年06月03日(木) 13:45:20履歴
129 :名無しさん@ビンキー:2010/05/23(日) 06:57:13 0
誰もいない!投下するなら今のうちだ!
前スレあたりでゼウス×ドゥームにレスがちらほらきてたのと
原作ドゥーちゃんの複雑設定ぶりに燃やされた勢いでSS書いてみました。
中ボスなのにシリアスです。はい。
爛れないどころかカプ成立もしてない件。
妄想スキルが足りないのか中ボスのKENZENの壁が厚すぎるのか…
☆ ゼウス+ドゥームな中ボスシリアス話でございます。カップリングになれなかった……orz
☆ 原作のドゥームの設定がちらほら出てきます。知らなくてもそれなりに読める……はず。
☆ 普通にローズが三人の中に混じってます。性格は割と普通め?
☆ キャラの性格とか口調とかなんか不安定。
それでもいい方はゆっくり読んでいってね!
飲み慣れていないくせに、ゼウスとドゥームのペースに合わせて酒を飲んでいたせいで、アーデルハイドは酷く酔っていた。
普段の青白さが嘘のように真っ赤な顔をふわふわした笑みに染めて、呂律の回らない舌でこう言っていた。
「ゼっちゃんとドゥーちゃんはね、私が初めて心から大切だって思った親友なんだよ。
だからね、何があっても離れたくないし、離したくないんだ。これからずっとずーっと一緒だって約束だからね!ぜったいだよ!」
言うだけ言って満足したのか、アデルは程なくして眠ってしまった。
ゼウスとドゥームは突然の感動的な告白に驚き、しばらく呆けていたが、アデルの寝息が深くなると我に返り、ベッドへと運んでやった。
何度も訪れているのでこの家の間取りは殆ど覚えている。
「まったく、いきなりどうしたんだろうね……」
「さてな。深い酩酊に任せて何やら溜め込んでいた本音でも吐き出したくなったのかもな」
そんなこと言わずとも分かっているのに、と付け足しドゥームは笑った。
ゼウスもそれに釣られて笑う。
改めて言葉にされると本当に嬉しくて、意識せず表情が緩んでしまう。
「どうだ、せっかくだからドゥーちゃんも酔った勢いで何か言ってみないか?」
「私?」
「おう。今は大人二人だ、なーんでも聞いてやるぞー」
「なんでも、か……」
グラスのワインを飲み干し、ドゥームは仮面の顎の部分に手を添え、考える素振りを見せた。
ドゥーちゃん何か考えてる時これよくやるなあ、癖なんだろうな、と新しくウィスキーのボトルを開けながらゼウスは思った。
「ああ、それ、少しくれないかな」
ゼウスからウィスキーのボトルを受け取り、ドゥームは自分のグラスに半分ほど注いだ。
氷か水は、とゼウスは問おうとしたが、その前にドゥームはグラスに口をつけ、一気に飲み干してしまった。
いくらドゥームが酒をよく嗜んでいるとはいえ、今のはかなり度数の強いものだったため、ゼウスは面食らった。
「……ゼウスよ、余は、先程のアデルとの約束を守れぬかもしれぬ」
困惑している間に小さな声でそう呟かれ、ゼウスは眉をひそめる。
内容以上にドゥームの語り口が気になって仕方ない。
三人だけの空間でドゥームがその一人称を使ったのはあまりにも久方ぶりのことだった。
「もしも、我らに大事が降り懸かった時が来たら、それはきっと余だけに降り懸かるべきことなのだ。
お主たちは巻き込まれた哀れな存在に過ぎぬ。だから、余はお主たちの手を離さなければならぬ。大切な友人を失いたくはないからな」
「どうして、そう思う?」
努めて冷静にゼウスは尋ねた。
近くでアデルが寝ていなかったら、相手がドゥームでなかったら、勝手な事を言うなと声を荒げてしまいそうだった。
「余の名は“DOOM”。それは“破滅”を意味し、“悲運”を示唆する言葉……余は、その名が示す通りに生きてきた」
「でも、今は違うだろう? この世界に来てから、俺たちと会ってから、そんな事があったか?」
落ち着いた、だが悲痛な感情は隠せないその声に、何があったのかとはゼウスは返せなかった。
一気にアルコールが回って少しおかしくなってるだけなのだと信じ、どうにかこの重苦しい告白を止めさせようとする。
「ああ、これまでは一切なかった。きっと、これからもお主たちと平穏に過ごせると信じておる。だが――」
万が一、そんな事が起こったら――。
その先は聞きたくなかった。
何故アデルの純粋な約束をそんな痛々しそうな怯えた目をして踏みにじろうとするのか。
ゼウスは出会って以来初めてドゥームに対して腹の底からの怒りを感じていた。
二人の間にあったウィスキーのボトルを引っつかみ、直接一口で飲めるだけ飲み込む。
焼けるように熱い頭から生まれたものはもう止められそうになかった。
「ゼッちゃーん! そろそろ起きてー!」
「うぬおぉ!?」
勢いよく腹にのしかかられ、ゼウスは安眠から叩き起こされた。
