333 名前:なのはの新しい居場所 1 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/12/20(日) 12:10:59 ID:Sd4SyoRw
334 名前:なのはの新しい居場所 2 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/12/20(日) 12:11:57 ID:Sd4SyoRw
335 名前:なのはの新しい居場所 3 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/12/20(日) 12:13:23 ID:Sd4SyoRw
336 名前:なのはの新しい居場所 4 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/12/20(日) 12:15:00 ID:Sd4SyoRw
337 名前:なのはの新しい居場所 5 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/12/20(日) 12:16:16 ID:Sd4SyoRw
338 名前:なのはの新しい居場所 6 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/12/20(日) 12:17:35 ID:Sd4SyoRw
339 名前:なのはの新しい居場所 7 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/12/20(日) 12:21:07 ID:Sd4SyoRw

 今日なのはは久々にユーノとお出かけ。しかしなのはにとってはそれ以上に重要な意味を持つ
特別な日でもあった。

「今日こそは…今日こそはユーノ君に告白して友達からもう一歩先に進むんだから。
百合厨が何と言おうと私は何も知らない知らない!」

 そう、なのははユーノに一世一代の大告白をやらかすつもりであった。その為に一生懸命練習を重ね、
いざ待ち合わせ場所でユーノに会った際にそれを発揮しようとしたのだが…それがまさかあんな事になるなんて…

「ゆ…ユーノ君…?」
「え? 何だい?」

 恥ずかしそうにユーノに訪ねるなのはに対し、ユーノは普通に答える。そしてなのはが恐る恐る口を開こうと
した時だった。突然時空管理局からのコールが鳴ったのである。

『○○地区にてロストロギア暴走事件発生! 緊急出動をお願いいたします!』
「え!? こんな時に!? ユ…ユーノ君…直ぐに戻るからね!」
「気を付けるんだよ。」

 せっかくこれからと言う時なのに何とタイミングの悪い事だろうか。しかし相手がロストロギア暴走事件ならば
仕方が無い。なのははちゃっちゃと事を済ませて直ぐに戻ってユーノに対しての告白をすると決意し飛び立った。

 そのロストロギアは手当たり次第に物を吸収し、封印する機能を持っているらしかった。
そして、とにかく急いで戻ってユーノに告白しようと焦っていた事もあり、なのはが
それに吸い込まれてしまったのである。しかし、なのははそこで終わる様な女では無かった。

「嫌だ! 私は一刻も早くユーノ君の所に戻って告白するんだから! 絶対にぃぃ!」

 なのははロストロギア内部に取り込まれてもなお抵抗した。いやむしろ内側から破壊するつもりだった。
それから数分。なのはの死に物狂いの抵抗の末にそのロストロギアを内側から破壊する事に成功する。
しかし…

「やった! やっと出れた! あれ? でも…ここは?」

 ロストロギアを内部から粉砕し生還したなのはだが、そこは先程までとは全然異なる場所にいた。
先程までロストロギアと戦っていた場所は屋外であったはずなのに、突然屋内に場所が変わっている。
単純に移動したと言う事なのだろうが、僅か数分の間にそんな事が可能だろうか?
 そんな時…

「大変だー! 倉庫内に保管されていたロストロギアが粉々になって中から女が出て来たぞー!」
「え!? ええ!?」

 突然何処からともなく管理局の制服を着た見覚えの無い若い男達が数人現れて、
しかもまるでバケモノでも見るかの様な目でデバイスを向けて来たのである。

「お…お前は一体何者だ!?」
「ロストロギアの中から出て来るなんてただ事じゃない! お前は一体何だ!?」
「え? 私は教導隊の高町なのは一等空尉だけど…。」

 とりあえず自分の所属と階級を言うが、男達は首を傾げていた。

「知らん。そんな名前は我々は知らない。とにかくこっちに来てもらうぞ。ロストロギアの中から
出て来るなんて明らかに普通じゃない!」
「え!? 知らない!? どうして!? ええ!?」

 明らかに状況がおかしかった。なのはは一応はエース・オブ・エースと呼ばれ有名なはずである。
しかし、男達は明らかに局員でありながら知らないと言い、まるで怪しい物を見るかの様な目付きで
なのはを連れて行こうとしていたのである。しかし…

「あ! なのはさん! 貴女はなのはさんじゃないの!?」
「リンディさん!」

 そこに現れたのはリンディ=ハラオウン。そして彼女の権限でなのはは解放されるのだが
その後でなのはは衝撃の事実を知らされる事になる。

「あの吸収封印型ロストロギアに吸い込まれて以降てっきり死んだと思っていたのに…
流石はなのはさんね。あの状況から自力で出て来るなんて。でも…。」
「でも…何ですか?」

