梅雨もあけ、夏の暑さも最高潮に達した7月終盤。
開拓高校野球部は激闘の予選大会を勝ち抜き、念願の甲子園出場の切符を手にした。
そして現在、俺達は来る甲子園での戦いに向けて最後の調整合宿を学校にて行っている。


合宿中の寝床として使用されている体育館は冷房など気の利いたものはあるわけもなく、暑さに加えて山間部特有の湿った空気が否応無しに不快感を高める。
端的に言えば、寝苦しい。
体を起こすと、体育館に敷き詰められた布団の上で野球部員たちが無秩序に転がっている光景が目に入ってくる。
みんな高らかにいびきをかき、重なり合ったそれはまるで地鳴りのように体育館の中に響き渡っている。
「くそっ、幸せそうな顔で寝やがって……」
自分のすぐ横で口をだらしなく空けながら寝入っているツメイに悪態をついてみるも、当然それで状況が変わることもない。

枕元に置いた携帯を手繰り寄せ、画面を見るとデジタル表記でPM 09:07 と表示されている。普段ならば、まず起きている時間だ。
「……仕方がない、眠くなるまで外で時間を潰すか……」
少なくともここで手持ちぶさたに時間を浪費するより外で過ごす方がいくらかマシであろうと考え、転々と転がった部員をたちを踏みつけないように慎重に体育館を出る。

しかし、外に出た瞬間、館内の空気よりさらに湿気を含んだ空気が体にまとわりついてきた。
さらに、学校の周りの森の中で大音量で虫たちがあげている鳴き声が耳に入ってくる。ここまで大声だと風流だと感じることもなく、ただ五月蝿いだけだ。
「外も中もあんま変わらないな……」
汗で体に張り付くシャツをつまんで剥がしながら、薄暗いライトと月明かりで照らされた学校の敷地内をあてもなしに歩く。
通いなれた学校ではあるが夜、闇に包まれた時間に歩くといつもとは違った印象を受ける。
「星が綺麗だな……」
空を見上げれば明るい星が一面に散りばめられた夜空が広がっている。
少し街を離れるだけでこんなにも星は綺麗に見える、それはこの学校に来て初めて知ったことの一つだ。

星空を眺めながら適当にぶらついていると、自然と通いなれた道程を歩いていたようで校庭の端にある部室の前までたどり着いてしまった。
部室に用はないので引き返そうと背を向けかけたが、そこでカーテンの隙間からもれ出る光が目に入った。
「こんな時間まで何やってるんだ……?」
部室の中で居るであろう人物に関してはなんとなく見当が付いていた。
部員は全員体育館に転がっているはずだし、ムラっちにこんな遅くまで仕事をするような甲斐性があるわけもない。
再度体を翻し部室の扉の前まで行き、ドアノブに手をかけて部室の扉を押し開く。

「冴花。遅くまでお疲れ」
後ろ手に扉を閉めながら、入り口に背を向けて黙々と作業していた冴花に声をかける。
「あら、小波君。こんな時間にどうしたの?」
冴花は突然の訪問者に驚いた様子一つ見せずにこちらを振り返った。
「ツメイのいびきがうるさすぎて眠れなくてね。体育館から逃げ出してきたところだ」
「そう、ツメイ君のことだからきっと地獄の亡者のうめき声のようないびきなのでしょうね」
作業を続ける手を止めることなく、冴花はさらっと辛らつな言葉を吐く。
「冴花はこんな時間まで何やってるんだ?」
「そうね……今は提出しなくてはいけない書類の整理とか、あとは甲子園での宿泊場所とか交通手段の確認ね」
さも簡単に言ってのけるが、冴花の座っているテーブルには大量の書類が広がっていた。どれも頭が少し残念な俺には不可能な仕事であろう。
「全部任せっきりになっちゃってるな……すまん冴花……」
「いいのよ、私は好きでやってるんだから。それに、ちょうど今一段落ついたところだから」
冴花はそう言うと背筋をぐっと伸ばした。
「そうか……。じゃあ今日の分の作業は終わったのか?」
「うーん……、今日中に終わらせなきゃいけないことは終わったわね」
冴花は指で書類の束をめくりながら答える。
「なら、家まで送っていくよ。もう、結構遅い時間だし」
冴花は家が学校から近いこともあり、合宿中も家から通っていた。
そして、既に時刻は10時前になっており、いくらここが田舎とはいえ女の子が一人で帰るには危険な時間である。
「でも、一度学校を出てもう一度帰ってくるのは面倒じゃないかしら?」
「ちょっと体を動かしたい気分なんだよ、だから大丈夫」
「そう? ならお言葉に甘えようかしら」
冴花はそう言うと簡単に荷物をまとめて帰る準備を整える。
そして、二人で部室を出て暗い学校を並んで歩き出した。


