308 名前:ある中将と教導官の日々[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 19:26:41 ID:XsCezwUf
309 名前:ある中将と教導官の日々[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 19:27:56 ID:XsCezwUf
310 名前:ある中将と教導官の日々[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 19:28:56 ID:XsCezwUf
311 名前:ある中将と教導官の日々[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 19:29:31 ID:XsCezwUf
312 名前:ある中将と教導官の日々[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 19:30:17 ID:XsCezwUf
313 名前:ある中将と教導官の日々[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 19:30:47 ID:XsCezwUf

ある中将と教導官の日々7


レジアスへの淡い恋心を自覚して、なのはの心に一つの波紋が生じた。
19年の人生の中で初めて異性に恋を抱き、そして彼の心は亡き妻に縛られていると知り、恋というものに未成熟な心に激しい恋慕と深い嫉妬が同時に生まれる。
そしてなのはは思う、“彼が欲しい”と。
少女は性質の異なる二つの炎を胸に燃やしながら、携帯端末で相部屋の親友にメールを入れた。
内容は“今夜は外で食事をする事”そして……


“今夜は帰らないかもしれない”という事を。





夜の帳が下り、暗黒が覆い始めた街には空に星が、地には街灯が明かりを灯し始める。
太陽が消えた夜の世界で二人の男女が歩いていた。
一人は長く艶やかな栗色の髪をサイドポニーに結った女性、機動六課スターズ隊長高町なのは。
そしてもう一人は恰幅の良い大柄な男、地上本部所属の中将、レジアス・ゲイズ。
二人は寄り添い、レジアスがなのはを支えるように歩いていた。
なのはの歩きはフラフラの千鳥足で、とてもじゃないが一人で歩くのは困難だった。
二人の近くに寄れば、朱に染まった頬とその吐息に混じるアルコール臭で彼女が酔っ払っている事がすぐに分かるだろう。


「大丈夫かね?」
「ええ……ぜんぜんだいじょうぶですぅ」
「足がフラフラだが?」
「だからへいきですって……」


どこが平気なのか、レジアスはもう一度問おうと思ったが、どうせ徒労に終わると思ったので止めた。
どうも彼女の様子は一緒に夕日を眺めた時からおかしかった。
なんと言えば良いのか、自分に向けられる視線に絡み付くような熱が込められている気がする。
公園で夕日を眺めた後、二人はそのまま夕食を共にしたのだが、なのはは飲めもしない酒ばかり注文しては次々にグラスを空にしていった。
たっぷりとアルコールを摂取した少女はすっかり酔っ払い、足元もおぼつかない状態に陥る。
そして今、こうしてレジアスの肩を借りてなんとか家路についている途中だった。
正直な話、少女の柔らかな肢体の感触と甘い香りに彼の中の色々なモノが暴走しそうだったが、それは鉄壁の理性が必至に制御している。
しかし、まるでレジアスの葛藤を知っているかのようになのはは時折蠢いては自分の身体を彼に摺り寄せた。
その度に中年中将の心の中では脳内アインヘリアルが極大砲撃を連発していた。
だがレジアスの努力も虚しく、状況は彼をさらなる窮地へと追い込む。
ポツンと音を立て、彼の頬に冷たい水の雫が落ちた。


「これは……雨か」


冷えた夜の大気が呼んだのか、いつのまにか曇天となった空がまるで嫌がらせのように冷たい水滴を人々に与える。
レジアスは降り注ぐ雨に顔をしかめながら周囲を見渡す。
今の時節は夜になるとかなり冷え込む、傘も差さずにいれば風邪を引くのは眼に見えて明らかだった。
どこか雨宿りできる場所を求めて彼は当たり一帯に目をやるが、そこに映るのはどれもホテルばかり。
正直、酔いの回った若い娘を連れ込めるような場所ではない。
だが悩んでいる時間がないのもまた事実。
レジアスは、さながら若い頃に大規模な暴動を鎮圧する任務に当たった時のような焦りに駆られていた。
しかし、その時少女の口からとんでもない一言が飛び出す。