 確かになのははロストロギアに封印されてもなお、たった数分と掛からずに自力での
脱出に成功した。しかし、その話を聞かされてもリンディの顔は暗く、何かがある様子だった。

「なのはさん。落ち着いて聞いて頂戴。貴女にとってロストロギアの中から脱出するまでの時間が
たった数分間の事だったとしても、実はその外では十年数年近い歳月が流れていたのよ。」
「え? 冗談キツイですよリンディさん。幾らなんでも十数年なんて無いですよ。
だってリンディさんは全然お変わり無いじゃありませんか。」

 確かに。リンディはなのはがロストロギアから脱出するまでの数分間の間に
外界では十数年の年月が流れたと言っても、それを言うリンディ自身が全然老けておらず
説得力が無い。しかしリンディの顔は真剣だった。

「残念だけどなのはさん、これは事実よ。例えばウラシマ効果等の様に、状況によって
時間の流れるスピードが変わる事は知られているけど、なのはさんを一度吸収した
ロストロギアもそうだったみたいね。なのはさんがロストロギア内部で脱出しようともがいていた
数分間の間に、こちらでは本当に十数年もの歳月が流れていたの。」
「…………………………。」

 なのはにとって信じ難い事であったが、リンディが嘘を付いているとも思えなかった。
と、そんな時である。突然ドアを開けて誰かが入って来たのである。

「リンディさん、私に会わせたい人がいるとお聞きしましたが…………………。」
「え…………………。」

 ドアを開けて入って来たのは明らかになのはより年上と分かる大人の女性。しかし………

「お母さん! あの時死んだと思っていたのに…生きていたんだね!」
「え? ど…どなたですか…?」

 突然涙を流しながらなのはに抱き付いてきた大人の女性になのはも困惑するが、その女性は言った。

「私だよ! 忘れたの? ヴィヴィオ! ヴィヴィオだよ!」
「え!? ヴィヴィオ!? ええ!?」

 何と言う事だろう。目の前の大人の女性の正体はヴィヴィオだったのである。
確かにそう考えれば、その瞳はヴィヴィオと同じ緑と赤のオッドアイで、ヴィヴィオの面影がある。
だが、さらにその彼女の背後に小さな子供の姿があった。

「ママー、その人は一体誰なのー?」
「この人はママのママだよ。」
「えー? でもママのママならもっとお祖母ちゃんになってないとおかしいよー。その人ママより全然若いじゃない。」

 なのはがロストロギアから脱出するまでの間にすっかり大人になったヴィヴィオの背後に現れた子供に
嫌な予感を感じたなのはは恐る恐る訪ねる事にした。

「あの…その子は…?」
「私の子供だよ。」
「………………………。」

 なのはは絶句するしか無かった。ここで初めてリンディの言っている事が事実だと悟った。
そう考えれば先程の局員がなのはの事を知らなかった事も納得が行く。他の者達にとって
なのはは十数年前にロストロギアによって死亡した人間と言う扱いなのであるから。しかし…

「え!? でもリンディさんはどうして老けてないんですか!?」
「なのはさん。世の中には知らない方が幸せな事もあるのよ。」

 リンディはそれ以上答える事は無かった。と言うか、むしろ前より若返って見える気がしない事も無い。


 その後、なのははリンディから一度別れ、外を見て回った。確かに外を見ればリンディの言った通りに
なのはがロストロギアから脱出するまでの数分間の間に外界では十数年の年月が流れた事を実感させる程、
周囲の風景は様変わりしていた。ヴィヴィオがすっかりなのはより年上になり、子供までいた様に
かつては若者だった者が今では中年になっていたり、また新しい若者の姿があったりと、
十数年と言う歳月はそんなに変わらないと思わせてかなりの変化をなのはに見せ付けていた。

「あ! そうだ! ユーノ君! 私はユーノ君に告白しなきゃならなかったの!」

 余りにも衝撃的な状況にすっかり忘れる所だったが、なのはは元々ユーノに友達から一歩先に
進む為に告白をするつもりだった。だからこそ今からでもそれをやるつもりでユーノの所へ向かった。
ユーノならなのはのその言葉を今日になるまで忘れずに待っていてくれる。そう信じて…。

 リンディからユーノは今も無限書庫にいると聞き、なのはは無限書庫に走った。

「ユーノ君!」
「ああ…リンディさんからなのはが当時の状態のままで帰ってきたと連絡は受けていたけどまさか本当だったなんて…。」

 アレから十数年の歳月の流れたユーノはお髭の似合うナイスミドルになっていた。
悪く言えば老けたと言う事だが、逆にそこがなのはにユーノの漢を感じさせ、
立派なお髭と渋さがなのはの性欲を掻き立てていた。しかし……………

