最終更新: nano69_264 2012年09月02日(日) 14:15:06履歴
447 名前:繰り返される淫夢 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/04/14(土) 11:03:00 ID:1JBwKrBo [2/6]
448 名前:繰り返される淫夢 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/04/14(土) 11:04:09 ID:1JBwKrBo [3/6]
449 名前:繰り返される淫夢 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/04/14(土) 11:05:04 ID:1JBwKrBo [4/6]
450 名前:繰り返される淫夢 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/04/14(土) 11:06:26 ID:1JBwKrBo [5/6]
これは悪夢だ、悪夢に違いない──
自分の意志ではないのに、痙攣したように腰を振ってしまう自分の身体を感じ取りながら、クライド・ハラオウンは朦朧とする意識で歯を食いしばっていた。
視界に飛び込む光景は非常な現実感を持って迫り、逃避を許さない。
3対6枚の黒い翼を広げた、美しい銀髪の女が、伝承が語り継ぐ淫魔(サキュバス)のようにクライドの腰に跨っている。
しかし今彼の目の前にいるのは、伝説でも御伽噺でもない。
現実にこの世に存在し、果てしない災厄をもたらしてきた忌むべきロストロギア、“闇の書”だ。
「気持ち……、いいだろう?」
語りかけてくる。これは人間か?人間の言葉なのか?
違う。これは、ロストロギアだ。融合型デバイスだ。ヒトの姿をしていてもヒトではない、プログラム生命体だ──
そう思い留めようとするクライドの頭の中を見透かすように、それ──闇の書の意志は、さらにクライドの腰に体重をかけ、深く彼のペニスを飲み込んでいく。
奥までぴったりと挿入させたまま、膣壁を蠕動運動させて竿を締め上げる。子宮口が、鈴口を探してひくついているように感じる。
妻との、リンディとの営みでは感じたことのない異様な感覚を、クライドは快感と認めたくなかった。
女の姿をしていても、これは化け物だ。自分は妻以外の女に身体を許してしまったなどと、認めたくない。
「お前は優れた魔導師だ」
「なにを……」
「優れた魔力とリンカーコアはとても強く私の心を惹きつける……お前は強い男だ、強い人間だ」
強い?それは魔力が強いという意味か。だとしても、今の自分は、女に組み敷かれた情けない男だ。
封印して輸送中だったはずの闇の書に、ふとした隙を衝かれ全艦の制御を奪われてしまった。自分だけではない、乗組員たちも皆、闇の書の手に落ちた。艦長として痛恨のミスだ。
この艦、エスティアを掌握した闇の書の防衛プログラムは、艦内全域にその触手状の器官を伸ばし張り巡らせ、乗組員たちを、男女問わず捕まえ貪っている。
男はペニスに吸い付かれて睾丸ごと精を搾られ、女は子宮を貫かれて卵巣を毟り取られ、等しく犯されている。
そして、クライドの前には闇の書の意志が自ら現れた。
「お前が欲しい」
囁く声に、胸が締め付けられるように弾み、腰がさらに跳ねる。
「私に全てを捧げるんだ、何も考えずにゆだねるだけでいい」
上ずるような闇の書の意志の甘言に、意識が飛びそうになるのを必死で堪える。ここで折れてはいけない──しかし、ここから生き延びる望みが、もはや適わないという諦めが強まりつつある。
生きて帰れない。愛する妻リンディの、まだ幼い息子クロノの顔が瞼の裏に浮かぶ。
美しい闇の書の意志の貌が、それらをかき消そうとクライドに迫る。頭を持ち上げられ、唇を奪われる。粘つく唾液がこぼれ、あごを伝い落ちる。
ほとんど抵抗できないまま、唇を揉まれ、舌を絡められる。透き通るような紅い瞳は、怜悧な鋭さを持つ目蓋に収まり、美しく強い女の表情を形作っている。
「好きだ、クライド」
名前を呼ぶな!言葉はもはや胸の中から出られず、口答えをすることができない。
こんな言葉にさえ、身体を反応させてしまう自分が憎い。相手はロストロギアだ。人間のように心から伴侶を愛するなど、認められない、認めたくない──それなのに、闇の書の意志はさらに身体を寄せ、あたかも慈しむようにさえクライドを抱きしめる。
「私に見せてくれ、お前の愛を、全てを」
奪おうとしているんだ。
堪えようとしても、身体は反射的に動いてしまう。闇の書の意志は人間の女性の姿をしているということくらいは言い伝えられていた。しかし、歴代の主たちがどのような最期を遂げたのかは詳しくわかっていない。
