443 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:34:15 ID:RJnIJYo5
444 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:35:31 ID:RJnIJYo5
445 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:36:32 ID:RJnIJYo5
446 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:37:14 ID:RJnIJYo5
447 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:39:10 ID:RJnIJYo5
448 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:39:49 ID:RJnIJYo5
449 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:40:28 ID:RJnIJYo5
450 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:41:15 ID:RJnIJYo5
451 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:42:05 ID:RJnIJYo5
452 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:42:53 ID:RJnIJYo5
453 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:43:46 ID:RJnIJYo5
454 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:44:21 ID:RJnIJYo5
455 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:44:59 ID:RJnIJYo5
456 名前:4の422 ◆h7y.ES/oZI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:45:48 ID:RJnIJYo5

 
 水道の水音と食器の触れ合うカチャカチャという音。

「なのはー、食器これで全……部……」

 小さく鼻歌を奏でながら、その音色に合わせ、頭が、腰から伸びる優美なヒップのライン
が緩やかに揺れる。

 つい今しがた、2人の胃の中に納まった料理の数々が乗せられていた皿を両手に持ち、 
フェイトがキッチンに足を踏み入れると、そこに広がるそんな光景。
 そんなごく当たり前とも呼べる日常の風景に、フェイトは言葉を無くす。

「あ、ありがと、フェイトちゃん。休んでて、これ終わったらコーヒー……どしたの?」

 声に振り向き。固まったまま動かないフェイトに、首だけ振り向いたなのはは動かして
いた手を止める。

「えっ! あ、ご、ごめん、ちょっと……その、見惚れちゃった……」 
「……へっ?」
 頬を赤くしてうつむくフェイトに、なのはは目をしばたかせ……それも一瞬、

「もーぉ、フェイトちゃんたら、いいかげん慣れてよぉ」
 あはは、と笑うなのはの頬もわずかに、赤い。
「う、うん、ごめん、わかってはいるんだけど、でも……その……」
 もじもじと指を合わせるフェイトに、なのははまんざらでもない笑みを浮かべ、それで
一抹の恥ずかしさに、取り繕うように食器洗いを再開。

「わ、私達、結婚したんだよ。もう夫婦なんだからねっ」

 照れた拍子になのはの左手薬指の指輪が食器に当たり、かちん、と小気味良い音を立てた。


  魔法少女リリカルなのは  〜 A love affair in the kitchen  〜



 コーヒーメーカーのフィルターにざざっとコーヒーを入れ、ポットをメーカーにセット
して、フェイトはスイッチ入れた。
 じゃーとお湯が注がれる音にフェイトはうなずき、コーヒーカップを取ろうと食器棚へ
足を向ける。
 と、その視界の先には、なのはが居る。
 先ほどからの洗い物を続け、左手に食器、右手にスポンジを持ち。そしてその視線は、
手元の食器ではなく、

 フェイトに向けられていた。

「ん? なのは?」
「えへへ……フェイトちゃんのこと、言えないね。わ、私もちょっとだけフェイトちゃん
に見惚れてた……かも、えへへへ」
「……なのは……」
「え、えと、その、も、もう『遅いから送っていこうか?』とか『今日泊まっていける?』
とか聞いたり、聞かなくてもいいんだ、って思ったら、う、嬉しくなっちゃって……」
「や、やだ、なのはったら……い、今更だよぉ、そんなこと……」

 赤くなってうつむき合う2人。

 使われることなく流され続ける水流をどうにかしなければと思いつつ、なのはは、
 コーヒーの抽出が終わるまでにカップを用意しなければと思いつつ、フェイトは、

 お互いがお互いを見合うことしかできない。

 息苦しくも心地よい沈黙に、2人とも動けない。

 時折一方がえへへ、と小さく笑い、それに答えるようにもう一方が顔を赤くする。
 「え、えっと」と片方が切り出し、それにもう片方が「な、何?」と聞き返し、「な、
何でもない」と恥ずかしそうに顔を伏せる。

 何度かそんな不毛を繰り返しつつ、そろそろ何とかしないと、とお互いが思い始めた頃、
ふいにフェイトに違った感情。

 もじもじと身をよじるなのはの姿に、愛おしさ以外の何かを感じ始める。

 それは例えるなら、喉の渇きを訴えている時に差し出されたコップ一杯の水。

 荒々しく奪い取り、一気にその中身を煽りたい、そんな感情。

 ごくりと唾を飲み込んだフェイトは、ゆっくりと1歩を踏み出す。
 そして次の1歩を踏み出すまでに、フェイトは瞬時にこの後のシナリオを頭の中に描く。
 なのはに向け、2歩踏み出したところで、フェイトは口を開く。

「あれ? なのは、そのお皿……」

 猿芝居であるのはフェイトにも重々承知。それでもなのはの気を引くには十分。
 案の定、我に帰ったなのはは、え、何?と言って自分が洗っている皿に視線を落とす。
「ほら、お皿のここ……」
 すっとフェイトはなのはの後ろに立ち、なのはの頭の左から顔を覗かせる……
 と見せかけ。
「えい!」

 気合一発。

 掛け声と共に『閃光の戦斧』の使い手に恥じぬ動きで、素早くなのはのホットパンツの
裾に両手を掛け、一気にそれをなのはの膝の上までずり下げる。

「きゃああああああああああぁっ!」

 臀部から太ももにかけて、ホットパンツの布地が瞬間過ぎ去る感触に、なのはは飛び上
がり声を上げる。
 慌ててホットパンツを元に戻そうとしかけ、自分の手が洗剤の泡や水に濡れている事に
気づき、はたまた手にした食器を落とすわけにはいかず、なのははわたわたと身体を振る
ことしかできない。
「ふぇふぇふぇフェイトちゃっ! ななななな何っ! って! やだぁ! 下着ぃっ!」
「ほらほら、暴れたらお皿落として割っちゃうよ、気にしないで洗い物続けて」
「出来るわけないよぉ! 恥ずかしいから早く戻してぇっ!」

