「・・・」「・・・あのー、ユイさん・・・」

一言もしゃべらず無表情でこの有り様を眺めている彼女の顔はどこか物憂げで儚げで、
一年前と比べてポニーテールができるぐらいに腰まで伸びた蒼い髪とあわさって綺麗で、そして恐ろしくもあった。

「これはまた派手にやってくれちゃったわねえ・・・」
「いやあ、まさか自分でもこうなることは考えてなかったからねえ・・・ただ王国領内のどこかに飛べば大丈夫だろうと軽く考えてて」
「そうやって調子ブッこいた結果がこれだよ?」
「ごめん。反省はしているが後悔もしている・・・」


あれからしばらくして泣きやんで落ち着いたユイさんに、鍵をかけていたはずなのにどうやってここまで来たのかと問われ、
俺は彼女の寝室から隣にある、屋根にぽっかり大きく穴の開いたアトリエへ連れていってこの惨状を見せることにした。
文字通り彼女のホーム上ではごまかしようもないですから・・・。悲しいけれど勇者に逃走はないのだ。できないのだ。


「・・・つまり、向こうの大陸で冒険をしてきたはいいけれど、こっちへ帰るのにまた船は面倒くさいから
テレポートで一気に行こうとしたら私の家の上空にでてきてそのまま落下してきたと・・・そういうわけね?」
「はい、間違いありません・・・」
「と、いうことは、別に私に会いに来たわけじゃないんだ・・・」
「待って、ユイさんそれは違うよ。王国についたら必ず君の館に行こうと決めていたんだから。
それにユイさんは経験してないからわからないだろうけど、
船酔いってのは相当きついもんなんだよ?四六時中何カ月も続くんだよアレ。あればっかしはどうにも慣れないから・・・
あ、でもこれくらいの穴ならユイさんの魔法でカカっと塞げるはず――」

ポカッ
「あ、いた!」、殴られた。まだ怒っているのか、地味に痛い。
「はあ・・・あのねえ、小浪くん。いくら私が魔女でも、屋根を直す魔法とか持ってないから。魔法は万能じゃないのよ?」
天井の大穴の向こうの星空を眺めながらユイは大きなため息をはいた。






――あの時――閉鎖空間で彼を想って慰めてしまった自分が嫌になって、完全な孤独に心を浸蝕(オカ)されそうになったとき、突然の轟音で目が覚めて難を逃れた。
あのドゴオという轟音とともにかすかに耳に入った「うわあ」という、ちょっとどころか、だいぶ間抜けな、どこかで聞いたことのある、どこか心安らぐ声。
今思えばあれは、本人は意図したわけじゃないだろうけれど小浪くんが落下して屋根を突き破った時のものだろう。
偶然だけれどあの音のおかげで私は夢の世界から脱出しまともな状態で今ここにおり、そして彼と再会できた。

「またあなたに助けられたのね・・・」

押しが弱いというか流されやすいというか、彼はどうみても勇者に不向きな性格なのだが、
でもここぞという時はまるで別人みたいにかっこよくて
さっきみたいにいきなりあたってきた私を抱きしめてくれるほど、優しくて温かくて・・・
とにかく私にとっては頼れる勇者様なのだ。今回だって私を孤独の闇から救ってくれた。・・・ちょっと間抜けな形でだけど。
でも・・・勢いで今までの鬱憤をぶつけちゃったなあ・・・怒ってるかな小浪くん・・・
もっと・・・文句の他に彼に言いたいことあるのに、恥ずかしくて好きの「す」の字も出せやしない・・・
あーあ・・・さっきみたいに心の中でさらりと言えれば楽なのに・・・あたしってやつは・・・


「いやー、いきなりで吃驚しちゃったよ。でも正直ほっとしたよ。」
「あ、うん・・・ごめんね。いきなり取り乱しちゃって」
「それはもう気にしてないよ。いや、そうじゃなくてさ」 「ふぇ?」