いくらアデルが細身とはいえ、180センチを越えた健康な青年に渾身のダイブを喰らっては、頑丈さが自慢のゼウスも苦しいものがある。
しかも、気を張った戦闘時でもなく、宴会明けの睡眠にこれは流石にキツイ。
「ごめんよゼッちゃん! 大丈夫?」
「お、おう、まあな……」
それでも笑顔は忘れないのが真の友達思いというものである。
「それより、アッちゃんも大丈夫なのかい? 随分酔ってたけど」
「大丈夫だよ。一晩寝たらスッキリしちゃった。最近忙しくてあんまり寝てなかったから変な酔い方したのかも」
確かに、ベッドから降りるアデルの足取りや顔色から二日酔いの気配は見受けられない。
そういえば彼の父親は結構な酒豪だと聞いたことがある。
多少は遺伝しているのだろうか。
「遅くなっちゃったけど、朝ご飯食べよう。ドゥーちゃん作ってってくれたんだって」
「作ってって……?」
「うん、急に用事出来たから帰っちゃったってローズから聞いたんだ」
嘘だな、とゼウスは直感した。
だが、それを口にすれば昨夜の出来事もアデルに話さねばならない。
友達にいらぬ心配をかけさせる必要はない。
それはアデル以上にドゥームの事を思えばこそだ。
「ドゥームさんのご様子ですか?」
ゼウスはアデルと共に朝食をとりながら、ローズに尋ねてみた。
意外なようだがローズとドゥームはよく会話する方なのだった。
クラシック・ピアノやら美術品やら高尚な趣味の話で盛り上がっているのを度々目にする。
今朝も雑談を交えながら朝食を共にしたというので聞いてみたのだ。
「そうですわね……やや口数は少なかったと思いますけど、別段二日酔いとか気分やお体が悪いようには感じませんでしたわ。
むしろ貴方とお兄様の方を心配してたくらいですし。お二人とも全然起きてこないんですもの」
「もっと早くに起こしてもらっても私は構わなかったんだけど」
「ドゥームさんが今日はゆっくり寝かせてあげなさい、っておっしゃったものですから」
どうやらローズから見て異変があるようには思えない程には気に病んではいないようだ。
とはいえ、ゼウス、そしてアデルの顔を見るのはどうにも気まずいらしい。
ゼウスもそうだとはいえ、こうもあからさまに逃げられるとは思っていなかった。
予想以上に繊細だなぁ、とゼウスはどこかズレた感想を抱いた。
「ゼッちゃん、どうしたの?」
「ん、何がだ?」
「眉間にすっごい皺寄せてて……ちょっと怖かったから」
「そうか? でも怖がらせてたらゴメンな」
そんなつもりはなかったのだが、うっかり顔に出ていたらしい。
ゼウスは感情が表に出やすいタイプなのだった。
「何かあったの? 昨日ドゥーちゃんとさ」
「いや、なんにもないよ。ちょっと二人して羽目外して飲んじゃっただけさ」
そう、酔った勢いで、少しだけ二人の間に隙間が出来ただけだ。
数日の間友人の所で過ごすと言っていた筈の主人が急に戻ってきたため、どうなさいましたか、と心配そうにボリスに尋ねられた。
それに対し少し野暮用を思い出しただけだ、と返せばそれ以上は詮索されなかった。
ドゥームの忠実な友人にして養父であるこの男は、たったあれだけのやりとりで今はそっと一人にすべきなのだと悟ったようだ。
私室に入り、アンティーク調の椅子に腰掛けると、ドゥームは一息ついた。
しかし、それから正面のデスクで何かを始めるような事はない。
用事など言い訳でしかないのだから。
ざわついた心でアデルに、ゼウスに会わないために逃げてきただけなのだから。
(敗走……か。余に似つかわしくもない)
そう心の中で自嘲しながら、昨夜の事を回想する。
アデルのあの言葉は嬉しかった。
だが、素直すぎるあの想いは予想外にドゥームの古傷を抉ってしまっていた。
自分が大切に想った人間は誰ひとり傍にいてはくれない。
母も、父も、恋人でさえも。
だが、彼らを思い出しても溢れるのは悲しみではない。
彼らを奪った現世冥界全てにおける非情、無常、理不尽に対する怒りなのだった。
そんな感情はこの世界でアデルとゼウスに出会ってからは、捨ててしまおうと決めた筈であった。
だが、度々思い出してしまうのだ。
ほんの些細な出来事から、二人を失う瞬間が不意に連想される時はこれまで何度もあった。
そんな時は来る筈がない、何を不謹慎な事を、と幾度も幾度も振り払おうとした。
けれど、忘れる度に呼び起こされるその不安と孤独。
(余が本当に、心から幸福であった時など、ありはしないのだ……)
満ち足りた時はいつも何かに壊されてきた。
この世界は信じられないほどに平和だけれど、一度根付いた思考や価値観はそう簡単に消えるものではない。
仮面の奥の傷痕と同じことだ。
深く、醜く、刻まれている。
『なんで……なんで一人で抱え込もうとするんだ……!』
