[94]さばかん つかいまなのなのは1<sage> 2006/09/27(水) 18:03:13 ID:haqUIAFh
[95]さばかん つかいまなのなのは2<sage> 2006/09/27(水) 18:05:12 ID:haqUIAFh
[96]さばかん つかいまなのなのは3<sage> 2006/09/27(水) 18:07:39 ID:haqUIAFh
[97]さばかん つかいまなのなのは4<sage> 2006/09/27(水) 18:10:20 ID:haqUIAFh

視点切り替え。ユーノ→なのは
 気が付けば、誰の家かも分からないベッドだった。
「ん・・・」
 私は、そこから起き上がると、有り得ない事が起きた。
 場所が変わっている。そこは動物病院前で、とっても普通。
 
 ただし、そこには、私の背丈の3倍くらいある
 泥団子みたいな化け物が一匹、私を眺めていた。
「へ?」
 夢を見ているのではとも思った。でも、多分違うと思う。
 私はこんなリアリティ溢れる夢を見た事が無かった。
 泥団子がゴムマリみたいに弾み、その下には私が。
 よけようと思ったけど、そういう規模じゃないと思う。
 車に轢かれるのと同じ、何故か動けなかった。
『あぶない!』
 なんかふざけて出してるみたいな声が聞こえるのと
同時に泥団子は四方に飛び散った。
 それは多分、ゲームでよくあるバリアって奴なんだと思う。
 その見えない壁が私を守ってくれたのだ。
『ぼやっとしたらあかんよ、なのはちゃん!その泥団子はロリコンや!
世の中、犯(やら)れる前に犯(や)れ!が基本や』
 殴ってもいいかな?いけないいけない。そう思ってはいけないと知りつつも、
 私の頭に直接響いてくる、「わざとふざけて声をだしている誰か(しかも関西弁)」
 に訊ねた。
「あなたは誰?」
『私は妖精さんや』
 嘘だ。
 小3に分かる嘘ってそう無いと思う。続けて訊ねてみた。
「あなたの名前は?」
『かすが・・・あゆむ』
 声が違う!声が!!

「最後に・・・この服は何ー!!!!」
 私の着ている服。学校の制服をなんか丈夫にしたようなそんな服。
 所謂(いわゆる)コスプレだった。
『未来のブームを先取りや!!』
 こめかみを拳で叩いて追い出せないかな?この自称妖精さんは。
 そう思うのと同時に泥団子は復活して、元の姿に戻っていた。
『しぶといなぁ・・・さぁ!戦え!戦ってしまえ!!なのはちゃ〜ん』
「え?へ?ど、どうやって〜???????」
『魔法や』
 そんな簡単に言わないでよ・・・。
「その魔法って奴はどうやって使うの?」
『なのはちゃんは何も考えんでええ。とにかく敵を・・・
        
     殴る蹴る等の暴行や〜〜〜〜〜!!!』
 さぁ〜〜〜〜すが妖精さん、分っかり易い!・・・って分かり易過ぎ無い?
「本当に・・・それでいいの?」
『さぁさぁ、すけさんかくさん!こらしめてあげなさい!!!』
 もうやけだった。私は敵にダッシュで向かった。
 
 泥団子も大きさのわりには随分俊敏に反応し、触手を伸ばしてくる。
 その高速で、形容が何なのか分からないものをしかし、なのはは
 2,3かわす。それはなのは自身も驚いていて。結果としてその10倍は
 かわすことになる。
 だが、それは見えているだけで、体制的にどうしてもかわせない触手が
 なのはの腕に絡まる。それは、互いにとってチャンスだった。
 泥団子に勿論、理性など無い。単に目の前の生物を殺すだけのプログラム。
 チャンスとばかりになのははその触手を利用して、その本体を引き寄せる。
 ぐいっと引っ張られるその力に向かうのはまずいと感知した、泥団子
 は自らの触手を切り離す。だが、一度引き寄せた力は生きていて、結果と
 して、なのはの体に近付く。
「はっ!」
 拳。その、たった一撃で敵はバラバラに散らばる。それは、なのはの力ではなく。
 魔法による『強化』だった。
 バラバラに四散して敵は死んだように見えた。だが、敵は再び一点に集まる。
「こいつ・・・不死身?」
 だが、なのははちゃんと見ていた。敵が集まる一点にある、光る石。
 なのはは完全に復元する前にけりをつけようと駆け寄る。
 泥団子が触手を伸ばす、その前に、高速でその石を掠め取る。再び集まる泥。
 その本体っぽい石を握りつぶそうとして、
『だめや!!』
 その声と共になのはの腕が止まった。
『ジュエルシード!封印!!!』
 光る石がもっと光り、さっきの泥が嘘のように散った。
(う・・・動かない・・・)
 そんな光景よりもなのはは自分の手が動かない事に驚いた。
 それは、どうさと呼べるかどうかも分からない、当然に出来る行為のはず。
 それが、何故できないのだろうと思った時、手はあっけなく動かせていた。
 同時に、その光る石が(硝子のようにも見える)角を右に曲がった。
 
