[731] お供え者と3つの袋 sage 2007/09/26(水) 10:40:25 ID:y//mGyHx
[732] お供え者と3つの袋 sage 2007/09/26(水) 10:41:26 ID:y//mGyHx
[733] お供え者と3つの袋 sage 2007/09/26(水) 10:42:25 ID:y//mGyHx
[734] お供え者と3つの袋 sage 2007/09/26(水) 10:43:34 ID:y//mGyHx
[735] お供え者と3つの袋 sage 2007/09/26(水) 10:44:25 ID:y//mGyHx

「単独任務ですか?」
ある日、部隊長室に呼び出された、僕は八神部隊長に、そう聞き返した。
「そや。……て言うても、そんな難しいもんやない。
預ける品物を対象に渡したら終わり。
……まぁ、お使いみたいなもんやな…」
「お使いですか……」

単独任務と言う響きに、緊張していた体から思わず力が抜けていく。
「物もそんなたいした物や無いから、危険な事もないと思う。」
「はぁ……」
でも、それじゃあ……何でわざわざ……
「ただな?届ける場所が問題でな……
管理外世界やから、宅急便で……て訳にもいかんのよ」

管理外世界?……に荷物。しかも、僕に頼むって事は……
「もしかして……品物の届け先って……」
僕の言葉に、八神隊長はニッコリと笑い……
「その、もしかして……や。現地名称『地球』の、海鳴市に荷物を届けて欲しいんよ!」


八神隊長の話によると、荷物の中身は、ミッドの3大珍味セットで……
向こうにある風習で『お中元』と呼ばれる贈り物らしい。
本来なら、向こうに顔も効き、土地勘もある、
八神部隊長か、両隊長、副隊長達が行くべきで、又、行きたかったらしいんだけど…
皆、仕事が忙しく手が放せ無い為、子供の頃から何度か行った事のある、
僕に白羽の矢が立ったらしい……


「それじゃあ、エリオ。気をつけてね」
「まぁ……任務と言っても、顔見知りのとこに、荷物を届けるだけだ。
はやてから、向こうで1泊する許可も出てるんだから、ゆっくりしてこいよ」
「エリオ君……気をつけてね……」
「迷子にならないよーにねー!!」
「あんたじゃ無いんだから、それは無わよ!!
ま!せっかく、なんだから楽しんで来なさいよ!!」

翌朝、『地球』で渡すお中元の入った紙袋と、
1日分の着替えを詰めたリュックを持った僕は、機動6課フォワード陣に見送られ
(フェイトさんと、シグナムさんは任務でいなかったけど……)
ヘリに乗り込み出発した。
1泊2日なんだから、皆に見送られるのもなんだか気恥ずかしい……
でも……なんだか嬉しいな……



ヘリで地上本部まで送って貰って、そこから本局へ……
前回の様に部隊単位での行動ならともかく、個人で行動する場合、
管理外世界へ直接跳ぶのは条件が厳しい。
なので、一度本局へ行き、そこから目的の場所へ移動するのが一般的な方法になる。

本局へ着いた僕は偶然、意外な人と遭遇した。
「あれ?君…確か……なのはの部隊の……」
声をかけてくれた、優しい感じのする人に僕は見覚えがあった。
確か、フェイトさんや、なのはさんの幼馴染みで、
管理局で無限書庫の司書長をしてる…ユーノさんだ。

「エリオ=モンディアル二等陸士です!」
慌てて、姿勢を正して敬礼する僕に、ユーノさんは、少し苦笑しながら肩をすくめて…
「いいよ。そんなに緊張しなくて。実際のとこ、僕はそんなにたいした奴じゃないしね」
時空管理局無限書庫司書長…充分たいした事あるんだけど……
「それより、今日はどうして一人で本局に?」
「はい。今から単独任務で、『地球』に行く事になって……」
それを聞いた瞬間、ユーノさんの顔色が変わった。真っ青になってる。
「ち……『地球』に?」
「はい」
頷く僕に汗を滝の様に掻きながら、ユーノさんは続ける。
「もしかして……お中…元??」
「えぇ………そうですけど……」
そこまで聞くと、ユーノさんは突然、僕の両肩を力強く掴み
「エリオ君!ここで少し待っているんだ!!いいね!!
間違っても、そのまま地球に行くような事はしちゃダメだ!!」
あまりの迫力に、僕が、思わず頷くと、猛スピードで走り去ってしまった……

十数分後、戻って来たユーノさんの手には、3つの巾着袋の様な物があった。
ユーノさんが、それを僕に差し出したので、受け取る。
袋の中には、何かが入ってるらしく、ズッシリと重い。
「エリオ君……よく聞いてくれ。その3つの袋の中には、とても大事な物が入ってる。
もし……君が地球で、どうしようも無いピンチになった時は、その袋を開くんだ。
きっと君を助けてくれるはずだ……」
「え…あ……あの………全然危険は無い任務なんですけど……」
そういった僕を、ユーノさんは、今にも泣きだしそうな瞳で見つめ……
「そうだったね……でも、万が一、億が一の為に、その袋は、持って行ってくれないかな?」
「は……はい……」
なんなんだろう?
ユーノさんの顔を見ていると、僕は何かとても危険な任務についてるような気がしてきた。
そんな筈ないのに……
「えっと……僕…もう行きますね。」
「あぁ…気をつけて……」
駆け出した僕には、ユーノさんがその後、言った言葉は届かなかった。

「こんな事ぐらいしかしてあげれない、僕をどうか許してくれ……」


同時刻 6課 部隊長室での会話
「そろそろエリオは、地球に着く頃かな?」
「せやね。スムーズにいってればそろそろやね」
「……けどよー…はやてー……やっぱり、こういうのはいい気はしねーぜ?」
「それやったら、今からでもウ゛ィータが代わりにいくか?」
「ぜってーやだ!!!」