 そんなもったいないこと出来るわけがない、とばかりに、フェイトはパンツの上からな
のはの尻をまさぐり始める。
「ん、なのはのパンツ、さらさらして気持ちいいよ」
 シルクの心地良い感触を手のひらに、フェイトはなのはの耳元に顔を寄せて囁く。
「やだやだやだぁっ! まだ着替えてないから汚いよぉっ!」
「あはっ、なのは、イヤなのは下着が汚れてるせいなんだ。じゃぁ取っちゃおうか」
「へっ?!」

 調子付いたフェイトは、なのはの下着をまさぐる手をそのままパンツに掛け、やはり先
ほどと同じように、それも一気に引きずり下ろす。
「いやああああああっ!」
「なのはのお尻、やっぱりいつ見ても綺麗。ほら、ぷりんとしてこんなにすべすべだよ」
 さわさわとフェイトの手でヒップのふくらみをまさぐられ、なのはの背筋に寒気と、そ
れ以外の「何か」が走る。
「ひあぁんっ!」
「ん? なのは、今の声何? もしかして感じちゃった?」
 なのはの身体に流れた快楽の糸口を感じ取り、フェイトはなのはの尻をまさぐる右手は
そのままに、ぴたりとなのはの背中に自分を密着させ、左手をなのはのタンクトップの裾
から滑り込ませ、ブラジャーごと右胸を鷲掴む。
「っ!? ちっ違っ! んぅっっ!」
「違う? 違わないよね? 私なのはの感じた時の声なら全部知ってるんだから、今の声
は……」
 ブラに包まれていても、わずかにその存在を誇示する乳首を、フェイトは親指と人差し
指で軽く挟み込む。
「んはあぁぁぁぁんっ!」

「乳首を触ってほしい時の声だよね♪」

 声と共に、ふにふにと柔らかかった突起は瞬間的にむくむくと隆起し、フェイトの指に
こりこりと心地良い弾力を与え始める。
「はぁっ、あっ! んはっ! あぐんっ! はっ、あっ、あああっ、んんんーーーっ!」
「すごい声。なのははブラの上から乳首摘まれるの好きだもんね。ほーら、もうこんなに
こりっこりになってる」
「ぁはっ、んうっ、だ、だめぇっ、フェイトちゃっ、ああんっ! んっ! はぁぁっ!」
「何がダメなの? あ、そうか、ごめん、右だけじゃなくて左も触ってほしいんだね」
 左手を左胸に移動させながら、フェイトは器用に親指だけでブラジャーをたくし上げ、
むき出しの左の乳首を気持ち強めに摘み上げる。
「ちっ! 違っ、んあああああああああぁぁっ!!」
 胸からの痛みすら伴う快感と、お尻をまさぐられるもどかしい快感が押し寄せ、なのは
の背中がびくびくと痙攣し、足元ががくがくと震え始める。
「違わないでしょ。もっともっと欲しいんでしょ? ね、なのは」
「そんっ、ちがっうっ! やめっ、てぇっフェイトちゃんっ! んあっ、はぁんっ!!」

 先ほどのフェイトの「感じた時の声なら全部知ってる」という言葉は、全てではないに
せよ、嘘ではない。喘ぎ声の語尾が上がり始めたところをみると、もうあと一押し。そし
て「あの台詞」が出れば、もうゴールは間近。

 フェイトは円を描くように動かしていた右手を前に回し、秘唇のやや上、包皮とパンツ
の上からクリトリスを軽く押しつぶすように中指を突き上げる。
「やあぁぁぁぁぁっ!!!!」
 ぎゅうとなのはの太ももが閉じられ、お尻をフェイトの側に突き出してくる。必死に逃
げようとしているのだろうが、足を閉じたことにより、フェイトの指はますますなのはの
股間にめり込む結果となる。
「あはっ、なのは、そんなにこっちも触ってほしかったの? 私の指、なのはの中にめり
込んじゃったよ?」
「やっ! も、もダ、めぇ、た、立って、られっ、ああああぁっ!!」
 がくんとなのはの膝が砕け、上体が落ち、食器が手から離れ、シンクの中にがたんと音
を立てて落ちる。フェイトの手が無ければそのままくず折れていただろう。
「ふふっ、もう足にきてるの? しょうがないなぁ、なのはは」

 ほら、とフェイトはなのはの身体を立たせ、その二の腕を掴むと、蛇口から流れる水で
両手の泡を洗い流す。
 その間もはぁはぁと息を荒げるなのはをくるりと回し、自分の側を向かせると、わきの
下と膝に両手を入れ、えいと持ち上げる。

「ひぁっ!」
 苦も無くなのはを抱え上げると、フェイトはシステムキッチンの上になのはを座らせ、
ホットパンツを足から抜き取り、さらに同じように両膝付近に引っかかっているパンツを
も抜き取り、後ろに放り投げる。

「やぁ……フェイトちゃぁん……恥ずかしいよぉ……」
 悲壮な声を無視し、フェイトはなのはの両膝の裏に手を入れ、がばと足を割る。
 冷ややかな空気が股間を撫で、なのはの顔が羞恥に染まる。
「あああああっ! やっ! そ、そんなっ!」
「足、閉じたらお仕置きだよ、なのは」
「っ?!」
 冷徹なフェイトの一声に、なのはの両足がびくりと振るえ、閉じかけていたその動きが
ぴたりと止まる。
 その様子に満足げに頷いたフェイトは開かれた股間の間に自分の顔を寄せる。

「あはっ、なのは、やっぱりもう濡れてたんだ!」

 半ば開いた大陰唇から覗く襞が内からの液体できらめき、フェイトを誘う。
 なのはは後ろ手に上体を支えていた両手で顔を覆い、いやいやとかぶりを振る。
「やぁぁ……恥ずかしい……い、言わないでぇ……」
「恥ずかしい? 気持ちいい、の間違いだよね? なのは」
「ひぅぅっ!」

