675 名前:お嬢様特急バーニングアリサ 01/10 [sage] 投稿日:2009/07/13(月) 04:16:14 ID:5zS9rWoY
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684 名前:お嬢様特急バーニングアリサ 10/10 [sage] 投稿日:2009/07/13(月) 04:36:26 ID:5zS9rWoY

かつて風芽丘と呼ばれた町を中心に、新たな地方中心都市として制定された『海鳴市』は
自由と平和に満ち溢れた住みやすい地域として、都市圏の住人から定評のある街である。
そんな穏やかな時間が流れていくる、ここ海鳴市にはとある一組の夫婦がいた。

奥さまの名前はアリサ。
強気な性格でハッキリと何でも言うけど、本当は情に篤くてとても優しい女の子。

旦那さまの名前はユーノ。
真面目で誰にでも優しい性格だが、結構奥手で恥ずかしがり屋な女の子っぽい男の子。

子供の頃にちょっと変わった出会い方をした二人は、ごく普通の幼なじみだったのが
いつしか恋人同士になり、色々悶着はあったもののごく普通に結婚をしました。
でもただひとつ違っていたのは……二人とも、いわゆる『魔法使い』だったのです。




湿気と薄暗さで何かとじめじめした梅雨がようやく開け、ようやく夏の色が見え始めた
海鳴市の空は、綿菓子のような積雲で一面を覆い尽くされていた。
蝉時雨はまだ聞こえないものの、アスファルトで照り返される太陽の熱は空からカンカンと
照りつける強烈な日光と相まって地上を歩く者全てに真夏を感じさせる。

海鳴臨海公園から国守山へ続く小径を、特徴的な風貌をした一組の若い男女が歩いていた。
鈍く輝くブラウンゴールドに染まった豊かな髪を奢り、強い意志を感じさせる碧眼の女性。
流れるようにサラサラとした蜂蜜色の髪に、慈愛に溢れた翡翠色の目をした男性。
男と女は互いが離れないように、指を絡ませ合うようにしてギュッと手を繋いでいる。
肩と肩を寄り添わせながら歩くその姿は、恋人同士かはたまた新婚夫婦か。
その答えは、二人の左手の薬指で銀色に光っている真新しい結婚指輪が示している。

夫の名はユーノ=スクライア、孤児のため推定23歳。
妻の名はアリサ=スクライア、満年齢23歳。
結婚間もない二人は、今まさにラブラブモード絶好調だった。



山へ続く小径をのんびりと歩く二人だったが、特に山に用があるわけではない。
目的もなく一緒にブラブラ歩きまわり、公園や広場など適当に開けた場所を見つけたら
お弁当を広げるというデートがこの若い新婚夫婦の楽しみでもある。
無限書庫司書長という立場にあるユーノは管理職という立場ゆえに休みを取るのも
なかなか難しく、こうして丸一日のんびり出来る時間はとても貴重なものだった。

「ねぇアリサ……やっぱりそれもボクが持つよ」
「ううん、あたしが持ってる。それに、重さがわかったら楽しみが減るわよ?」
そう言ってアリサは手に持った大き目のバスケットを掲げ、ユーノの前でちらつかせた。
どこか申し訳なさそうな声色になるユーノだが、自身も手ぶらではなく紅茶が入った
重たい魔法瓶とレジャーシートの入ったカバンを左右の肩に掛けている。
「そういえば、今日は何を作ってきたの?」
「んもう……だから、それは開けてからのお楽しみ」
お弁当が入ったバスケットの中身が気になってしょうがないといったユーノに対して
アリサは『しょうがないわね』といった表情で苦笑する。
「う〜ん……お願い、せめてヒント」
左手がアリサの手を握ることで塞がっているため、ユーノはなおも食い下がるように
開いた右手だけで手を合わせるようなポーズを作って懇願する。
それはまるで遠足や体育祭で母親が用意してくれたお弁当の中身にワクワクしている
子供のようで、アリサは思わずクスクスッと噴出した。
「仕方ないわね……それじゃあ特別大ヒント。今日のメインはおにぎりじゃないわよ」
主食がおにぎりじゃなければ、消去法で考えると答えは一つ。
解を導き出して中身を想像したユーノは、喜色を顔面いっぱいに湛えた。
「……楽しみだなぁ」
「たくさん作ったんだから、お腹いっぱい食べてね?」
「もちろん」



