491 名前:CRR [sage] 投稿日:2012/01/10(火) 02:03:53 ID:S4/c4FCA [2/6]
492 名前:CRR [sage] 投稿日:2012/01/10(火) 02:06:36 ID:S4/c4FCA [3/6]
493 名前:CRR [sage] 投稿日:2012/01/10(火) 02:10:46 ID:S4/c4FCA [4/6]
494 名前:CRR [sage] 投稿日:2012/01/10(火) 02:11:49 ID:S4/c4FCA [5/6]

「まさかの時に翠屋マテリアル裁判」




運命の歯車は落ち着きを取り戻し。
マテリアル達や未来人の騒動も一段落し、海鳴市は平和そのもの。

近所のスーパーに買物に行っていたエイミィが、
買い物袋いっぱいに食料を詰め込んでマンションへ帰ってくると、
敷地内でサイレンを鳴らした救急車とすれ違った。

「救急車かぁー、何処の家だろ……」

一人つぶやきながらマンションのホールに入ると、
そこには事件以来残ってしまったマテリアル達の内の理を司る、
星光の殲滅者が困り顔で立ちすくんでいた。
なのはの普段着の色違いのようなミニスカートをぎゅっと掴み、エイミィに申し訳なさそうな目線を送る。

「エイミィ」

「あ、シュテルちゃん? さっきの救急車びっくりしたでしょ、ごめんね」

シュテルは一瞬言いよどみ、それでもエイミィになにか伝えようと
ゆっくりと口を開いた。

「あの……言い難いのですが、先ほどの患者はクロノ執務官です」

「えっ」

衝撃の事実を聞かされ、思わずエイミィの頭が真っ白になる。
手から買い物袋が滑り落ち、中の卵が割れる。
血の気が引いた顔を見せ、エイミィの口が上手く回らない。

「ど、どどどどどどうしたのクロノくん!?」

急病か。怪我か。
おおっぴらに魔法を使えない状況での事態なのだろうか。

「これまた非常に言い難いのですが、ウチのレヴィが」

いろいろな可能性がエイミィの頭の中をよぎったが、
シュテルの答えはその斜め上を行っていた。

「『水色とか青色ならしゃぶれる!』とかほざいて、陰茎を縛り上げて鬱血させてしまったんですよね」



……
………

「クロノくんの子種がヤバイ!!」

しばらく考えた後、エイミィはそう叫び病院へダッシュしていった。
ちなみに、このあとエイミィの献身的な介護によりクロノとエイミィの距離は一気に縮まり、
カレルとリエラを本来より一年以上早く授かる事になるのは今回とは全く関係ないお話である。

―――――フェイトの力ない声が、閉店後の翠屋に響く。

「えー、これから第1回マテリアル裁判を始めます……」

クロノの一件があった夜、翠屋には
なのは、フェイト、はやての3人に加えてヴォルケンリッター、ユーノが集まっていた。
それぞれカウンターやボックス席に座りながら、
床に緑色のバインドで亀甲縛りにされたシュテル、レヴィ、ディアーチェを見下ろしていた。

「塵芥共め! コレの何処が裁判だ! 唯のリンチではないかっ!」

「あんなぁ王様、自分の胸によーぉ聞いてみぃ」

「……………」

しばしの沈黙が翠屋を包んだ後、
ディアーチェは高笑い。

「我に落ち度があったことなど無いわ、はっはっはぁ!!」

「ユーノ君、王様だけちょおバインド強くして」

「ははははぐぼぉあ!? キツイキツイやめろやめぬか子鴉ァ!!」

そのディアーチェを笑ったり泣いたりできなくなるくらい縛り上げた後、
はやてはしっかりと回復した両足でフロアに立ち、
腕を組んで語り始めた。

「ちょうどええわ、ここでマテリアル達の普段の行動を明らかにしたるわ。シャマル」

はやての合図で、ボックス席のシャマルが立ち上がった。
その右手は大きく掲げられ、さながら選手宣誓である。

「フェイト裁判長、ここに証拠があります」

「私別に裁判長じゃないですよシャマル…」

手には最新鋭のスマートフォン。
さすがに空間モニターでの通信や思念通話だけでは一般的な地球人と同じ生活は難しく、
八神家は一人一台携帯電話を持ち歩くようになった。
ザフィーラには首輪に仕込んだものをプレゼント。

「シャマル、せっかくスマフォならフリックしろよ婆くs」

「ヴィータちゃん? 携帯電話の使い方は人それぞれよ…?」

禁句をつぶやいたヴィータのリンカーコアをさくっと取り出した後、
シャマルは呼び出した画面を皆に見せた。

「これは海鳴警察署から送られてきた不審者メールです」


海鳴警察署
 ○×月××日(土)、午後3時50分ころ、
 生徒が通行中、女性に「我の足を舐めろ、我の命令を聞けぬか!」と声をかけられました。
 不審者の特徴:5〜10歳、120cm 位、やせ型、銀色っぽい髪、黒色っぽいミニスカート、
 黒い羽、長い杖、飛行接近


「流石海鳴市、人間が飛んでいてもびくともしない」

「私の生まれ育った海鳴がいろんな意味でどんどん侵されていく……」

子犬フォームのザフィーラは噛み締めるように呟き、なのはは頭を抱えた。
奇々怪々が跳梁跋扈している生まれ故郷に誰がした。
半分位はなのは本人の有り余る魔導の素質のせいであるような気がする。

