479 名前:ギブミーストッパー 1 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:36:22 ID:9SO3c8Un
480 名前:ギブミーストッパー 2 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:37:35 ID:9SO3c8Un
481 名前:ギブミーストッパー 3 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:38:22 ID:9SO3c8Un
482 名前:ギブミーストッパー 4 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:40:26 ID:9SO3c8Un
483 名前:ギブミーストッパー 5 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:41:20 ID:9SO3c8Un

ある日突然高町なのはの前に、ジェイル=スカリエッティが現れた。
即座に戦闘態勢を取るなのはだが…スカリエッティは笑って言った。

「そう怖い顔をするな。高町なのは君。私は自首しに来たのだよ。」
「自首!?」

突然現れた上に自首しに来たと言うスカリエッティになのはも信じがたい顔をするが…
そこでスカリエッティは一枚のディスクを取り出した。

「このディスクには私が今まで行って来たプロジェクトFや戦闘機人計画等を初めとする
様々な違法研究のデータの全てが入力されている。私の指定する条件さえ満たしてくれるならば…
これらのデータを全て破棄し、もう二度と違法研究を行わないと誓おう。」
「それ…本当に信用出来るの…?」
「先程言った通り…私の指定する条件さえ満たしてくれるならばな…。」

まだスカリエッティの言う事を信じられないなのはは、次にスカリエッティは
一体どんな条件を求めているのかについて気になった。

「貴方の指定する条件とは? まさか管理局の解散とか…そんな事は聞けないよ。」
「安心したまえ。そんな大それた事を要求する気は無い。もっと簡単な事だよ。」
「簡単な事?」

簡単な事とは一体何だろうか…。だがなのははまだ安心出来ない。スカリエッティにとって
簡単なだけで、なのは達にとっては凄く難しい要求かもしれないのだ。

「条件は至って簡単にしてシンプル。高町なのは君…君が私の所に嫁に来れば良いだけだ。」
「あらら〜! 本当に簡単でシンプル〜! って…えええええ!?」

なのはは思わず叫んでしまった。確かにスカリエッティの指定した条件は至って
簡単にしてシンプルだが…何故なのはを嫁として欲しがるのか…?

「そんな事出来るワケ無いでしょ!? 誰が時空犯罪者なんかと…。」

なのはは顔を真っ赤にして叫んだ。確かに嫁に行く事自体は至極簡単だが、
なのは本人はそんな事はしたくなかった。だが…

「あれれ〜? そんな事言っても良いのかな〜? 君が私の妻となれば…世界は平和になるのだぞ。」
「な…何で…?」

突然語り始めたスカリエッティのヘンテコな理論になのはも呆れるが、彼は真面目に言った。

「君程強く美しい女性が妻となれば…流石の私も尻に敷かれざるを得ない。
そうなれば…私は迂闊に違法研究に手を出す事が出来ず…おかげで世界は平和!」
「………………。」

無茶苦茶な理論になのはは呆れて物も言えない。だが、一時した後で何か思い出したかの様に口を開いた。

「あのさ…こういうのって私よりフェイトちゃんでやった方が良いと思うんだけど…ダメなの?
ほら、アニメ本編でも色々因縁を作ったりしてたし…。やっぱりホームランされるのが怖いの?」

とか、彼女は彼女で無茶苦茶な事を言うが、スカリエッティは笑って答える。

「いやいや、彼女には失礼だが…彼女はダメだ。そもそもプレシア=テスタロッサが彼女を
作る際、その技術を提供したのは私だ。言うなれば私は彼女の父親も同然。娘と結婚する父親はいまい?
だが…君は私の妻となり得るのだよ。」
「いや…だから嫌だって…。そもそも私が貴方と結婚したら世界が平和になるって理論も
意味不明だし…。」

なのはは手を左右に振って否定するが、直後スカリエッティは何処か深刻な表情となった。

「真面目な話…私も困っているのだよ。そもそも私は管理局最高評議会のメンバーの手によって
アルハザード技術を使って作られた人造生命…。そして、開発コードネームである
『アンリミテッド・デザイア』が指す通り、私には『無限の欲望』が遺伝子レベルで刷り込まれている。
それが私に様々な欲望を掻き立てさせ、違法研究をさせているのだよ! 私はもうそんな生活は嫌だ!
このまま行けば…私は本当に取り返しのつかない事をしてしまうに違いない!」
「そんな事言って…全てを他人のせいにして自分の無罪を主張しても無駄だよ。」
「別にそんな事はするつもりは無い。私が今までして来た事は決して許されない事だ。
だが…このままではそれ以上の事をしてしまうかもしれない。私の遺伝子に刷り込まれた
無限の欲望を何とかしない限り…この後も数え切れない人を苦しめる事になるだろう…。」