「レジアス中将……」

「ん? なんだね?」
「……ホテル入りましょ」
「ナ、ナニを言っているんだっ!?」


正に驚天動地、レジアスは顔を真っ赤にしてアタフタと大慌てする。
辣腕中将の普段は決して見せない姿はそれなりに笑える光景ではあったが、本人からすれば堪ったものではない。
だが彼のそんな様など露知らず、なのははどこか憂いを帯びた切なげな瞳で彼に哀願した。


「だって寒くて……ダメですか?」


涙目&上目遣いの少女の哀願、これを断ったら男で無い、否! 漢(おとこ)ではない!!
そしてレジアス・ゲイズは男の中の漢である、これに応えぬ道理はない。
彼ができるのは、ただ彼女の要求に従ってホテルのロビーに足を進める事だけだった。





訪れたホテルの部屋は値段の安いビジネスホテルにしてはそれなりに良い部屋だった。
間取りも広く、床もベッドも実に綺麗に掃除が行き届いている。
従業員の質が伺える手入れに感心しつつ、レジアスはひとまずベッドに足を進めて今まで肩を貸してたなのはを横にした。
屈強な体躯を誇るレジアスからすれば軽いとは言えど、長時間人一人の体重を支え続けた老体は少しばかり悲鳴を上げていた。
なのはを寝かせた隣りのベッドに腰掛けた彼は軽く肩を回して一日の疲労を感じる。
そして、とりあえず上着を脱いでひと段落しようと……


「っと、いかん! ナニをやっているんだ私は!」


……はしなかった。

正直言って今の状況はヤバ過ぎる、危険度1000パーセントだ。
中年の政府高官が階級が下のうら若き乙女をホテルに連れ込む、客観的な見地で考えれば超ド級のセクシャルハラスメントである。
もし週刊誌にでも嗅ぎつけられたらそれだけで身の破滅は免れない、社会的な地位を全て失うは必定。
今まで積み上げてきたミッド地上の秩序の守護者と言うイメージは崩壊し、ただのエロオヤジへと成り果てるだろう。
それだけはなんとしても避けねばならない事態だった。
地上の平和の共に誓い合った親友の為に、自分を信じてくれる部下やミッド地上の市民の為に、そしてなにより最強最悪に嫉妬深い実の娘やあの世の妻の為に。
故に彼の取る行動は一つ。
今すぐ部屋を出てフロントへ行き、部屋の料金を先に支払い、何事もなかったように家に帰り、娘にお休みのキスをしてベッドに飛び込む事。
その過程を数秒で超高速シュミレーションして反芻すると、レジアスは即座に行動を開始した。
一度脱いだ上着を羽織り、ドアに向かって足を進める。

だがそんな彼の進路を阻む緊急事態が発生。
上着の袖を何者かが掴み、彼の進行を阻止したのだ。
レジアスはまるで悪魔に捕まった人間の如く焦りと恐怖駆られた表情で振り向く。
そしてそこには、サイドポニーに結われた茶色の髪を揺らす美少女教導官の姿があった。
アルコールの為か、それともレジアスと密閉した空間に二人きりという状況への興奮の為か、なのはの頬は鮮やかな朱色に染まっている。
瞳はトロンと潤んで切なそうに物欲しそうに、とても処女とは思えぬほどの蟲惑的な魅了を持って彼を見つめていた。
ボタンを肌蹴た胸元から覗く胸の谷間と相まって、今のなのはは破壊力の塊、男と言う生命体を狂わす魔毒に他ならない。
レジアスは反射的になのはから視線を反らした。とてもじゃないが、今のなのはの瞳を見つめて理性を保つ自信がなかった。
だが彼のそんな葛藤など露知らず、なのははその瑞々しい桃色の唇を蠢かし妖しく言葉を紡ぎだす。


「……どうして行っちゃうんですか?」

「い、いや……そのだな……あ、あ、明日も仕事があるし……流石にこんな状況で男女が二人きりというのは……なんだ、その、問題がだな」


汗だくでしどろもどろになりながら必至に弁明するレジアス。
その姿はとても公衆の面前で演説する時の威厳や気迫など欠片もなかった。
おそらく、彼がここまで狼狽する様を見た人間など数えるほどしかおるまい。
普段は厳格で知られる彼の意外な一面に、艶めいたなのはの雰囲気が少しだけ和らいだかに見えた。
だがそれも一瞬、少女の顔はすぐに淫蕩さを含んだ妖女へと変わる。