「よっしゃー!ジュエルシードげっとだぜ〜!!!」
 キラキラ光る美しい石の名をジュエルシードと言う・・・らしい。
 念を入れて彼女はそれをまじまじと観察し、本物かどうかを確認する。
 まぁ・・・ニセモノのはずは無いんだけど、一応。
「よしよし!たしかにジュエルシードやー!!!
 こほん。それではあたらためて・・・」
 ジュエルシードを前に構えて。
「ジュエルシードげっ、」
「待った」
 びくん!彼女の動きが形状記憶スーツの理想的な修復時間のように
 修復される。
「はやて・・・ちゃん?」
 光る石を追いかけて見れば見知った顔がそこにいた。
 同じクラスの、八神はやてちゃん。関西弁の可愛らしい女の子。
「ははははははははは・・・なのはちゃ〜ん☆月の綺麗な夜やね。
こんな夜更けにどうしたん?早く帰らないと、柔らかいお肉が狙われるでー」
 全て棒読みの台詞を言い残し帰ろうとしたはやてちゃんを私は、腕を掴み止める。
「どうしてこんな事になったのか・・・知ってるんだよね?話してくれないと、私、困るよ」
 ちょっと凄みをきかせて言う。
 はやてちゃんはまるではじめから決まっていたみたいに、ええよとあっけなく答えた。

 趣味の良い一戸建てに着く。普通の家のカテゴリーには入りそうにも無いちょい豪華
漂う家だった。
 そりゃあ、多少の余裕が無いと私立には行けない。
 私は居間に案内され、柔らかそうなソファーに腰掛ける。
 はやてちゃんがマミーとウェハースチョコたっぷりの大皿を持ってきた。
「はい、よかったらどーぞ」
 はやてちゃんは素早く、自分の分のマミーの蓋を開け、ストローでちゅうちゅう味わう。
 その美味しそうに飲む顔がキュートだった。
 でも、それを眺めているだけでは何も始まらない。
「あのね、はやてちゃん聞きたい事が、」
「ひろしくんは、後輩の女の子に、第二ボタンあげたんやっけ?」
「へ?」
 なんか、話が切られた。
 はやてちゃんの疑問・・・あれっ?渡したっけ、渡さなかったっけ?
「あれは覚えとるんや。最終回の台詞は・・・たしか
『君にも逢えて、よかった』って視聴者のみんなにそう言ったはずや!」
「あっ!それ知ってる!私なんか覚えてる!!いやー懐かしいなぁ・・・
Hな本がベッドに隠れてると思ってゆうこがひろしくんのベッドをあさって・・・」
「そうそう!いや〜ほんま、懐かしいなぁ・・・そう言えば、なのはちゃん好きなゲームある?」
「私の好きなゲームは・・・」
 雑談が色々続く。
 ウェハースチョコ、しけってた。
「それじゃあまたな〜なのはちゃん!」
「じゃあね〜☆」
 って、待った。
「はやてちゃん・・・話を摩り替えない」
 危うく、本当に帰ってしまうところだった。昔の話には、どうしても花が咲いてしまうものだ。
 はやてちゃんは何を思ったかチェーンをかけ、扉を開いたり閉じたりしながら
 楽しそうな顔で。
「帰れ〜帰れ〜☆」
 何の真似だろう。ちなみに、冬だからセミは鳴かないよ、はやてちゃん。
「簡単に言うと、私は全部で21個ある、ジュエルシードを集める仕事に協力してるんや。
それは1個でも凄い力を持っていて、さっきのどろどろくんの正体もその力が発動したせい
なんや。
 で。その石21個全て集めると・・・な、なんと!願いが叶うって話らしいんや」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 信じない訳にはいかない。何故ってさっきの泥団子を見たらファンタジーがあっても
 おかしくないと思えるから。それに、この良く分からない状況を唯一知るはやてちゃんの
話が、今の私にとっては一つの道だった。
「ジュエルシードだったよね。はやてちゃんはそれを集めてるみたいだけど、それってもしかして
さっき持ってた石の事?」
「そうや。私はその石を集める仕事を引き受けてな。それが成功した暁には願いを一個叶えて
もいいそうなんやー。勿論、なのはちゃんの願いも叶えさせてあげるで」
 ほ、本当に!?・・・じゃなくて。
「なんで私が?」
 その質問に、彼女は当然のように答えた。
「なのはちゃんは私の『使い魔』になったからや」
 へ・・・はやてちゃんは一体何を言っているのだろう。
「はやてちゃん・・・何を言ってるのか良く分かんない・・・それに私は生まれて以来、人間
以外になった事がないよー」
 はははははと冗談を言いつつ笑う。
 だが、それは否定の言葉に覆いつくされる。
「使い魔はな、なのはちゃん。一般的には小動物を媒介にするものなんや。
 そっちの方が魔力の消費が少なくてすむからな。
 でも、術者の体が弱ってる時。自分では上手く戦えない時は人間を使い魔にする時だってある。
 それが、あなたであってわたし」
 ・・・気のせいだろうか、背筋が凍るように冷たかった。
 気味の悪い笑顔ではやてちゃんはにやり顔で言う。
「なのはちゃん。ここで言う『ば・い・か・い』って何か分かる?・・・それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・          

死体」
「へ?それこそ変だよ、はやてちゃん。私はだってずっと生きて、」
 次の瞬間、もう出口など無かった。

「私が、コロシタ」

つづく

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目次:つかいまなのなのは
著者:さばかん

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