暗闇の底まで落ちかけた思考が、昨夜のゼウスの台詞で引き戻される。
過度のアルコールで勢いづいた瞳に射抜かれながらぶつけられた、あの言葉を思い出す。
『お前に昔何があったかなんて、そんな事は今更聞いたりしない。 だが、そんな簡単に離れる事なんて、言うんじゃない!』
簡単な訳がない、ただ覚悟を口にしただけだ。
そう返せば、ゼウスは席を立ちドゥームの両肩をしっかりと掴み、逃れるのを許さない程真っ直ぐに見つめてこう言った。
『だったら、俺は何が何でもお前を離さない事を誓ってやる。それこそ地獄の果てまで、だ』
正気か、と問えばゼウスは素面でいる自信はないが本気だ、と返した。
肩に置かれた掌の力は強く、鎧の接合部 が時折軋む。
それは頑なな己への苛立ちを抑えているのだとドゥームに気付かせるには十分すぎた。
だからといって、殴りたければ殴るがよい、と告げたのは完璧に失敗だった。
あの時、他の言葉を選んだのならばこんなに悩む事もなかったろう。
『殴ったところでお前が俺の気持ちを理解できる筈がないだろう。こんな鋼に拳を当てたところで痛みも熱さも何も感じないんだろ』
静かに、そうだな、とドゥームは頷いた。
そこでゼウスも自身の失態に気付いたようだった。
その鋼鉄の鎧の下に、ドゥームがどれだけ触れられたくないものを押し込んでいるか、思い出したらしい。
『……すまん、どうかしてた。きっと、悪酔いしてるんだな、俺は』
取り繕うようにぎこちなく笑って、ゼウスはゆっくりと離れていった。
それに安堵すると同時に、どこか名残惜しさも感じられた。
『お互い、もう休もうか。朝には、またいつもみたいになってるだろうから、な』
(生憎、それは無理な話だったがな……)
一晩明けたくらいではこの難題の解決策は見出だせなかった。
だけど、逃げ続けるのも、迷宮入りもドゥーム自身のプライドが許さない。
もう少し悩み抜けば突破口が見えてくるはずだ。
あと少しで決心が固まりそうなのだ。
再び迷いそうになる度に、昨夜のゼウスの瞳をそっと思い出して、ドゥームは思考をゆっくりと浮かび上がらせていった。
そろそろ日も暮れるかという頃、アデルとローズは困ったように顔を見合わせていた。
「お兄様、本当に心当たりありませんの?」
「だから本当にわからないんだって……あったとしたら、昨日私が寝た後だと思うんだけど……」
彼らがひそひそと話しているのは、今のゼウスの様子の原因についてだ。
急にソファから立ち上がったかと思えばうろうろと部屋中を歩き回ったり、窓やドアをちらちらと見遣ったり、どうにも落ち着きがない。
何度か「どうしたの?」と尋ねても、その度になんでもないと返されてしまう。
ほぼ一日中こんな調子でいるのだから、明らかになんでもない訳がないのだが。
「ひょっとして喧嘩でもしたのではないかしら……?」
「ええっ? 私たちに限ってそんな事は……」
「さりげなく自分を入れて仲良し自慢しないでくださる? でも、不自然じゃありませんか。
ドゥームさんも早朝から急に御用事が出来るだなんて。ゼウスさん、そのドゥームさんを待っているのではないかしら」
「そう言われてみれば、そんな風にも見えるかも……」
何か声をかけた方がいいのかとアデルが悩んでいる内に、電話が鳴る。
ゼウスがそちらへ期待するような視線を向けたので、出ようとするローズを制し、アデルが受話器を取った。
「もしもし……あ、ドゥーちゃん?」
アデルのその声に、ゼウスの表情がぱっと晴れる。
やっぱりね、と思う兄妹であったが、こちらは見事に押し隠している。
「用事の方は大丈夫なの? そっか、もういいんだ。こっちまた来るんだね。え?……うん、わかった。伝えておくね」
受話器を置いて、アデルはゼウスの方へと振り返る。
期待を隠せていないゼウスが可笑しくて、思わず笑ってしまうそうになるのを抑えながら伝えた。
「ドゥーちゃん今からこっち来るんだけど、着いたらゼッちゃんと二人で話したいんだって」
「俺と? そうか、わかった」
「……ふーん、驚かないんだ」
「どういう意味だい?」
「だって、二人で、だよ? 今まで三人揃う筈のところでわざわざ二人で、なんてなかったのに?」
それは、とゼウスは口ごもった。
戻ってくるドゥームの為の紅茶を用意しながら、ローズは内心でお兄様ってば時々言うことキツイのよねーと同情した。
表情はいつもと変わらず澄ました様子であり、口調も穏やかなままだから余計に怖いのだ。
「やっぱり何かあったんでしょ、ゼッちゃん? 私たちの間に隠しておくことなんて……なぁんにもないよね?」
にっこりと微笑むアデルに、ゼウスはとうとう勝てなかった。
ドゥームの事を思えば出来れば話したくはないのだが、アデルがまったくの無関係という訳ではない。
