199 リリカル・チルドレン 1話―1 sage 2008/03/09(日) 03:33:30 ID:jbXS7MJ9
200 リリカル・チルドレン 1話―2 sage 2008/03/09(日) 03:35:54 ID:jbXS7MJ9
201 リリカル・チルドレン 1話―3 sage 2008/03/09(日) 03:38:07 ID:jbXS7MJ9
202 リリカル・チルドレン 1話―4 sage 2008/03/09(日) 03:38:53 ID:jbXS7MJ9
203 リリカル・チルドレン 1話―5 sage 2008/03/09(日) 03:41:51 ID:jbXS7MJ9
204 リリカル・チルドレン 1話―6 sage 2008/03/09(日) 03:44:10 ID:jbXS7MJ9
205 リリカル・チルドレン 1話―7 sage 2008/03/09(日) 03:46:06 ID:jbXS7MJ9
206 リリカル・チルドレン 1話―8 sage 2008/03/09(日) 03:47:44 ID:jbXS7MJ9
207 リリカル・チルドレン 1話―9 sage 2008/03/09(日) 03:49:10 ID:jbXS7MJ9
208 リリカル・チルドレン 1話―10 sage 2008/03/09(日) 03:51:02 ID:jbXS7MJ9
209 リリカル・チルドレン 1話―11 sage 2008/03/09(日) 03:52:07 ID:jbXS7MJ9

クラナガン北部の住宅地帯

クラナガンに並び立つ住宅街の中を一人の少女が元気よく駆け抜ける、
その姿は地元の学院ものと思われる制服を身につけ、左右にちょこんと結びをかけている黄土色の髪、
そして特徴的な翡翠と紅玉のオッドアイの瞳
目的地にたどり着くや否や、おもいっきりドアを開き、部屋の掃除をしているその家のホームキーパーと
思われる女性に声をかける
「ただいま〜、アイナさん」
「おかえりヴィヴィオちゃん」
この少女の名は高町ヴィヴィオ
かつてJ・S事件後、機動6課所属であったエース・オブ・エースでもある高町なのはに引き取られ、
その養子となった子供である
「これからすぐに教会?」
「うん、カレラと待ち合わせして一緒に行く予定なの。アイナさんは?」
てきぱきと着替えを済ませ準備をしつつ、掃除機をかけている女性に尋ねる
「私はお掃除が終わったら地元の奥様達と少し御出かけ、ヴィヴィオちゃんがこっちに戻ってくるまでには
 帰ってくるから」
「ママからは?」
「残念だけど今回は予定が合わせられないみたい、実家のご家族とフェイトさんによろしくって」
「そっか、残念・・・」
彼女の養母でもある高町なのはは管理局の中でも指折りの魔導師であり、また優秀な教導官でもある
そのためか彼女の教導演習の依頼は絶えず続き、なのは自信も自分から予定を空けるのが難しくなってきている
今度こそは一緒に行けると期待していたヴィヴィオにとっては、少しばかりショックが大きいことでもあった
「それじゃあ行ってくるね、アイナさん」
「はい、いってらっしゃい」
身支度を済ませたリュックを背負い、教会行きの転送ポートへと向かうヴィヴィオ
その少女の手首には、ザンクト・ヒルデ魔法学院中等部の飛び級卒業祝いとして、義母にもらった赤い宝玉が
太陽に照らされているかのように輝いていた



ミッドチルダ北部ベルカ自治領―聖王教会騎士団訓練場

「どうした、打ち込みが甘いぞ」
「くそっ」
後髪を一つにまとめた長身の女性、その容姿端麗とはうらはらに、炎をまとった剣を振りかざす姿は
ベルカの将と呼ぶにふさわしい風格をかもしだしていた
「カートリッジロード!」
その女性騎士に対峙する相手、その姿はまだ10にも満たない幼い少年であり、その手にはかつて彼の父が
愛用していた"氷結の杖"を改良して作れられた剣、"氷結の剣"デュランダルが握られていた
『Ice Slash』
剣を振り下ろすと同時に、氷で固められた刀身から極寒ともいえる斬撃を繰り出す
「はぁあああっ!!」
女性騎士の灼熱の剣が斬撃をすべて蒸発させ、周囲が白い霧に包まれていく
「むっ?」
「いっけぇええーー!!」
『Cocytus break』
女性騎士の不意をつくかのように上空から凍気をまとった剣を振り下ろす少年
少年自身もこの一撃は確実に決まると確信していた
「ふっ」
その瞬間、周囲に響き渡る衝撃とともに、先ほど以上の白い蒸気が訓練場全体を覆うかのように広がっていった