そんな幸せいっぱいカップルの会話をしていると、ユーノはふと道の向こう側から
よく知っている微弱な『何か』を感じ取り、足を止めた。
「どうしたの?」
急に夫の様子がおかしくなったのを訝しがるアリサだったが、ユーノの視線の先を
追いかけてみて、ようやく『それ』に気がついた。
「結界?」
「うん、ミッド式の封絶結界。しかも、そこそこ広範囲に張られたみたいだね」
自分にはどんな結界が展開されているのか見当も付かなかったが、フィールド系の魔法を
得意とする結界魔導師のユーノがそう言うのであれば、多分そうなのだろう。
アリサはそう考えることにした。
「でも、どうしてあんなところに……」
「ちょっと待って。ケータイで調べてみるわ」
そう言ってアリサはポケットからスライド式の携帯を取り出し、地図アプリを起動させた。
最新の高速通信規格に対応した携帯は、瞬時に画像データを受信して画面内に展開していく。
「今あたし達がいるのがこの辺で……あの辺りは多分ここよ」
アリサの指が液晶画面の上を滑ると、それに合わせて画面内の地図もスクロールされる。
それを何度か繰り返し、当たりをつけたアリサは画面から指を離した。
「……何もないね」
特に何かがあるような情報は描いてないことに、ユーノは思わず拍子抜けした。
「多分縮尺が小さ過ぎるのよ。もう少し大きくしてみるわね」
キーを叩いて地図の縮尺を上げていくと、
「出てきたわ」
何度目かの拡大処理が終わった地図には工場のマークらしき記号が載っていた。
アリサとユーノは頬を重ねつつ一緒に画面を覗き込み、書かれた情報を目で追っていく。
「どれどれ……」
二人はそこに書いてある単語に、お互いに狐に摘まれたような顔で見合った。


 ◇


「ボス、市場出荷分の回収が終了しました」
「ご苦労。残るはこの熟成中の在庫を頂くだけ……これでまた野望に一歩近づいたな」
破壊工作員のような服装をした男から報告を受け、指揮官然とした壮年の男は
口元を歪めながら後ろを振り返り、自分の元へにじり寄ってくる巨大建造物を見上げた。

否。
それに建造物という言葉は少々不適当だった。
強いて単語を当てはめるなら―――



「鋼鉄製の巨大カタツムリ……ってとこかしら」
「だね」
工場といった感じの建物を、巨大なカタツムリの形をしたロボットが蹂躙していくのを
ひそかに結界を突破してきたアリサとユーノが物陰から伺っていた。
「ああいった機械って、地球でも作ってるんだ」
「んな……わけないでしょ。あんな液体状の金属なんて映画の中だけよ」
アリサはユーノの漏らしたボケに思わず声を荒げかけたが、どうにか声を小さく
抑え込んでから改めてツッコんだ。
事実、彼女の言うとおり巨大カタツムリロボはどう見ても金属のボディなのだが
ウネウネぜん動しながらずりずりと前進していく様は、まるで本物のカタツムリ。
「見て。一定時間経つ毎に、ボディを構成する金属の液相と固相が入れ替わってる」
不意にユーノが放った言葉に従って、アリサはロボットのボディの一点を凝視した。
「嘘でしょ……?」
自分の視界に入った目を疑うような信じ難い光景に、アリサは辟易とした声を漏らした。
ユーノの言うとおり、巨大カタツムリロボの金属ボディは瞬きする間も許さない程の
ごく短い時間の間に固まったり溶けたりを繰り返している。
アリサでなくても生理的嫌悪を呼び起こしそうな、一種異様なものだった。
「こんな精密かつ短時間で物質の状態をマクロ的にコントロールできるなんて、今の地球の
 科学じゃどう頑張っても無理ね……でも、管理世界の技術にこんなものあったかしら?」
「無いと思う」
「それじゃあ、ロストロギア(遺失技術)かしら」
「多分ね。それを悪用する時空犯罪者の集団ってところかな」
そう言うとユーノは表情を引き締め、ゆっくりと立ち上がった。
「どうするつもりよ?」
表情を強張らせるアリサに、ユーノはニッコリ微笑むと、
「心配しないで。近くにいる適当な次元航行隊に連絡を取ってくるだけだから」
「それじゃあ、あたしは……」
アリサも意を決して立ち上がろうとするが、ユーノに肩を押さえられてしまった。
出端を挫かれたアリサは眉を顰めたままユーノを見上げたが、その目が悲しみの
色を湛えているのに気づき、すぐに愁眉を開いた。
「ここには二重の結界が張ってあるから、動かなければ誰にも見つからない。
 アリサには、ここでお人形さんのようにしていて欲しいんだ」
「ユーノ……」
「ボクのエゴだって言われてもいい……アリサにはもう戦ってほしくないんだ。
 大切な人が傷つくのは、あの事件だけでたくさんだから」