その時…スカリエッティの顔は震えていた。言っている事は滅茶苦茶だが…
彼も彼で苦しんでいるのだとなのはも悟った。

「だが! 高町なのは君! 君ならば…君ならば私の無限の欲望を抑えるストッパーになり得る!
お願いだ! 今直ぐ私と結婚して…生涯の伴侶となってくれ! そうするだけで…世界は平和になるんだ!」
「だから嫌だって!」

世界の平和の為と言われてもなのははスカリエッティと結婚するのは嫌だ。

「誰が時空犯罪者なんかと結婚するもんですか! そんな事になったら私自身破滅だし…
他の皆にも迷惑がかかっちゃう! それに…仮に私が貴方と結婚して…子供が生まれたとしたら…
その子は時空犯罪者の子供と周囲に苛められると思うのよね。そんな可愛そうな事は嫌だよ!」
「大丈夫だ。最高の科学者たる私と最高の魔導師である君の子なら…その程度の苛めは
逆にねじ伏せてみせるに違いないさ!」
「何その根拠も無い理論…。」

スカリエッティは良い意味でも悪い意味でも人並みはずれているのか、彼の理論は
なのはにとってもどうにも理解不能な物だった。

「って言うか! もし仮に私が貴方の子供産んだとしたら…その子にも貴方の言う
『無限の欲望』が受け継がれてさらにどうしようも無い事になるんじゃ…。
災厄の子供量産工場とか言われて世間に迫害されるのは嫌だよ私は!」
「その点は大丈夫だ。君の体に流れる血が中和剤となって…無害な子が生まれるに違いない。」
「何その理論!?」

またスカリエッティの口から出た根拠の無い無茶苦茶な理論になのはも戸惑うが…

「君はただの人間では無い! 恐らくこの私の中に棲む『無限の欲望』は流石の神も
想定出来なかった物に違いない。だが…かと言って安易に私を殺す事は立場上出来ない。
そんな事をしてしまったら…その時点で悪魔と変わらなくなってしまうからだ。
寿命による自然死を待っても…その間に『無限の欲望』に操られた私によって作られた
様々な違法研究物のせいで数え切れない人の命が失われるであろう。神は頭を捻った結果、
唯一私を抑える事の出来るストッパーを作り出し、この世に送り出したのだ!
そう! そのストッパーこそ高町なのは君! 君だ!」
「ええええええ!?」

またもスカリエッティの口から出た(以下略)
だが、スカリエッティはなおも語り始める。

「考えても見たまえ…。先にも説明した通り、君が私の妻となれば…忽ち君は私を尻に敷く。
そして…私が無限の欲望にかられて違法研究を始めても…。」

『貴方! もう危険な研究はしないって約束したでしょ!? 少し頭冷やそうか…。』

「とエプロン姿の君が私の頭を冷やしてくれるのだ…。こんな嬉しい事は無い…。おかげで私の恐るべき
研究は未然に阻止され、世界の平和が守られるのだ…。君は何億と言う人の命を救った英雄になるのだ!」
「……………。」

なのはは呆れて声も出なかった。

「そして、逆に世の為人の為になる様な平和的な研究を始めると…。」

『ほら〜! ジェイル貴方だってやれば出来るじゃない! 今夜は久し振りに一緒に寝てあげよっか?』

「って感じで忽ちデレるんだ。けど…また私が違法研究を始めるとツンになって頭を冷やしてくれる。
このツンとデレの切り替えっぷりが良いね! 実に素晴らしい!」
「あの…ツンデレな嫁が欲しいなら…私よりもっと別の人が…。」

そもそも自分はツンデレキャラでは無いのだから…となのはは言いたかったが…

「嫌! 君でなければダメなんだ! 君以外の女性では私を押さえ込む事は出来ない上に
あっという間に私の人体実験の材料にされ、人でなくなってしまうだろう!
そうなれば、私の違法研究は誰にも止められず続けられ…多くの人を苦しめる結果となる!
だが君は違う! 仮に私が君を人体実験に使おうとしても、君は逆に私を一蹴し、頭冷やしてくれる!
そして、私の違法研究は未然に阻止され、世界の平和は守られるのだ!
やはり君でなければダメだ! 君こそ私の妻に相応しい人なんだ!」
「……………。」

