[336]さばかん つかいまなのなのは<sage> 2007/02/21(水) 20:00:31 ID:7XYhgXNF
[337]さばかん つかいまなのなのは2<sage> 2007/02/21(水) 20:02:55 ID:7XYhgXNF
[338]さばかん つかいまなのなのは3<sage> 2007/02/21(水) 20:04:43 ID:7XYhgXNF
[339]さばかん つかいまなのなのは4<sage> 2007/02/21(水) 20:07:03 ID:7XYhgXNF
[340]さばかん つかいまなのなのは5<sage> 2007/02/21(水) 20:08:36 ID:7XYhgXNF

 前回のあらずじ
 デスパレー2ランドでフェイトとユーノは真の愛に目覚めるのだった。

 ピピピピピピピピピ。
 鳴り響くタイマーが僕らを心地の良い眠りから覚ませた。
「ん・・・よく寝た」
 フェイトと一緒に眠った僕はいつもよりとてもぐっすりと眠れた。
 フェイトはまだ気持ちの良さそうな寝息をたてて眠っている。
「フェイト、朝だよ。ホテルバイキング食べに行くよ」
「ん・・・ユーノのちっちゃ〜い、ぐ〜」
「ほっとけ!!」

「うん、まずいね」
「まったくその通り」
 バイキングを食べにきたのだが予想通りと言うかなんと言うべきか・・・
 高級ホテルだから食事には期待していたが・・・ここの料理人にプロとしてのプライドは
無いのだろうか。
 フェイトが全て食べ終わるとまたおかわり、僕もそのタイミングにあわせたおかわり。
「このスープも味が薄いねー。うまみ成分を全て吸い取ったみたいな」
「まったくその通り」
 そしてまたおかわり。
 そしてまた。
 数分後。
 じゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ふぅ・・・バイキングの罠、恐るべし」
「うんうん、つい食べちゃうんだよね〜」
 言わなくても分かるかも知れないけど言う。食べ過ぎだった。
「部屋にあるお茶もついつい多め飲んじゃうし」
「冷蔵庫の中にある無料の水だって飲む」
「「貧乏性なんだなぁ・・・」」
 意識もせずユニゾンした僕とフェイトは顔を合わせ、クスクスと照れるように笑った。
 
 部屋に戻った僕らは今日の予定と身支度を整え、ニュース番組を見ながら話していた。
「え?リベンジって・・・誰に」
「デスニー。昨日はワンゲリでやられちゃったけど、次はそうはいかない」
「やれやれ・・・なんで突然熱血展開なんだ・・・」
 フェイトはお茶を飲み干して言う。
「分からないけど、こう言うのは気持ちが大切だと思うから」
 フェイトのどこか元気そうな顔に僕は思わず笑ってしまう。
「すっかり元気になっちゃって。でもさ、僕はそんなフェイトが好きだから止めない。
いや、寧ろやっちまえ!」
 元気を注入するようにフェイトの背中を叩く。
「有難う」
 フェイトはそう言うと部屋を出ようとする。
 その前に、
「ユーノ、良かったらジャンパー貸してくれないかな?今日はちょっと寒いから」
 AM9時。遊園地の広場には、倒れた屈強な男達が呻いていたり、気絶していたり、
負け惜しみを吐く。
 そんな混沌の中、美しい金髪のツーテールが風になびく。
 視線の先には東京デスバレー2ランドのボス、デスニーが仁王立ちで強敵との邂逅を
待つ。
 その時は早くやってきた。
「朝早く申し訳ない。昨日の汚名を返上しに来た」
「おや、君は昨日の少女。しかし似合わんジャンパーを着ているな、身動きがとりにくいんじゃ
ないか?」
「それはあなたの服も同じ事です。」
 デスニーの格好。ネズミの覆面を被り、繋ぎを着ている。
「これは俺の正装でね、慣れてるんだ」
 普通に会話していても彼等からは殺気が漂い、デスニーの覆面の中は、
汗で濡れ、掻痒感が走る。
 彼女の事は覚えていたが、昨日と全く威圧感が違う。
「しかし・・・君は・・・何があった?昨日とは全く気配が違う。
そう、何か・・・何かに気付いたみたいだな。

                        強くなった」

「ええ。拙い言葉で言うなら・・・愛」
 離れて見たいたユーノはその清々しいまでの言葉に誇りさえ覚えた。
 デスニーがふっと笑う。嘲笑ではなく、新たな漢(おとこ)に出会えた喜びにだ。
「人が強くなる方法は難しくそして簡単なものだ。
 それは気付く事。
 拳を打てば人は痛む、筋力が強い蹴りを出せばもっと痛む。
 格闘技なんてそんなものさ。どんなに筋力があってもパンチもキックも知らん奴は
喧嘩には勝てない。
 一期一会、数多の出会いが人を強くするとは良く言ったものだ。
 