絶対本人には言わないでくれよ、と念入りに前置きしてゆっくりと語り始めるのだった。
すっかり日も沈み、星が瞬き始めた頃ドゥームは戻ってきた。
アデルとローズは二人分の紅茶だけ注いで、別室で待機してるからと出て行った。
二人きりになり、沈黙が舞い降りたところでどこから切り出そうかとドゥームは思案し始めた。
だが、先に切り出したのはゼウスの方からだった。
「……今日はもう会えないかと思ったぞ」
まるでもう二度と会えないのかと思っていたかのような言い方だった。
こうなった原因となった発言があれなのだからそれも仕方のないことかもしれない。
「後にすればするほど溝は深まる。そう思ってな。まあ、先延ばしにしたところで、そちらから来るだろうがな」
「そうか?」
「そうだ。だって、そちらにはアデルもいるからな。人数が多い方が切り出しやすいだろうし、何よりあの子が待てまい」
「はは、違いない」
思ったよりもすらすらと言葉が紡げていることにドゥーム自身驚いていた。
そして、ゼウスがいつもと変わらず接してくれることにこれ以上ないほど安心していた。
「済まなかったな。妙な事を言い出して。二人の気持ちも考えず、私一人の勝手な不安をぶつけてしまって」
謝罪の言葉でさえも案外すんなりと言える事が出来た。
アデルに対しても言える事なのだが、やはりゼウスと会うと何か不思議なものを感じる。
今まで抱いたこともなかった何かがふわりと現れてくるような、特に今はそれが強く感じられる。
そしてそれは、見失いかけた満ち足りた時を信じさせてくれる。
そう、今なら、きっと全部信じられる。
この二人なら全て委ねても構わないと、悩みぬいて、とうとう決めたのだから。
運命の行く先でさえもきっと変えてくれる、そう賭けたっていいくらいだ。
「謝るのはこっちの方だぞ。随分悩ませたみたいだし、傷つけたんじゃないかってな……」
「いいや、貴公に非はない。むしろ、感謝したいくらいだ」
「どういうことだ?」
「だって、何も聞かずにただ傍にいることだけを考えてくれたではないか。その優しさが、この上なく有難いよ」
そう告げると、ゼウスはそんなものか、と返してきた。
本人としては余計な事を気にしていないだけなのだろうが、そんなところがらしくていいと思う。
「いつ来るとも解らない別れに怯えていても仕方のないこと……そんな暇があるなら、今この時をどう楽しむかを考えるべきだ。
第一、お主ら二人に何かあったとしても、そう簡単に潰されるほど弱くはないだろうからな。
何せ『何があっても離れない』と自信満々に誓うほどだ。……昨夜のあの言葉、忘れたとは言わせないぞ?」
「ああ、ちゃーんと覚えてるさ」
「それなら、信じさせてもらうよ?……アッちゃんの事もね!」
勢いよくドアの方へと振り向けば、ガタン、と物音がした。
やはり、薄々感じていた気配は間違いではなかったようだ。
ゼウスは驚いて、ゆっくりと開くドアを見ている。
「まさか、アッちゃん、そこにいるの?」
「……ごめんよぉ、ゼッちゃん、ドゥーちゃん、どーしても気になっちゃって……」
「もう、だからやめましょうって言ったのに、お兄様ってば!」
なんだかんだ言ってローズ君も聞いていたんじゃないのか……とツッコミたい気分はさて置いて。
申し訳なさそうに入ってきたアデルをこちらに呼んで、話を続ける。
「まあ、そんな訳で、仲直りの証として一言。これからもずっと、何があっても一緒に居ような、ゼッちゃん、アッちゃん?」
「おう!」
「もちろんだよ! ぜったいだからね!」
幸せそうに笑う三人を端から見ながら、相変わらず仲のいい事、とローズは小さく呟いた。
だが、その顔は釣られたように微笑を浮かべていた。
本編で立たなかったフラグをちょっとだけ建築する程度のオマケ
アデル「そーいえば、昨日ゼッちゃんはドゥーちゃんにどんな事ぶっちゃけてたの?」
ドゥーム「あれ、本人から聞いたんじゃなかったの?」
アデル「ケンカの原因教えてもらっただけだから。よければ教えて欲しいなーって」
ドゥーム「その割には有無を言わさぬオーラが……まあいいか、さ、ゼッちゃん、もう一回言って」
ゼウス「え、ちょ、今、ここで!?」
ドゥーム「そうだけど、何か問題でも?」
ゼウス「素面でアレはこっ恥ずかしいというかなんというか……」
ドゥーム「もう一回聞きたいんだけどなー……」
アデル「聞いてみたいんだけどなー……」
ゼウス「わかったよ! 言う! 言うからビームもカッターも準備しないで!
あー……『俺は何が何でもお前を離さない事を誓ってやる。それこそ地獄の果てまで』だっ!」
アデル「わー! ゼッちゃんカッコいー!!」
ドゥーム(ああ……ほんとかっこいい……)
ローズ(え? 何これプロポーズですか? え? え?)