しろいゆき。
あかいち。
おんなのこのなきさけぶこえ。


大切な友人が傷ついた、ユーノが背負っている最も重いトラウマ。
この話を持ち出されてしまったら、アリサとしては黙っているしかない。
「すぐ戻るよ。ついでにアレはボクが何とかしてみるから」
静かに腰を下ろしたアリサに柔らかく微笑んだユーノは、颯爽と飛び出して
自分が張った擬装用の結界から出て行った。


ひとり取り残された結界の中で、アリサは考えていた。
ユーノは結界展開など防御方面は優秀だったが、攻撃に関しては些か不得手があった。
戦闘になった場合、相手の捕獲は出来ても戦闘に勝つのは非常に難しい。
下手すれば、攻撃を受けてユーノが大怪我をする可能性だってある。
このままとっとと相手を逃がしてしまうのも手だが、野望と言って何か大きな犯罪を
企てていると分かっている連中をそのままにしておくのも、アリサとしては後味が悪い。

「ユーノ……」
思いつめた表情でポツリと呟いたアリサは、携帯のストラップにぶら下がっている
『T』の字の形になっているアクセサリー状のものを手に取った。
「ユーノはあたしに戦って欲しくないって言ってくれたけど……それはあたしも同じなんだからね?」
そう言ってアリサは改めて立ち上がり、アクセサリーをストラップから引きちぎった。

「やるわよ、デルフィ」
『Roger.』

アリサの言葉に応え、デルフィと呼ばれたアクセサリーはまばゆい光を発した。

 ◇


「よーし、扉を開けろ」
指揮官の命令で部下達が倉庫と思しき大きな扉を開けると、その奥から一種独特な
臭いがする生暖かい風がむわぁっと噴出してきた。
その場にいた全員が、その強烈な臭いに耐えかねてぐっと鼻を摘んだ。
「おおぅ……まさかこんなに用意してあるとは思わなんだ」
「この世界の住人は食品として摂取すると聞いています。だから大量に蓄えておく必要があるのでしょう」
指揮官の男の隣に立っていた、副官と思われる男が鼻を摘んだまま口を開いた。
「ふむ。しかし、そのほうが我らにとっては好都合。数が多ければ多いほど野望達成の近道になる」
「その通りでございます」
副官の男の言葉に満足げに頷いた指揮官は、命令を出すべく前に指を突き出した。
「さあ行け、マイマイン2626! ここにある納豆を全て奪い取るのだ!」
男の指令を実行すべく、巨大カタツムリロボは一度止めた歩みを再び実行して
熟成中の納豆が収められている倉庫に向かってジリジリと動き始めた。
「さぁ食らえ食らえ! 我らが野望のために!」

巨大カタツムリの頭が倉庫の扉をくぐろうとした時、どこからともなく飛来してきた光弾が
轟音と共に鋼鉄のボディを激しく叩いた。
「何事だ!?」
「指令、あそこです!」
副官の言葉に指揮官の男が光弾の射線上に目を向けると、そこには朱色で縁取られている
白いワンピース型のジャケットに、炎で出来た翼を背負っている金髪の女性が立っていた。
その手には一本の長い諸刃剣が握られていて、切先はロボットに向けられている。
「ぬぅ……何奴かは分からんが、我らのジャマ立てをするなら容赦はせんぞ!」
「相手は一人だ! 総員、パターンBで迎撃せよ!」
激昂する指揮官とは対照的に状況を冷静に分析した副官の男は、すぐさま近くで控えていた
部下達に指令を発した。
『りょ、了解!』
彼らの部下である戦闘員達は不意を突かれてしばらく思考が止まっていたが、上司である副官の
一喝でハッと我に返ると、慌ててデバイスを構え、目標に向かって作戦行動を展開し始めた。
上下左右に襲い掛かる戦闘員に対し、剣を構えた女性はにやりと笑みを浮かべた。
「!?」
その表情に戦闘員の一人が気づいたときには時既に遅く、彼らの視界からその女性は消えていた。
「高速移動っ……どこに消えた!?」
「ここよっ!」
声のした方向に振り向いた瞬間、戦闘員の男は自分の眼前に何かが迫っているのに気づく前に
頭に強い衝撃を受け、意識を失って地面に落下していった。
仲間の男を気絶させたのは女性が構えていた剣の腹である事に他の戦闘員が気づいた時、指揮官及び
副官を含めた全員がある一つの認識を持った。
「つ、強い!」
「悪いけど、あんた達には少し眠っててもらうわよ!」
認識を代弁するかのように指揮官が叫んだ刹那、宙に浮かんでいた金髪の女性はまるで地面から
跳躍するかのように空中を蹴り、立て続けに戦闘員達を一人二人と叩き落していく。
「くっ……総員、いったん引いてパターンCで対応しろ!」
「ちょっ、逃げるんじゃないわよ!」
女性の怒号も虚しく、戦闘員達はロボットの周りに集まって体勢を整えていく。
「不意をついて各個撃破すれば楽勝だと思ったけど、これじゃもう無理ね」
地面に降り立った女性は豊かな目を閉じ、金髪をふぁさっと掻き上げてぼやくように呟いた。