 そして、君が気付いた愛もまた・・・強くなる為に必要なものだ!!!!」
 
 その言葉が戦いの合図だった。
 デスニーはその長身にしては敏捷でフェイトに肉薄し、肘撃ちで水月を当てに行くも
体を横にしてかわし、その手首を掴み関節技を決めようとするが、前進され逆に手首
を取られ、至近距離で蹴りを胴に放つ。
 デスニーにとってそれは様子見の蹴りで、予定としてはこれで体勢を崩し倒した後、
マウントポジションに持ち込み、顔面めったうちのはずだった。
 だが、フェイトはその蹴りを胴に喰らわせる事はよしとしなかったのか、額でその蹴り
を受け止めた。
「なにっ?」
(何故額で受け止めた?胴のダメージの方が幾分かましな気がするのだが・・・)
 その予想外の動きにも怯まずもう一度蹴ろうとした時、掴んでいた腕にエルボーを
やられ、その手を放してしまう。
(しまった!)
 足は場違いな所に放たれ、フェイトの膝蹴り金的とアッパーが襲う。
 アッパーは決まったが、金的はハズレだ。どうやらプロテクターみたいなものを入れているらしく
 硬い感触が膝から伝わる。男の弱点であるからそんな対策も当たり前と言えば当たり前で卑怯でも
何でもない。 
 アッパーで意識が暫時飛びはしたが、本能で出した拳がフェイトの頬に沈み、吹っ飛ばされる。
 間合いは再び離れ、両者は再び戦略を練っている。
「真坂(まさか)金的を喰らわすとはな。大胆な女の子だ」
 唇から血を滲ませながらも笑って言う。
(ちっ・・・強えぇ。頭がまだ起立性低血圧症(突然起き上がった時に来る立ちくらみの事。誰にでも起こり得る、健康の良し悪しに関係無い)みてぇにくらくらしてやがる)
「ありがとうございます」
 フェイトも笑いながら、答えた。
(いった〜。額で受けたのはまずかったかなぁ。頭がくらくらする)
 回復するまで待とうと思ったフェイトだったが、さっき受けた拳の威力から、奴はやっぱり
ダメージを受けていると確信する。
(ここで攻めなきゃ・・・やられる)
「はぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!」
 怒涛の連続攻撃を撃つフェイトだが、デスニーは鋼のような腕でその攻撃を防御する。
 フェイトは無手での戦闘にそもそも慣れていない。
 だから威力は段々下がり、主導権がデスニーのところにわたる。
「残念だったな。スタミナ切れとは鍛え方が足りない」
 デスニーは慌てる事も無く、ゆっくりと間合いを詰め、フェイトに拳の一閃を放つ。
 それを片腕で防御する。
「ぐあっ!」
 片腕で受けるには強すぎる拳に思わず呻く。
コンビネーションで当てる事無く、一撃の強さに重点を
置き、一撃一撃渾身で当てて行く。それを7,8回防御するがついに耐えられなくなったのか
後に大きく下がり、デスニーと10メートル離れる。
(さぁ賭けるか・・・これで駄目なら、私の負けだ!)
 フェイトは大きく後に下がったかと思えば、全速力で走り、デスニーへと突進する。
「フェイト!!!」
(冷静さを欠いた判断だ。あの速さでは避けることさえ不可能だ!!!)
 デスニーは渾身の力をこめて胴に蹴りを入れる。
 決まった、デスニーは思った。
 それはユーノも同じで彼の勝利誰も疑わなかった。