「ねぇ、ちょっと話でもしていかない? 最近、試合とか練習が忙しくてあんまり二人っきりで話す機会もなかったし」
校舎の前あたりまで来たところで突然冴花が言った。
「え? でも、もう10時だぞ。帰った方がよくないか?」
「ちょっとくらい大丈夫よ。ほら、ここに座って」
校舎の前の花壇の縁に強引に座らされる。
「それにしてもみんな疲れて寝ちゃってるのに、さすがに小波君はあれぐらいは余裕ってことかしら?」
冴花もその横に行儀良く足をそろえて座りながら、そう尋ねてくる。
「疲れてはいるさ。ただ、今日は寝付けなかっただけだよ。むしろ、甲子園を目前にしてガラにもなく緊張してるだけだな。きっと」

俺が眠れなかった理由は、多分今言った通りだ。
今までも大舞台は何度か経験してきたが、この感覚は始めて味わうものだった。
それは、つまりこの開拓高校に来たことで俺になんらかの変化があったということだろうと思う。

「あら、他のみんなはきっと自分たちが甲子園に出場することに対して実感が湧いていないだけだと思うわ。むしろ、甲子園のことを現時点で心配できるのは余裕の証じゃないかしら?」
冴花は首をかしげるようにして横から俺の目を覗き込んでくる。
「あー……冴花は俺のことを買いかぶりすぎだよ」
「そうかしら。だってあなたはこの野球部のキャプテンで、この私の彼氏なのよ? 甲子園ぐらい余裕綽々で構えてくれていないと困るわ」
「手厳しいなぁ……」
冴花は俺の返事を聞いてくすくすと楽しそうに笑った。

会話がそこで途切れたため、なんとなく俺はここまでの道程を思い返してみることにした。
こんな高校生活を送ることになるとは、まったく考えてもみなかった。
中学時代の俺は甲子園に自分が出場することに対して何の疑問も抱いていなかった気がする。
しかし、実際は甲子園にたどり着くまでに数多の困難が待ち受けていた。が、俺達はそれを全て乗り越えてここまで来ることができた。
結果こそ中学時代に思い描いていたものと同じかもしれないが、その過程で俺はこの道でしか得ることが出来ない代えがたいものを沢山手に入れたはずだ。
それがきっと俺を変えてくれたのであろう。

横を見れば、冴花がいる。
冴花は俺がこの道を選択したことで得ることが出来た、最も大事な存在だ。
「冴花、今までありがとうな」
そう思うと何故か、この日まで俺を、そして野球部を支えてきてくれた冴花にお礼を言いたくなった。
「……まだ、それは早いでしょ。そんな最後の台詞は甲子園で優勝してからでないと」
冴花が真っ直ぐに俺を見据えて言う。
「私はね、欲が深いの。どこかの女の子みたいに甲子園に連れて行ってもらえるだけじゃ満足しないのよ?」
そしてにやりと笑った。
「……任せておけ。絶対に優勝してやる」
俺もなるべく自信満々な顔に見えるように意識しながらにやりと笑い返す。
「ふふ、小波君はやっぱりそうじゃないと」
冴花が嬉しそうな表情を浮かべる。