あるいは今の自分のように、喰われ干からび果ててしまったのかもしれない。
重く、人間の規格外と感じるほどの生命力を持った豊かな腰と尻と太股がクライドを掴み放さない。厚い陰唇の肉が、ペニスだけでなく腰骨や内股さえも舐め尽くしていく。あふれる淫液が、肌から染み込み、骨さえが溶けてしまいそうだ。
現代人類は、骨格による産道の大きさの制限からこれ以上脳が進化できないといわれている。しかしこの闇の書の意志は、人間を凌駕する肉体を持ち、どんな命さえも産み落とせそうに思える。
まぎれもない、性的快感だ。この悪魔が、自分を喰らい尽くそうとしている。
闇の書の意志が語りかける言葉は、捕食される恐怖をやわらげてくれるのだろうか?食虫植物のようにエスティアの乗組員たちを喰らった闇の書の防衛プログラムは、口吻のような器官のほかにも細い触手を無数に伸ばし彼らを撫で尽くした。
細く、しかし力強い手のひらと指先が背中を撫でていくのが感じ取れる。
この女──女の姿をしていてもこれはプログラム、管制人格のはずだ──も、自分を愛撫してくれているのか。
折れそうになる心を、なんとかくいとどめ、しかしその度に、絶望的な状況で犯されている自分の姿に愕然となる。
「泣くな、しっかりしろ──私がそばにいる」
抱き寄せ、胸元に抱きとめる。理想的な女体、を再現したかのような闇の書の意志の乳房は、大きさ、弾力、やわらかさ、肌のきめなどすべてが、男を陥落させるための性質を完璧に備えているかのようだ。
「吸っていいんだぞ?舐めても、咥えても、揉んでもいい、お前も私の身体を味わっていいんだ」
乳房が頬に擦られる。堅く勃起した乳首が、喉元を撫でていく。何のために乳首があるんだ。これはデバイス、あくまでも人間に似せるため──
思考がまどろみつつ、うっすらと目を開け、闇の書の意志の顔が見えた。
その顔立ちは知的な大人の女性にも、あどけない少女のようにも見える。あらゆる魅力を持った表情を作ることが、できる。
このまま自分は闇の書に飲み込まれてしまうのか。そうなったら、もう家族に会うことはできないのか。
死んで、この世から消えてしまう?永遠に、闇の書の中に囚われる?
闇の書の意志は、自分を取り込んで永遠に放さないつもりなのか?このまま、快楽に溺れさせて捕まえようというのか?
「腰を引くなよ、出すなら私の中で……クライド、もう一度私に、思い切り射精してくれ……」
息の熱さが感じ取れる。管制人格にも、欲情するという概念があるのか。それとも本当に、興奮しているのか──
「欲しいんだ、お前が──私を、自分のものに──お前なら新しい夜天の主になれる」
「そんなものは……いらっ、な」
「死にたくないだろう?生きて、帰ろう──未来のある可愛い息子がお前を待っている、私もクロノに会いたい」
「なっ……!?」
なぜ名前を知っている!?家族の名前は一度も、この航海中口に出していない。なぜ闇の書がクロノの名前を知っている。
「私は蒐集することで知識を蓄えられる……お前のものを私が受け止めたんだ」
驚きに心が揺らぎ、再び、腰が跳ねる。すかさず、闇の書の意志の太股がクライドの腰を捕まえ、激しく締め上げる。目の奥の欠陥が破裂しそうなほどの、射精の昂ぶりが再び訪れる。
オーガズムが過ぎやまないうちに、闇の書の意志はクライドに唇を重ねる。喰らいつくような、深い深いディープキス。
伸びる舌に喉の奥まで犯されそうになり、じわりとにじみ出た涙を、闇の書の意志はうれしそうに頬に擦り付けた。
「くっ……残念だが貴様の望みは叶わん……すでにグレアム提督に、この船ごとアルカンシェルを撃つように要請した。
もうまもなく、この船は完全に消滅する──私も死ぬが、闇の書、貴様ももはや逃げられはしない」
ゆっくりと、顔を離す。濡れた口元を拭い、闇の書の意志は穏やかに微笑んだ。さっきまで見せていた、悪魔のような貌がまるで嘘のようだ。
そっとクライドの手を取り、自分の胸に持ってくる。最後にもう一度、乳房を愛撫して欲しい……そんなねだりにさえ思える。
最後まで自分は、屈してはいけない──闇の書の意志の女陰の中にに、何度も射精してしまったことは悔しいが、それでも、絆されてはいないはずだ……。
「それは本当に残念だ……。せっかくお前に会えたのに、私の前からお前はいなくなってしまう……私は“また”次の主を探さなくてはいけない。
“私を置いて”いなくなってしまうのは、酷い仕打ちだな……」
「……なんだと……?」
まるで自分だけが生き残るかのような口ぶりだ。
アルカンシェルを受けて、耐えることのできるものなど存在しないはずだ。空間ごと消滅させる究極の魔法兵器なのだ。
ここから、この状態からさえ、転生をやってのけるというのか。
黒い羽根が、ゆっくりとクライドの身体を撫で、抱きとめる。