「しょうがないよ……今年は、エリオが、ご指名だったし……」
「そやね……」
「…………………」


本局から転送された僕が送られた先は、木漏れ日が眩しい森の中だった。
よく辺りを見回して、そこが、前回来た時と同じ転送場所だという事に気付いた。
「……あ………それなら」
気付いて、八神部隊長に渡された、届け先リストを広げる。

月村 すずか
アリサ=バニングス
高町 美由紀

うん。やっぱり、すずかさんも入ってた。
なら、ここは、すずかさんの家なんだし、このまま届けておいた方がいいよね。
えっと……玄関ってどっちなんだろ?広すぎてよく解らないや……
窓からだと泥棒みたいだし……
「あら?エリオ君……いらっしゃい。」
うわ!??びっくりした……
声に驚いて振り返ると、そこには、白いワンピースを着た女性が居た。
すずかさんだ……
透き通るような肌に藍色の髪。相手が誰であっても、癒してしまいそうな優しい視線。
フェイトさんや、他の皆も綺麗だと思うけど……
すずかさんの『綺麗』はまた違って……
多分、『清楚』って言葉はすずかさんみたいな人の事を言うんだと思う。
思わず見取れてしまう。
「ところで、エリオ君。今日はどうしたのかな?お仕事はお休みなの?」

あ!!そうだ!!!忘れるとこだった!!
「あの!これ!!八神部隊長からです!!」
慌てて、ガサガサと紙袋から1つ、
『お中元』と書かれた箱を取り出し、すずかさんへと差し出す。
それを見たすずかさんは、一瞬目を丸くして、直ぐにクスクスと笑い出した。
「そう言えば、はやてちゃんが、そんな事言ってたね。
わざわざ持って来てくれたんだ…ありがとう…」
「いえ!!」
すずかさんの笑顔を見た瞬間、心臓が急に跳ねた。
すごくドキドキして、顔が凄く熱くなっていた。
「あ……そうだ……エリオ君。今からお茶にしようと思ってたんだけど…
エリオ君も一緒に飲まない?」
「あ……はい……いただきます……」
本当は、急いでお中元を配りにいかないといけないんだと思う。
でも、時間はまだあるんだし、断るのも失礼だし……


すずかさんに案内された、庭にあるテーブルに座ってしばらく待っていると、
メイドさんが、紅茶とケーキを持って来てくれた。
「ケーキはなのはちゃんの、お家のケーキなんだよ。美味しいから沢山食べてね」
紅茶を口にする、すずかさんを見ながら、フォークでケーキをすくって食べる。
口の中に、ここちよい甘さが広がって染み渡たていく……
「美味しい!!」
「うん。なのはちゃんのお家のケーキは本当に美味しいよね。」
そういいながらも、すずかさんはケーキには手を付けず紅茶だけ飲んでいた。

すずかさんケーキ食べないのかな?
不思議に思いながら、もう一度ケーキにフォークを突き刺そうとした時、異変は起きた。
カラン!!
強い音を立てて、僕の手からフォークが落ちる。
同時に、身体に全く力が入らなくなって、上半身がテーブルの上へ崩れ落ちた。
「あ……れ……?」
いったい何が??
なんで身体が………
何とか身体を動かそうと、もがいてみるものの、身体にその力が伝わらない。
「うふふ……エリオ君。無駄だよ。エリオ君の食べたケーキにね………
ちょっとした、お薬が入ってたんだ。
だからね……2時間位は身体がまともにいうこと聞いてくれないよ?」

身体に寒気が走った。すずかさんの声は、さっきまでの優しい響きではなく……
まるで、凶悪犯罪者のような……そんな冷たい響きに変わっていたから……

「なんで………こんな……」
僕の質問に、すずかさんは微笑む…
でも……その微笑みも、温もりあるものではなく、どこか妖しいものへ変わっていた。

「エリオ君がいけないんだよ?エリオ君が可愛いすぎるから……
前、来た時から、こうしたくてしかたなかったの……」


身の危険を感じた、僕は、何とかストラーダのボタンを押して、
6課に連絡をとろうとした……
少しのタイムラグを置いて、ストラーダから音声のみが流れた……

「ただいま留守にしております。発信音の後に、お名前とご用件をお知らせ下さい。」
この瞬間、僕は全てを理解した……
お中元の品………
それは……僕自身なのだと………


僕は、抵抗することもできず……
すずかさんに、唇を奪われ………
服を全て脱がされて、僕のストラーダを、すずかさんの……
手で、口で、胸で、何度も何度も、固くさせられて……
何度も何度もすずかさんに吸い取られていた。



2時間後……
月村邸玄関前に
「今日はわざわざありがとね。エリオ君」
妙に肌がスベスベで、ご機嫌なすずかと……
「い…いえ……それでは、僕は……失礼します……」
カサカサに乾燥しきった、エリオがいた………



玄関を出たエリオが、ユーノに貰った巾着袋を1つ開けてみると、中には……

『超強力・マムシドリンクEX』
が入っていた。
エリオは、ユーノに涙ながらに感謝しながら、それを飲み干したのであった……


この後、エリオは、残りの2人+αにも、命懸けで挑む事になり……
お中元の理由や、その始まりなんかも知る事になるのだけど……
それは、次回の講釈で……


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目次:お供え者と3つの袋
著者:30スレ581

このページへのコメント

 本編で絶対正義を誇っていたなのは達がコレほどの悪役に仕立て上げらえて,エリオに復讐させられていくところは,とても爽快です。
 ただ、最後のリィンとのフラグはキャロがかわいそう。彼女にはエリオしかいなさそうだから。

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Posted by subaru-ota 2008年12月13日(土) 10:06:22 返信

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