傍観者のみが気付くフラグ。
誰もいない!投下するなら今のうちだ!
前スレあたりでゼウス×ドゥームにレスがちらほらきてたのと
原作ドゥーちゃんの複雑設定ぶりに燃やされた勢いでSS書いてみました。
中ボスなのにシリアスです。はい。
爛れないどころかカプ成立もしてない件。
妄想スキルが足りないのか中ボスのKENZENの壁が厚すぎるのか…
☆ ゼウス+ドゥームな中ボスシリアス話でございます。カップリングになれなかった……orz
☆ 原作のドゥームの設定がちらほら出てきます。知らなくてもそれなりに読める……はず。
☆ 普通にローズが三人の中に混じってます。性格は割と普通め?
☆ キャラの性格とか口調とかなんか不安定。
それでもいい方はゆっくり読んでいってね!
飲み慣れていないくせに、ゼウスとドゥームのペースに合わせて酒を飲んでいたせいで、アーデルハイドは酷く酔っていた。
普段の青白さが嘘のように真っ赤な顔をふわふわした笑みに染めて、呂律の回らない舌でこう言っていた。
「ゼっちゃんとドゥーちゃんはね、私が初めて心から大切だって思った親友なんだよ。
だからね、何があっても離れたくないし、離したくないんだ。これからずっとずーっと一緒だって約束だからね!ぜったいだよ!」
言うだけ言って満足したのか、アデルは程なくして眠ってしまった。
ゼウスとドゥームは突然の感動的な告白に驚き、しばらく呆けていたが、アデルの寝息が深くなると我に返り、ベッドへと運んでやった。
何度も訪れているのでこの家の間取りは殆ど覚えている。
「まったく、いきなりどうしたんだろうね……」
「さてな。深い酩酊に任せて何やら溜め込んでいた本音でも吐き出したくなったのかもな」
そんなこと言わずとも分かっているのに、と付け足しドゥームは笑った。
ゼウスもそれに釣られて笑う。
改めて言葉にされると本当に嬉しくて、意識せず表情が緩んでしまう。
「どうだ、せっかくだからドゥーちゃんも酔った勢いで何か言ってみないか?」
「私?」
「おう。今は大人二人だ、なーんでも聞いてやるぞー」
「なんでも、か……」
グラスのワインを飲み干し、ドゥームは仮面の顎の部分に手を添え、考える素振りを見せた。
ドゥーちゃん何か考えてる時これよくやるなあ、癖なんだろうな、と新しくウィスキーのボトルを開けながらゼウスは思った。
「ああ、それ、少しくれないかな」
ゼウスからウィスキーのボトルを受け取り、ドゥームは自分のグラスに半分ほど注いだ。
氷か水は、とゼウスは問おうとしたが、その前にドゥームはグラスに口をつけ、一気に飲み干してしまった。
いくらドゥームが酒をよく嗜んでいるとはいえ、今のはかなり度数の強いものだったため、ゼウスは面食らった。
「……ゼウスよ、余は、先程のアデルとの約束を守れぬかもしれぬ」
困惑している間に小さな声でそう呟かれ、ゼウスは眉をひそめる。
内容以上にドゥームの語り口が気になって仕方ない。
三人だけの空間でドゥームがその一人称を使ったのはあまりにも久方ぶりのことだった。
「もしも、我らに大事が降り懸かった時が来たら、それはきっと余だけに降り懸かるべきことなのだ。
お主たちは巻き込まれた哀れな存在に過ぎぬ。だから、余はお主たちの手を離さなければならぬ。大切な友人を失いたくはないからな」
「どうして、そう思う?」
努めて冷静にゼウスは尋ねた。
近くでアデルが寝ていなかったら、相手がドゥームでなかったら、勝手な事を言うなと声を荒げてしまいそうだった。
「余の名は“DOOM”。それは“破滅”を意味し、“悲運”を示唆する言葉……余は、その名が示す通りに生きてきた」
「でも、今は違うだろう? この世界に来てから、俺たちと会ってから、そんな事があったか?」
落ち着いた、だが悲痛な感情は隠せないその声に、何があったのかとはゼウスは返せなかった。
一気にアルコールが回って少しおかしくなってるだけなのだと信じ、どうにかこの重苦しい告白を止めさせようとする。
「ああ、これまでは一切なかった。きっと、これからもお主たちと平穏に過ごせると信じておる。だが――」
万が一、そんな事が起こったら――。
その先は聞きたくなかった。
何故アデルの純粋な約束をそんな痛々しそうな怯えた目をして踏みにじろうとするのか。
ゼウスは出会って以来初めてドゥームに対して腹の底からの怒りを感じていた。
二人の間にあったウィスキーのボトルを引っつかみ、直接一口で飲めるだけ飲み込む。
焼けるように熱い頭から生まれたものはもう止められそうになかった。
「ゼッちゃーん! そろそろ起きてー!」
「うぬおぉ!?」
勢いよく腹にのしかかられ、ゼウスは安眠から叩き起こされた。
いくらアデルが細身とはいえ、180センチを越えた健康な青年に渾身のダイブを喰らっては、頑丈さが自慢のゼウスも苦しいものがある。