身体を重ね、肌を合わせる。腰、腹、胸、顔……ありったけの肌で、触れ合う。
翼の大きさを除けば背丈はクライドよりやや小さいくらいだ。それでも、成人女性としては体格は大きめだ。
その体格の大きさは、やわらかな二の腕と豊かな乳房を支える上半身、なめらかにくびれたウエストライン、そしてあらゆる命を宿す腰と尻、太股が、渾然一体となって均整を取っている。
これが完全生命というものか──そう思えさえする。
ロストロギアでさえなかったら、彼女は世界中の男を虜にできるだろう。悔しいが、自分も彼女に堕とされた男の一人だ。
闇の書の意志に身体を許し、蒐集されてしまった。それはリンカーコアだけでない、夫として父親としての貞操さえもが。
闇の書の意志は悲しんでいる。それはある意味では無邪気とさえ思えるような、逆に言えば子供じみた、──欲望だ。
欲しいもの全てが手に入るとは限らない。
そして、守りたいもの全てが守れるとも限らない。
空間に満ちる魔力素の活動が激しくなる。アルカンシェルの発射準備が完了しカウントダウンに入っている。
最後に再び、闇の書の意志はクライドに口付けた。
頬を撫で、唇を優しく揉む。クライドも、闇の書の意志の乳房を手のひらに撫でた。
「さようなら……」
その声は、人間を勧誘する悪魔のように優しかった。それを最後に、クライドの意識は永遠に消えた。
・・・
・・
・
機動六課隊舎で、リインフォース・ツヴァイは身支度を整えていた。
管理局本局に出向いての会議に出席するためだ。
「リイン、ちゃんと落ち着いてな。えらい人もたくさんくるから、失礼のないようにするんよ」
「はいです〜」
いつもの鞄に潜り込み、はやてとツヴァイは本局への連絡便に乗った。
会議が始まるまでの待ち時間の間、ツヴァイは本局ドックへ入港していたクラウディアへ向かった。
この新鋭艦の艦長は、かつて海鳴市ではやてを救うために戦った執務官、クロノ・ハラオウンである。
彼もいまや立派な提督になり、六課の後見人となっていた。
「提督〜はやてちゃんからのおつかいです〜」
「ご苦労。大分仕事も慣れてきたようだな」
「ありがとうです」
ツヴァイは普段は身長30センチほどの妖精型の姿をとっている。夜天の書の管制人格としてはやてをサポートする、いわば5人目のヴォルケンリッターのようなものだ。
クロノのデスクの上で、ツヴァイはもじもじと手を後ろに組み、つま先を机につく。
「どうした?」
「クロノ提督、じつはですね、リインは……」
やや俯いたツヴァイの、前髪に隠された表情が、深い闇を放ったようにクロノには見えた。
「ずっと会いたかったですよ、リインが生まれる前から、ハラオウン提督、お前が幼い頃から私はお前を知っている──」
言葉の途中で、幼かったツヴァイの声がみるみるうちに太く、おどろおどろしく変化していった。
面を上げたツヴァイ──それはすでにツヴァイではなかった。
いつのまにか周囲が闇に包まれている。3対6枚の黒い翼、しかしそれははやての騎士甲冑のものよりもさらに大きい。青みがかっていた銀髪は白い輝きを放ち、そして、瞳の色は血のような紅い色に変わっていた。
「ずっと求めていたんだ、お前の父が死んで私はとても悲しかった、私はお前を今度こそ手に入れたい──」
著者:SandyBridge ◆UKXyqFnokA
448 名前:繰り返される淫夢 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/04/14(土) 11:04:09 ID:1JBwKrBo [3/6]
449 名前:繰り返される淫夢 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/04/14(土) 11:05:04 ID:1JBwKrBo [4/6]
450 名前:繰り返される淫夢 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/04/14(土) 11:06:26 ID:1JBwKrBo [5/6]
これは悪夢だ、悪夢に違いない──
自分の意志ではないのに、痙攣したように腰を振ってしまう自分の身体を感じ取りながら、クライド・ハラオウンは朦朧とする意識で歯を食いしばっていた。
視界に飛び込む光景は非常な現実感を持って迫り、逃避を許さない。
3対6枚の黒い翼を広げた、美しい銀髪の女が、伝承が語り継ぐ淫魔(サキュバス)のようにクライドの腰に跨っている。
しかし今彼の目の前にいるのは、伝説でも御伽噺でもない。
現実にこの世に存在し、果てしない災厄をもたらしてきた忌むべきロストロギア、“闇の書”だ。
「気持ち……、いいだろう?」
語りかけてくる。これは人間か?人間の言葉なのか?