 そう、彼女を除いて。

「がああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
 デスニーの慟哭が響く。
「な、えっ?」
 一瞬目を瞑っていたユーノはその光景に唖然とする。
 そこには、やられているはずのフェイトが何も無かったかのように立っていて、
 デスニーは膝を抱えて蹲っていた。
「あ、アンタもタヌキだな・・・苦戦して見せたのは全部演技かい?」
「ええ、苦戦はしましたけど、ちょっとオーバーに」
「さっきの違和感が全部氷解した。何故胴の蹴りを額で受け止める必要があったのか・・・それは、」
「ええ、貴方位の年齢だととても縁起良く聞こえるものです」 
 着ていたジャンバーを脱ぎ服の中から現れたのは、
「てっ鉄板!?」
 そこにあるのは鉄板で、真ん中が凹んでいた。デスニーの凄まじい蹴りの威力を物語る。
「貴方の事パンフレットで少し勉強しました。元プロレスラーみたいですね。
レスラーはスクワット3000回を容易にこなす程の体力を持っていると言うのを聞いた事があります。
その強い足なら大抵のダメージは平気でしょう。膝という間接を覗くなら」
 レスラー、力士。彼らは屈強な筋力は持つものの、その筋肉をささえる膝への負担は想像以上に
大きい。
 さっきのフェイトの全力疾走と彼の蹴り。足への負担は甚大で、激痛が走り、力が入らない。
 足に力が入らず、立ち上がれない隙を突き、包帯で縛っていた鉄板を外し、デスニーの後に
回り、首締めを極める。
「はぁぁっぁあぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!!」
 腕に力を込め、一気に締め上げる。デスニーは腕を剥そうとするが、頚動脈の絞めが上手く
力が半減する。
「ぐっぢっぐっあ・・・ああああああああ!!!!」
(なんて鍛えられた首だ。だが、もうこの技から逃れる術は無い!)
 ギギギギギギギギギギ。
「ごっの・・・おでは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 呻き声が止まり、白目を剥き、呼吸も止まっていた。
「・・・私の、勝ち」
 首を緩め、デスニーから離れようとする。だが、それが甘かった。
 フェイトの顔に砂が勢いよくかけられ、視界が遮られる。
(しまっ、)
 気付いた時には遅かった。
「馬鹿が!!!こんな事で騙されてるんじゃねぇよ!!!!」
  フェイトの水月(みぞおちの事)に衝撃が走り、両手を繋ぎそれを大きく持ち上げ、
後頭部に打ち下ろす。
「うっ・・・」
 どうにか立ち上がり、防御するものの、デスニーの拳乱射が容赦無く当たる。
 足の痛みもあるが、勝利への執念がそれさえも凌駕する。
「どれだけ卑怯だと言われても、どれだけ汚い、外道、カス、ろくでなしと言われても。
その果てに手に入るのが勝利なら、何があっても手に入れる!!!それが
俺の誇り、それが・・・
 
            それが漢(おとこ)ってもんだろう!!!!」

「ええ、その通りです!!!」
 フェイトは大きく跳び、デスニーの顔に渾身の蹴りを入れる。
 再び間合いを取り、互いを牽制する。
「ここまで勝ちたいと思った相手ははじめてだ」
「勝ちます。この私が」
「いいや、俺だな」
 この会話が戦いの最後の言葉となる。
 間合いを少しまた少しと詰め、二人の領域に入る。
 二人は刹那長いようで短い勝負を想像する。
 だが、そんな想像は直に無くなった。
「なのはきーっく!!!!!!!!!!!!!」
 突然の蹴りがデスニーの顔面に入り、その巨体が崩れる。
 気絶したふりでは無く、本当に終わってしまった。
「え・・・?」
「いやー見事な蹴りやなぁなのはちゃん『サンデグジュペリは欠けはしない』って
言うともっとGOODや」
「貴方に朝は訪れない」
「まぁそれでもええか☆」
「え、え、え、え、え、え、え」
 分かりにくいネタを言うはやてとなのは。
 いや、そんな事より何故彼女達が乱入なんかしたんだ。
「ちょ、ちょっとなのは!!!!!!何で乱入してるの?格ゲーじゃ無いんだよ」
「えー。でもパンフにはちゃんと、『乱入大歓迎』って書いてあるよ」
 確かにパンフレットにはちゃんとそう書いてある。
 無秩序なアトラクション。
「まぁ・・・しょうがないか・・・・・・・・・・・・・・ぐ〜」
 フェイトは突然眠りだし、倒れるところをユーノが支える。
「っと・・・礼を言うべきなのかな高町なのはさん」
 なのははユーノの方へ振り向くと笑顔で答える。
「なのはでいいよ、ユーノくん」
「君がこの勝負を止めてくれなかったら、この勝負、どちらに転んでもフェイトは
大怪我をしていた。・・・彼女の中で整理がつけば、勝敗なんてどうでもいいのにね。
 でもこの可愛いいじっぱりは僕が止めても聞かないだろうからね」
 なのはは後に振り向く。
「さ〜て、何の事だろうね」
「いやー、真坂(まさか)俺が負けるとはなー」
「「うわっ!!!」」
 気絶したデスニーが起き上がり、僕達の勝利を称える。
「この仕事ではじめての敗北だ・・・そらっご褒美だ」
 なのはに渡されたのはとても可愛いとは言えないぬいぐるみだった。
「はやてちゃん、ユーノくん、いる?」
 ふるふる。
「新開さんにあげるよ」
「いや、それ誰?」
 微妙な空気が流れたのは言うまでもない。
 つづく

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目次:つかいまなのなのは
著者:さばかん

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