しかも、気を張った戦闘時でもなく、宴会明けの睡眠にこれは流石にキツイ。
「ごめんよゼッちゃん! 大丈夫?」
「お、おう、まあな……」
それでも笑顔は忘れないのが真の友達思いというものである。
「それより、アッちゃんも大丈夫なのかい? 随分酔ってたけど」
「大丈夫だよ。一晩寝たらスッキリしちゃった。最近忙しくてあんまり寝てなかったから変な酔い方したのかも」
確かに、ベッドから降りるアデルの足取りや顔色から二日酔いの気配は見受けられない。
そういえば彼の父親は結構な酒豪だと聞いたことがある。
多少は遺伝しているのだろうか。
「遅くなっちゃったけど、朝ご飯食べよう。ドゥーちゃん作ってってくれたんだって」
「作ってって……?」
「うん、急に用事出来たから帰っちゃったってローズから聞いたんだ」
嘘だな、とゼウスは直感した。
だが、それを口にすれば昨夜の出来事もアデルに話さねばならない。
友達にいらぬ心配をかけさせる必要はない。
それはアデル以上にドゥームの事を思えばこそだ。
「ドゥームさんのご様子ですか?」
ゼウスはアデルと共に朝食をとりながら、ローズに尋ねてみた。
意外なようだがローズとドゥームはよく会話する方なのだった。
クラシック・ピアノやら美術品やら高尚な趣味の話で盛り上がっているのを度々目にする。
今朝も雑談を交えながら朝食を共にしたというので聞いてみたのだ。
「そうですわね……やや口数は少なかったと思いますけど、別段二日酔いとか気分やお体が悪いようには感じませんでしたわ。
むしろ貴方とお兄様の方を心配してたくらいですし。お二人とも全然起きてこないんですもの」
「もっと早くに起こしてもらっても私は構わなかったんだけど」
「ドゥームさんが今日はゆっくり寝かせてあげなさい、っておっしゃったものですから」
どうやらローズから見て異変があるようには思えない程には気に病んではいないようだ。
とはいえ、ゼウス、そしてアデルの顔を見るのはどうにも気まずいらしい。
ゼウスもそうだとはいえ、こうもあからさまに逃げられるとは思っていなかった。
予想以上に繊細だなぁ、とゼウスはどこかズレた感想を抱いた。
「ゼッちゃん、どうしたの?」
「ん、何がだ?」
「眉間にすっごい皺寄せてて……ちょっと怖かったから」
「そうか? でも怖がらせてたらゴメンな」
そんなつもりはなかったのだが、うっかり顔に出ていたらしい。
ゼウスは感情が表に出やすいタイプなのだった。
「何かあったの? 昨日ドゥーちゃんとさ」
「いや、なんにもないよ。ちょっと二人して羽目外して飲んじゃっただけさ」
そう、酔った勢いで、少しだけ二人の間に隙間が出来ただけだ。
数日の間友人の所で過ごすと言っていた筈の主人が急に戻ってきたため、どうなさいましたか、と心配そうにボリスに尋ねられた。
それに対し少し野暮用を思い出しただけだ、と返せばそれ以上は詮索されなかった。
ドゥームの忠実な友人にして養父であるこの男は、たったあれだけのやりとりで今はそっと一人にすべきなのだと悟ったようだ。
私室に入り、アンティーク調の椅子に腰掛けると、ドゥームは一息ついた。
しかし、それから正面のデスクで何かを始めるような事はない。
用事など言い訳でしかないのだから。
ざわついた心でアデルに、ゼウスに会わないために逃げてきただけなのだから。
(敗走……か。余に似つかわしくもない)
そう心の中で自嘲しながら、昨夜の事を回想する。
アデルのあの言葉は嬉しかった。
だが、素直すぎるあの想いは予想外にドゥームの古傷を抉ってしまっていた。
自分が大切に想った人間は誰ひとり傍にいてはくれない。
母も、父も、恋人でさえも。
だが、彼らを思い出しても溢れるのは悲しみではない。
彼らを奪った現世冥界全てにおける非情、無常、理不尽に対する怒りなのだった。
そんな感情はこの世界でアデルとゼウスに出会ってからは、捨ててしまおうと決めた筈であった。
だが、度々思い出してしまうのだ。
ほんの些細な出来事から、二人を失う瞬間が不意に連想される時はこれまで何度もあった。
そんな時は来る筈がない、何を不謹慎な事を、と幾度も幾度も振り払おうとした。
けれど、忘れる度に呼び起こされるその不安と孤独。
(余が本当に、心から幸福であった時など、ありはしないのだ……)
満ち足りた時はいつも何かに壊されてきた。
この世界は信じられないほどに平和だけれど、一度根付いた思考や価値観はそう簡単に消えるものではない。
仮面の奥の傷痕と同じことだ。
深く、醜く、刻まれている。
『なんで……なんで一人で抱え込もうとするんだ……!』
暗闇の底まで落ちかけた思考が、昨夜のゼウスの台詞で引き戻される。