 こんなになってるんだから、とフェイトはなのはの秘唇をぺろりと舌で舐め上げる。

 ぴちゃ、ぴちゃ、と、わざと音を立てて、フェイトはなのはの股間に舌を這わす。
 視界の上の方でびくびくと腹筋が震え、なのはの声がその動きに重ねられる。

「あぁんっ! はひっ、ひんっ! やはっ! やめっ、てぇっ! おねがっ、んっはぁっ!」

 顔を仰け反らせ、再び両手を後ろに付いたなのはは、震える身体をなんとかその両手で
支えるも、その手も時折びくびくと痙攣する。
「止めていいの? なのはのここ、もうぬるぬるになってるよ?」
「やあぁっ! ダメぇっ! きっ、汚いよぉっ! あんっ! ま、まだっ! お、お風呂っ!
入ってなっ! あああぁっ! だっ、めぇっ!」
「もう、いつも言ってるのにまだわからないの? この方がなのはの匂いがいっぱいするん
だって」
「ああああっ! ダメだよぉっ! ゆっ! ああっ! もう許してぇぇぇっっ!」

「ん、わかったよ、もう止めるね」
「ひゅへっ?!」

 不意にぴたりとフェイトは股間をまさぐるのを止め、なのはの股間から顔を上げる。
 まさか本当に止められると思っていなかったなのはは驚きの声を上げ、フェイトに視線
を送る。
「私だってなのはが本当に嫌がることなんかしたくないよ。ごめんね、ちょっと私いい気
になっちゃったね。さ、洗い物済ませちゃお、私もコーヒー入れるから」
 そう言って自分から離れようとするフェイトに、反射的に待ってと叫び、離れ行くその
腕を掴む。

「ん? どうしたの、なのは? 私、ちゃんと謝ったでしょ?」
 フェイトの口元に浮かぶ小さな笑み。こういったやり取りは無論、初めてでは、ない。
「どうしたの、ホントに? まさか続けてほしかった、なんてことはないよね? だって
なのは嫌がってたし、続けて、なんて一言も言ってなかったもんね」
「……フェイトちゃん……ひどぃよぉ……」

「何言ってるの? だってなのはが止めて、って言ったんじゃない、私ちゃんとなのはの
言うこと聞いてあげたんだよ?」

 半ベソですがるなのはを突き放すように、自分の腕を掴むなのはの手を空いた手で外す
と、フェイトは一歩下がり、コーヒーメーカーに向き直る。
「さて、と、もうコーヒー出終わってるね、急がな……」

「………………て……」

 ぽつりと漏れるなのはの声。
「ん?」
 あやうく聞き逃しそうになったそれに、フェイトは反射的に聞き返す。
 言ってからようやく来たかとフェイトは口の端をわずかに上げてほくそ笑む。
「聞こえないよ、何て言ったの? なのは」
 かぁ、と赤くなる頬を隠すようになのはは視線を逸らし、それでも小さく口を開く。

「……もっと……して……フェイトちゃん……なのは、もっとして欲しいのぉ……」

 ようやく導き出した「あの台詞」。
 なのはの呼称が「私」から「なのは」に変わる時。
 それがなのはの中でのスイッチであることを、度重なる逢瀬からフェイトは知っている。
快楽に我を忘れ、強固なシールドで普段覆われているなのはの内の女性が表に出てきた印。

 遠ざけた足をまた再び元の位置に戻すと、フェイトは服の上からなのはの乳房を持ち上
げるように鷲づかみ、親指と人差し指で、的確に乳首をきゅっと摘む。
「ふぅあっ! んんっ!!」

「ん、欲しいんだね、なのは。今日はどうしてほしい? 優しくしてほしい? それとも
滅茶苦茶にするのがいいかな、壊れちゃうくらい思いっきり痛く……」
「い、いやぁ、なのは痛いのやぁ、や、優しくしてほしぃのぉ……怖いのやぁ……」

 普段の姿からは想像もつかない弱々しい懇願。

 必ずなのはが受けに回ることから2人の逢瀬は始まる。結婚する前から幾度と無く2人
は身体を重ねてきたが、このスタンスは決して変わらなかった。
 言葉の通りにフェイトが優しくなのはを攻めれば、喘ぎの中で、ともすれば自らフェイ
トの腕を掴んでまで、激しく責められることをなのはは望む。
 幾度目かの交わりの中、フェイトが意を決し、言葉でもってなのはを攻めた時。なのは
は触れられずして、言葉の力だけでもって絶頂に達してしまった。
 その時。それまでなのはを気遣い、手心の中でなのはを攻めていたフェイトの中で、何
かが弾けた。
 言葉で、道具で、さまざまな行動をもって「攻める」ことをその日のうちにフェイトは
覚えた。なのはに蔑む言葉を浴びせ、鞭代わりにベルトでその身を打ち据え。言うなれば
サディスティックな喜びに目覚めてしまったというべきか。

 そしてまたなのはにも、先天的に受動的な部分が多分にあったようである。快楽を与え
るはずのないであろう言葉や痛みといった刺激を、なのはの身体はさしたる経験も無く、
快楽に転化してしまったのだから。

 縛られたり、鞭打たれたり、秘唇以外で指や擬似男根を受け入れたり、変身魔法で顔を
変えての羞恥露出に至るまで。
 ごく一部であろう特殊趣向な人々が行うそれらの営みが、なのはとフェイトの間では、
一般的な営みとミックスされる形でとり行われていった。

