209 名前:名無しさん@魔法少女 [sage] 投稿日:2011/05/19(木) 23:47:38 ID:AfRITNho [2/3]

ミッドチルダの首都クラナガンのベルカ自治領にほど近い場所に、高町家は居を構えている。
この家には高町なのはとヴィヴィオの親子が暮らしており、今は週末を利用してユーノ・スクライアが泊まりがけで遊びに来ていた。
なのはは二十代にして時空管理局の空戦戦技教導官を勤める歴戦の魔導師であり、ユーノはなのはと同い年で時空管理局の無限書庫司書長の職にあった。
二人は恋人同士だった。

ヴィヴィオが自分の部屋に引き上げ、二人きりになると恋人たちの時間が始まる。
ユーノの手土産のワインを片手にフロントアタッカーによる戦列戦術の有用性や、失伝した空中機動の再現などの専門的かつ高度な(くだらない)話題で大いに盛り上がる。
議論が白熱するに従い、ほどよく酔いも回ってきていい気分になってくる。
「ああ、なのは……もう攻性防御隊形の組み方なんていいじゃないか」
「うん……私もそんな気分」
唇が重ねられ、ユーノの指がなのはの首筋を撫で回す。
「あ、待って。ヴィヴィオに聞こえちゃう……」
なのははレイジングハートに遮音性の結界を張らせた。これでもう結界の中の音が漏れる気遣いはない。
「なのはの声、大きいもんね?」
「ユーノくんのばか……」
ユーノの指がシャツの下に潜り込んでいった。

そんなわけで昨日はなのはと夜通し愛し合った。
隣がヴィヴィオの部屋だと思うとえもいわれぬ背徳感で二人の興奮もひとしおだった。
娘が眠っている隣で、なのははユーノに抱かれていたのだ。
何も知らない無垢なヴィヴィオ……
胸にこみ上げてくる奇妙な興奮にユーノは汚れきった自分を発見した。
帰る前にはもう一度しよう。ユーノは自分に堅く誓った。何しろ思う存分出来る機会は以前より増えたとは言え、毎週確実に会える訳ではないのだ。

それはともかく、今日は思うさま羽を伸ばし、仲間と笑いあえる楽しい休日なのだ。
なのはとヴィヴィオの三人で遊びに出かける予定にしている。
ユーノとヴィヴィオは食卓についてなのはが朝食の支度を終えるのを待っていた。

そんな穏やかな休日の朝に不意に爆弾が投げ込まれた。
「ね、ね、ユーノくん」
ヴィヴィオが耳元に口を寄せてきた。
「ママってさ、あのときの声結構大きいんだね。知らなかったよ」
なんだって?
「……まさか、聞こえてた?」
「うん、もうばっちり」
「……」
ユーノは内心頭を抱えた。まさか聞かれていたなんて
ちゃんとレイジングハートに結界を張らせた筈なのに

「あら、内緒話?ママにも聞かせてよ」
そんな内心を知ってか知らずか、カウンターキッチンから運んできた朝食を手になのはも話に乗ってきた。
俎上に上がっているのは危険極まりない話題なのだが、ヴィヴィオには屈託がない。
「昨日の夜ママの声が大きかったなーって」

なのはの顔が引きつる。

「なんのことかなヴィヴィオ?」
「うん、昨日の晩ママとユーノくんが大きい声であれしてたから、もう気になって気になって眠れなかったよ」
「ななななな、なんのことかわからないなあ、ねえレイジングハート」
<sorry master. I can`t tell a lie.>
「レイジングハート!!」

なのはが悲鳴を上げる。
さすがにAIは正直だ。ひょっとしたら、事の際の防音装置代わりにしたのを怒っているのかもしれないが。

「ああ、ヴィヴィオ僕たちは健全な交際を……」
「ちょっとユーノくん余計なこと言わないでよ!」

恥ずかしいやら気まずいやらで二人とも周章狼狽のていたらくだ。

「えー、昨日ユーノくんとママのお部屋で議論してたじゃない。航空戦術史と空戦戦術論……ひょっとして、聞いちゃいけないお話だったの?」
ヴィヴィオがうなだれてしまった。

なんだ、そっちか。
ユーノは胸をなで下ろした。なのはも苦笑いしている。

「そうじゃないよ。ちょっと、驚いちゃったから……」
「でも、お話途中で急に聞こえなくなっちゃったんだよね。二人ともそのまま寝ちゃったの?」
「へ?ああ、もちろんなのはと寝たよ」
「ユーノくんのばか!」
真っ赤になったなのはにぶたれた。


著者:しずひと ◆XCJ6U.apcs

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