「今日はここまでだ」
「はぁ、はぁ、・・ま、参りました」
霧となった蒸気が晴れ、訓練場に大の字になるように少年が横たわっていた
「蒸気に紛れ不意を狙うという発想は悪くないが、それだけの策ではまだ私からの一本は取れんな」
「一応最後の攻撃も不意打ちにするつもりだったんですけど、それごと関係なく吹き飛ばされちゃあ意味ないですよ」
不満げな少年の横に、人の掌に収まるほどの大きさの妖精・・・と言っていいかどうかわかららない
鋭い目つきの赤髪の少女がやってくる
「まぁ、今回の模擬選で初めてシグナムにカートリッジを使わせただけでも上出来じゃねえの、カレ坊」
「やっとカートリッジか・・・」
「カートリッジを使わずともあれほどの攻撃、受け流すには造作もないがな」
「ひどいよ、シグナム師範!」
「ふふ、冗談だ」
苦笑をこらすこの女性騎士の名はシグナム。かつて夜天の書の騎士であった彼女は機動6課解散後、
J・S事件で保護された人格型デバイスでもあるアギトとともに首都航空隊に復帰、
二年ほど前に騎士カリムとシスター・シャッハの誘いを受け、教会騎士団に入団した

「おやおや、まだやっていたのですか」
「カリム義母さん?」
「ヴィヴィオさんがいらっしゃっていますよ、カレル」
「うそ、もうそんな時間?」
「今、ヴェロッサと一緒にお茶を飲んでいますよ。シグナム、アギト、あなた方はどう?」
「ではお言葉に甘えて」
「甘えましょ〜う♪」
バリアジャケットを解除し急いでカフェテラスへと向かう少年の名はカレル・グラシア
ハラオウン家の子供であった彼はグラシア家に養子入りし、古代ベルカ式後継者候補として日々鍛錬に勤しんでいる

「どうしたんだいヴィヴィオ?今日のクッキーは君の大好きなキャラメル風味にしたんだけど」
「う、うん」
ヴィヴィオの前にはヴェロッサ特製の菓子が並べられており、その中にある焼きたてのキャラメルクッキーの
香ばしい匂いが彼女の自尊心を揺さぶりたてる
「久っしぶり、ヴィヴィ姉」
「あ、カレル、それにシグナムさんとアギトもお久しぶりです」
「ああ」
「ウッス、ヴィヴィ嬢」
皆が一通りの挨拶をすませた後、カレルが悪戯をつくようにヴェロッサに尋ねる
「ところでヴェロッサ"おじさん"」
「"お兄さん"だろう」
「いたい、いたいですってば」
カリムの息子として養子入りしたカレルにとって、ヴェロッサは叔父にあたるためなんの問題もないはずなのだが、
ヴェロッサ自身、自分のことをおじさんと呼ばれるのは己のプライドとして許さないそうだ
(特に彼の義姉でもあるカリムや教育係でもあったシャッハも、このことに関しては口うるさい)
「つ〜・・それよりえ〜と、仕事は?」
「まぁ、・・・・今日は自宅勤務ってことかな」
「ヴェロッサったら、またおさぼりですか?」
「人聞きの悪いことを言わないでくれよ、カリム」
カリムの義弟に対するお説教が始まった中、お菓子を一切手を出していないままでいるヴィヴィオにカレルが尋ねる
「ヴィヴィ姉、クッキー食わないの?」
「ちょ、ちょっとね・・・」
「それじゃあヴィヴィ姉の分貰うね」
「あー!」
「どうしたの、食わないんじゃないの?」
「む〜・・・」
カレルの行動に口膨らませるヴィヴィオにアギトが核心を突く発言をする
「あははは、もしかしてヴィヴィ嬢、太ってダイエットでもしてんのか?」
「ギクっ」
「図星のようですね」
「ヴィヴィオ、その程度のことを気にしているようでは母のような魔導師になるに程遠いぞ」
「だってぇ・・」
カリム、シグナムの言葉にヴィヴィオはただただ下を向くしかなかった
だって仕方がないのだ、元パテシエである祖母、菓子作りが趣味であるヴェロッサ、
大の甘党で自分のことをこよなく可愛がってくれるリンディおばあちゃん
そのような環境の中にいたせいもあってかヴィヴィオの体重は同世代の友達と比べて
あまりよろしくない数値を出してしまっている


「残念、今回のクッキーは会心の出来なのに」
味わうようにクッキーを口の中に運ぶヴェロッサ
「・・・」
「あ〜、うめぇ〜うめぇ〜」
自分の体の大きさほどもあるクッキーを貪り食うアギト
「・・・・・」
「おいしい〜〜♪」
そして山のようにあったお菓子を一瞬にして消失させるカレル
実の父であるクロノが甘いもの嫌いになのに、カレルはリンディ並に大の甘党である
一番驚くべきは、リンディ特性緑茶を食後の口直しとして飲むのにはどうにかしていると思う
「・・・・・・・・っ」
「じゃあ、最後の一枚っと」