 だからなのはが「優しく」、と言うならば……

「わかったよ、なのは。壊れるくらいイカせてあげるからね」

「ああ……いやぁ……ゆるし、て……あぁ……フェイトちゃん……なのは、怖い……」

 口調「だけ」優しく。フェイトはなのはに覆いかぶさっていった。

 〜 〜 〜 〜

 リズミカルになのはの中に出入りする中指に、人差し指を加える。
 んぅ、と呻くなのはだが、その声には十分に艶が含まれている。
 先ほどよりもわずかに抽出の速度を落とし、2本の指でなのはの中をかき回す。
 時に2本の指をそろえ、時に開くように。動きを変える度になのはの喘ぎのイントネー
ションが変わる。
「んぁ、ん……あぁ、ん、ふぅんっ、んっ! はぁっ、んんっ、あふっ、んっ……」
 フェイトは2本の指でなのはの内壁の前側、Gスポット付近をかき出すように攻める。
「この辺かな、なのはのエッチなスイッチは?」
「んああぁぁっ! ひっ! はっ! だめっ! そこだめぇっ! おかしくなるのぉっ!
なのはそこぐりぐりされると変になるのぉっ!!!」
 ぐじゅぐじゅと卑猥な音がなのはの股間から発せられ、フェイトの指にわずかに感じら
れていたひっかかりが無くなり始める。
「ほら、指が簡単に動くよ。もっともっと動かしてほしいってなのはの身体は言ってるよ」
「はぁんっ! んっ! かはっ、あっ!! あっ! だ、めっ、なのぉっ! ダメになっ
ちゃうのぉっ! あああああぁ!!」
 いい感じで声が出始めた、と、フェイトは頃合を見計らい、一旦なのはの中から指を抜
きとり、またすぐになのはの中に突き入れる。

 中指と人差し指に加え、薬指を添えて。

「あはああぁぁぁっ! ああああっ! フェイトちゃん! フェイトちゃん! あんっ!
お、おっきいいぃぃっ!」
 3本の指でフェイトは、より大きなストロークで同じ部分を攻め続ける。
 単調な動きではあるものの、1本増えた指により、内部をかきわける度合いは2本の時
の比ではない。内壁をごりごりと蝕まれる感覚は、なのはの理性を容易く削り取っていく。
「いやだめぇっ! こわれっ! んぁっ! ごりごりいやぁっっ! フェイトちゃんの指
いぃっ! なのは壊れちゃ、ああああああぁぁっ!!」
「何言ってるの、なのは、これくらいいつもやってるでしょ。壊れるっていうのは……」

 ずちゅ、とフェイトは3本の指を引き抜き、指先を一度ぺろりと舐め、改めてなのはの
秘唇に狙いを定める。

「せめてこれくらいから言ってほしいな」

 人差し指から小指までの4本をぎゅっと纏め、フェイトは勢いよくなのはの中に手を突
き込む。

「ぁがああああああああぁぁぁっっ!!!!!」

 4本の指とまでなると、もはや細やかな指の動きなどの小細工はできない。フェイトは
ただ勢いだけでがしゅがしゅと4本の指をなのはの中に打ち込む。
「ひいいいいいぃぃぃっ! はがっ! あっ! んぐっ! はぁっ、ひっ! ひゃめっ! 
てっ! はっ! ああっ、はっ! ああっ! がっ! ひたっ、いたひぃぃぃぃぃっ!!」

 痛いという叫びはフェイトは指の付け根になのはの恥骨の感触を感じる辺り、嘘ではな
いのだろう、だがしかし、だからといってフェイトに止める気はさらさらない。
 恐らく痛い「だけ」ではないだろうことをフェイトはよく知っているのだから。

「すごいなのは。指4本咥えちゃったね。4本は初めてだからちょっとだけ痛い? でも
痛いだけじゃないよね? それ以上に気持ちいいでしょ? お汁がどんどん出てきてるん
だから」

 手のひらを伝い、手首にまで光る筋が流れている事実を伝え、フェイトはなのはの被虐
心を煽る。ひぃひぃと喘ぐなのははフェイトの言葉に弱々しく首を振ることでしか反抗を
示せない。
 やおら上腕の筋肉が少し悲鳴を上げ始めたフェイトは、なのはを言葉で攻めながら、指
を打ち込むのを止め、なのはの中に入るところまで入れた指をぐりぐりとねじ込む動きに
変える。
「はぁがっ! かっ、はぁぁぁっ! うぅんぐっ、かはっ、あっああぁぁぁ……」

 叫びすぎて枯れはじめる声、ぎゅうぎゅうと自分の手を締め付ける内壁、開け放たれた
口元から垂れる一筋の唾液、秘唇ごしにより一層感じ始めた恥骨の感触、びくびくと震え
るその身体。
 見るもの聞くもの感じるもの、目の前のなのはの存在全てがフェイトの心を揺り動かし、
吐息が荒くなる。下着が蜜壷から溢れ出した愛液を吸い取り、肌にまとわりつき始める。
 なのはを攻める行為だけで、間違いなくフェイトは性的興奮と快感を感じていた。

「なのは……かわいい、なのは……私の手でなのはが感じてる……いつもあんなに凛々し
いなのはがこんなかわいい声で喘いで、震えて、感じて……
 大好きだよ、なのは。愛してる。誰にも渡さないよ、私の、私だけのなのは。
 もっともっと……もっと感じさせてあげるね。もっと私を感じて……私だけのものに……
してあげるから……」

 なのはの膣壁をねじり攻めていた指をフェイトは抜き取る。ぐちゅ、という音と共に引
き抜かれたそれには垂れるほどの愛液がまとわりつき、蛍光灯の光を反射し、ぬらぬらと
卑猥な光を放っている。
 その光景に、ただでさえ薄ら笑いを浮かべていたフェイトの口元がさらに歪み、笑みは
不気味なほど妖艶なものに変わっていく。

「いくよ、なのは……」
「はぁっ、はぁっ、はっ、くふっ……ふぇひと……ちゃ……」

 息も絶え絶えななのはの表情を脳裏に焼きつけたフェイトは、まとめた4本の指にまだ
汚れを知らぬ1本をゆっくりと添える。

「……さっきは壊れても、って言ったけど……今度は逆だ。壊れちゃダメだよ、なのは」
「ひゅぇ?……ぇっ?……」
 わずかなインターバルに、若干呼吸の落ち着いたなのはが、何のこと、と問おうとした
矢先、腰に、足に、腕に、胸元に、金色の光がまとわりつく。
 それをフェイトのバインドだと気付くより前に、またしても股間にフェイトの指先がわ
ずかに入り込む感触。
「あふっ、んはっ……」
 つぷ、と小さな音と、内壁へのかすかな感触にすらも背筋をぞくぞくと刺激が駆け抜け、
唯一動く頭を仰け反らせ、なのはは小さく喘ぐ。
 そして、フェイトの行くよ、という声が聞こえるや……

「がはああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!」

 股間から先ほどに倍する圧迫感。
 あまりのことに、思わず自分の股間を責めるフェイトの手掴もうとしたなのはの腕が、
忘れていたバインドによりぎりぎりと締め上げられる。
「ひぎっぃっ! いったぁっ、いたぁぁぁぁっ! フェイトちゃっ! やめっ! がぁぁっ!」
 なのはは頭をめぐらせ、痛みにわずかしか開けられぬ目を必死に自分の股間に向けると、
視界に入ったのは自分に入り込もうとしているフェイトの指……

 いや、指、では……ない。

 手のひらをなのはの側に向けているので、見えた。

 フェイトの親指が自分の内に入り込もうとしているのが。
 揃えまとめられたフェイトの右手の5本の指。
 その全てが、
 ぎりぎりと自分の中にねじ込まれようとしている。

「いっ、嫌あああああああああっっっっっ!!!!」

 驚きと恐怖と痛みとで、なのはの口から悲鳴が上がる。
「ふふ、苦しい、なのは? 今ちょうどいっちばん太い所を入れてるから、それが過ぎる
までの我慢だよ。ちゃんと気持ちよくしてあげるから、ほら、力抜いて」
「ぐぁがっ、むっ、無理ぃっ! そんなの無理ぃぃぃっ! やぁめっ! ぎっ、あっあぁ……」
 (心からではない)フェイトの気遣いなど届くはずもなく、ただただ押し寄せる圧迫感
と痛みに、なのはは千切れるほど頭を振り乱し、バインドに食い込んだ腕や足ががぎりぎ
りと悲鳴を上げる。
「もう少し、もう少しだよ、なのは……もう……すこ、し……」
 ぐりぐりと、まるでドリルのように、少し、また少しと、フェイトの手はなのはの秘唇
をこじ開け、想像を絶する痛みを伴い、なのはの膣内に埋め込まれていく。
「ぎゃがぁぁぁっ! ひぃぃっ! いたぁっ! いたぁぁいっ! やっ、がぁぁぁっ!!」
「ほら、がんばって、なのは。大丈夫、赤ちゃんが出てこれる穴なんだから、私の手なん
てそれより全然小さいから」
 フェイトは空いた手でなのはの下腹を優しくさすりながら、それでも右手の動きは緩め
ず、ぎりぎりと手、いや、もはや手首そのものをなのはの中にねじ込み続ける。
「がぁぁぁっ! やぁぁぁっ! 無理ぃっ! もう無理ぃっ! いぎゃぁぁっ! むりぃっ!
ゃめえぇぇぇっっ!」
 そして遂に、
 恥骨に圧迫され、部分的に色の変わり始めた秘唇を押しのけ、
「もうっ、すぐっ……」
 フェイトの親指の第二関節が、
「入っ……たぁっ!!」
 ずぼり、となのはの中に押し込まれた。

「ひぃぎゃああああああぁああああぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっ!!!!」
 絶叫。

「がはぁっ!」
 長く長く響いた声が、最後に一際大きい声で締めくくられる。
 勢いでフェイトの手首までが一気になのはの中に潜り込んだ。
「かっ、はっ、あっ、あっ……あ……ぁ、ぁ……」
 目は見開かれ、半分白目を剥き、頭を大きく仰け反らせ、なのはのバインドされた身体
がひくひくと振るえる。もはや声もだせなくなった口は上空に向けあがあがとわなないて
いる。

「入った。入ったよなのは! 私の手、全部なのはの中に入ったよ! すごいよなのは。
ほら見て、手首までずっぽりだよ! すごいすごい!」
「ひゃ……めっ……抜ひ、てっ……もほっ……む、り……」
 事切れるのかとも疑う、断末魔のようななのはの声。フェイトはそんななのはの声など
聞こえないといった風に、ただただなのはの中に消えている自分の手首に感動している。
 痛いほどにぎりぎりとなのはの内が自分の手首を締め付ける感覚に、ともすればそれだ
けでフェイトは達しそうになる。
 下着で留められなくなった愛液が伝う太ももを擦り合わせ、そのぬるりとした感触にも
また酔いしれる。
(触っても無いのに……私もうぬるぬるだ……)
 吐く吐息に熱を感じながら、フェイトはなのはに入り込んだ自分の腕を動かそうとする
が、強烈な締め付けにほとんど動かすことができない。
「すごい、もう全然動けないくらいにぎちぎちだよ。なのはもこんな大きいの入れたの初
めてだよね? どう、気持ちいい? フィストファック、って言うんだよ、こういうの、
知ってた?」

 フェイトは覗き込むように、自分の顔をなのはの顔に寄せて問う。
 光の失われたうつろな瞳をさ迷わせ、うわ言のように小さく「抜いて……」と繰り返す
なのはがそれに答えられるはずもない。
「ふふ、答えられないくらいいいの? あ、違うか、もう気絶寸前、って感じだね、ん、
大丈夫だよ、今起こしてあげるから」
 なのはとは対照的に、瞳に加虐な光を宿らせると、フェイトは締め付けられ動かぬ拳を
無理やりパンチを打ち込むように、なのはの中に向け突き上げる。

「ぎゃがぁぁぁぁっ! だめへっ! ぎゃっ、がっ! あぐっ! がっ、あっ! ひっ!
いたっ! やめっ! ひぎっ! いがぁぁっ! あがぁっ!」

「ふふ、なのは、そんな痛いフリしてもダメだよ。ほら、どんどん手が動くようになって
きた。気持ちいいんでしょ? 素直に言わないとダメだよ」
 フェイトが手を動かす力は変わらないにもかかわらず、そのストロークが少しづつ大き
くなっていく。
 本当になのはがフィストファックにより快感を感じ始めたか、はたまた身体の防衛本能
なのかはわからないが、徐々に徐々に愛液の分泌量が多くなり、フェイトの腕の出し入れ
がスムーズになり、ぐちゅりぐちゅりとなのはの股間から滑らかな音がし始める。