違う。これは、ロストロギアだ。融合型デバイスだ。ヒトの姿をしていてもヒトではない、プログラム生命体だ──
そう思い留めようとするクライドの頭の中を見透かすように、それ──闇の書の意志は、さらにクライドの腰に体重をかけ、深く彼のペニスを飲み込んでいく。
奥までぴったりと挿入させたまま、膣壁を蠕動運動させて竿を締め上げる。子宮口が、鈴口を探してひくついているように感じる。
妻との、リンディとの営みでは感じたことのない異様な感覚を、クライドは快感と認めたくなかった。
女の姿をしていても、これは化け物だ。自分は妻以外の女に身体を許してしまったなどと、認めたくない。
「お前は優れた魔導師だ」
「なにを……」
「優れた魔力とリンカーコアはとても強く私の心を惹きつける……お前は強い男だ、強い人間だ」
強い?それは魔力が強いという意味か。だとしても、今の自分は、女に組み敷かれた情けない男だ。
封印して輸送中だったはずの闇の書に、ふとした隙を衝かれ全艦の制御を奪われてしまった。自分だけではない、乗組員たちも皆、闇の書の手に落ちた。艦長として痛恨のミスだ。
この艦、エスティアを掌握した闇の書の防衛プログラムは、艦内全域にその触手状の器官を伸ばし張り巡らせ、乗組員たちを、男女問わず捕まえ貪っている。
男はペニスに吸い付かれて睾丸ごと精を搾られ、女は子宮を貫かれて卵巣を毟り取られ、等しく犯されている。
そして、クライドの前には闇の書の意志が自ら現れた。
「お前が欲しい」
囁く声に、胸が締め付けられるように弾み、腰がさらに跳ねる。
「私に全てを捧げるんだ、何も考えずにゆだねるだけでいい」
上ずるような闇の書の意志の甘言に、意識が飛びそうになるのを必死で堪える。ここで折れてはいけない──しかし、ここから生き延びる望みが、もはや適わないという諦めが強まりつつある。
生きて帰れない。愛する妻リンディの、まだ幼い息子クロノの顔が瞼の裏に浮かぶ。
美しい闇の書の意志の貌が、それらをかき消そうとクライドに迫る。頭を持ち上げられ、唇を奪われる。粘つく唾液がこぼれ、あごを伝い落ちる。
ほとんど抵抗できないまま、唇を揉まれ、舌を絡められる。透き通るような紅い瞳は、怜悧な鋭さを持つ目蓋に収まり、美しく強い女の表情を形作っている。
「好きだ、クライド」
名前を呼ぶな!言葉はもはや胸の中から出られず、口答えをすることができない。
こんな言葉にさえ、身体を反応させてしまう自分が憎い。相手はロストロギアだ。人間のように心から伴侶を愛するなど、認められない、認めたくない──それなのに、闇の書の意志はさらに身体を寄せ、あたかも慈しむようにさえクライドを抱きしめる。
「私に見せてくれ、お前の愛を、全てを」
奪おうとしているんだ。
堪えようとしても、身体は反射的に動いてしまう。闇の書の意志は人間の女性の姿をしているということくらいは言い伝えられていた。しかし、歴代の主たちがどのような最期を遂げたのかは詳しくわかっていない。
あるいは今の自分のように、喰われ干からび果ててしまったのかもしれない。
重く、人間の規格外と感じるほどの生命力を持った豊かな腰と尻と太股がクライドを掴み放さない。厚い陰唇の肉が、ペニスだけでなく腰骨や内股さえも舐め尽くしていく。あふれる淫液が、肌から染み込み、骨さえが溶けてしまいそうだ。
現代人類は、骨格による産道の大きさの制限からこれ以上脳が進化できないといわれている。しかしこの闇の書の意志は、人間を凌駕する肉体を持ち、どんな命さえも産み落とせそうに思える。
まぎれもない、性的快感だ。この悪魔が、自分を喰らい尽くそうとしている。