「我らの野望の邪魔をしおって……一体何者だ!」
「そんなに知りたいなら……教えてあげるわ!」
憎憎しく叫ぶ指揮官の男の言葉に、金髪の女性魔導師は閉じていた目を見開いた。


「炎の翼に愛をのせて、灯せ正義の誘導灯!
 お嬢様特急バーニングアリサ、期待に応えて只今参上!」


口上を読み上げ、金髪の女性―――アリサはポーズを決めた。

「貴様が……かつて幾多の凶悪テロを単独で鎮圧した、陸のAOAと呼ばれるあの魔導師か!?」
「しかし、噂では管理局を引退したと聞いたが……?」
副官の男の漏らした言葉に、アリサはフフッと不敵な笑みを浮かべる。
「寿退社ってやつよ。今のあたしは管理局の正式な武装局員じゃないわ」
アリサはその証と言わんばかりに、左手の薬指に填めた結婚指輪を見せ付ける。
「ならば、なぜ管理局の人間ではない貴様がこんなところにいるのだ!?」
「それはこっちが言う台詞よ! 人がこれから残りの人生を自分の生まれた世界で夫と一緒に幸せで平和に
 過ごそうって思ってたのに……勝手にそっちからやってきて、しかも納豆工場襲うなんて何考えてんのよ!?」
「ふん、そんなの決まっておる! 我らの野望を叶える為に納豆が必要なのだ!」
「なによそれ! わけわかんないわよ!」
口角泡を飛ばして言い合いを続けるアリサと指揮官の男。
しかし副官の男は努めて冷静に、
「教えて差し上げればよいではありませんか。我々の計画を話したところで、特に支障は無いでしょう」
「遠大な計画?」
胡散臭い単語に眉を顰めるアリサとは対照的に、指揮官の男はその言葉に鼻を膨らませると、
「ふむ……今の内に管理局の連中に、我らの計画の恐ろしさを思い知らせておくのも乙だな」
そう独りごちた指揮官の男は記憶に想いをはせるように腕を組み、口を開いた。
「あれはそう、1ヶ月前の話だ……」


 ***


クラナガン中心部の一角にある、とある生活区画は様々な世界の食材が集まる雑多な市場になっているのは
かなり有名な話だが、同時に各管理世界の情報屋もこの界隈を根城にしているのも裏の世界では有名だ。
それゆえ情報が集まり易いというのを利用して、私は部下と共に諜報活動のため街に出ていた。
そして、私はたまたまそこで男とぶつかった弾みで納豆に出会ったのだ。

「けっ! 気をつけろジジイ!」
「口の利き方に気をつけないか若造が!」

私は走ってきた若者を避けたせいで出店の棚にぶつかってしまったのだが、向こうは謝るどころか
毒を吐いてきたのだ。
まあ、とりあえずそのことはよい。
問題はその後だ。
一歩踏み出した私は何かを踏んづけたのを足の裏の感触で気づいた。
しかしそのときにはもう遅く、足を取られた私は盛大にすっ転んだのだよ。
おまけにさっきぶつかった出店の棚から、やたら悪臭が立ち込める豆が私の身に降りかかってきたのだ。

「なんだこの臭いぁ! 臭い臭いぃぃぃぃぃぃ!」

私の身体に大量に降りかかったその豆の臭いは、数日間洗い続けても取れなかったのだ。
周りにいた者はその豆のあまりの悪臭に誰も近寄ろうとせず、私はひどく孤独を味わった。
だが、私はそこで気がついたのだ。
この悪臭のする豆をうまく使えば管理局恐れるに足らず、ということに。


****


「ということだ。お分かりかな? お嬢さん」
「んな事言われても訳わかんないわよ!」
滅茶苦茶なことを得意げに話す指揮官の男に、切れたアリサは声を荒げた。
「では私が噛み砕いて説明しましょう。この納豆をあらかじめばら撒いておけば……このあまりの悪臭ゆえに
 大半がミッド人で構成されている管理局の武装局員は、たちどころに無力化されるということなのです」
副官の男の説明にようやく意図は掴めたものの、あまりの滅茶苦茶な話にアリサは思わず脱力した。
「ったく何考えてんのよ……ついていけないわ」
『 I think so, too. 』
深くため息をつくアリサの言葉に、彼女の剣型デバイスであるデルフィも追従する。
「でもね……あんた達に一つ言っておくわ」
アリサはそう呟くと、改めて剣の切先を指揮官と副官の男二人に向けた。
「納豆は安くて栄養価の高い庶民の宝よ! そんなくだらない事に使うような奴に、勝手なマネはさせないわ!」
『 Exactly. 』
「来るぞ! 陣形を維持したまま迎え撃て!」
啖呵と同時にフライアーフィンを展開したアリサが跳躍すると、状況にいち早く気がついた副官が
本職の指揮官を差し置いて迎撃命令を発した。