ふいに再び会話が途切れ、二人の間を沈黙が流れる。
今度は何も考えずに、ただ、くっついた肩から感じる冴花の体温などを意識している。
鳴り響く虫の音の合間に遠くでフクロウが鳴く声や木々が揺れる音が混ざる。
「……星が綺麗ね」
空を仰いだ冴花がぽつりと言う。
「ここは『お前の方が綺麗だよ』とかいう場面かな?」
「……残念。素直にそう言っておけば私の好感度は急上昇だったのに」
「好感度って……」
「……でもそんなことしなくても、もう既にメロメロだけどね」
冴花が頭を俺の肩へと預けてくる。
「メロメロって……表現が古くないか?」
「……うるさいわね。そんな捻くれたこと言ってないで素直に言葉を受け取りなさいよ」
「そうだな。……嬉しいよ冴花。俺も冴花にメロメロだ」
「……言うのはいいけど言われるのは微妙ね」
「俺は言う方が微妙だったぞ……」
「でも、私も嬉しいわ」
そう言って肩に置かれていた頭を上げ、俺を見ながら冴花が目を閉じた。


「んっ……」
冴花の可愛らしい唇にそっと自分の唇を合わせる。
啄ばむような、ささやかなキスを交わした。
「……っあ」
唇を話した瞬間、冴花は薄く目を開き、物足りなげな息をつく。
そして、冴花が再び目を閉じたので、俺ももう一度唇を合わせる。
今度は舌を冴花の口内にねじこんでみることにした。
「んんっ」
弱い抵抗を感じるが、無視して押し進めるとあっさりと受け入れてくれる。
自分の舌を冴花の舌に絡めあわせる。そのまま、冴花の舌を自分の口内に招き入れて弱く吸う。
「っ、ちゅっ、じゅるっ……」
お互いの唾液をすする音が鳴る。唾液で二人の接合部分がべたべたになってしまう。
「ぷはっ」
二人の唇が離れ、その間に混ざり合ったよだれが糸を引く。

「きゅ、急に激しすぎるわよ……」
冴花が上気した顔で抗議してきた。
「ごめん、でも冴花が可愛すぎて……」
こっぱずかしい台詞を言いながら冴花の体を抱き寄せる。
「す、するの?」
冴花が俺の腕の中から上目遣いで尋ねてくる。俺には、その目は何かを期待しているように見えた。
「いやか?」
「……い、いやじゃないけど……学校で、しかもまた外でなんて……」
「いやじゃないなら、する。今すぐここで」
制服の上から冴花の背中を撫で回す。夏服なので下着のワイヤーの存在を確かに感じる。
「あっ、ちょ、ちょっとっ」
冴花は身をよじって抵抗しているが、やはりその抵抗には力がない。
なので、俺は制服の裾から手を差し入れて冴花の肌を直接触ることにした。
この蒸し暑さのせいか、はたまた興奮しているのだろうか冴花の肌はじっとり汗ばんでいる。
「やっ……汗……」
冴花もそのことに気付いたのか、少し抵抗する力が強くなる。
「冴花の汗なら全然汚くないよ。むしろ、なんだろう……ご褒美?」
背中を撫で回す手を止めることなく冴花の耳元で囁く。
「……変態」
冴花が急に冷めた声で言ってくる。どうやら何か言葉の選択を間違えたらしい。
「冴花にののしられると妙に興奮するな」
開き直って冴花の背中への愛撫を続ける。
そして、その手でブラジャーのホックを外して抜きってしまう。
「うっ……本当にするの……?」
「当たり前だろ」
外したブラジャーは地面に直接置くわけにもいかないのでズボンのポケットにねじ込む。
そして、冴花を膝の上に乗せるようにして抱き寄せ、服の上から胸を揉みしだく。
「んっ……」
手を動かすたびに冴花が押し殺したような声を上げる。