何がおかしいのか、彼の顔はニヤニヤが止まらないようで、それでいてどこか照れくさそうにはにかんでいる。
私の顔になんか付いている?それともさきほどのやけくそに出てきた「にゃんにゃん」「放置プレイ」発言を思い出して?
あれはもう許してよお・・・自分でも何を言っているのかわからなかったか―――


「僕のことを世界で一番好きだ、もう二度と離れないようにぎゅっと抱きしめてなんて・・・
聞くこっちも恥ずかしいくらいだよ。長かったけどあの時の返事が聞けて良かったよ」





カキーン  岩男「よし!今のうちに急いでビーム地帯を通り抜けるぞ!」

これで彼の時止めに遭うのも二度目だ。
おっけいおん・・・ユイ、時を止められている今だからこそ今までの経緯を落ち着いて整理しよう。まず私は目が覚めた後何を見た?
最初は天井の魔法式ランプだ、その次にベッドの窓をみて空の様子を確認したわよね?
次に見たのは・・・あー、うー・・・あ、あそこのお汁まみれの右手とぐっしょり濡れた寝巻・・・ね
それから彼への愚痴と想いの告白を心の中で呟いていた。その直後彼が土下座してサザエしていた。ということは・・・

「な、な、なんでそのこと知ってるのよ!?
小浪くん・・・ま、まさか、私を『本』にして読んだというの?
それとも小浪くんは旧地獄の動物屋敷に住む一族だったっていうの!?は、もしや私はサトラレだったの!?」

「いやいやユイさん。僕コーヒー一杯だけで漫画描けないし、核融合ができる地獄烏をペットにしていませんから・・・
・・・いや普通にユイさん声に出していたよ、最初から。なんかユイさんが『最低だ、あたし』って呟いていたところから」


岩男「しまったタイムストッパーが切れた!あ」ビューーーン    ティウンティウン、、、



ばたん
「ゆ、ユイさん!?しっかりして!わ、すごい熱じゃないか!と、とにかく汗を拭くため
脱がさ・・・って何言ってんだ俺!?
まずベッドへ連れていかなくちゃ、でも脱が・・・やっぱベッド!?」
・・・・・・あ、そういえばよく考えれば寝巻のままだから彼に恥ずかしい部分丸見えだったんだ・・・

そして彼女は心の中でばたん、と二度倒れた・・・



ガチャ・・・
「あれ・・・よかった・・・気がついたんだね」
「・・・・・・うん」

あれから彼女をベッドへ連れて行って、再び彼女の部屋を開いた時にはすでに彼女は気が付いていたようだ。
なにか恥ずかしいのか、頭の上からがばっと毛布にくるまり、その合間から子犬のようにわずかに潤んだ大きな瞳がこちらに向けられていた。はぅ、可愛いなあ・・・
僕は両手で持っているそれに振動を与えないよう気をつけながらベッド近くのテーブルにゆっくりとお盆を置き、近くにあった椅子を自分のもとに寄せてユイさんの顔が見えるように座った。
お盆にのった土鍋からはもくもくとおいしそう、とはさすがに自画自賛で言えないけどほんのりと甘い香りが漂っている。

「ごほっ・・・え?ひょっとしておかゆか何か作ってくれたの?小浪くんが?」
「うん。悪いけど家の中の食材を勝手に使わしてもらったよ。薬も探してみたけどどこにあるかわからなくて・・・」
「今風邪薬切らしているのよ。でも、おいしそうな匂いね・・・小浪くんも料理できるのね」
「おいおい冒険してるんだからそりゃあ僕にだって多少のスキルはあるよ。
一年前はほとんどユイさんやミユキさんが作ってくれていたけど・・・
それより冷めないうちにはやく食べなよ。口に合うかわからないけど・・・」



そういって彼は土鍋からおかゆをお椀によそおってくれた。ふわあ・・・とおかゆからやさしい湯気が立ち込めている。

「はい、スプーンをどうぞ」
「・・・・・・」
「どうしたの?ユイさん?具合でも悪くなったの?でも薬がないからこそ食べないと・・・」
「・・・ううん、そうじゃないのよ。ただその・・・」
「うん?」
「・・・・・・させて」
「え?なに、ごめん、なんて?」
「・・・その・・・あ、あーんでたべさせて・・・」
「・・・へ?」
「だ、だからその・・・あーん、て・・・小浪くんに・・・食べさせて・・・ほしいな?」