パターンBと呼んでいた各個で包囲する陣形と違い、面展開で集中的に対応してくる今の陣形では
フェイト並みのスピードで動き回ってヒット&ウェイし続けないと叩き落とされてしまう。
「こういう展開の時は……あの3人が羨ましいわねっ」
幼なじみの3人に比べて絶対的な火力が低いというハンデを背負っていることもあり、長期戦もしくは苦戦を
予感したアリサは半ば吐き捨てるように叫びつつ、自らの前面にラウンドシールドを展開する。
「砲撃ダメ、剣での接近戦ダメ……だったらユーノのように、盾でぶつかって叩き落とせばいいのよ!!」
ありったけの魔力を飛行と防御に回し、ひたすら戦闘員に盾を使った体当たりを繰り返していく。
「なかなか素早っこい……各員、パターンDへ移行する! マイマイン2626、火力牽制を!」
「こら、指揮官は私なのだぞ!」
指揮官役の男が叫ぶが、先ほどから現場の隊員達は務めて冷静な副官の命令に従っていた。
「各員はマイマインの火線上から退避しつつ、シューターを一定範囲内でランダムにばら撒け!
 奴に加速のための時間を与えるな!」
号令と共に、戦闘員及びカタツムリロボットの触角から弾幕が展開され、アリサは回避のタイミングを
読まれないように気を使いながらジグザグに飛び回り、どうにかそれを必死に回避していく。
「流石噂だけあるな……この濃密な弾幕を避けきっていくか」
「あのオッサンの横にいる奴、結構いい指揮やってんじゃない……このままじゃ」
手数で圧倒され、アリサが弱音を吐きかけたところで、
「……よし、マイマイン2626! 3秒後に射角を座標(2、0、π/2)に向けろ!」
巨大カタツムリロボットが指示に従い、触角の部分を指定の座標に向けて弾丸を射出すると
ちょうど回避行動の真っ最中だったアリサがその射線上に入ってきた。
「しまっ……!」
『 Protection. 』
危うくロボットの弾丸がヒットしそうになったところでオートガードが働き、被弾を免れたアリサは
バリアに着弾したときの勢いを利用して一度距離をとった。
「デル、あんがとねっ」
『 Don't worry. 』
アリサは自分のデバイスにお礼を言うと、一度ため息をついた。
「回避アルゴリズムが読まれちゃったか……敵も然る者って言いたいけど、このままじゃジリ貧じゃない」
明らかに肩で息をするアリサの様子に、副官の男は口元に勝利を確信した笑みを浮かべた。
「よし、相手は疲弊している。そのまま一気に畳み掛けろ!」
自分に向かって殺到してくる戦闘員達を見て、アリサは疲れた体をおして剣を構えなおした。
「あたし、このままやられるのかしら……落ちたら、きっとただじゃ済まないわよね」

もうまもなく自分めがけ、大多数の攻撃が飛んでくるだろう。
魔力が切れかけたこの身体じゃ、そう長くは捌けない。
この状態では、きっと逃げることも叶わない。

そう遠くない絶望の未来を予測したアリサは、覚悟を決めた。
「ユーノ……ごめん。もしかしたらあなたの赤ちゃん、産んであげられないかも知れないわ。
 もしあたしの身に何かあったら……来世まで待っててね。そのときはきっと……」
せめて気力が続くまで抵抗しようと、アリサが前に踏み出した瞬間だった。