闇の書の意志が語りかける言葉は、捕食される恐怖をやわらげてくれるのだろうか?食虫植物のようにエスティアの乗組員たちを喰らった闇の書の防衛プログラムは、口吻のような器官のほかにも細い触手を無数に伸ばし彼らを撫で尽くした。
細く、しかし力強い手のひらと指先が背中を撫でていくのが感じ取れる。
この女──女の姿をしていてもこれはプログラム、管制人格のはずだ──も、自分を愛撫してくれているのか。
折れそうになる心を、なんとかくいとどめ、しかしその度に、絶望的な状況で犯されている自分の姿に愕然となる。
「泣くな、しっかりしろ──私がそばにいる」
抱き寄せ、胸元に抱きとめる。理想的な女体、を再現したかのような闇の書の意志の乳房は、大きさ、弾力、やわらかさ、肌のきめなどすべてが、男を陥落させるための性質を完璧に備えているかのようだ。
「吸っていいんだぞ?舐めても、咥えても、揉んでもいい、お前も私の身体を味わっていいんだ」
乳房が頬に擦られる。堅く勃起した乳首が、喉元を撫でていく。何のために乳首があるんだ。これはデバイス、あくまでも人間に似せるため──
思考がまどろみつつ、うっすらと目を開け、闇の書の意志の顔が見えた。
その顔立ちは知的な大人の女性にも、あどけない少女のようにも見える。あらゆる魅力を持った表情を作ることが、できる。
このまま自分は闇の書に飲み込まれてしまうのか。そうなったら、もう家族に会うことはできないのか。
死んで、この世から消えてしまう?永遠に、闇の書の中に囚われる?
闇の書の意志は、自分を取り込んで永遠に放さないつもりなのか?このまま、快楽に溺れさせて捕まえようというのか?
「腰を引くなよ、出すなら私の中で……クライド、もう一度私に、思い切り射精してくれ……」
息の熱さが感じ取れる。管制人格にも、欲情するという概念があるのか。それとも本当に、興奮しているのか──
「欲しいんだ、お前が──私を、自分のものに──お前なら新しい夜天の主になれる」
「そんなものは……いらっ、な」
「死にたくないだろう?生きて、帰ろう──未来のある可愛い息子がお前を待っている、私もクロノに会いたい」
「なっ……!?」
なぜ名前を知っている!?家族の名前は一度も、この航海中口に出していない。なぜ闇の書がクロノの名前を知っている。
「私は蒐集することで知識を蓄えられる……お前のものを私が受け止めたんだ」
驚きに心が揺らぎ、再び、腰が跳ねる。すかさず、闇の書の意志の太股がクライドの腰を捕まえ、激しく締め上げる。目の奥の欠陥が破裂しそうなほどの、射精の昂ぶりが再び訪れる。
オーガズムが過ぎやまないうちに、闇の書の意志はクライドに唇を重ねる。喰らいつくような、深い深いディープキス。
伸びる舌に喉の奥まで犯されそうになり、じわりとにじみ出た涙を、闇の書の意志はうれしそうに頬に擦り付けた。
「くっ……残念だが貴様の望みは叶わん……すでにグレアム提督に、この船ごとアルカンシェルを撃つように要請した。
もうまもなく、この船は完全に消滅する──私も死ぬが、闇の書、貴様ももはや逃げられはしない」
ゆっくりと、顔を離す。濡れた口元を拭い、闇の書の意志は穏やかに微笑んだ。さっきまで見せていた、悪魔のような貌がまるで嘘のようだ。
そっとクライドの手を取り、自分の胸に持ってくる。最後にもう一度、乳房を愛撫して欲しい……そんなねだりにさえ思える。
最後まで自分は、屈してはいけない──闇の書の意志の女陰の中にに、何度も射精してしまったことは悔しいが、それでも、絆されてはいないはずだ……。
「それは本当に残念だ……。せっかくお前に会えたのに、私の前からお前はいなくなってしまう……私は“また”次の主を探さなくてはいけない。
“私を置いて”いなくなってしまうのは、酷い仕打ちだな……」
「……なんだと……?」
まるで自分だけが生き残るかのような口ぶりだ。
