[281] 或る執務官と蜘蛛の糸 sage 2008/02/14(木) 22:52:45 ID:0MX4/nha
[282] 或る執務官と蜘蛛の糸 sage 2008/02/14(木) 22:53:38 ID:0MX4/nha
[283] 或る執務官と蜘蛛の糸 sage 2008/02/14(木) 22:54:29 ID:0MX4/nha
[284] 或る執務官と蜘蛛の糸 sage 2008/02/14(木) 22:55:31 ID:0MX4/nha

バレンタインデー! バレンタインデー! バレンタインデー!!

かつての次元戦争終結時、ミッドチルダ進駐軍のバレンタイン三佐がベルカ難民の子供らに対し、
猪口冷糖と偽って、Cレーションの空き缶を投げつけた故事に由来する、嫌なイベントである。

現在では、猪口冷糖を意中の相手に贈りつつ、炸裂寸前の胸の内を吐露して果てるという、
潔けれど奇怪千万な行為の目立つ、恋人たちの蕩けるように甘すぎる祝福の祭典となっているが、

誰がどのような経緯で現状に至らせたのかは、忘却や歴史の改竄により明らかではない。

「そして、それは私の現状とは何の関連も無かったのです」

皆様、如何お過ごしでしょうか、シャマルでございます。

少しは乙女らしい事にでも手を染めようかしらと、チョコを湯煎して溶かしていたのですけれど、
頑張った甲斐が御座いまして、見事な青椒牛肉絲が一皿分ほど出来上がりました。

ええ、さっきからじっくりと眺めているのですけれども、何処をどう見ても青椒牛肉絲です。
私もベルカの騎士の端くれ、食材の刀工には多少の自信が、という問題ではありませんね。

まあ、出来てしまったものは仕方がありません、気を取り直してもう一度挑戦してみましょう。

生チョコを湯煎して、中略、香りが出たら豆板醤を加えて炒める事少し、
あらかじめ作っておいた野菜や味噌をからめて炒めれば、はい、回鍋肉の完成です。

………ちょっとだけ泣きたくなりました。

捨ててしまうのも勿体無いと思いまして、居間に居たヴィータちゃんに味見を頼みました。
口では酷い事を言いながらも、ちゃんと食べてくれる優しい彼女が大好きです。

出来栄えの方は、何でも、金星のポラロッカ祭で大祭壇のリンパ線が電波を受信しなければ、
ミッドチルダは滅んでしまうからアイスクリームを顔に塗らなければいけないそうです。

そうですね、破壊力と言う点では、これまでの中でも屈指の出来栄えでした。



『或る執務官と蜘蛛の糸』



長いリボンに燃え上がる、性戯の心、などと適当に謳いながら怪しく蠢く3つの裸体。

何故にこんな事態になっているのか、さっぱり現状が把握できていないんだけど、
うん、ベッドの上でユーノと一緒に、あれやこれやと言いながら、なのはを縛っている。

「え…えーとね、フェイトちゃん? ユーノ君?」

リボンでぐるぐる巻きの即製ボンレスハムが何か言ってきているけど、無視。

「なんか縛ってるって感じがしないなぁ…どう思う? ユーノ」
「そうだね、やっぱり髪も一緒に縛らないと、緊縛って感じがしないんじゃないかな」

「あ、それか」

サイドポニーを後ろ手に縛った両腕に挟み込み、軽く引っ張ってから縛りなおす。

素肌に食い込むリボンを辿ってみれば、L字が全身を蜘蛛の巣の如く覆いつくし、
二つの乳房をそれぞれ個別に、綺麗に根元から絞り込むように締め上げていて、

「後ろ手のリボンが少し多すぎかな? 減らすよ」
「あ、駄目、そこ外すと親指が自由になる」

なんというかこれは、匠の業という感じがしないでもない。

「な、なんか的確に緊縛されているような気がするのは、気のせいなのかな…」

「気のせいだね」
「うん、気のせいだ」

やだな、まるで私たちがこれから、緊縛絶頂汚衣調教をはじめるみたいじゃないか。
なんだ、私てっきり、緊縛絶頂汚衣調教をはじめるのかと思ったの。
まさか、僕たちがなのはに、緊縛絶頂汚衣調教なんてするはずが無いだろう。

うんうんと、3人で頷きあいながら、意思の疎通の素晴らしさを確認する。

「じゃ、汚衣絶頂緊縛調教を愉しもうか」
「それ順番変わっただけ! 変わっただけだから!!」

いやいや、順番は大切だよ、執務官としての見地から見ても例えば、
犯して殺して埋める強姦魔さんとか、順番が逆になれば、とんだ変態さんに早変わりだ。

などと因果を含めるついでに、メインディッシュを投入。

「じゃじゃーん、今回のビックリドッキリアイテム、猪口冷糖♪」
「表記がチョコレートじゃない事にビックリドッキリだよ」

上手い事を言った御褒美に塗ってあげよう、即座に。
片手鍋から刷毛を引き抜き胸元目掛け、ビタリと塗れば仰け反って悶え喜ぶ。

海老ぞる身体をこちらから見れば、今まさに天を衝かんと屹立するユーノ自身が丸見えで、
なんというかまあ、生涯に一片の悔いも無い感じの、そうか、やはりアレが本体か。

「そんなに喜んでくれるなんて…変態?」
「フェイトちゃん……いまさらだよそれは」

「熱いんだよ!!」

なんだ、てっきり御褒美に悦んでいるのかと。

「そんなに弱気な事を言っていると、チョコユーノになれないよ?」
「なる気無いから! 絶対に無いから!!」

「さて、次はいよいよチョコバナナの作成です」
「殺しにきてるだろうフェイトオオォォォォ!?」

股間を隠して逃げ回る怪人チョコレート司書長を散々に追い回して、追い駆けて、
押し倒して、踏みつけて、鍋の中身を注ぎ掛てみれば、絶叫。

急速冷凍のためにドライアイスを押し付けてみても、絶叫。

固まったところに上からさらに、残ったチョコを注ぎ掛けてみても、絶叫。

「タフだね、ユーノ」
「これだけやって感想はそれかああああぁぁ!!」

飾りを散らして、なんか本気でチョコバナナにしか見えなくなってきたその後ろでは、
なんとなく緊縛うっかり放置されている教導官が、涙でフェレットを書いていたと言う。



(余談)



余ったチョコレートで、ホットチョコレート。
安いチョコを使っただけあって、不必要に甘ったるくて、微妙。

「そういえばさ、義理でも僕に対するチョコは無いの?」

なんかチョコバナナを食べさせている最中の淫獣が生意気を言ってきたので、
多少乱暴に髪を掴んで、顔をこちらに引っ張り寄せてみた。

頭皮が張る感触に歪む表情の、何事かを言おうとしていたその口に、
舌の先に残っていた不愉快な甘さを、問答無用で流し込む。

「………不味!?」
「お返しは、普通の物でよろしく」

そんな事をしていたせいか、かぷりと、チョコバナナから破滅の音が聞こえて。

(終)



著者:33スレ263

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