「チェーンバインド!!」

掛け声と共に翡翠色の鎖が四方八方から飛来し、アリサに迫り来る戦闘員を尽く捕縛した。
「何事だ!?」
「ユーノ!」
声がした方向を見上げ、アリサは嬉しさいっぱいに叫んだ。
視線の先には工場の天井にはめ込んである窓枠に掴まったユーノがいたからだ。
「よかった、間に合って」
アリサの無事を確認したユーノは、その他戦闘員を捕縛するバインドの術式を構築したまま
飛翔魔法を展開して彼女の傍へゆっくりと降下していく。
「ユーノ……その、あたし……」
非常にバツが悪いといった表情で口篭るアリサに、ユーノは苦笑して、
「アリサ、その話は後。クロノ達が応援に来てくれるらしいから、それまで時間稼がないとね」
「……うん!」
『 Thanks, Master partner. 』
一度弱気に陥っていたアリサだったが、ユーノが戻ってきたことですっかり立ち直ったのか
デバイスを構える手には確固たる力が戻っていた。
「怯むな! 一人が二人になったところで早々戦況は変わらん、パターンDで作戦続行だ!」
ようやくバインドブレイクを済ませて戦況を立て直した戦闘員達は、命令を実行すべく
アリサとユーノめがけて面展開を開始した。
迫り来る多勢に無勢に対し、アリサは静かな笑みを浮かべる。
「ユーノ……アレ、やるわよ」
「……OK、防御方面は任せて」
ユーノが言葉を言い終わる前に術式を展開すると、そこには一匹のフェレットに良く似た
動物が宙に浮いていた。
この姿のせいで友人から『フェレットもどき』と言われるため、ユーノとしてはこの姿に
変身するのは気が進まなかったものの、状況が状況なので渋々了解したのだ。
「よっ……と。アリサ!」
ユーノは飛行魔法の術式を制御してアリサの肩に掴まり、彼女を促した。
「OKAY……あたし達に、あんた達を迎撃する用意あり!」
「ボクのほうも、クロノにからかわれる覚悟完了!」
気合充分に飛び出したアリサは、全ての魔力を飛行に傾けて特攻を開始する。
「サークルプロテクション!」
幾多の光弾が飛来してきたところで、ユーノは進行方向に半球状のバリアを高速展開した。
強固な翡翠のバリアは、戦闘員の魔法弾はもちろん巨大カタツムリの魔法攻撃から
アリサを護り、なおかつスピードの乗った障壁として接触した相手を叩き落していく。
「いけるわっ!」
「アリサ、気を抜かないで!」
注意を促しきる前に、アリサの左側からシューターの集中砲火が殺到するが
いち早く状況を察知したユーノがラウンドシールドで全て受け止める。
「そこねっ!」
アリサは回避行動をとりつつ、自分に飛んできた火線の方角に切先を向けて
パステルオレンジの魔力光で彩られた高速シューターを立て続けに放った。

射撃の目標にされた戦闘員達は回避するか防御するか一瞬迷ったが、下手に防御して
身体が硬直すると体当たりの的になりかねないと判断し、回避行動に移る。
しかし、アリサの狙い目はそこにあった。
「少しでもバラけてしまえばこっちのものよ!」
その一言と共にアリサはデバイスを振り抜き、剣の腹を頭に当てて各個に叩き落とす。
スコップで殴られたような衝撃を受けた戦闘員達は、たまらず意識を手放していく。
「ぐっ……さっきまでは噂ほどの戦闘力ではなかったはずだ! それがたった一人応援が
 増えたくらいで、三分も経たず全滅まで追い込まれるとは……」
焦る副官の男の言葉と同時に、アリサは最後の戦闘員を叩き落とし終えていた。
アリサにはそれが耳に届いていたのか、地面に降り立つと剣を副官の男に向けた。
「あんたがどんな噂を聞いてたのか知らないけど、ここでハッキリさせておくわ」
そう言って肩に乗っているユーノにウィンクで目配せすると、意図を知ったユーノは
肩から降りて変身を解き、何も持っていないアリサの手をギュッと握り締めた。
「あたしが向こうで色々戦果を挙げられたのは、隣にいるユーノが忙しい中で何度も
 助けてくれたからであって、あたし一人の功績じゃないわ……でもね」
「ボク達は2人で1人……愛し合うことでどこまでも戦える、愛の戦士なんだ!」
臆面も無く恥ずかしい台詞を言い放つ二人に、何だかバカにされたような気分になった
副官の男は怒り心頭の気分になっていく。
「ええい、そこまでコケにされたのでは我々の沽券に関わる!
 指令、マイマイン2626の奥の手を使わせてください!」
「あー……好きにしろ」
すっかり場を持っていかれたことに毒気を抜かれたのか、指揮官の男は投げやり気味に
答えた。
「ありがとうございます……マイマイン2626、バトルモードに変形しろ!」
副官の男が高らかに叫ぶと、巨大カタツムリロボットの体幹から手足が生えて
巨大な殻を背負った人型のロボットへと変形していき、身を起こしたときには
全高が工場の天井越えてしまい、そのまま突き破ってしまった。
「さあやれ! そこの二人をひねりつぶしてしまえ!!」
攻撃命令と同時に動き出した巨大ロボットは、背負った巨大な殻をものともせず
素早い動きでアリサとユーノを殴りかかりにきた。
「アリサ、散開!」
「うん!」
合図と共に二手に分かれると、アリサはシューターを何発か放ったが
液体金属のボディは器用に穴を開けて攻撃を回避していく。
「ああもう! どっかの緑色仮面みたいにヤケに器用ね!」
子供の頃に見た映画の内容を比喩に持ち出し、アリサが吐き捨てた。
「しかもデカいだけあってパワーあるし、図体に反して意外と素早いわ」
「この様子なら、多分バインドもすり抜けられてしまうね。これがもしも魔法生物なら
 レストリクトロックを試してみるんだけど……どうみても工業技術だから無理だよ」
悲観的に分析するユーノだったが、アリサは気合を入れなおすように剣を構えた。
「万事休すね……でも、ここで引くわけには行かないでしょ!」
アリサは掛け声一閃と共に跳躍すると、ロボットに向けて射撃を開始した。
負けじとユーノも飛翔魔法を展開、アリサのバックアップに移る。
「くっ、ちょこまかと!」
「パワーでダメならスピードで勝負よ!」
「この手のお約束としてどこかに制御コアがあって、それを打ち抜けばいいはずだよ!」
「わかったわ!」
跳躍から飛行体勢に移ったアリサはユーノの助言どおり、シューターを乱れ打ちして
コアのある場所を探りにかかった。
ユーノは探索魔法を使ってコアを探しつつ、出来るだけアリサめがけて攻撃を
させないようにチェーンバインドを駆使して動きを牽制していく。