「っ、こんなとこで、こんなことして、誰か来たらどうするのよ……」
「野球部の面子はみんなぐっすり寝てるよ。だから安心して声をだして大丈夫」
再び制服の裾から手を差し入れ、今度は胸を直接触る。
虫の音を聞きながら冴花の胸を揉むというのも中々オツなものである。
「っあ、で、でも、もしかしたら誰か起きてくるかもっ……」
「んー……別に見られてもいいんじゃないか? 俺たちが付き合ってることは皆知ってるんだし」
「なっ、だ、だめよっ、そんなのだめっ!」
急に冴花の体の逃げようとする力が強くなる。どうやら冴花的には部員達に見られることはかなり抵抗があるらしい。
「大丈夫だって」
逃げようとする冴花の体を自分の体に押し付けるように抱き締める腕に力を入れ、そのまま既に硬くなり始めていた乳首を指でつまむようして刺激を与える。
「あっ! ね、ねぇ、ちょっとほんとにっ……んんっ!」
それでもなお抵抗を続ける冴花を黙らせるために本格的に手を動かし始める。
手のひら全体で冴花の、意外と大きい胸を包み込むようにして刺激を与える。
そして、たっぷり胸の柔らかさを楽しんだ後、強めに乳首をはじくと、冴花が体をそらせるようにして激しく反応を示した。
「ふああああっ! ふあっ、はぁっ」
抗議の声がやんだ隙に、今度はスカートの中に手をもぐりこませる。
予想通り、そこは冴花の体液でぐっしょりと湿っていた。

「あっ、だめ! そこはだめっ!」
「うるさい」
冴花の口をふさぐために強引に唇を奪う。そのままの状態で下着の上から湿った冴花の秘所を指で上下にこする。
「んーっ!、んんっー!」
合わされた唇が震える。多分、抗議の言葉を言おうとしているのだろう。
指を動かすたびに冴花の奥から粘っこい液体がどんどん溢れてくる。
もはや下着は完全にぐしょぐしょになってしまい、指で押せば愛液が染み出してくるほどだ。
「ふあっ……あっ、あなたねぇ……」
唇を離すと冴花は荒い息をつきながらこちらを睨んでくる。
「でも、冴花も興奮してるんだろう? ほら、こんなに」
愛液で滴るほどに濡れてしまった手を冴花の顔の前に掲げる。
「うっ……」
冴花は顔を真っ赤にして、言葉に詰まってしまう。。
「さっきも言ったけど、大丈夫だよ。皆合宿の疲れのせいでちょっとやそっとじゃ起きないぐらいに寝入ってるから」
そう言いながら冴花を向かい合うようにして膝の上に座らせる。いわゆる対面座位という奴だ。

「なんていうか……ずっしりくるな」
「……なにか言ったかしら?」
冴花が実にいい笑顔でこちらを威嚇してくる。あまり追求すると怒られそうなので、話題を切り上げるためにもさっさと行動に移してしまうことにする。
「挿れてもいいよな?」
既にガチガチにかたくなった自分のモノを取り出しながら尋ねる。
「……どうせ、だめって言ってもするんでしょうが……」
冴花が諦めたように言う。
「よし、じゃあ挿れるぞ」
冴花の下着のクロッチの部分を横にずらし、入り口に自分のモノの先端をあてがう。
二人の性器がふれあい、くちゅっと湿った音を立てた。
「んっ、この体勢、恥ずかしいわね……」
俺の首に手を回しながら、冴花が言う。
「地面に寝転がるわけも行かないだろう? ちゃんと掴まっておいてくれよ」
「はぁ……わかったわよ」
冴花の手にきゅっと力が入れられるのを感じる。
スカートに覆われた冴花のお尻を手でしっかりと掴み、ゆっくりと冴花の中に自分のモノを沈めていく。
「っあ……入って、くるっ……」
十分に湿っていた冴花の秘所はあっさりと俺のモノを飲み込んでいくが、中のキツさは初めてのときとまったく変わらない。
「くっ……冴花の中、ヤバい……」
冴花の肉壁を掻き分けながら腰を押し進めると、やがて最奥に先端がぶつかった。
「っあ、い、一番、奥にっ……」
「あぁ、冴花の一番奥まで届いてるぞ」