へあ?と気の抜けた声を出した彼は鳩が豆鉄砲を食らったような顔でしばらく立ち尽くしていたが、
やがて、にやあ〜と口元をゆるめて目を細めるとおかゆを掬った木製のスプーンを私の前に差し出してくれた。
「あーんしてなんて、ユイさんは子供だなあ」
と、彼はからかうが、かなりの間会えなかったんだ。こうなりゃとことん甘えてやるんだから・・・
・・・もうすでに恥ずかしいところをいっぱい見られてきたし。



ぱくっ
ほのかにする甘い香りのなかで、ちょうど良い加減の塩気が舌を刺激する。
お汁は一緒に炊かれた野菜のうまみが出ているのか甘すぎず、辛すぎず、
やわらかく優しい舌触りのお粥がすうっと口から喉元へ、そして胃の中へと消えていく・・・
正直彼の作った料理がこれほどの出来とは驚きである。かつて私が彼の一行に加わった時、すでにミユキさんやハヅキちゃんがみんなの食事を作っていた。
なんでも彼やヤマダ君、それにアカサカ君やコヤマ君が作るものは「男の料理」という名の野菜と生肉の丸かじりか、
できたとしてもカレーかシチューが十日以上続くかどちらかだから結局私たちが作ったほうがいいというらしい。
だから、私がその彼の「男の料理」を食べるのは今回が初めてなのだ。なんだ二人がいう割には全然まともでおいしいじゃない。

「おいしい・・・小浪くんの作ってくれたお粥本当においしいよ!」
寝る前になにも口に入れなかったから、どんどん食が進み、おかゆを口に運んでお腹を満たしていく・・・
「いやー、そう言ってもらえるなんて光栄だなあ、僕の名前小浪だけど」
「もう、なに言ってるんだか・・・でもよくこれだけの味を出せたわねえ・・・私の家そんなに具材ないのに」
「あーうん、台所にあった材料だけじゃ足りないからね・・・
採れたての新鮮なキノコがあったから、それが隠し味になっているのかな?」

「へえ、そうなんだ。キノコがねえ・・・・・・ちょっと待って。キノコって?」
「あれ?ユイさんキノコ嫌いだったの?」
「そんなことじゃないの。小浪くん、そのキノコってもしかして・・・」
「うん、アトリエの部屋の机に置いてあったのを拝借して」



「な、な、な、な、なんてものを入れてくれたのよー!?」
「え?あれ食べたらまずいものだったの!?あ、大丈夫だよ、ちゃんと毒っぽいのを除けて食べられそうな色のやつを選んだし・・・」
「そういう問題じゃないでしょうが・・・きゃうん!?」
「!!ユイさん!?」


急に身体が熱くなった。
指先からつま先まであらゆる皮膚の表面が何かに触れただけで過敏に快楽として反応していく。
まるで全身が性感帯になったかのようだ。
どうやら胃の中での消化でちょうど全身に効いてきたようだ。ああ・・・なんだか頭の中の脳がとろけていくみたい・・・
なんだかもうどうにでもなってほしい。なんだか彼とひとつになりたい・・・



どうやら、これ以上この魔法使いはまともに会話できそうもないみたいだし、代わりに説明しなければならないみたいだな。
魔法の森に自生している化けキノコというのは、調合によってはマス・・・強力な魔砲を放つことも可能なわけだが、
ほとんどが食用にならないというのが以前書かれたとおりだ。たしかに中には天ぷらにすれば美味いものもある。
というよりほとんどが味自体は悪くない。では何故食用にならないかというと、察しのいい読者諸君にはわかるだろうが、
物語にありがちな下痢や幻覚、笑いが止まらない、防具が外れないなど副作用が存在するからだ。
・・・そしてどうやらこの青髪の魔法使いが中ったのは、一種の媚薬効果と・・・せ、性欲増強みたいだな。
・・・まあおそらくこのあと小浪といったか、あの男と・・・えーと「にゃんにゃん」するんだろうな・・・
そろそろ本編に戻すか・・・それじゃ私は神社にでも出かけてくるぜ・・・