「あ…あのね……ユーノ君……あの時の約束…覚えてい…。」
「おーい旦那ー! 弁当持って来たぞー!」

 そこへ突然何食わぬ顔でズカズカと現れたのは赤毛の女性。しかもその赤毛の女性は弁当をユーノに渡していたのである。

「毎日済まないねアギト。君だって自分の仕事があるだろうに。」
「何言ってんだよ! あたしは旦那の妻なんだぜ!」
「え!?」

 何と言う事だろう。その赤毛の女性の正体はアギト。確かにその姿はなのはの知るアギトに比べて
背も高くなっており、相変わらず胸が残念な点を除いては大人びた姿となっていたが間違いなくアギト。
しかもそれ以上に衝撃だったのは、なのはがロストロギアから脱出するまでの間にユーノとアギトが
結婚していたと言う事である。

「あ…あの…これ…どういう事なのかな?」
「ああ、僕達は結婚したんだよ。」
「うおぉ! 良く見たらお前死んだと思ってたなのはじゃねーか! どうしたんだよ!」

 なのはにとってロストロギアから脱出するまで数分の出来事であっても、外界では十数年の歳月が流れていた事は
何度も説明した通りだが、これもまさにその時間の流れる速度差が起こしたいたずらであった。
なのはがロストロギアから脱出する為にもがいていた間に何とユーノはアギトと結婚していたのだった。

「どうして! どうしてアギトがユーノ君と結婚してるの!? どうして!?」
「いきなり何を言い出すんだよ。あたしがユーノの旦那と結婚して悪いかよ!」

 元々はなのはがユーノに告白して友達から一歩先に進むはずだったのに、アギトがユーノの嫁になっていた。
これはなのはにとって我慢出来ない事であり、彼女は思わず叫んでいた。

「悪いよ! アギトが旦那と呼んでたのはゼストさんのはずでしょ!?
死んだゼストさんに申し訳無いとは思わないの!?」

 なのはの言う通り、かつてアギトが旦那と呼んでいたのはゼスト。しかし今はユーノを旦那と呼んでいる。
これがどういう事かと言うと…。

「確かにあたしにとって旦那と呼べるのはゼストの旦那ただ一人だけ…。そう考えていた時期があたしにもあったさ。
でもあたしは思ったんだ。もう天国に行っちまったゼストの旦那の事を何時までも想い続けるのは、
それこそゼストの旦那は喜ばねぇ。ゼストの旦那なら新しい恋に生きろと言うはずだ。だから…だから
ユーノにあたしの新しい旦那になってもらったんだ!」
「じゃあシグナムさんは!? シグナムさんのパートナーはやめちゃったの!?」
「やめるわけねーだろ。今でもあたしとシグナムはパートナーだ。でもプライベートにおいては
ユーノの旦那の妻でもあるんだよ。」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 何と言う事だろう。しかし、これも十数年と言う歳月によって変わった物の一つなのかもしれない。
なのはにとってはほんの数分の出来事であるから実感は無いが、他の者達にとっては十数年の時が
経過しているのである。その間に考え方が変わらないと誰が良い切れようか。

「アギト…少し頭冷やそうか…。」
「おっ! 何だ!? やる気かこの野郎! ならあたしはお前を燃やしてやるぞ!」

 次の瞬間、なのははレイジングハートを構えていた。十数年の歳月を経た他の者達と違って
僅か数分間しか変化の無いなのはにとって、アギトがユーノの嫁になる等と割り切れる物では無く、
そのやるせなさと怒りの余りなのははアギトを砲撃しようとしていた。それに対してアギトも
臨戦態勢を取っていたのだが…

「やめるんだ二人とも!」
「ユ…ユーノ君…。」
「旦那…。」

 今にも戦いが始まらんばかりの勢いとなっていたなのはとアギトを止めたのは他でも無いユーノ。
しかし、そのユーノを見つめるなのはの目には涙が浮かんでいた。

「ユーノ君……どうして…どうして…私…ユーノ君の事好きだったのに…。」
「何言ってんだお前! 十年以上もいなくなってたくせに今更帰ってきてそれが通じると思ってるのかよ!」
「アギト! 良いからなのはの説得は僕に任せるんだ。」
「あ…旦那がそう言うんなら…。」

