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第二十景 虎子 (こし)

あらすじ

両断された丸子彦兵衛の口中には自身の一物が押し込められていたが、湯屋に刀を持ち込んだものなど、誰一人として目撃していなかった。虎眼流門下生による山狩りが二度行われたが、成果は猪二頭。下手人は人にあらざる妖魔と囁かれ始めた。
内弟子部屋「虎子の間」 興津がぽつりと広うなり申したとつぶやく。源之助は振り向き、かつて賑やかだった時の光景を思い出した。興津の顔を見て、再び文字の練習に戻る源之助。文盲の源之助に読み書きを教えたのは興津だった。紙は貴重なので板に水で文字を書いて学ぶ。その右手が現在二倍に腫れているのは、浪人者たちを殴った際に歯が刺さり雑菌が入ったせいだった。

翌日、幕府の後ろ盾を得ている検校の屋敷に似つかわしくない安袴が一人。三味線の修行を積む当道者たちは、嗅ぎ慣れぬ野生臭に眉をひそめた。職事と呼ばれる三名の目明き秘書官が、虎三頭の代金として金子を差し出し、それを受け取るのは興津三十郎。秘書官が残り三頭は如何なものかと尋ねるが、隙を見出すのは容易ではない虎の中の虎と興津。左右に注意を払い屋敷から出て松林を歩く。そのとき背後から興津と声をかけられた。
「あの屋敷に伊良子はいるのか?」
そこには源之助が立っていた。興津は源之助にあの虎子の間で一生を終えるのか、虎眼流に明日はあるのかと問いかける。源之助の虎眼流の明日は三重さまとの答えに笑い震え、心という器はひとたびひびが入れば戻らないと涙を流しながら振り向いた。盗んだ流れの構えで脇差に手をかける興津、源之助を切ったかのように見えた一閃は腕のみで、脇差に切断された手がそのまま残っていた。二倍に腫れた手で流れをだした源之助のほうが早かったのだ。おぬしはやはりものが違う、興津がそういうと、源之助は過去を思い出しながら興津に止めを刺した。

いくに花を咥えさせ、真っ二つにする清玄。手元には虎眼流高弟の名前にばつが書かれた巻物があった。
舞台
あやめ風呂?秋葉山??、虎子の間?賎機検校仕置屋敷?
道具
松明??木剣?竹筆?包帯?三味線?金子?日本刀?
主要単語
一物?山狩り?下手人?妖魔?文盲?牢人者?当道座?検校?神君?
安袴?目明き?鍔鳴り?中間?
詳細

掲載ページコマ文字
チャンピオンRED 2005年5月号
単行本4巻
36ページ128コマ文字

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最終15巻

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