もう耐えられない


「やっぱり私も食べる!」
「ごちそうさまでした」
時すでに遅し
「あー!カレルひどいよー!!」
「いらないって言ったのヴィヴィ姉じゃん」
「少しぐらい残してもいいでしょう」
「今更そんなこと言われても・・」
悔しそうにカレルの頭をポカポカとたたき続けるヴィヴィオ、
(食べちゃったものはしょうがないじゃん・・)
くやし涙眼を浮かべながらも尚もカレルをたたくのをやめない

「なにやってるの二人とも」
そんな二人の前にカレルと同じ目、髪の色をした少女が現れる
「あっ、リエラ?」
「どうしたんだよお前、向こうで合流するんじゃなかったっけ?」
「今回の授業が早く終わったから、顔出しにきたの」
「それより相変わらず無愛想な顔してるな〜お前」
「お兄ちゃんも変わらず能天気そうだけど」
「お前な、昔はあんなに「お兄ちゃん」「お兄ちゃん」ってひっついてきたくせになんだその態度は」
「なっ?そ、そんな昔のこといきなり切り出さないでよ!恥しい(//////)・・・」
カレルとのやり取りで頬を染める少女の名はリエラ・ハラオウン、カレルの双子の妹である
彼女は父クロノと同じく若干9歳にして士官学校に進み、今現在執務官志望のカリキュラムを進めている
「お久しぶりですねリエラさん」
「急なお邪魔で申し訳ありません騎士カリム、それにシグナムさん、アギトさん、ヴェロッサさん」
「う〜ん、リエラちゃんはできた子だね、お兄ちゃんとは大違いだ」
自分以外の相手に対してすぐ態度を変える妹におもしろくなさそうな顔をする兄カレル、
昔は自分が近くにいなけりゃすぐ泣きわめいていたくせに、この変わりようはなんだ
「あははは」
そんな二人のやりとりを見て笑っていたヴィヴィオに、手首の宝玉から声がかかる
『It is time slowly,Master(そろそろお時間です、マスター)』
「あ?そういえばそうだね。リエラ、カレル、そろそろ行こう」
「はい」
「了解」
「それじゃあ行こうか、レイジングハート」
『It is consent(了解しました)』
カリムたちに別れを告げ3人は、自分たちの親の実家でもある第97管理外世界地球"海鳴市"へと足を運ぶことにした



第97管理外世界地球−海鳴市

「最初は家か高町さんのお家、どっちに行きます?」
「う〜ん、最初はフェイトママに挨拶に行きたいからそっちの家からでいいよ」
自分のもう一人の母と呼ぶべき存在であるフェイト、しばらく会う機会がなかったためか胸の中では
高揚が高まりつつ急ぎ足にまでなってしまっている
「クロムのやつ元気にしてるかな」
「会っても相手が自分のお兄ちゃんだってわからないんじゃない」
「だからお前は本当に余計なことを一言、一言・・・!」
「まぁまぁ、二人ともやめなよ、ほら、もう着いたよ」
実家の前でまたかと、ヴィヴィオは後ろで口げんかする二人に呆れつつ、インターホンを鳴らす
『いらっしゃい、今あけるね』
3人にはとてもなじみのある声が返ってきた
「今の声、フェイトさんかな?」
「多分そうだろ」
二人のかけ合いの後ドアのノブが傾き、開いた隙間から金色の髪が流れ出てくる
「フェイトママ〜、久しぶり〜!」
「えっ?」
ドアを開けた少女の疑問の声に耳を傾けず、いきおいあまって飛びつくように抱きつくヴィヴィオ
「あれ?」

なにかおかしい

「私、フェイトじゃないよ」
自分の胸の中を覗くと5,6歳とも思われる小さき少女が目をパチパチしながらこちらを見つめている・・・誰?
その顔を後ろの二人も一緒に覗き込むが、その場ですぐ固まってしまう
「え〜と・・・」
なにか困ったように体をもじもじする少女に、ヴィヴィオはかつてフェイトから見せられた
写真立てに写っている一人の少女を思い出す
「あ?そうか、まだ自己紹介がまだだったね」
ヴィヴィオの胸の中から解放された少女は改めるように言葉を発する
「コホン、はじめまして、私アリシア・テスタロッサといいます」




「「「えっ?」」」



前へ 次へ?
目次:リリカル・チルドレン
著者:WS

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メンバーのみ編集できます