「ユイさん!?しっかりして!?」
「――――――〜〜〜〜っ!!?」
さっきまでの落ち着いた様子と全然違い、彼女は僕の返事に応えられず、はあはあっ、と苦しそうな吐息を零しているだけだ。
「ごめん!ユイさん!俺が不注意なばっかりに!」
「――はあっ、はあ、小浪くん、のどが、はあ、渇いたの」

いったん波がおさまったのか、ユイさんが口を開けた。
瞳には光が失われて、ほほが桃のようにほんのりと紅みががっていて、苦しそうにこちらを見つめている。
喉が渇いた、という一文ですぐさまお盆の上にあったコップを彼女に差し出した。
「水だね!?ユイさんほらここに

ガチャーン
体勢を崩して手から離れたコップが落下し中身を撒き散らし転び、内容物が床に放射状に浸透していく。
なにか言おうとするけれど一言も言葉を発することもできない。
ユイさんの唇が僕のと重ねられているからだ。しかも彼女から抱きしめて。
再会した時の抱擁もかなりの力が入っていたが、今回は爪も食い込ませてきて背中に痛みが走る。

れろ・・・
口内になにか異物が侵入してくるのを感じる。無論その異物の正体は彼女の舌だった。
彼女のそれは歯の防壁を無理やりこじ開けようとする。突然の行動にとっさにさらに歯を食いしばって侵入を防ごうとするが、
歯ぐきをチロチロと舐めまわしてきたかと思うと、満足したのか舌を引っ込めていった。
「――ユイさんなん―――」

れろ・・・くちゅり・・・れろ、ちゅるちゅる・・・
彼女に抗議しようと開いた口に再び彼女の舌が襲いかかってきた。どうやらフェイントをかまされたようだ。
フェイントに引っ掛かった最終ラインはあえなく崩壊し貪欲な彼女の舌の侵入を許してしまった。目当てはどうやら僕の舌のようで、真っ先に絡ませてきた。
別の生き物のようにぬるぬる動くそれとそこからでる液は先ほどのお粥の味だろうか、
ほのかに甘く、またそれ以上に甘ったるい香りが口一面に広がっていく。
唾液の交換をたがいに続けていくうちに、やがてどちらの唾液がわからないほどに口の中は唾液まみれになろうとしていた。
彼女は目を閉じていて僕の唾液をもらうのに必死そうで、母乳をもらう赤子のような、そんな印象を受けた。


「―――ちゅるり、か、かはっ・・・かはっ、ごほ・・・はあはあ、はーはー」
先に折れたのは意外にも先に仕掛けてきた彼女のほうだった。苦しくなったのかせき込みながらベッドの上で膝と手をついた。
どうやらいわゆるディープキスというのに、あまり慣れていないようで、口で呼吸をしていたようだった。長続きしないわけだ。



「はあはあ、ユイさん、どうしてこんなこと・・・」
なんとか態勢を立て直した僕は、できるだけ冷静になるよう心がけて彼女に問いただした。
「はあっはあっ・・・はあ・・・小浪、くぅん」
呼吸を整え、頭を上げた彼女は、その瞳は相変わらず光を失ってどんよりとしていて、
汗で前髪や耳に掛かっている髪の毛が素肌に張り付き、
その麗しく瑞々しい桃色の唇からはつう・・・とどちらのかわからない銀の糸が引いていて、
さっきの乱暴な行動で、寝巻は彼女の左の肩甲骨の部分と胸の谷間が見えるぐらいに肌蹴ていて、
正直いつこちらの理性が暴走してもおかしくないほど扇情的な光景だった。