「あぐっ! はがぁっ! ひぐっ! うがっ! はがぁっ! はっ、はっ! あんっ!」

 わずかになのはの声にも艶が混じり始める、なのは自身は半ば意識を失いかけているに
もかかわらず。
 ならば、とフェイトは抽送のスピードを上げる。
 途端、股間からの音がじゅぶじゅぶと(フェイトにとって)小気味いい音に取って代わる。
「あががっ! ひぎっ! くぁっ! はっ! んあっ! はっ! あっ! ああっ! んあんっ!」
 フェイトが打ち込む拳に合わせ、なのはが喘ぐ。
 30秒もしないうちに、もはやなのはの口から苦痛の声のほとんどは失われる。
 そこにあるのはフェイトのよく知る、そしてフェイトしか知らないなのはの声のみ。
 ほどよい締め付けになったなのはの内は、もはやフェイトの手が上下に抽送するだけで
なく、左右に回転させることさえ許している。
 そしてもうよかろう、とフェイトはなのはを縛り付けるバインドを一斉に解き放つ。
「んああああぁん! はぁぁっ! うぁんっ! はぁっ! はっ、ひゅごっ! ひゅごひっ!
ふぇひとちゃんの、手ぇっ! ひもぉひっ! ひぃぃっ! もっ! もぉぉっ! ひっ!
いっひゃあああぁぁっ!! いっひゃうよおおおぉぉぉぉぉっっっっ!!!」
 途端、なのはの腰がフェイトの手の動きに合わせうねり出し、声は完全に快楽を求める
台詞に成り代わる。抜き出された手に絡み付いている愛液には、白いものが混ざり出し、
最後に向けての準備が整いつつあることを示していた。

 頃合、とばかりに、フェイトは空いている左手を、包皮から顔を覗かせ、ぷっくりと膨
らんでいるクリトリスにあてがい、埋没している5本の指をなのはの中でぱかりと開く。

 そしてひくひくと蠢くクリトリスと、
 膣内でだらりと垂れ下がり、来るはずのない精液を口を開け待ち構えている子宮口とを、

「なのは、もうイクんだね? いいよ、私の手でイッちゃうの見せて! 手でイッちゃう
変態さんななのはのこと見せてっ!!」

 両の手で一気に摘み上げた。

「ひぃぐううぅぅぅぅぅぅぅっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!」
「っ!? くぅっ!」

 びくん、となのはの身体が一際大きく震え、フェイトの右手が千切れんばかりに締め上
げられる。
 長く長く響いた絶頂の声は、攻める側のフェイトすら軽い絶頂へと導く。
 そのままなのははどさりとキッチンの上に仰向けに倒れこんだ。

 
「あ……が……は……ぁあ、ぁ…………」
「はっ、はぁっ、なの、は……」

 びくびくと全身を痙攣させるなのはに、フェイトは熱い眼差しを向け、身体のひくつき
と連想して締め付けられる自分の右手を一気に引き抜く。じゅぼりっ、と大きな音と共に、
愛液の雫を撒き散らし、なのはの腰が跳ね上がり、大きく震える。
 力を込めた拍子に、フェイトの秘唇からも、溜まった愛液が噴き出し、下着に新たに色
濃い染みを作る。

「あぎゅぅぅっ! がっ……は、ぁあぁ……」

 そして、どさ、となのはの尻が落ちると共に、しゃぁぁ、と水音がキッチン床に響き渡る。
「あ……やはぁ……おひっこ……出へる……ゃぁ……とま、ら………………」
「あははっ! なのはおもらししてるのっ!? そんなに気持ちよかったの? キッチン
でおしっこするなんて、やっぱりなのはは変態さんだね!」
 朦朧とした意識の中、それでも必死に股間に力を込め、漏れ出る雫を止めようとしてい
たなのはに、自分を罵るフェイトの声。
 その声がむしろ心地よく頭の中に染み入り。最後に口元に笑みを浮かべると、なのはは
全身から力を抜き、股間を流れ伝う液体をそのままに、暗闇の中に意識を手放した。

 〜 〜 〜 〜

「……ん……」
 ゆっくりと開けた視界に、眩しさと、ようやく慣れ親しみ始めた天井の光景。
 身体に大きく残る気だるさから、どうやら気を失ってからさほど時間は経っていないよ
うに感じられた。
 肘をつき、ゆっくりと身体を起こすと、上半身から毛布が落ち、きちんと衣服を身に着
けた自分の姿に気付く。
 フェイトが着せてくれたのだろうか、とぐるっと頭をめぐらせるも、フェイトの姿は見
てとれない。
 どこに、と思った矢先、キッチンの方から水音がしていることに気付く。

 んっ、と少し気合を入れ、ゆっくりとなのはは寝かせられていたソファーから立ち上が
り、床に落ちた毛布はそのままに、キッチンへと歩み寄る。
 そっと顔だけ覗かせると、目に入ったのはシンクで洗い物(恐らくはなのはが途中で放
棄したものの続きであろう)をするフェイトの姿。

「……フェイト、ちゃん?」
「!? なのはっ!?」
 声に気付いたフェイトは慌てて手にした食器とスポンジをシンクに戻し、流れる水で手
の泡を落とすと、タオルで拭くのももどかしく、自分の服に手を擦り付け、だっとなのは
に駆け寄ってくる。

「ご、ごめんなさい! ごめんなさいなのはっ! わ、私、途中から何が何だかわからな
くなっちゃって! な、なのはが痛がってたのに全然止めようともしなくて! ほ、本当
にごめんなさい! あ、あのっ! な、なのはのあんな姿みてたら、も、もうどうしよう
もなくなっちゃって! だ、だから、そ、その……お、お願いっ! な、何でもするから
お願い、私のこと嫌わないでっ! な、なのはに嫌われたら私もう生きていけないよ。
 ごめんなさい、本当にごめんなさい! 私のことぶっても何してもいいからごめんなさ
い、嫌わないでっ! お願いします! お願いしますっ!!!」