「あーこれは明らかに金ピカじゃない限り王様だね」

「金ピカ……? 何を言っておるのだレヴィ」

テレビっ子、アニメっ子のレヴィが何かのキャラに例えたが、ディアーチェには分からない。
そのレヴィもあまり興味なさげに床に転がり、早くバインドを解いて欲しいというオーラを醸し出している。

「他にこういうのもあるんですけどね」

続いてシャマルが画面をタッチして、別のメールを開く。


海鳴警察署
 ○×月×○日(木)、午後6時50分ころ、
 生徒が通行中、女性に「僕といいことしよう!ほら!」と下半身を露出しながら声をかけられました。
 不審者の特徴:5〜10歳、120cm 位、やせ型、青色に染めた髪、黒色っぽいレオタード、
 黒い鎌、音速接近


「これはひどいレヴィだな……」

さすがのシグナムも頭を抱えた。
当の本人はそのメールの話を聞くと、情報当時のことを思い出しペラペラと話しだす。

「あー、これこの子相手してくれなかったんだよね。男の子のアソコを女の子のアソコに入れると気持ちいいのに」

「やめてよレヴィ! 似てる私まで最近ヒソヒソ噂されてるんだよ!?」

出るわ出るわ、レヴィのあまりに自由奔放な下半身事情に、ついにフェイトがキレた。
自分の現身のような姿の人間が淫らなら、いくら温厚な人間でもこうなるだろう。
レヴィは全然反省する様子が無いのが残念だが。

「えー、オリジナルは奥手すぎるんだよ。もっと気持いいことに忠実になろうよ」

「君は開放しすぎなんだよ! だからクロノも……クロノも……くっ!」

プレシアがこの姿を見たら、怒るだろうか笑うだろうか蔑むだろうか無視するだろうか。
フェイトとフェイトに似た何かが、まるで姉妹のように喧嘩をしている。

さて、欲望全開の二人に対し、理性を持って行動するはずのシュテルなら何も無いのだろうか。
縛られたまま動かず騒がず、無駄なエネルギーを使わず。
さも自分は何も無いという感じで皆を見上げている。

「……レヴィや王は前科アリのようですが、私は関係有りませんね」

「待てシュテル、我を裏切る気か!?」

「私だけでもバインドを解いて欲しいのですが」

捨てられた子犬のように同情を誘う瞳で、
シュテルはなのはに助けを求める……が、

「許さないよシュテルちゃん、私知ってるんだよ」

いったい何があったのか、なのはは同情の余地もなくシュテルを切り捨てた。
その顔はなぜか赤らみ、珍しく露骨に湧き上がる感情を抑えている。

「……何をです」

「私の家にたまに遊びに来て御飯食べる時、お兄ちゃんやお父さんとお風呂に入るでしょ」

「ええ、ナノハの歳ならまだ親兄弟と一緒に入るのは普通かと」

ぷくーっと頬をふくらませたなのはの口から、
シュテルの罪状が言い渡された。

「その時、お、お父さんの裸とか、お兄ちゃんのお、お、お、お……チンチン……とかまじまじ見てるでしょ!?」

「……ああ、アレはアウトですか」

しれっと言い放ったシュテルの常識は、なのはの常識とはズレていた。
大幅に。

「完全にアウトだよ! しかも触ったりしてるって聞いたよ!?」

「敵を倒すには敵を知らねばなりませんから」

「何の敵なの!?」

シュテルの興味は常に自分より強き者へ。
つまりシュテルの興味は自分を逝かせる男性器へ。
つまりシュテルはレヴィと並んで非処女。どこで誰と散らしたオイ。

「あなた方も早くしないと25歳くらいまで処女ですよ?」

シュテルは勝者の余裕を顔に浮かべ、なのはに、フェイトに、はやてにグサリと言葉の槍を突き刺す。
大きなダメージを食らったのは一番耳年増なはやてであった。
思わずカウンターを平手で叩き、立ち上がった。

「余計なお世話や! 私かて19歳くらいでダンディーな旦那さん見つけて幸せな家庭築いたるわっ!!」

「子鴉には無理だな」

追い打ちをかけるようなディアーチェの感想。
さすがの温和なはやてちゃんも堪忍袋の緒がブチリと音を立ててキレた。

「……ユーノ君、王様をギッチギチにバインドしたってぇな」

「う、うん……」

「ぎゃああぁぁああっ!? やめ、ぎゃぁぁああああああ!?」

中世のコルセットよりギチギチに締まったバインドが
ディアーチェの体を限界まで締め上げ、
はやてによく似た声が夜の海鳴市に響き渡る。

「……こりゃ保護観なかなか終わんねーだろうな……」

マテリアル3人のやんちゃさにヴィータは呆れ果て、
3人の更生の道の長さを思うと胃が痛くなってきた。



ちなみにシュテルの言葉は後年になって呪いのようになのは・フェイト・はやてに纏わりつき、
新暦82年現在、3人は絶賛彼氏募集中である。


終われ。


著者:CRR

このページへのコメント

クロノはどうなった

0
Posted by マックスウェル 2015年06月29日(月) 22:17:15 返信

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