「あ、のね、はあん! 私ね・・・小浪くんが、はあっ、ここへ、落下してきた、直前までね・・・ゆ、夢の中でねえ、

小浪くんにい、犯されることを、妄想して、はあうん・・・ひとりエッチ・・・して、いたんだよお?」

「・・・・・・」

「はあそれ、ぐ、らい・・・小浪くんが、あん、欲しくてえ、でもぉ、いなくて・・・はあ寂しくて・・・

でもやっと、ああん!逢えて!もう、我慢できない、の!・・・
・・・お願い、な、なにも、はあっ、なにも、考えれない、くらいに・・・!
あたしのなかをめちゃくちゃにしてぇ!?」

彼女はもう我慢できないのか、寝巻の下部分を脱ぎ捨てると、愛液でびっしょりと濡れてその役目を果たしていない
下着をわずかにずらすと彼女のまだ乙女の証を残している、泉の源泉がみえた。
そして彼女はその泉への入り口を彼の目の前で、くぱあ・・・と広げて見せようとしたところで―――


「ダメだ――――」
今まで黙っていたが・・・


「―――なんで、なんでなの?」
拒絶されたと思ったのか、彼女の眼から大粒の滴が溢れてきて、ぽたりと落ちてきて、止むことを知らない。

―――ああ、せっかく両想いになれそうかと思ったのに、ついに彼に嫌われてしまった、
自分がみだらな女だから嫌われたんだ。すべて自分が悪いんだ。もう取り返しがつかない―――

「ひくっ・・・ご、ごめ、ごめんなさい・・・小浪、くん、ごめん、なさい」
「なんで謝るんだい?ユイさん、先に謝らないといけないのはこっちのほうさ」

彼が私の肩に触れながら語りかけている
「ぐす、ひっく・・・ふぇ?」
「僕は・・・俺がユイさんの思っている以上に君をめちゃくちゃにしてしまいそうだから」


俺はそういって彼女の残りの上着を本能の赴くまま破り捨て、彼女へ押し倒した。
今まで黙ってきたが、ダメだ、もう我慢できない――――

「んむう!?」
今度は自分のほうから彼女へ唇を重ねる。彼女の口内に舌を捻じ込ませることは容易だった。
さっきの貪欲さはどこへいったのか、彼女は舌を奥へ引っ込めさせようとする。が、それは許さない。
ちゅうちゅう・・・れろ・・・
すぐさま俺の舌が彼女のかわいいそれを捕らえて、小型のサメを8本の触手で襲う大蛸のように、絡ませていく。

まだ、何をされているのかわからないのか、彼女は眼をぱちくりしている。傍らには先ほどの涙を残しながら。
時間がたつと次第に状況を把握したのか、眼を閉じてこの舌同士のゲームを楽しみだしてきたようだ。

くちゅう・・・れろれろり・・・ちゅっちゅ、ちゅろり・・・れろ、れろ・・・

彼女の唾液はどんな飲み物よりも甘美で渇きを満たし、そしてどんなに求めても満たしてくれないものであった。
どちらがどちらの舌なのか感覚が溶けてわからなくなるまで深く絡めあう。
やがてどちらがやめたかわからないなか唇同士を離した二人の間には銀色の輝く糸が結ばれていた。


「どうする?次は胸をしてほしい?それとも・・・」
「はあはあ、うん・・・お願い来て・・・もう我慢できそうにないの・・・」
そういって彼女は下着に手を掛けようとした。
「いや、ユイさん、俺がやる」
そういって彼女を制止させた俺は、彼女の下着に触れた。下着は濡れているせいか、若干の重みがあり、ほのかに酸っぱいような、甘いような、そんな匂いがした。
これを被って事を進めるというのも考えたが、さすがに変態すぎるので自重する。