 今にもなのはに噛み付かんばかりの剣幕だったアギトがユーノの一睨みで萎縮した。
そしてユーノはなのはに言う。

「そうか…君は僕の事が好きだったんだね。」
「そうだよ…ユーノ君…だから…。」
「でも僕はなのは…君の好意に応える事は出来ない。何故なら僕は正式にアギトと結婚した身なんだ。
これは今更どうにもならない事なんだ。それは僕だってあの時は君が死んだと思って悲しんださ。
でも…そんな僕をアギトが救ってくれたんだ。だからこれからも僕はアギトの夫として生きていくよ。」
「………………………。」

 なのはは絶句した。ユーノは絶対になのはを裏切ったりしないと考えいただけに…
ユーノの口から直接この様に言われるのはなのはにとって衝撃だった。
しかし、数分しか経過していないなのはと違い、ユーノはなのはのいない十数年と言う時を
過ごして来たのだ。その間にアギトと様々な事があっても不思議では無い。
だが、そこでさらにそれ以上の衝撃がなのはに襲い掛かるのである。

「お父ちゃん、お母ちゃん、二人で何してるのー?」
「え?」

 突然駆け寄って来た小さな子供。それは昔のアギトを思わせる悪魔っ子風の格好をした
ユーノに似た小さな幼子であり、これにはなのはも嫌な予感がした。

「あの…こ…この子は…?」
「僕達の子供だよ。」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 何と言う事だろう。アギトは生身の人間では無くユニゾンデバイスである。では一体何故子供が…

「え!? だってアギトはユニゾンデバイスで…何で子供が出来ちゃうの!?」
「でも出来ちゃったんだから仕方ないだろ。」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 どう言う原理かは分からないが…とりあえず出来てしまった様である。
しかし、子供が出来たと言う事はユーノとアギトが契ったと言う事を意味し、
アギトがユーノに抱かれ突かれてエロい声上げながら喘ぎよがってる所を想像するだけで
なのはは悔しくなって来た。

「ユ…ユ…ユーノ君とアギトのウンコたれぇぇぇぇぇぇ!! うあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「なのは!?」

 悔しさの余り、なのはは彼女らしくない罵り言葉を叫び放ちつつ、その場を走り去ってしまった。
その痛々しい姿は流石のアギトも気まずくなり…

「な…何か悪い事しちまったな…。聞く所によるとアイツもロストロギアの被害者なんだろ…?」
「いいさ…。なのはなら僕がいなくても大丈夫。きっと良い相手が見付かるさ。」
「ねーねーあのおねーたんは一体何だったのー?」

 ユーノとアギト、そして二人の子供はただ奇声を上げて走り去るなのはをじっと見つめていた。


 ユーノはアギトと結婚し、なのはの知るユーノとは全く違う物に変わっていた。
それを悟ったなのはが次に向かったのはフェイトの所だった。

「もう良い! ユーノ君なんか要らない! 私はフェイトちゃんと…フェイトちゃんと百合に生きる!
フェイトちゃんなら私を待っててくれる! フェイトちゃん! 今行くからね!」

 フェイトならば絶対に自分を裏切ったりしない。そう希望を持ってなのははフェイトのいる場所へ
向かっていたが…。

「フェイ……………。」

 なのははフェイトを呼ぼうとしたが…そこで止まり、無言のままその場を立ち去っていた。
何故ならば…そこにいたのは一体アンタ誰だよ? って感じの見た事も聞いた事も無い様な男と結婚し、
かつてレオタードまがいの卑猥なバリアジャケットで乳をボインボインバインバイン揺らしながら
卑猥な活躍をしていた彼女が嘘の様にエプロン姿の似合う主婦に大変身を遂げていたフェイトの
姿があったのだから。こんな状況でなのはが訪ねた所で、百合を受けてくれるはずが無い。

 その後、なのはが色んな人々を訪ねて回ったが、どれも結果は同じだった。
確かになのはがロストロギアに吸い込まれたばかりの頃は、誰もがなのはが死んだと思い
枕を涙で濡らした事だろう。しかし、十数年と言う歳月は皆の心を癒し、なのはがいなくても
生きていく事が出来る様に成長させるに十分な年月であり、誰もがなのはがいなくても
自分達の力で立派にそれぞれの幸せを掴んでいた。しかし…そこになのはの居場所は…無い。


次へ
著者:◆6BmcNJgox2

このページへのコメント

ユーノは、アギトではなく、フェイトとくっつけばよかったのに…。

0
Posted by ユーノの義兄 2016年10月19日(水) 20:23:06 返信

なのはさんかわいそう。

0
Posted by 名無し 2013年01月16日(水) 14:51:15 返信

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メンバーのみ編集できます