「その……私、今日はもうここで過ごしたいんです……酔いも酷いし……でも一人は心細くて……」


思わず庇護欲をそそるような弱弱しい表情と言葉、そしてその中に溶け込んだ妖しさは形容し難い引力を誇っていた。
昼間は可憐で天真爛漫だった少女が見せる媚態にレジアスは思わず息を飲む。
昼と夜で違う顔を見せる、それはまるで太陽と月に彩られる空のようだった。
そして、艶やかに濡れた少女の唇は続く言葉を紡ぎだした。


「……今夜は……今夜一晩は私と一緒にいてください……」


レジアスの服の袖を掴みながら、なのはは上目遣いに彼の瞳を覗き込み哀願する。
潤んだ少女の瞳がもたらすその魔性めいた力に男は頷くことしかできなかった。





ホテルのバスルームに入れば何も纏っていない肌にゾクリと肌寒さが走った。
季節は既に上着無しでは外に出れないような時分であるだけにしょうがない事ではある。
少女はシャワーのコックを捻り、熱い湯を己が裸身へと注いだ。
かなり温度設定を高く設定しているのかバスルームには濛々と湯気が立ち込める。
湯の熱に白く澄んだ少女の肌は徐々に桃色に変わっていった。
体内に摂取したアルコールのせいか、いつもよりも紅潮している彼女の肌はどこか艶めいていて、とても処女とは思えぬ色香を放っていた。
酒の残り香と熱湯の温度、この二つだけではなく恋しい思い人と二人だけで過ごす事への興奮がさらなる燃料となって、少女……高町なのはの身体は芯から熱く滾っていく。
だが、燃え滾るような身体とは正反対に彼女の心は氷のように冷たくなっていた。
それは全て、自分自身を軽蔑する自虐の心が故に。


「わたし……さいていだな……」


シャワーを浴びながら、水滴が床を叩く音に溶けるような小さな声でなのはは呟いた。
今日の……いや、今の自分がしている行為に少女は自身を軽蔑する。
酒の力を借りて彼を誘惑し、挙句の果てはホテルに連れ込んで一晩共に過ごすように強要。
責任感の強くて優しい彼が、今の自分の頼みを断れないと分かっていてここへ誘った。
酔いのせいにしてはいるが、半分は計算ずくの行動である。
それは、とても普段の自分からは想像もできない良識を逸脱した行いだ。


「どうして……わたし……どうしてこんなことしてるんだろ……」


なのはは湯気に曇るバスルームの中、自虐と自問を繰り返す。
レジアスへの恋心を自覚してから、彼女の心はおかしくなった。
狂おしい愛しさが胸を甘く焼き、彼の口から出た亡妻の存在が嫉妬と憎悪を煽る。
産まれてこの方恋の一つも知らなかった乙女には制御不可能なあまりに強すぎる二つの感情。
彼女の心は混乱の極みだった。
今すぐ彼に想いを伝えたい、卑しい想いを募らせる自分が恥ずかしくて顔を見るのが辛い、亡き妻の事など忘れて自分だけ見て欲しい。

数多の思いが混ざり合い、思慮は深い闇へと堕ちる。

一体どれくらいそうしていたのだろうか。
混沌とした思慮に沈む中、いつしかなのはの身体は浴び続けたシャワーで真っ赤に火照っていた。
茹るように熱くなる身体に脳髄まで溶けるような錯覚を感じ、シャワーのコックを捻ってお湯を止める。
熱くなった身体からは湯気が立ち上っており、彼女の身体がどれだけ熱を帯びたか良く分かった。
なのはは思う“考えても無駄だ”と。
そして今はただ、この混ざり合った混沌に身を任せようと少女は決意した。

濡れた身体をタオルで拭くと、置いてあったバスローブに袖を通す。
桃色に染まった肌を覆い隠す純白のヴェール、火照った身体を包む布地との温度差になのははゾクリと心地良い感覚を覚えた。
そして唇から一度息を吐き出すと、少女はドアに手をかけた。
僅かに軋む蝶番の音と共にバスルームを出れば、ベッドに腰掛けたレジアスの視線がなのはのそれと空中で絡み合う。
数瞬の沈黙、見つめあう瞳と瞳、互いの思考が空白で埋まるのが分かる。
そして、最初に口を開いたのはなのはだった。