「・・・・・・」

「―――――――綺麗だよ、ユイさん」

「―――――あまり、見つめないで・・・恥ずかしい」

彼女はあまりのここにきて羞恥心か、ぷいっと、そっぽを向いて目を背けていたが、
彼女のへその下にあるデルタ地帯は、どの男どもがみてもため息が出る美しさだろう。

無駄な贅肉が一切なく、それでいてちょうどスレンダーと肉つきの良さという二つの難題を両立している太ももとふくらはぎ。

へそ周りのお腹も脂肪がないが、触れば最高級のベッドよりも心地よい弾力が返ってくる。

そして肝心の彼女の秘所は彼女の体質なのか、まだ茂みの一切生えていないなだらかな丘だった。

「・・・生えてないんだね」
「・・・ここ子供っぽくてそんなに好きじゃないのよ・・・おかしいでしょう?」
「・・・俺はむしろこっちのほうがいいかな?」
そういうと彼女はさらに頬を赤らめて目を閉じてしまった。よほど気にしているのだろう。
意を決してそろそろいこうか―――

「・・・入れるよ」
ベルトを緩めて自分の愚息を取り出す。正直今まで暴発しなかったのが不思議なくらい怒張している、だがそれももう終わりそうだ。
俺のそれを見た彼女は別に怖がる様子もなく、ぼんやり俺のを眺めている。
「うん、わたしは大丈夫だよ。ただ・・・お願いがあるの。」

まあある程度は予想できるだろうが、それを無視するのは野暮なもんだ、様式美は大事だよね



「なんだい?」
「その・・・私・・・初めてだから・・・さっきはめちゃくちゃにしてって言っていたけど
・・・そのできたら・・・小浪くんの自由でいいから・・・優しくして・・・?」
「ああ・・・できる限り努力するよ」
「うん、ありがとう・・・じゃあお願い」
「・・・いくよ」


ちゅぷう・・・

「ひゃあ!?あ、ああ〜!あうん!」
「っく!ユイさん、落ち着いて力抜いて・・・」
誰の侵入も許されていない秘唇とその中は、予想以上にきつく俺の分身を容赦なく締め付けてくる。
しかしそれ以上に彼女はもっと怖く、そしてつらいはずだ。できるだけゆっくり進まなければ・・・


「あっ、うん・・・あっあっ・・・はあ、はあ」
「どうユイさん慣れてきたかい?」
「はあはあ・・・うん、もう、だいぶね・・・気にしないで進んで」
俺は彼女の言葉を信じてさらに彼女の奥を突き進んでいく・・・すると分身の先端の行く手を阻む何かにぶち当たった。おそらくこれが―――


「―――ユイさん」
「・・・ユイって呼んで」
「え?」
「小浪くん、いつも私のことさん付けで呼ぶじゃない。いつもいつも周りに対して弱気っていうか・・・振り回されて・・・
私と一緒のときだけ・・・こういう時だけでも素の自分をさらけ出していいのよ?
その代わり私もあなたのことを―――」

「ユイ―――」

「―――いいよ小浪、」


ぷつ―――
「――――――っ!?くっ、あっ、あっあああ小浪、小浪〜!!?」
「くうっ!!ユイ、大丈夫か!?」

膜を貫通した瞬間に経験したことのない快感の渦が襲ってきた。これは入れているだけでもここで果ててしまいそうだ・・・
でもまだ彼女、ユイが気持ち良くなるまで先に行ってしまうのはあまりにも悪い。処女では経験を楽しく感じられるのは皆無と聞くが―――



「はあ、あああっ、小浪!私、大丈夫だから!あっ、うご、いていいよお!?」
苦痛だろうに、ユイは俺に精いっぱいの笑顔を涙交じりに見せつけてきた。

「ユイ!?すまない!もう我慢できない!」
それなのに俺は欲望に負けてそのままユイの身体の中で抽送を開始した。

ずちゅり、ずちゅりと淫らな肉の擦れ合う音が彼女の膣を繰り返すうちに奏でられる。
彼女自身をつかった演奏によってか蜜壺から溢れ出る愛蜜はその量を多くし半透明のものからやがて、真っ赤な鮮血が混じり始めていた。
それを見て少し動きを止めてしまった。しかしその刹那、何とユイのほうから腰を動かして続きを促してきた・・・・

