日本の周辺国が装備する兵器のデータベース





性能緒元
全長2.90m
直径15.7cm
重量115kg
最大速度M2.1(PL-9)、M3.5(PL-9C)
限界機動荷重35G(PL-9)、40G(PL-9C)
射程0.5〜15km(PL-9)、0.5〜22km(PL-9C)
誘導方式全方位赤外線誘導+ヘルメット装着式照準装置
装備機種J-7戦闘機(殲撃7/F-7/MiG-21)
 J-8II戦闘機(殲撃8B/F-8II/フィンバックB)
 FC-1戦闘機(殲撃9/JF-17/スーパー7)

PL-9(霹靂9)は、航空工業部所属の洛陽光電技術開発センターと西安東方機廠が開発した中国最新の赤外線誘導短射程空対空ミサイルである。

PL-9の開発は1986年から始まり、1989年から量産に着手された。同年のパリ・エアショーではPL-9の地対空ミサイル型の模型が展示され、その存在が明らかにされた。1991年のパリ・エアショーでは空対空型が公開された。PL-9シリーズは、輸出向けに積極的な宣伝が行われており、パキスタン(空対空型と地対空型)、バングラデシュ(PL-9×14発)、ナイジェリア(PL-9×20発)に輸出されている[1][2][6]。ただし、中国空軍ではPL-9は装備されておらず、地対空ミサイル型のPL-9D(DK-9)が少数、陸上部隊で運用されているのみである。

中国では、すでにイスラエルの技術支援を受けてオールアスペクト能力を有するPL-8赤外線誘導短射程空対空ミサイルを実用化していたにもかかわらず、似たような性能のミサイルを並行開発するのは一見奇異に思われる。これを説明する推測としては、イスラエルの協力を受けて開発されたPL-8は、イスラエルの許可無く第三国に輸出することが出来ない(可能性がある)。そのため、自由に外国に輸出可能な赤外線誘導短射程ミサイルとして、PL-8の技術を元にしてPL-9が開発されたのではないかと言う推測である。この説であれば、中国軍にPL-9が配備されていない事も合わせて説明できる。

PL-9は赤外線誘導の空対空ミサイルで、敵機の後方からだけでなくヘッドオン(対進)状態も含め全方位からロックオンする事ができ、機動性もそれまで中国が開発したどのAAMよりも優れている。その性能はアメリカ製のAIM-9L/Mサイドワインダー赤外線誘導空対空ミサイルやロシア製のR-73赤外線誘導空対空ミサイル(AA-11 Archer)に匹敵すると見られている。

PL-9のシーカーはPL-8の物をベースにしていると見られている。フレアなどの対赤外線対抗手段に対する高い抵抗力を有しており、後方象限なら最大30kmで目標を探知することが可能。中国の発表によればPL-9はヘルメット装着目標指示システムと連動しており、機軸から60゜(左右120゜)以内の角度にいる目標をロックアップできるオフボアサイト能力を有している。この能力は恐らく同様の能力を有するPL-8AAMR-73AAMの技術に由来するのではないかと思われる。PL-9の派生型としては4連装ミサイル発射機に搭載したDK-9近距離地対空ミサイルシステムや艦対空ミサイル型のPL-9J(715II型ガン/ミサイルコンプレックス)が存在する。

1995年には改良型であるPL-9Cの開発が開始され、2002年には実用化され輸出市場向けの販売が開始された。主な改良点は、速度(M2.1→M3.5)と射程(15km→22km)の延長、シーカーの改良、デジタル式信号処理能力の付与などである。射程延長に伴いシーカーの性能も向上しており、ヘッドオン象限での目標探知距離はPL-9の2倍に延伸されている。PL-9Cについても「AF-902レーダー/35mm連装機関砲/PL-9Cミサイル統合システム」やPL-9CとSD-10Aアクティブレーダー誘導ミサイルを組み合わせた「LS-2(猟手-2)中近距離対空ミサイルシステムといった地対空型の開発が行われている。

【参考資料】
[1]『ミリタリー選書8-軍用機ウエポン・ハンドブック』 2005年(青木謙知/イカロス出版)49頁
[2]『Jane's Land-Based Air Defence 2006-2007』(Jane's Information Group)
[3]『戦闘機年鑑2005-2006』 (青木謙知/イカロス出版)
[4]Chinese Defence Today
[5]中国武器大全
[6]ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)公式サイト「SIPRI Arms Transfers Database」

【関連事項】
LS-2対空ミサイルシステム(猟手-2/SD-10A/PL-9C)
DK-9近距離地対空ミサイルシステム(地空9/PL-9D/霹靂9D)

中国空軍

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