[405] パパは可愛いフェレットさん 1 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/10/12(金) 23:45:27 ID:zHYgfMlF
[407] パパは可愛いフェレットさん 2 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/10/12(金) 23:47:06 ID:zHYgfMlF
[408] パパは可愛いフェレットさん 3 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/10/12(金) 23:48:35 ID:zHYgfMlF
[409] パパは可愛いフェレットさん 4 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/10/12(金) 23:49:44 ID:zHYgfMlF

たまの休日、ユーノは自室で本を読んでいた。
これでなのはも休みと言うのなら自分となのはとヴィヴィオの三人で外に
出かけたりしていたのであろうが、あいにく今日のなのはは教導隊の仕事がある。
だからこそユーノは一人窓から差し込む日を浴びながらコーヒーを飲みつつ
ゆっくりと読書に勤しみ、我ながら渋いな〜と浸っていたのであったが…
「パパー! お願いがあるのー!」
と、突然ヴィヴィオがドアを開けて現れた。しかもかなり慌てている。
「一体どうしたんだい? ヴィヴィオ。」
「パパー! お願い! フェレットに変身して一緒に来てー!?」
「え?」
余りにも突然の事にユーノも一瞬慌てた。

ヴィヴィオが言うには先日ヴィヴィオの通う学校の友達同士で家で飼っているペットに
関しての話題で盛り上がり、それで皆がそれぞれのペットを見せ合う話に発展していたのだが、
当然ヴィヴィオはペットを飼っていない。しかし仲間はずれが嫌だったのか、
ユーノがフェレットに変身出来る事をなのはから聞かされていた事もあって
ついつい家でフェレットを飼っていると嘘を付いてしまったのだと言う。

「ごめんなさいパパー! 家でフェレット飼ってるって嘘付いちゃったよー!」
何だかんだで罪悪感を感じていたのか、ヴィヴィオは泣きそうな顔になっていた。
しかしユーノとしてもヴィヴィオが泣く姿は見たくない。たから仕方なく協力する事にした。
「しょうがない…けど…一緒に行くだけだよ?」
そう言ってユーノはその場でフェレットに変身する。
「わー! 本当にフェレットさんになったー! 可愛い!」
「わっ! ヴィヴィオ苦しいよ!」
元がユーノであるとは言え、フェレットの姿がヴィヴィオにはかなりツボに入ったのか、
ヴィヴィオは泣きそうだったのが嘘の様に喜んで抱きしめてしまった。
「それじゃあパパ! 行くよ!」
「でもあくまでも行くだけだからね!」
「わかったー!」
そうしてヴィヴィオはフェレットになったユーノを抱きかかえたまま駆け出した。

聖王教会近辺の公園にヴィヴィオとその友達が集まっていた。
そしてそれぞれのペットの姿もあるわけだが、やはりと言うか何と言うか
ペットの定番として猫や犬の姿が多く見られた。
「(うわ…本当に沢山いる…。)」
ユーノはヴィヴィオに抱かれたまま内心焦っていた。
例え子犬や子猫であろうともフェレット時のユーノよりずっと大きいし、それ故に
かつて追い駆けまわされる様な事もあった。それが少々トラウマになっていたのだが
どの飼い猫や飼い犬も飼い主がしっかりと抑えてくれていたし、
ユーノもヴィヴィオに抱かれたままであった故に吼えられこそすれど
追い駆けまわされる様な事は無かった。
「わ〜。 これがヴィヴィオちゃんの言ってたフェレット?」
「小さくて可愛い〜。」
「撫でても良いかな〜?」
各自が持ち寄ったペットの中でもフェレット時のユーノが一番小さく、
それ故にヴィヴィオの友達はユーノの頭を代わる代わる撫でていたりしていたのだが、
そんな時、ヴィヴィオの友達の一人が叫んでいた。
「ダイアンだ! ダイアンが来たよ!」
その言葉に突然皆は大騒ぎになった。
「ダイアンって何だい?」
ユーノは皆に聞こえない様にこっそりヴィヴィオ訪ねるが、ヴィヴィオもまた
恐怖に打ち震えた顔になっていた。
「ダイアンは学校のガキ大将でいつも私に意地悪したりするの…。」
「え!?」
ヴィヴィオが震えながらそう言っていると、公園の入り口から一人の少年が現れた。
一応ヴィヴィオと同年齢なのだろうが、その基準で言えばかなり体格がガッチリしており
何処か97管理外世界で有名な某未来機械猫の漫画に登場しそうな某ガキ大将キャラに似た
雰囲気を持った少年だった。彼こそが皆の言うダイアンであり、そのオーラに皆は
圧倒されていたのだが、それ以上に問題なのは彼が連れていたペットにある。
何故ならそのペットは…ワニだったのである。
「(ワニ!?)」
思わずユーノは心の中で叫んだ。しかも飼い主に似ていかにも凶暴そうであり、
皆は思わず自分のペットを抱き上げながら離れていた。
「おいおい逃げる事は無いだろ? オレのカトリーヌは大人しいから噛んだりしねーって。」
年齢詐称級に低い声で笑いながらダイアンはそう言っていた。
とにかく、そのカトリーヌと言うのがワニの名前なのだろう。全然合ってねー!