ためしに腰を軽くゆすり奥をかき混ぜると、敏感に冴花が声を上げる。
「ふあっ! んっ、あっ、ああっ!!」
軽く動いただけだというのに冴花は体を震わせて快感に悶える。乗り気ではなかった割にいつもより感じ方が激しい気がする。
「んっ、ふ、深いところにっ、当たってるっ」
冴花は体に力が入らないのか俺の首にすがるように体を預けてくる。そのせいで、余計に俺のモノが深いところへと進む。
「うぁ、ふ、深いぃっ……」
耳元で冴花が甘い声を上げる。また、小さく腰を動かすたびに冴花の中は俺のモノを搾るかのようにうごめき、快感を送ってくる。
その淡い刺激のせいで、俺はさらなる快感が欲しくなってしまう。
「ちょっと激しくするぞ」
お尻に回した手に力を入れて冴花の体を持ち上げるようにした後、そのまま重力も利用して一気に突き上げた。
「ふああああああああぁっ!! ああああっ!」
奥まで突いた瞬間、冴花が体育館まで聞こえてしまうのではないかと思うほどの大きな声を上げた。
「ああああっ、ふあぁ、熱い、のがっ……んんっ!」
休むこと無く大き目のグラインドで冴花の中を貪ると、冴花が息を切らしながら反応する。
冴花が体に力を入れるたびに中も強く締まり、どうしようもない快感が全身に走る。
「ふあっ、ああっ!んっ、ぃいっ!」
あられもない声で冴花が喘ぐ。暑さのせいか冴花の濃厚なにおいを感じる。そして下半身には激しい快感が走っている。
あらゆる感覚が興奮を高めていくのを感じる。
「ああああんっ!!ああっ!っぁ、だめっ!あああっ!!」
ダメといいながらも冴花の腰も俺の腰の動きに合わせて動き始めている。
冴花の中は腰を引くたびに逃がさんとするかのようにきつく締め付け、押し込むと待ってましたとばかりに奥へと誘う。
「ふああああっ! あっ、あっ、ああああっ!!」
「くっ、冴花っ! 気持ちいいっ!」

冴花の表情が見たくなったため、一旦動きを止めて汗で顔に張り付いた冴花の髪を払う。
冴花の目はとろんと蕩け、口の端からはだらしなくよだれがつぅっと橋を作っている。冴花はそのことに気付いているのだろうか?
「冴花の感じてる顔、可愛い」
汗の球が光るおでこにキスをする。
「んっ、私にも、小波君の、感じる顔が良く見えるわ……」
冴花は微笑んで俺の顔のふちを、存在を確かめるかのように指でなぞった。
それを合図に再び腰を打ちつけ始める。
「あんっ! んっ、ああああああっ! ああっ!!」
もはや、外でしていることなど忘れたかのように冴花は大きな喘ぎ声を上げる。
「あああああっ!んっ、ふぁっ、ああああああっ!!」
二人が繋がっている場所は液体が白く泡立ち、ぐちゅぐちゅといやらしい水音を立てている。
「あっ!あっ!あああんっ!ふあっ、あああっ!!」
もう冴花は言葉を発することも出来ないほどに快感に身を震わせているようだ。
俺もフィニッシュに向けて冴花の肉壁を擦るような動きで攻める。
「ふあああっ!あああっ、んああああっ!!ダっ、ダメっ! ふあっ、もっ、もうっ!」
「うっ、お、俺もそろそろ限界だっ」
「ふあああっ! ああああああっ! こ、小波っ、小波君っ!!」
その時、突然冴花が俺の背中に回していた足にに突然体を押し付けるかのように力を入れた。
その結果二人の接合部分がこれ以上ないほどに密着してしまう。
「ちょっ、ヤバイって冴花! 中にっ……」
焦る俺の言葉など耳に入らないかのようにそのままの体勢で腰を揺らめかせる。
限界に達していた俺のモノをその刺激に耐えることが出来なかった。
「くっ、ああああああ、出るっ!!」
そして、精液がせりあがってくる感覚を俺が感じると同時に、冴花がいままで一番大きな声をあげた。
「んんっ、あああああああああああああぁあああああああぁぁああああっっ!!!!」

