[161] ヴィヴィオからなのはに宿題 1 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/10/17(水) 11:12:23 ID:7LnfcgFh
[162] ヴィヴィオからなのはに宿題 2 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/10/17(水) 11:14:07 ID:7LnfcgFh

「は〜…。」
なのはは一人頬杖を付いて溜息をし、虚ろな目で窓から空を眺めていた。
明らかに元気が無さそうであり、誰の目から見ても何か悩みを抱えていると分かる光景だった。
「なのはちゃん一体どうしたん?」
その場を通りがかったはやてが何気無くなのはに対しそう訪ねた。
「はやてちゃん…。」
「何かえらいごっつぅ悩んどるみたいやけど…何なら相談に乗るよ。」
「ありがとうはやてちゃん…。実はね…。」

それは今朝、なのはがヴィヴィオと朝食を取っていた時の事だった。
「ねぇ、ママはパパの何処が気に入ったの?」
「え?」
何気無くヴィヴィオにそう訪ねられ、なのはは首をかしげた。
「あ、べ…別にパパがダメってワケじゃないよ。ヴィヴィオもユーノパパ大好きだもん。
でも、ママはパパの何処を気に入ったのかな〜って思って…。」
「ど…何処にだろう…。」
「え?」
なのはの返答にむしろ質問したヴィヴィオの首を傾げてしまった。

なのはがユーノを好きだと想う感情はなのは本人も否定する気はさらさら無い。
しかし、具体的に何処に惚れたのかとかそういう説明をしろと言われた時…
どう説明すれば良いのかなのはには分からなかった。

「…と言う事があってね…。それで具体的にユーノ君の何処を気に入ったのかって言う
説明をする様にヴィヴィオから宿題を出されちゃって…それでずっと考えてたの。」
「で…考えた結果どうなん?」
はやてに訪ねられた時、なのはは頭を抱えながら俯いてしまった。
「それが全然分からないの…。確かに私はユーノ君の事好きだよ…。でも…
いざ具体的に何処を気に入ったのかは…分からないよ…。」
なのはの目からは涙が流れていた。そこまでして真剣に考えながらも分からないのだと
はやても理解出来ていたが、なのははさらに言うのである。
「分からないのはやっぱり私がユーノ君を好きって想う気持ちが半端だからかな…?
半端な私がユーノ君を好きになる資格なんて無いのかな…? ねぇ…はやてちゃん…。」
「そんな事あらへんよ。うちもちょっと恋愛経験には疎いけど…やっぱり何処が好きかより
好きと言う気持ちそのものの方が大切やと思うよ。」
ぶっちゃけこの場合どうすれば良いのかの解答ははやても分からない。
だからこそ自分の頭に浮かんだ適当な事を、あたかもそれがアドバイスになるような
オブラートに包みつつ述べていた。
「そ、そうや…ユーノ君本人に相談してみるのはどうや? そっちの方が良いんとちゃう?」
「ユーノ君に…?」

はやてに言われてなのはもユーノ本人の所へ行った。何時も無限書庫の仕事で忙しい
ユーノであるが、その時は丁度ユーノも仕事が片付いて一息付いている様子であった。
「で、一体どうしたんだい?」
「あ…その…それが…。」
何も知らないユーノは普通にそう言うが、なのはは顔を赤くして上手く説明出来なかった。
なのは本人だって何時もならユーノと一緒にいても別に当たり前かつ普通なはずなのだが、
ヴィヴィオに言われた事が原因となりユーノを余計に意識してしまい、ついつい緊張してしまっていた。
「あ…あの…その…い…一緒にいても…いいかな?」
「え? 仕事もキリが付いたし。別に良いよ。」
何時もと様子が違うなのはにユーノも若干首を傾げるが、一応了解はした。

こうしてなのははユーノに本当の目的を説明する事は出来なかったが、二人きりになる事は出来た。
ユーノの方はコーヒーを読みながら軽い本を読みふけると言う至って普通な光景であり、
なのははそんなユーノの姿を部屋の端からじ〜と見つめていた。
そうしてなのはは一体自分がユーノの何処を気に入ったのかずっと考えていたのだが…
「(どうしてだろう…ユーノ君と一緒にいると何だか心が落ち着くな…。)」
ユーノの部屋に来たばかりの時はあんなに緊張していたと言うのに…
今こうしてユーノと二人きりになってからはそれが嘘の様になのはは安らぎを感じていた。
ここまで心が落ち着くのは自分自身でも信じられない事である。
そう考えている内に…なのははうとうとと眠りに付いていた。

そしてその日に晩…
「で、ママはパパの何処を気に入ったのか分かった?」
「結局分からなかったよ。」
「あらら…。」
あっさり答えてのけたなのはにヴィヴィオも呆れてしまっていた。
「こんなママでゴメンね? でも…ユーノ君と一緒にいると不思議と何だか心が落ち着くんだよね。」
謝りながらそう言うなのはであったが、それにヴィヴィオは余計に呆れてていた。
「どうしたの? ヴィヴィオ…。」
「ママ…それ立派な答えになってると思うのはヴィヴィオだけかな?」
「え…。」

ヴィヴィオにそう言われてなのははやっと気付いた。
自分がユーノを好きになった理由。それはユーノの存在そのものに安らぎを感じるからだと…

                     おしまい


著者:◆6BmcNJgox2

このページへのコメント

ほのぼの最高

0
Posted by アキュラス 2009年06月08日(月) 21:02:45 返信

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