日本の周辺国が装備する兵器のデータベース





性能緒元(自走ミサイル発射機)
重量
全長
全幅
全高
エンジン
最高速度
航続距離 
渡渉深度
武装M20単装発射機×2
発射機射角左右各30度
乗員4名

性能緒元(ミサイル性能)
全長
直径
推進装置固体燃料ロケットモーター
最大射程100〜280km
誘導システム慣性航法+GPS
弾頭重量480kg
弾頭種類4種類が存在
命中精度(CEP)30m(GPS)
発射準備時間12分

DF-12短距離弾道ミサイル(東風12/M20)は、2010年頃にその存在が明らかにされた短距離弾道ミサイル。当初は、輸出向け名称である「M20短距離弾道ミサイル」の名が知られていた。開発は中国国家航天局(China National Space Administration:CNSA)の下部機関である中国航天科工集団公司(China Aerspace Science & Industry Corp.:CASIC)により行われ、外国への売り込みはCASICの傘下企業にあたる中国航天長征国際貿易有限公司(Aerspace Long-March International Trade Co.,Ltd:ALIT)が担当している[1]。

CASICでは既に、海外市場向けにP-12BP-12Aといった短距離弾道ミサイルを開発しているが、M20も中国軍向けではなく国際市場への売り込みを目指して開発されたミサイルであると見なされていたが、2013年8月に中国第二砲兵での運用が決定され、「DF-12(東風12)」の制式名称が付与されたことが明らかになった[3]。

【性能】
DF-12/M20はロシアのOTR-21トーチカ(NATOコード:SS-21 Scarab/スカラベ)やイスカンダル-E(NATOコード:SS-26 Stone/ストーン)、そして中国のB-611などと同クラスの短距離弾道ミサイル。DF-12/M20は、部隊への火力支援を行うほか、その長射程を生かして敵機甲部隊や砲兵の集結地、後方の司令部や補給地点など高い価値を有する目標に対して攻撃を行うこと想定している。

大量破壊兵器の拡散防止を目的とした国際規制であるMTCR(Missile Technology Control Regime:ミサイル技術管理レジーム)により、搭載能力500kg以上、射程300km以上のミサイルは輸出が厳しく制限されるため、M20の射程280km、弾頭重量480kgはMTCRの規制を受けない範囲内に抑えられている[1][2]。中国軍で運用されるDF-12は、当然MTCRの規制対象外であるが、DF-12の射程がM20と異なっているかは現時点では確たる情報は無い。

M20ロケットを搭載する自走ロケット発射機は8輪式の大型野戦トラックをシャーシとして、車両の荷台に単装発射機二基を搭載している。シャーシの1,2輪と3.4輪の間にはロケット弾発射時に車体を安定させるため、合計4つの油圧ジャッキを装備している。ロケット発射時には発射機に45〜65度の傾斜をつけてミサイルを打ち出す。射角は左右各30度。自走ロケット発射機には乗員4名が搭乗しており、停車してからミサイル発射にまで要する時間は12分、打ち上げ後走行状態に復帰するまでには3分を要するとされる[1]。

M20は飛翔中にコース変更を行う能力を有しているが[1]、これは相手側の弾道ミサイル迎撃システムに対抗するためであり、この能力を利用して、別方向に発射したように見せかけて、大きくコースを変えて本当の目標を攻撃することも可能。打ち上げ後の最大高度は50kmに達し、そこから急角度、かつ高速で目標に向けて降下する迎撃側の対処を困難にする狙いがある。目標命中時の弾道角度は90度[1]。ロケットの誘導方式は慣性航法方式とGPS方式の併用であり、CEP(Circular Error Probability:半数命中半径)はGPS方式の場合で30m[1]。

弾頭は任務に応じて4種類のタイプが用意されているとのことだが、詳細は不明[1]。DF-12は、核ミサイルも装備する中国第二砲兵で運用されているが、DF-12が通常弾頭のみなのか、核弾頭も用意されているかは明らかになっていない[3]。

【参考資料】
[1]平可夫「中國推出多種出口型地對地導彈」(『漢和防務評論』2011年1月號(No.75)/32頁)
[2]外務省公式サイト「ミサイル技術管理レジーム(MTCR:Missile Technology Control Regime、大量破壊兵器の運搬手段であるミサイル及び関連汎用品・技術の輸出管理体制)」
[3]Army Recognition「DF-12 M20 short-range surface-to-surface tactical missile」

中国第二砲兵

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