凄まじい射精感のあと、冴花の中の一番奥に精液を大量に注ぎ込んでいく。
冴花も同時に絶頂に達したのか体を逸らすようにして震わせている。
「ふああっ、ああっ……んくぅ……はぁっ」
全身から力が抜けたかのようにもたれ掛かってくる冴花を受け止めた。


「ふはっ、はぁっ、はぁぁっ……」
呼吸を整えている冴花から長い射精を終えた自分のモノを引き抜くと、そこからこぽっと音を立てて濃い白濁液が零れてきた。
つまり、溢れるほどにたっぷり注ぎ込んだというわけだ。
「……やってもうた……」
その光景を見て血の気が引いていく。何故か関西弁になってしまうほどの動揺が襲う。
責任……結婚……育児……養育費……コーラ洗浄……
現実離れした単語が頭に浮かんでは消えていく。
「あの、冴花さん……」
恐る恐る冴花に声をかける。
「……中で出したわね」
落ち着いた冴花が先ほどまでつながっていた部分から流れ出る精液を見て、言う。
終わった……。何がかはよく分からないが、とにかく何かが終わった……
「……はい。出しました。……あの……責任は取りますので……」
激しい絶望感に苛まれながら、言葉を搾り出す。
こんなことになるならばゴムを常備しておくべきだった……
「……はぁ……今日は、大丈夫な日だから安心していいわよ」
土下座でもしそうな勢いの俺を見下ろして冴花が呆れたような口調で言う。
「ほ、本当かっ!?」
「えぇ、本当よ。だから、多分大丈夫」
当然、安全日といえ油断は出来ないのは知っているが……それでも、幾らか安堵感が押し寄せる。
「はぁ……良かった。……あれ? じゃあ、もしかしてさっきのはわざとか?」
「……今日は散々いじめられたからその仕返しよ」
冴花は勝ち誇ったようにそう告げる。
「はぁ……次から仕返しはもっと穏便なものにしてくれ……心臓に悪すぎる……」
「でも、もし子供が出来ても、責任。とってくれるんでしょう?」
やんわりとした笑顔を携えて、冴花は首をかしげる。
「いや、俺はまだ高校生だし、そう簡単には……」
言いよどむ俺に冴花が明らかに不機嫌な顔になる。
「……はい、とらせていただきます」
「よろしい」
冴花が俺の頭を撫でてくる。やはり、俺は冴花には適わないようだ……。


「まだかー?」
「もう少し待ってちょうだい」
行為を終えたあと俺たちは汗と体液にまみれた体を洗い流すために部室のシャワーを浴びていた。
すでに時刻は11時を回ってしまっている。ちょっとした散歩のつもりだったのが思ったより長く疲れる散歩になってしまった。
明日の練習が心配である。
「あなた、どんな量出したのよ……流しても流しても溢れてくるんだけど……」
シャワー室からエコーのかかった冴花の声が聞こえてくる。
「うっ……すいません。溜まっていたもので……」
「……まぁ、浮気してない証拠だと思うことにするわ」
キュッとシャワーのノズルを閉める音が聞こえてしばらくしたあと、髪を湿らせた冴花がシャワー室から出てきた。

「待たせたわね。いい加減遅くなっちゃったし行きましょ」
そう言って、冴花が手を差し伸べてくる。一瞬、迷ったあと俺はその手を握り返して歩き出す。
そして、冴花がシャワーを浴びている間に言っておかなくてはいけないと感じた言葉を告げることにする。

「……冴花。さっきの責任取るってのは、うそ臭く聞こえたかもしれないけど、本心からの言葉だからな」
照れくさいので、冴花の表情を見ずに言い切ってしまう。なので、その時の冴花の表情は分からない。

「当たり前でしょ? そんなのいちいち言わなくても分かってるわよ」
しかし、冴花は握った手にきゅっと力をこめた。……自惚れかも知れないが、それで冴花の気持ちが伝わってきたような気がした。


そして、そのまま俺達は最後まで手をつないだまま、夜の学校を後にした。

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