過度のアルコールで勢いづいた瞳に射抜かれながらぶつけられた、あの言葉を思い出す。
『お前に昔何があったかなんて、そんな事は今更聞いたりしない。 だが、そんな簡単に離れる事なんて、言うんじゃない!』
簡単な訳がない、ただ覚悟を口にしただけだ。
そう返せば、ゼウスは席を立ちドゥームの両肩をしっかりと掴み、逃れるのを許さない程真っ直ぐに見つめてこう言った。
『だったら、俺は何が何でもお前を離さない事を誓ってやる。それこそ地獄の果てまで、だ』
正気か、と問えばゼウスは素面でいる自信はないが本気だ、と返した。
肩に置かれた掌の力は強く、鎧の接合部 が時折軋む。
それは頑なな己への苛立ちを抑えているのだとドゥームに気付かせるには十分すぎた。
だからといって、殴りたければ殴るがよい、と告げたのは完璧に失敗だった。
あの時、他の言葉を選んだのならばこんなに悩む事もなかったろう。
『殴ったところでお前が俺の気持ちを理解できる筈がないだろう。こんな鋼に拳を当てたところで痛みも熱さも何も感じないんだろ』
静かに、そうだな、とドゥームは頷いた。
そこでゼウスも自身の失態に気付いたようだった。
その鋼鉄の鎧の下に、ドゥームがどれだけ触れられたくないものを押し込んでいるか、思い出したらしい。
『……すまん、どうかしてた。きっと、悪酔いしてるんだな、俺は』
取り繕うようにぎこちなく笑って、ゼウスはゆっくりと離れていった。
それに安堵すると同時に、どこか名残惜しさも感じられた。
『お互い、もう休もうか。朝には、またいつもみたいになってるだろうから、な』
(生憎、それは無理な話だったがな……)
一晩明けたくらいではこの難題の解決策は見出だせなかった。
だけど、逃げ続けるのも、迷宮入りもドゥーム自身のプライドが許さない。
もう少し悩み抜けば突破口が見えてくるはずだ。
あと少しで決心が固まりそうなのだ。
再び迷いそうになる度に、昨夜のゼウスの瞳をそっと思い出して、ドゥームは思考をゆっくりと浮かび上がらせていった。
そろそろ日も暮れるかという頃、アデルとローズは困ったように顔を見合わせていた。
「お兄様、本当に心当たりありませんの?」
「だから本当にわからないんだって……あったとしたら、昨日私が寝た後だと思うんだけど……」
彼らがひそひそと話しているのは、今のゼウスの様子の原因についてだ。
急にソファから立ち上がったかと思えばうろうろと部屋中を歩き回ったり、窓やドアをちらちらと見遣ったり、どうにも落ち着きがない。
何度か「どうしたの?」と尋ねても、その度になんでもないと返されてしまう。
ほぼ一日中こんな調子でいるのだから、明らかになんでもない訳がないのだが。
「ひょっとして喧嘩でもしたのではないかしら……?」
「ええっ? 私たちに限ってそんな事は……」
「さりげなく自分を入れて仲良し自慢しないでくださる? でも、不自然じゃありませんか。
ドゥームさんも早朝から急に御用事が出来るだなんて。ゼウスさん、そのドゥームさんを待っているのではないかしら」
「そう言われてみれば、そんな風にも見えるかも……」
何か声をかけた方がいいのかとアデルが悩んでいる内に、電話が鳴る。
ゼウスがそちらへ期待するような視線を向けたので、出ようとするローズを制し、アデルが受話器を取った。
「もしもし……あ、ドゥーちゃん?」
アデルのその声に、ゼウスの表情がぱっと晴れる。
やっぱりね、と思う兄妹であったが、こちらは見事に押し隠している。
「用事の方は大丈夫なの? そっか、もういいんだ。こっちまた来るんだね。え?……うん、わかった。伝えておくね」
受話器を置いて、アデルはゼウスの方へと振り返る。
期待を隠せていないゼウスが可笑しくて、思わず笑ってしまうそうになるのを抑えながら伝えた。
「ドゥーちゃん今からこっち来るんだけど、着いたらゼッちゃんと二人で話したいんだって」
「俺と? そうか、わかった」
「……ふーん、驚かないんだ」
「どういう意味だい?」
「だって、二人で、だよ? 今まで三人揃う筈のところでわざわざ二人で、なんてなかったのに?」
それは、とゼウスは口ごもった。
戻ってくるドゥームの為の紅茶を用意しながら、ローズは内心でお兄様ってば時々言うことキツイのよねーと同情した。
表情はいつもと変わらず澄ました様子であり、口調も穏やかなままだから余計に怖いのだ。
「やっぱり何かあったんでしょ、ゼッちゃん? 私たちの間に隠しておくことなんて……なぁんにもないよね?」
にっこりと微笑むアデルに、ゼウスはとうとう勝てなかった。
ドゥームの事を思えば出来れば話したくはないのだが、アデルがまったくの無関係という訳ではない。
絶対本人には言わないでくれよ、と念入りに前置きしてゆっくりと語り始めるのだった。
すっかり日も沈み、星が瞬き始めた頃ドゥームは戻ってきた。