「皆色んなペットを連れて来てるようだが、やっぱりオレのカトリーヌが一番だろう!?」
ダイアンは一番遅れて来た身でありながら、なにやら突然仕切り始めていた。
しかし皆はダイアン…そしてカトリーヌが怖くて文句が言えないのである。
故に皆はついつい気まずい顔で黙り込んでいたのだが、ダイアンにとってそれが面白いはずがない。
「何だよ! 何黙り込んでんだよ! もっと騒げよおい!」
「う…うん…。」
「アハハハハハ…。」
皆は必死に作り笑いしていた。そうしないとダイアンに何されるか分からないのであったが…
そんな時にヴィヴィオに抱かれたユーノがダイアンの目に入った。
「お! どいつもこいつも犬猫ばっかだと思ってたら変わったペット持ってるじゃねーか。少し貸せよ!」
「あ! ダメェ!」
ダイアンは無理矢理にユーノを取り上げてしまった。
「キュー! キュー!」
「何だコイツ…小さくて弱そうだなおい。」
「やめてー! フェレットさん返してー!」
ダイアンに片手で掴まれたユーノはもがいていたが、そんな時何を思ったのか
ダイアンはユーノをカトリーヌの方に近付けていたでは無いか。
「ほ〜らカトリーヌ。お前もこのイタチを見るか〜?」
ダイアンとしては軽く見せるつもりだったのだろうが…ユーノを近付けられた直後、
カトリーヌはその大きな口を開けたでは無いか。
「キュ―――――――――――――!!」
ユーノは慌てた。どう見てもカトリーヌは自分を喰おうとしている。故に大急ぎで
ダイアンの手から逃れて地面をトコトコと逃げ出したのである。
しかし、カトリーヌはその後を追ってくるでは無いか。
「おーすげー! カトリーヌとイタチの追い駆けっこだぜ! おもしれー!」
「わー!」
「キャー!」
ユーノが食べられるか否かと言う状況でありながらダイアンは面白がって笑うだけ。
他の友達もカトリーヌに噛まれるのが怖くて逃げ出すばかりで誰もユーノを助けられる状況では無かった。
「やめてよー! あのワニさん止めてよー! パパが食べられちゃうよー!」
「パパ?」
大急ぎで叫びながらすがりつくヴィヴィオにダイアンは首をかしげた。
「あのフェレットさんは本当はパパが魔法で変身してるだけなんだよー! だからもうやめてよー!」
ヴィヴィオはもう泣きそうだった。これはもうヴィヴィオだけの問題では無い。
無限書庫もまともに機能しなくなるし、何よりなのはが悲しむ。それはヴィヴィオにとって嫌だった。
しかし、ダイアンはまともに信じておらず、泣きじゃくるヴィヴィオを面白がった。
「ハッハッハッ! 何を言ってるんだ! もっと嘘は上手く付くもんだぜ!」
「本当だよ! 信じてよぉ!」
「ええいヴィヴィオのくせに生意気な!」
「痛!」
ダイアンはヴィヴィオを叩いて地面に倒していた。そしてその光景がカトリーヌに
追い駆けられていたままだったユーノの目にも入り…
「ヴィヴィオに何をするか!!」
あたり一面にユーノの叫び声が響き渡り、直後にユーノの発した翠色のバインドが
カトリーヌの動きを止めていた。
「今…あのフェレットが…しゃべったよね…。」
ヴィヴィオの友達は口々に唖然としながらそう言っていた。
そしてユーノはフェレットの姿のまま一歩一歩ダイアンに近寄って来るのである。
しかもその時のユーノは何時もとは違う雰囲気を発していた。
「な…何なんだよこのフェレットは…。カトリーヌに何をしたんだよ。」