ぐちゅぐちゅ、ぐちゅずちゅうり・・・

「―――っ!ユイ!無理すんなよ!?」
「ふぁっああんっ、はあ、あん!ねえ、私、ひゃあ、もう大丈夫だから、ああっ、気にしないでっ」

信じられないが本当にユイは痛みを克服したらしい。この腰を小刻みに前後の動き、そしてなにより、
今まで悲痛なユイの喘ぎ声が吐息の長い艶やかなそれへと変化している。
どうやらさっきのキノコの効果がうまい具合に作用したらしい。今回はある意味すべてにおいて毒キノコに感謝しなくては――――


ぐちゃりぐちゃあ、ぎゅう、ぐちゅぐちゅうう、・・・・
「ああん!う、ふぁあ・・・はあ、はあ・・・ね、もっと、もっと、ついて・・・」
艶めかしいユイの喘ぎを肴に俺はいまだにユイのなかを楽しんでいた・・・あのキノコの効果は考えていた以上に絶大らしく、
スパンこそ極端に短いものの、どれだけピストン運動を繰り返したり、肉芽を摘み出してイかしてもユイの性欲が収まることを知らない。

「ふぁっ、ふぁっ!あ、ああっ、あ、こ、小浪!こんどは、なにか、ほんとに、なにか、あう、きそう、なのお!」


・・・どうやら今度は本当に「その時」が来たようだ。体力的にも俺もこれが限界か。最後の追い込みということで一気に勢いを速める。

ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゃあ

「ふぁあ!!ひゃあっ、あっ、しょんなに、ああっ、はげしくしたらああっ、こわれ、ひゃえ、ちゃうよお!?」

「あっ、くうっ!それは俺も、おなじさ!」

「あん!あん!ね、ねえ!こんど、あ、こそ!?あっ、あなたと!」

「ああ!ユイ一緒に!」

ぐちゃぐち、じゅるじゅるずちゅずちゅく―――

「ふぁあああああぁぁ――――――――――」

二人して絶頂を迎え、彼女の中に己の劣情をぶちまけた時、知らぬ間に二人して手を握り合っていた・・・
ふっと意識が途絶える直前にみた彼女の顔がこの上なく幸せそうに微笑んでいた・・・





雲ひとつない晴天。冒険にでかけるには申し分のない天気だ。
僕の目の前には、今までに見たことがないほどはしゃいでいる彼女が先頭を切っている。

「やけに元気がいいねえ・・・それじゃ途中でスタミナ切れ起こすよ?」
「何を言ってるのよ!こんなにわくわくした気分なんて今までなかったんだから!
それに途中で元気がなくてもカラ元気をだすまでよ!」
「やれやれどちらが勇者なんだか・・・」

あれから一夜明けすっかり風邪の治った彼女は冒険の準備をしようと僕に持ちかけて、朝から起きて3時間ほどで身支度を整えてしまった。
こちらはまだ昨夜のハッスル運動会の余韻がまだ残ってるんですが・・・
後ろからよく見える彼女の青い長髪は後ろで見事なポニーテールでまとめられている。
1年前まではフードを被って目立たなかったけど、彼女によく似合っていると思う。
そういえばなんだかんだで僕たちは両想いになっているのかな?一応はっきりとは告白は聞いていないからね・・・

「―――――それとね・・・・小浪くん、聞いてる?」
「へ?ああ、ごめんなさい、聞いてませんでした」
「もう、ちゃんと聞いてよね!これからの冒険に向けての大切な掟を言ってるんだから・・・」
「はいはい・・・」

「掟その一!
 食事は私が作ること!小浪くんは原則禁止!特にキノコ料理は禁止!」
「はい・・・」
「掟その二!
絶対単独行動をしないこと!常に二人とも離れないようにすること!」
「ああ、そうだね・・・でも昔ユイさん単独行動でイルに返り討ちに・・・」
「なんか言った?」
「いえ、なんでもないです・・・」
「そして掟その三は・・・」


「二人の大切な時、お互いを偽らず、呼び捨てで呼ぶこと・・・だろ、ユイ?」
「―――うん、これからもよろしくね・・・小浪」


手と手をつなぎ合った二人のそれぞれの旅袋にはあの化けキノコが入れらていたそうな

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