 自分の肩を痛いくらいに掴み、涙を流して必死に懇願するフェイトのあまりの迫力に、
なのはは気おされ、目を丸くするしかない。
「あ、あの、フェ、フェイト、ちゃん?」

「ごめんなさい! 許してお願い! お願いしますなのはぁっ!!」

 ぼろぼろと流れる涙を拭くこともせず、ただ謝り続けるフェイトに、困惑していたなの
はも、ゆっくりと自分を取り戻していく。
 そして泣き叫ぶその背にそっと自分の手を回し、えい、と自分の胸にフェイトを抱きか
かえる。

「!? なの、は……?」
 そのままなのははあやすようにフェイトの髪を撫で付ける。
「馬鹿だなぁ、フェイトちゃんは」
「えっ?」
 顔を上げたフェイトに、なのはは不意打ちとばかりに口付けを落とす。
「私がフェイトちゃんを嫌いになるはずないじゃない」
「なの、は……お、怒ってない、の?」
 驚き顔のフェイトになのははにこりと微笑む。
「そりゃぁ、ちょっとは痛かったけど……ん、でもね、その……き、気持ちよかったよ。
びっくりはしたけど、ね」
「ご、ごめんなさい……」
 それでもなお謝罪を続けるフェイトに、まったくぅ、となのはは一人ごちると、今一度
軽く触れるキスをフェイトに送り、こつん、と熱でも計るように互いのおでこをくっつけ、
間近からフェイトを見据える。
「エッチの最中はいつも先にフェイトちゃんが主導権を握るのに、なーんで終わった途端
にそんな弱腰になるかなぁ、もう……」
「う……」
 あまりにも近い距離からのなのはの言葉に、フェイトは顔を赤くして、目の前のなのは
の瞳から逃げるように視線を反らす。が、それでもくっついた額は離れてはいない。
 そんなフェイトに苦笑して、なのははフェイトから顔を離す。途端フェイトの口から、
「あ……」という、小さな、そして明らかな落胆の声が上がる。
 そんなフェイトになのははまたも苦笑い。

「もう、ね、フェイトちゃん、だったら教えてあげる」
「え?」

 言うなりなのはは再びフェイトの頭を自分の胸にかき抱く。
 フェイトがなのはの胸の感触に浸るより早く、なのはは言葉を連ね始めた。

「私の王子様は、フェイト・T・ハラオウン、という名前です」
「へっ?……むぐっ!」
「フェイトちゃんは黙って聞いてなさい!」
「……」
 有無を言わせぬ口調で、なのははフェイトを抱く腕に力を込め、自分の胸元に押さえつ
ける。
 フェイトから抵抗する力が抜けたのを確認し、なのはは言葉を続ける。

「初めて出会ったのはもう10年近く前になります。そして、ちゃんと手を繋いでお話で
きるようになってから、私に告白してくれるまで、5年以上かかりました。告白までの間、
手を繋いで学校から帰ったり、2人きりでバレンタインや誕生日を過ごしたり、一緒にお
風呂に入ったり、一緒のベッドで寝たりもしたのに、そして私がいつもいつも、1日1回
以上は「フェイトちゃん大好き」って言ってたにもかかわらず、5年間も何も言ってくれ
なかったのです」
「う……」

 フェイトの上に見えない重圧がずしりとのしかかる。
 確かになのはに告白した時に帰ってきた返事は「5年間は長かった……」であった。
 でもあの時は「好き」というのはあくまで友達同士での「好き」だと思っていたし、な
によりなのはは、アリサ・すずか・はやてといった周囲の友人に対しても、自分に対する
それとほとんど変わらない接し方をしていたはずだ。

 自分だってそれほど人付き合いに慣れている方ではない。告白だってどれだけ勇気を振
り絞ったと思っているのだ、と、なのはの胸でぶちぶちと唸る。

「そしてやっと恋人同士になれたのに、なんと告白したその日の夜から航行任務で2週間
も会えない日が続いたのです。告白とキス1つだけで残された私がどれだけ気に病むかく
らい、考えてほしかったです」
「う……」
「まぁ、それに関しては戻ってくるなり、クロノ義兄さんやリンディ義母さんに怒られる
のもいとわず、真っ先に私に会いに来てくれたから許してあげました」
 なんだがずいぶん自分が悪者に仕立て上げられている気がする。と、やはりおおっぴら
には言えず、なのはの胸の中で愚痴る。
(自分だって教導隊のくせにいつも矢面で前線に立って上に怒られてたじゃない。私が知
らないとでも思ってるの? 事件の度に怪我でもしてないか、とか私がどれだけ心配して
ると思ってるの。酷いよなのは……)

「それに、普段のお仕事中はすごく凛々しくてかっこよくて、海のエースに恥じない仕事
ぶりなのに、一旦家に帰ると私にごろごろ甘えてきたり、まだ一人で髪の毛洗えないのー、
とか言って私に洗わせたり」
「っ?! だ、だってそれはなのっ、ムグムグ……」
 なのはが洗ってくれる、っていうからしてもらってるだけで、まして一人で洗えない、
などと言った覚えはない。というフェイト叫びはなのはの胸に全て吸い込まれた。

「休日はお昼まで寝てたり、私がお出かけしようよー、って言ってもベッドに押し倒して
結局そのまま1日中エッチしてたり」
「!? そ、それモガモガ……」
「お休みを中々合わせてくれなかったり、本局勤務の時にお昼一緒に食べてても、あーん、って
してくれなかったり、街中でデートすると手は繋ぐけど腕を組んでくれなかったり、映画
館でカップルシートに座るのを拒んだり……」

 フェイトを胸の中に黙らせ、なのはは延々と愚痴(?)る。
 拘束されたフェイトは胸中で、だってそんなの恥ずかしいんだもの。ただでさえ同姓婚
なんて、出来るっていうだけで物珍しいっていうのに。と、反論……したくてもできない。