今のスカリエッティには何を言っても無駄だった。

「君には君で別に好きな人はいるのかもしれないが…私情を捨てて私の嫁になれば…
私の無限の欲望のストッパーとなり、世界の平和は守られるのだ! 悪い話では無いはずだぞ!?
逆に君が自分だけの事を考えればどうか! 私を止める者がいなくなり…逆に世界は暗黒に
飲み込まれてしまうぞ! そこを考えれば…どっちを選ぶかは明白だろう…。
無論…私と結婚する事を選ぶよな!?」
「………………。」

なのはは答えなかった。多分何を言っても無駄だろうから。
そして、すっかり酔ってしまったスカリエッティはなおも語りだす。

「私との結婚を決意した君は私にご両親を紹介する。ただでさえ恐ろしい君のご両親だ。
そちらも相当に恐ろしい人であるに違いない。その時点で私の無限の欲望のストッパーとなり、
私も迂闊に悪さが出来ず…やはり世界の平和が守られる一因になる!」
「…………。」

「そしてついに始まる結婚式。君を母親の様に慕う聖王の器も『ママー行かないでー』と
君に泣き付くだろうが…『世界の平和の為だから…ごめんなさい。達者で暮らしてね…。』
と、今までの様々な仲間達と別れ、私の伴侶として暮らす道を選ぶのだ。」
「……………。」

「一応これは非エロだから初夜のエッチシーンは省略して…次は新婚旅行。
時空航行船に乗って色んな世界に行くんだ。だが…その間も君は注意深く私を
見張っており、私も迂闊に悪さをする事が出来ない。そこでまた世界の平和が守られる!」
「……………。」

「その後始まる私と君の平和な夫婦生活。表向きには平和的な作業機械なんかの研究をする振りをして、
隠れて違法研究をしていた私を君が発見し、頭冷やしたりする様な平和な毎日が続いて…
ついに君は私の子供を身篭るんだ。そうなればこれまた私は迂闊に違法研究に手を出す事は
出来なくなる。もしそんな事をして、君に無理をさせればお腹の子供にどんな悪影響があるか
分からない。だからこそ、私は君とお腹の子を案じて違法研究を我慢するんだ!
そこでまた世界の平和が守られる!」
「…………………。」

「時は流れ、ついに君は産気付く! かつて管理局でエース・オブ・エースと称され、
空では無敵と呼ばれた君もお産には大苦戦を強いられ、かなりの難産になるが…
それでも何とか私にとても良く似て賢そうな男の子を産む事に成功するんだ!
そうなれば私も嬉しくて…違法研究なんてそっちのけで子供の為に無駄にハイテクな揺り篭を作る。
そこでまた世界の平和が守られる!」
「……………………。」

「恐らくこの後も私はまた無限の欲望を再発させて、再び違法研究に手を出す事もあるだろう。
だが、その度になのは君…君が私の頭を冷やし、恐るべき違法研究は未然に防がれる!
世界の平和は守られるのだ! 勿論家庭の平和も…。そして…この後も沢山子供を作って…
私となのは君と子供達は平和に暮らして行くんだ。どうだ!? 君が私の所に嫁に来るだけで
世界は平和になるんだ! 勿論結婚してくれるよな!?」

スカリエッティは彼なりに必死になのはへ求婚したつもりであったが…

「嫌。」

速攻で拒否され、その場に倒れるしか無かった。

「何故だ!? 君は私の違法研究によって世界が破滅しても良いのか!?」
「大丈夫だよ。別に私が貴方と結婚しなくても世界の平和を守る方法があるから…。」

直後、なのははレイジングハートを構えていた。

「ここで貴方を逮捕して軌道拘置所に放り込めば…世界は平和!」
「うわぁ!」

有無を言わせずディバインバスターが放たれるが、スカリエッティは必死に横へ走って避けた。

「それでは逮捕どころの騒ぎでは無く死んでしまうでは無いか!」
「大丈夫だよ。死ぬ程痛いと思うけど死にはしないから。」

またもなのははスカリエッティへディバインバスターを放とうとするが…

「こうなっては仕方が無い。今日の所はとりあえず退散しよう。だが…これだけは忘れないで欲しい。
君のその選択によって…今後も私の違法研究が続けられ、数え切れない程の人が苦しむ事になるのだ。」
「あ! 待ちなさい!」

なのはが追うのも空しく、スカリエッティは恐らく緊急時の為に用意してあったと思われる
転移装置によって何処かへ転移していた。

「スカリエッティ…貴方の思い通りには…させない!」

確かになのはがスカリエッティを拒絶した事によって、スカリエッティのさらなる違法研究を
助長させ、それが後々に大惨事へ発展する事になるかもしれない。だが…なのははそれを阻止する。
一人の時空管理局員として…スカリエッティの野望を阻止する為…新たな決意を固めていた。

                     おわり


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著者:◆6BmcNJgox2

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