ユーノをただのフェレットとしか認識していなかったダイアンは状況が
理解出来ずにいた。故にその場で凍り付いた様になっていた。
「おいヴィヴィオ! これは一体どういう事なんだよ!」
「ヴィヴィオもう知らないもん。パパはいつもは大人しいけど本当に怒ったらとっても怖いんだよ。
こうなったパパはママでも止められないもん。パパをここまで怒らせたダイアンが悪いんだもん。」
そう言ってヴィヴィオはその場から離れるだけだった。
「うわぁ! 逃げるな! ってうぁ!」
慌ててダイアンが逃げようとするが、その時にはユーノのバインドによって
身動き取れなくされ、その場に倒れ込んでしまった。
「痛い!」
そしてユーノはフェレット姿のままダイアンの眼前にまでトコトコと歩み寄って行き…
「どうも。はじめまして。フェレットの姿を取ってはいますがヴィヴィオの父です。」
「ほっ本当に喋った!」
ユーノはフェレットの泣き声としてでは無く、普通に人語でダイアンに話しかけていた。
その口調は至極穏やかな物であったが…それが逆に恐ろしかった。
「心配しないで下さい。別に乱暴はしませんよ。でも…君のやっている事は
ちょっと感心出来ませんね。僕があのワニに追い駆けられるだけなら百歩譲れましたが…
ヴィヴィオを傷付ける事は許せませんよ。そもそも…。」
と、ユーノはフェレット姿のままダイアンに説教を始めてしまった。
おまけにダイアンはバインドされて倒れたままであるし、フェレットに説教されるなど
プライドはもうズタズタだろうと考えていたのだが…
「こらぁ!! あんたこんな所にいたんかい!?」
と、突然一人の体格の大きな女性が現れたでは無いか。
「母ちゃん!! 助けてよぉ!!」
ダイアンは涙目でその体格の大きな女性に叫んだ。つまりダイアンの母親と言う事なのだろう。
だが、次の瞬間ダイアンの母親はダイアンの頭にゲンコツをお見舞いしていた。
「この馬鹿! 勝手にカトリーヌを持ち出して人を噛んだりしたら
大変だろうに! ほらさっさと帰るよ!」
「うわぁぁん! 母ちゃんごめんよー!」
突然バインドが解除され、ダイアンは母親から耳を引っ張られながら連れて行かれる。
「どうも家の馬鹿息子がご迷惑おかけしました。」
と、母親は申し訳無さそうに皆にお辞儀をしてダイアンとカトリーヌを連れて帰って行き、
皆はその場で唖然とするしか無かった。
「………………。」
皆の沈黙はダイアンとカトリーヌを連れて行く母親の姿が見えなくなるまで続いた。
これはもうヴィヴィオに本気で怒ったらママでも止められないと言われたユーノの
迫力が霞んでしまう程の迫力であった。

その後、夕日を浴びながらヴィヴィオはユーノを抱いて帰路に付いていた。
「パパ…今日は本当にごめんね?」
「別にヴィヴィオが謝る事じゃないさ。ヴィヴィオこそ怪我は無いかい?」
「うん。」
「そうか…じゃあそろそろ僕も元に戻るよ。」
そう言ってユーノはヴィヴィオから離れると、元の人間の姿へ戻った。
「フェレットも可愛くて好きだけど…やっぱりこっちのパパの方が格好良くて大好き。」
「フフ…ありがとう。でも今日みたいに嘘を付いてはいけないよ。」
「うん。」
こうしてユーノとヴィヴィオは手を繋いで家へ帰って行った。

                   おしまい


著者:◆6BmcNJgox2

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