「そこっ!!」
不自然にボディの組成が集中する場所を見つけたアリサは、制御できる精一杯の数の
シューターを呼び出し、一気に射出する。
しかしそれは相手にも読まれてたのか、背中に背負った殻を使って防がれてしまう。
「ああもう! 防ぐんじゃないわよ!」
アリサは不条理とは分かっていても文句を叫び、再びコアを探るべく射撃を再開する。
それを2度3度繰り返すうちに、ユーノはあることに気がついた。
「アリサ! 相手の殻のあちこちに亀裂が入ってるから、そこを狙って!」
ユーノの言葉に、殻に注目したアリサは確かに亀裂があることを確認した。
殆どは小さなヒビ程度だったが、中には割れてしまいそうなほど大きなものがある。
「まずは外堀……そういうことね!」
意図を理解したアリサはシールドを展開し、亀裂のある場所めがけて体当たりを
仕掛けるべく加速を開始した。
「これでっ……どうよ!」
叫ぶと同時にガツンとシールドぶつかった反動でアリサの身体銃の骨が軋んだ。
その痛みはアリサにとって相当なものだったが、その甲斐あって亀裂が大きくなって
いき、まもなく一部が割れたショックで殻の中身が飛び出してきた。

『納豆が!』

3人の声が一度にハモった。
殻の中に溜め込んだ納豆がもの凄い勢いで飛び出していき、重量配分が変わって
バランスを崩した巨大ロボットは立て直す暇も無くよろめいていく。
「あ、待て! そっちに行くな!」
副官の男が止めるまもなく、巨大ロボットは納豆が流れ出した方向にヨタヨタと
歩いていき、やがて床に散らばった納豆に足を取られて激しく横転した。

「………ハッ! アリサ、今だ!」
一瞬思考が止まった3人だったが、いち早く復帰したユーノがアリサを促した。
「あ、えと……う、うん。わかったわ! 行くわよ、デル!」
『 All Right, Load Cartridge. 』
アリサの言葉とデバイスが応え、柄の部分の根元からカートリッジを撃発した。

「自分達の私利私欲で納豆を盗み、人々から食べ物を奪った悪事……許しはしないわ!」

アリサは高らかに啖呵を切ると剣を大上段に構え、必殺技である魔法の構成にかかった。

『 Sealing Mode Active, EWB final slash. 』

デバイスの声と共に束の部分が横に広がり、一対の円盤が高速回転を始める。
回転の加速が進むにつれ、アリサの背中にあった炎の翼が急激に輝きを失っていくが、
それとは対照的に剣の刀身は灼熱を帯びたかのように光り輝いていく。
「ユーノ!」
「OK!」
アリサの合図と共にユーノはアリサのジャケットを掴み、アリサを上空に運びあげる。


EWB。
―――Ezekiel Wheel Blade。

神の玉座の動輪と呼ばれる天使エゼキエルの名を関したこの魔法は、彼女の親友である
高町なのはは得意とするスターライトブレイカーのように収束した残存魔力を全て
かき集め、全てを熱エネルギーに変換したものを剣の刀身から放熱して、切れ味と
破壊力を増した状態で対象を斬りつけるという、対物攻撃の超大技である。

この魔法を使用するときのアリサは、ジャケットを構成する魔力も含めて全ての魔力を
デバイスに込めているため、空を飛ぶことはおろか防御もおぼつかない状態である。
行動が不自由なアリサをサポートするためユーノが防御と飛行を担当、相手の頭上高くまで
運び上げ、相手めがけてラウンチすることで威力を増す、三位一体の攻撃だった。