「でも」

 その言葉と共に、なのははフェイトを開放する。
 息苦しさに大きく息を吐いて、顔を上げると、待ち構えていたなのはの視線。

「私はそれら全部まとめて。フェイト・T・ハラオウンが好きです。愛しています」
「えっ……」
「急に仕事が入っても、何とか少しでも時間を作れるようにがんばってくれていることを
知っています。
 結果的に暴走しちゃうことが多いけど、エッチするときに私をいっぱいいっぱい気持ち
よくしようとしてくれてるのを知っています。
 私の好きなパスタを作るのに、夜遅くまで一生懸命料理の練習をしていたのを知ってい
ます。
 一緒に寝る時に、いつも私が寝るまで頭を撫でてくれていることを知っています。
 私のために車の免許を取ってくれたことを知っています。
 洗濯物を畳む時、いつも自分の服より私の服を先に畳んでくれるのを知っています。

 いつもいつも、自分のことより私のことを考えてくれているのを知っています」

「なのは……」

「私はそんな、私を心から愛してくれているフェイトちゃんを……愛しています。
 友達になったあの日、ううん、そのずっと前から、私はフェイトちゃんの虜でした。
 私の心の中には、ずっと前から、ずっとずーっと前から王子様のフェイトちゃんが居ま
した。1度として変わることなく、消えることなく。

 ……だから、フェイトちゃんさえ嫌じゃなければ、一生、私を傍に置いてください。私、
フェイトちゃんの良い奥さんだ、って言われるように一生懸命がんばります。だから……
フェイトちゃんも、私の頼れる旦那様で居てください。お願いします」

 言葉と共に、なのはは深々と一礼。

「……これが、私の、偽りのない、本当の気持ち。フェイトちゃんのことが好きで好きで、
大好きで大好きでたまらない私の気持ち。
 女の子同士だからとか、周りの目とかそんなの私はどうでもいいの。ただあなたと一緒
に居られるなら、あなたと一緒に生きていけるなら、寄り添って進むことができるなら。
 ……それが私の幸せなんだから」

 それ以上は、とフェイトはなのはを抱きしめる。
 目尻に光るものを浮かべたなのはは、抵抗せずなすがまま、フェイトに抱き止められる。

 言葉もなく、ただフェイトはなのはを抱きしめる。なのはも何も言わず、両手をフェイ
トの背に回す。
 このまま時が流れるかと思いきや、フェイトはいきなりの形で、やや強引になのはの唇
を奪う。
 舌でなのはの唇を割り、そのまま口の中に舌を潜り込ませる。
 荒々しく舌をからめ、なのはが息苦しさにくぐもった呻きを上げるのも構わず、舌先を
吸い上げる。
 息の続く限り、なのはの口内を蹂躙し、ようやくフェイトがなのはを開放すると、ぜい
ぜいと荒い息がなのはの口から漏れる。無論フェイトもまた同様に。

「は、離さない、よ、はぁ、はぁ、も、もう絶対、は、離さない。なのはの居場所はもう
一生私の隣だからね、きょ、拒否なんてさせないからっ」
「……はぁ、はぁっ、フェイ、ト、ちゃ、ん……」
 息も整わぬまま、フェイトは一気にまくし立てる。なのはも荒い息の中で、うんうんと
何度も頷く。

 そして今一度、今度はお互いを同時に求め合う形で2人は抱擁する。
「なのは……」
「フェイトちゃん……」
 互いの名を呼び合い、それがまた互いの名をお互いの口から引き出す。
「…・・・なのは」
「……フェイトちゃん」
 幾度も、幾度も、幾度も幾度も繰り返される呼びかけに、なのはとフェイトは互いの名
だけで答えあう。
 はたから見ればさぞかし滑稽な、意味のわからない光景。
 それが通じ合うのは2人だけ。
 尽きることのない呼び合いは、2人の中でだけ通じる、互いの愛の道標になっていった。

 〜 〜 〜 〜

「じゃぁ、とりあえずなのははちょっとだけ休んでて、これ(洗い物)終わったら一緒に
お風呂入ろ?」

 ようやく身を離したフェイトからの提案。

「え、でも、一緒にやった方が速いんじゃない?」

 なのはにしてみれば一時も離れたくない心の現われ。

「ううん、ほら、もうすぐ終わる量だから1人の方が速いよ。ね、すぐ終わるから、リビン
グで待ってて?」

「……う、うん……でも……」
「い、いいんだ。その……私さっきなのはに酷いことしちゃったから、少しでも休んでて
ほしいんだ」
「……う、ん……じ、じゃぁ、お願い、して、いいかな?」
「うん、任せておいてよ!」
 そこまで大っぴらに喜ぶようなものでもないとは思うが、となのはが思う暇こそあれ、
フェイトは腕まくりして意気揚揚とシンクに向かい、気合一発、食器達と格闘を始める。
 半ばあっけにとられるも、まぁ、せっかくだから甘えちゃおうかな、と、肩をすくめ、
なのははリビングへと回れ右……の勢いで、そのまま1回転。
 視界に再びフェイトを捕らえる。

 そして片手で口元を隠して笑みを作ると、そろりと1歩を踏み出し、そっとフェイトの
後ろに立ち……

「ね、フェイトちゃん」
「えっ?」

 声にフェイトが振り返る。

「あのね……今度はこっちの……」

 わずかに爪先立ち、フェイトの肩に顎を乗せ、耳元で囁く。

「番だよっ!」
「きゃああああああああああぁっ!」

 フェイトの短いタイトスカートは、言葉が終わる前に、床の上にその姿を落としていた。


 必ずなのはが受けに回ることから2人の逢瀬は始まる。結婚する前から幾度と無く2人
は身体を重ねてきたが、このスタンスは決して変わらなかった。

 ……そしてまた、一夜の営みの中で攻守が交代する姿勢もまた、変わることは無かった。


  魔法少女リリカルなのは  〜 A love affair in the kitchen  〜

                                        End…less?



著者:4の422 ◆h7y.ES/oZI

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