アデルとローズは二人分の紅茶だけ注いで、別室で待機してるからと出て行った。
二人きりになり、沈黙が舞い降りたところでどこから切り出そうかとドゥームは思案し始めた。
だが、先に切り出したのはゼウスの方からだった。
「……今日はもう会えないかと思ったぞ」
まるでもう二度と会えないのかと思っていたかのような言い方だった。
こうなった原因となった発言があれなのだからそれも仕方のないことかもしれない。
「後にすればするほど溝は深まる。そう思ってな。まあ、先延ばしにしたところで、そちらから来るだろうがな」
「そうか?」
「そうだ。だって、そちらにはアデルもいるからな。人数が多い方が切り出しやすいだろうし、何よりあの子が待てまい」
「はは、違いない」
思ったよりもすらすらと言葉が紡げていることにドゥーム自身驚いていた。
そして、ゼウスがいつもと変わらず接してくれることにこれ以上ないほど安心していた。
「済まなかったな。妙な事を言い出して。二人の気持ちも考えず、私一人の勝手な不安をぶつけてしまって」
謝罪の言葉でさえも案外すんなりと言える事が出来た。
アデルに対しても言える事なのだが、やはりゼウスと会うと何か不思議なものを感じる。
今まで抱いたこともなかった何かがふわりと現れてくるような、特に今はそれが強く感じられる。
そしてそれは、見失いかけた満ち足りた時を信じさせてくれる。
そう、今なら、きっと全部信じられる。
この二人なら全て委ねても構わないと、悩みぬいて、とうとう決めたのだから。
運命の行く先でさえもきっと変えてくれる、そう賭けたっていいくらいだ。
「謝るのはこっちの方だぞ。随分悩ませたみたいだし、傷つけたんじゃないかってな……」
「いいや、貴公に非はない。むしろ、感謝したいくらいだ」
「どういうことだ?」
「だって、何も聞かずにただ傍にいることだけを考えてくれたではないか。その優しさが、この上なく有難いよ」
そう告げると、ゼウスはそんなものか、と返してきた。
本人としては余計な事を気にしていないだけなのだろうが、そんなところがらしくていいと思う。
「いつ来るとも解らない別れに怯えていても仕方のないこと……そんな暇があるなら、今この時をどう楽しむかを考えるべきだ。
第一、お主ら二人に何かあったとしても、そう簡単に潰されるほど弱くはないだろうからな。
何せ『何があっても離れない』と自信満々に誓うほどだ。……昨夜のあの言葉、忘れたとは言わせないぞ?」
「ああ、ちゃーんと覚えてるさ」
「それなら、信じさせてもらうよ?……アッちゃんの事もね!」
勢いよくドアの方へと振り向けば、ガタン、と物音がした。
やはり、薄々感じていた気配は間違いではなかったようだ。
ゼウスは驚いて、ゆっくりと開くドアを見ている。
「まさか、アッちゃん、そこにいるの?」
「……ごめんよぉ、ゼッちゃん、ドゥーちゃん、どーしても気になっちゃって……」
「もう、だからやめましょうって言ったのに、お兄様ってば!」
なんだかんだ言ってローズ君も聞いていたんじゃないのか……とツッコミたい気分はさて置いて。
申し訳なさそうに入ってきたアデルをこちらに呼んで、話を続ける。
「まあ、そんな訳で、仲直りの証として一言。これからもずっと、何があっても一緒に居ような、ゼッちゃん、アッちゃん?」
「おう!」
「もちろんだよ! ぜったいだからね!」
幸せそうに笑う三人を端から見ながら、相変わらず仲のいい事、とローズは小さく呟いた。
だが、その顔は釣られたように微笑を浮かべていた。
本編で立たなかったフラグをちょっとだけ建築する程度のオマケ
アデル「そーいえば、昨日ゼッちゃんはドゥーちゃんにどんな事ぶっちゃけてたの?」
ドゥーム「あれ、本人から聞いたんじゃなかったの?」
アデル「ケンカの原因教えてもらっただけだから。よければ教えて欲しいなーって」
ドゥーム「その割には有無を言わさぬオーラが……まあいいか、さ、ゼッちゃん、もう一回言って」
ゼウス「え、ちょ、今、ここで!?」
ドゥーム「そうだけど、何か問題でも?」
ゼウス「素面でアレはこっ恥ずかしいというかなんというか……」
ドゥーム「もう一回聞きたいんだけどなー……」
アデル「聞いてみたいんだけどなー……」
ゼウス「わかったよ! 言う! 言うからビームもカッターも準備しないで!
あー……『俺は何が何でもお前を離さない事を誓ってやる。それこそ地獄の果てまで』だっ!」
アデル「わー! ゼッちゃんカッコいー!!」
ドゥーム(ああ……ほんとかっこいい……)
ローズ(え? 何これプロポーズですか? え? え?)
傍観者のみが気付くフラグ。
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