「縦、一文字斬りぃ!!」


気合充分に振りぬいた、数千度という超高熱のエネルギーを纏った刀身はいともたやすく
巨大ロボットの金属ボディを蒸発させ、制御コアを打ち砕いた。
「くそっ、退却だ!!」
「おーっとそこまでだ」
「あなた方を時空管理法違反で逮捕します」
「誰だ!?」
副官の男は逃走を図ろうと試みようとしたが、突如聞こえてきた声に阻まれる。
物陰から歩いて出てきたのは、アリサもユーノも知った顔の黒尽くめ兄妹。
「クラウディア艦長、クロノ・ハラオウン」
「同艦勤務で法務担当執務官、フェイト・T・ハラオウン」
共にバリアジャケットに身を包んだクロノとフェイトは、共にデバイスを構えた状態で
副官の男と、諦めの表情のなっていた進路に立ち塞がっている。
「……さすが納豆、扱いを誤れば己に害を為すか」
逃げ場がないことを早々に悟っていた指揮官の男の言葉に、副官の男は観念して膝をついた。


「ユーノ……ごめん。あたし、その……」
一団をあらかたしょっ引いたクロノ達クラウディアクルーが工場の職員を助けに
向かってる間、とりあえずジャケットを解除したアリサとユーノは工場から
少し離れたところに立っていた。

約束を破ったのだから嫌われるかもしれないという恐怖からか、アリサは口の中で
モゴモゴしながら異常なまでに恐縮していた。
普段怒らない人が怒るときはもの凄く怖いということを、身をもって知っている。
怒られることへの恐怖と、嫌われるかもしれないという恐怖。

だが、ユーノは怯えるアリサに声をかけることなく、ただそっと抱きしめた。
「何も言わなくていいよ。ただ、アリサに怪我が無くてよかった……」
身体を強く抱きしめられるアリサは、自分の肩に水滴が落ちたのを感じた。
「ユーノ……泣いてるの?」
「当たり前じゃないか……大好きなアリサが無事だったんだから」
「……ごめん、なさい」
アリサはそれだけを言うと、手に持っていた待機状態のデバイスを地面に
落とし、ひしっとユーノに抱きついた。



 ◇



「うううう……ん……あふ、んにゅ………あれ?」
不意に目が覚めた感覚を覚えたあたしは、重いまぶたをこすって状況を確認した。

抱きしめていたはずの、大好きなユーノの身体は何処にも無い。
ここはあたしの部屋の天井で、いつも寝ているベッド。
あたしが今着ているのは、ユーノが似合うって言ってくれた最近お気に入りのパジャマ。
傍においてあった目覚まし時計は7時を指していて、起床まであと30分はある。
「えっと、つまり……今のって」


 THE Dream!

(つまり、これはただの夢や)


「何か今はやての声が聞こえてきたような気がするわ……」
幻覚が聞こえてくるようじゃ、あたしもどうかしてるわね。


―――昔に比べたら、最近のあたしおかしいのよね。
1日に一回はユーノの声を聞かないと、不安で心が締め付けられる。
今日だって、こうしてありえない夢見ちゃうくらい……あたしはユーノが大好き。

昔のあたしだったら、ここまで人を好きになれるなんて絶対に想像出来なかったと思う。
きっとそれだけ、あたしの中でユーノの存在が大きかったんだと思う。
こうやってユーノのことを考えるだけで、あたしの心は―――

「って、もうやめやめ! ユーノのこと思ってたら1日時間があっても足りないわよ!」
あいつのことを想ってフラストレーションが溜まるなら、とっとと解消すればいい。
そのために一番早いのは―――ユーノと話をすること。

あたしはユーノから貰った古いPHSもどきの機械を手に取り、コールボタンを押した。
ユーノのことだから、きっととっくの昔に起きてて仕事を始めてるはず。

「せっかくだから……今日見た夢の話、しちゃおっかな」
滅茶苦茶で荒唐無稽な内容だけど、あたしとユーノが一緒になって敵を倒すという話。
もしこの世に並行世界っていうのがあるなら、きっとこんなあたし達がいてもいいはず。

ユーノは賛同してくれるかな?
してくれるわよね?
だってその世界ではあたし達、夫婦なんだもん。

『もしもし、アリサ? おはよう』

―――繋がった。

「うん! グッモーニン、ユーノ!」


あたしの大好きな彦星様へのホットラインは、たとえ相手が誰でも切らせない。
それが七夕伝説で二人の間を天の川で裂いた神様が相手でも―――


著者:亜流

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