アルカンシェルを受けて、耐えることのできるものなど存在しないはずだ。空間ごと消滅させる究極の魔法兵器なのだ。
ここから、この状態からさえ、転生をやってのけるというのか。
黒い羽根が、ゆっくりとクライドの身体を撫で、抱きとめる。
身体を重ね、肌を合わせる。腰、腹、胸、顔……ありったけの肌で、触れ合う。
翼の大きさを除けば背丈はクライドよりやや小さいくらいだ。それでも、成人女性としては体格は大きめだ。
その体格の大きさは、やわらかな二の腕と豊かな乳房を支える上半身、なめらかにくびれたウエストライン、そしてあらゆる命を宿す腰と尻、太股が、渾然一体となって均整を取っている。
これが完全生命というものか──そう思えさえする。
ロストロギアでさえなかったら、彼女は世界中の男を虜にできるだろう。悔しいが、自分も彼女に堕とされた男の一人だ。
闇の書の意志に身体を許し、蒐集されてしまった。それはリンカーコアだけでない、夫として父親としての貞操さえもが。
闇の書の意志は悲しんでいる。それはある意味では無邪気とさえ思えるような、逆に言えば子供じみた、──欲望だ。
欲しいもの全てが手に入るとは限らない。
そして、守りたいもの全てが守れるとも限らない。
空間に満ちる魔力素の活動が激しくなる。アルカンシェルの発射準備が完了しカウントダウンに入っている。
最後に再び、闇の書の意志はクライドに口付けた。
頬を撫で、唇を優しく揉む。クライドも、闇の書の意志の乳房を手のひらに撫でた。
「さようなら……」
その声は、人間を勧誘する悪魔のように優しかった。それを最後に、クライドの意識は永遠に消えた。
・・・
・・
・
機動六課隊舎で、リインフォース・ツヴァイは身支度を整えていた。
管理局本局に出向いての会議に出席するためだ。
「リイン、ちゃんと落ち着いてな。えらい人もたくさんくるから、失礼のないようにするんよ」
「はいです〜」
いつもの鞄に潜り込み、はやてとツヴァイは本局への連絡便に乗った。
会議が始まるまでの待ち時間の間、ツヴァイは本局ドックへ入港していたクラウディアへ向かった。
この新鋭艦の艦長は、かつて海鳴市ではやてを救うために戦った執務官、クロノ・ハラオウンである。
彼もいまや立派な提督になり、六課の後見人となっていた。
「提督〜はやてちゃんからのおつかいです〜」
「ご苦労。大分仕事も慣れてきたようだな」
「ありがとうです」
ツヴァイは普段は身長30センチほどの妖精型の姿をとっている。夜天の書の管制人格としてはやてをサポートする、いわば5人目のヴォルケンリッターのようなものだ。
クロノのデスクの上で、ツヴァイはもじもじと手を後ろに組み、つま先を机につく。
「どうした?」
「クロノ提督、じつはですね、リインは……」
やや俯いたツヴァイの、前髪に隠された表情が、深い闇を放ったようにクロノには見えた。
「ずっと会いたかったですよ、リインが生まれる前から、ハラオウン提督、お前が幼い頃から私はお前を知っている──」
言葉の途中で、幼かったツヴァイの声がみるみるうちに太く、おどろおどろしく変化していった。
面を上げたツヴァイ──それはすでにツヴァイではなかった。
いつのまにか周囲が闇に包まれている。3対6枚の黒い翼、しかしそれははやての騎士甲冑のものよりもさらに大きい。青みがかっていた銀髪は白い輝きを放ち、そして、瞳の色は血のような紅い色に変わっていた。
「ずっと求めていたんだ、お前の父が死んで私はとても悲しかった、私はお前を今度こそ手に入れたい──」
著者:SandyBridge ◆UKXyqFnokA
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