「あの……シャワー、先に使わせてもらいました」
「あ、あ、ああ、そうか」


なのはの唇から紡ぎだされる言葉に、レジアスは顔を真っ赤にして狼狽しつつ答える。
彼女の放つ言葉の残響はいつも聞く優しげな響きと打って変わった艶を帯びており、ストレートに下ろされた濡れた髪やバスローブから覗く美しい太股のライン等と相まってレジアスの心を容易く掻き乱した。
彼の反応になのはは少し嬉しくなった。
男性へのセックスアピールに今まで一度たりとも縁のなかった自分だが、少なくとも今は彼の心を動揺させるだけの艶を持っているらしい。
胸の内に沸きあがる女としての悦びに、なのはは生娘とは思えぬ深みのある艶美なる微笑を浮かべながら口を開いた。


「中将も……どうですか?」
「い、いや! 私は結構だ! 明日も早いしもう寝る!!」


これ以上なのはの艶姿を見ているのが理性的な問題で耐えられなかったのか、レジアスはそう言い切ると彼女に背を向けてベッドに潜った。
鋭い本能と数多の経験が彼に脱衣と言う隙を許さない。
レジアスは、これ以上身体を熱くしたら本当に何か取り返しの付かない間違いを起こしてしまいそうで恐かった。
だからそうならないように、こうしてベッドに潜り込み必死に雑念を払おうとする。
彼の頭の中では昔銭湯で見た親友の屈強な肉体や部下の男の身体をイメージして煩悩に対抗、なんとかして先ほど見たなのはの美しい姿を消し去ろうと努力した。
だが皮肉にも、意識すればするほど目に焼きついた少女の肢体が鮮明に思い浮かぶ。
艶やかで長い栗色の髪、思わず美味しそうだと思ってしまう桜色の唇、どこまでも澄んだ美しい瞳、磨き抜かれた白磁の如く白い肌、女性らしい起伏に満ちた悩ましいまでのボディライン。
その全てがあまりにも美しかった、これは意識して忘れられるものではない。
思い起こせば、彼女の甘く芳しい香りが脳裏を過ぎる……いや? むしろ実際に漂ってくるような気さえする。


「んっ!?」


そう思った刹那、レジアスは背後に近づく妖しげな気配に気付いた。
自分の後方、被ったシーツの向こう側に“何者か”がいるという確かな確信がある。
そして、鼻腔が溶けるかと思えるほど艶めかしい甘やかな芳香が漂ったかと思えば、次の瞬間レジアスの眠るベッドの中にその何者かが侵入してきた。
中将の巨体にほんのりと温かい微熱を帯びた柔らかな感触が服越しに伝わる。
言い様の無い至福の柔らさを誇る二つの肉の塊が背中に押し当てられたかと思えば、聞き慣れた、されど今日初めて聞く声色の澄んだ声が響いた。


「……中将……ちょっと、お邪魔しますね」

「たたた、た、た、高町空尉!?」
「少し寒くて……ベッド……ご一緒させてください」


とても処女とは思えぬ大胆さ、あろう事かなのははバスローブのみを身に纏っただけの危険と色香極まる格好でレジアスのベッドに侵入工作を慣行したのだ。
シーツの中、少女の肢体がさながら妖しき蛇のように男に絡みつく。
太く逞しいレジアスの腕や足になのはは自身のそれを絡ませて存分に肌で味わった。
常の彼女ならば恥ずかしくて死んでしまいそうな行為だったが、冷静な思考と判断力を失った今の彼女にはどうという事は無い。
ただ彼が恋しくて、乙女の脳髄は暴走の極みだった。
対するレジアスは、突然の誘惑に狼狽しながら彼女に対して淫らな想像と欲望を抱きそうな自身の中に芽生えた滾る欲望を必死に理性で押さえつける。
そしてなんとかなのはを説得しようと、ありったけの理性を総動員して口を開いた。


「たたたた、高町空尉、いいい、い、いくらなんでも男女がみだりに床を共にするのは道徳的に見て間違っているとは思わんかね?」


なのはの髪の甘い香りと身体に絡みつく柔らかな肢体の感触を必死の耐え難い誘惑を鋼の理性で押さえ続けながら、レジアスは舌の上手く回らぬ口でなのはに語りかけた。
だが、なのははこの彼の言葉に対して、まるで生来の淫婦の如く甘えた声で返す。


「……今日の昼間……言った事覚えてます? 中将とか、そういう仕事の時みたいに呼ぶなって言いましたよね?」
「え? いや、まあ……確かにそんな事も言ったが……それがいったい」


なのはの言っている言葉の意味、伝えんとする意図が理解できずレジアスはうろたえた。
しかし彼の次の言葉を待たず、少女はぎゅっと抱きつきながら自身の口を開いた。


「だから、あなたの事を……名前で呼ばせてください……レジアスさん」
「へぇ? いや……別に構わんが……」


突然の少女の要求に、レジアスは思わず素っ頓狂な声を漏らしつつ了承の返事を返した。
むしろ彼女と一緒にいる時に堅苦しい呼び方をされないというのは、かねてからある程度望んでいた事だったが故にそれなりに嬉しくある。
だが問題はなのはが次に放った言葉だった。


「あの……だから、私の事も……名前で……“なのは”って呼んでください」
「ええぇぇっ!? い、いい、いや、それは流石に……せめて、苗字で……」


突然のなのはの要求に、レジアスは慌てふためいた。
ただでさえ危険の状況なのに、この少女を名前で呼ぶというのはどこか一線を越えるような錯覚を覚える。
相手を名前で呼ぶ事にどこか抵抗感を示すレジアスだったが、なのははトドメの追撃を慣行した。


「……嫌ですか?」


哀しそうな切なそうな、そんな声。
逆らう事などできない、一切の抵抗の叶わない、ただ頷く事しか許さない、そんな言霊の込められた言葉だった。
レジアスは少しだけ首を動かして頷くと、静かに口を開いて彼女の望むままの言の葉を紡ぎだす。
静かに、だが確かに届く声量で。


「分かったよ、その……なのは」


渋みのある低い声、だがなのはの耳には甘美なる天上の音色に等しい。
思わず下腹部の“女の器官”が甘い疼きを感じる。彼への愛しさが直接的な身体の欲求を呼び起こしていくのが分かった。

心も身体も、高町なのはというものを構成する全てがレジアス・ゲイズという男を欲していた。
頬がさらに熱く紅くなるのを感じながら、なのはは彼の背中に擦り寄る。
鼻腔に伝わる男性特有の匂いがひどく心地良く思えた。


「ありがとうございます……レジアス……さん」


彼の言葉が嬉しくて、なのはは火照る肢体でさらに力を込めて目の前の屈強な五体を抱きしめた。
その行為はレジアスの理性を魔法に例えるならスターライトブレイカーの如き怒涛の破壊力で攻撃したが、彼の鉄壁の理性はそれでもなお耐え続けた。
なのはの方としては、もしレジアスが欲望に耐えかねて自分に姦通を強要しても喜んで受け入れる気持ちではあったが、彼の精神は少女が考えるそれを遥かに上回る強靭さを宿していたが故にそうなる事はない。

互いの体温が溶け合うような中、なのはは彼の温もりに穏やかな眠りに落ち、レジアスは彼女の甘い芳香と柔らかさに眠るに眠れず、結局何事もなくその日の夜は過ぎ去った。


続く。



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目次:ある中将と教導官の日々
著者:ザ・シガー

このページへのコメント

レジアス男だ!なのはを幸せにしてあげるんだ! 続き楽しみにしております!頑張ってください!

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Posted by V2 2009年01月29日(木) 02:52:59 返信

はじめまして、連載楽しませていただいております。
甘い!すっげー口の中甘くなったんで茶飲んできました。
鉄の意志、レジアスすげえ。この人ならなのはとくっついても良いって素直に思えました。
次回の展開が楽しみでたまりません。
頑張ってください。

0
Posted by からな 2008年11月29日(土) 21:38:24 返信

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