[464] 厳しく突き放す友情 1 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/10/21(日) 23:57:10 ID:+fo/a0UD
[465] 厳しく突き放す友情 2 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/10/21(日) 23:58:54 ID:+fo/a0UD
[466] 厳しく突き放す友情 3 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/10/22(月) 00:00:04 ID:Z3iDlrHR

フェイトはある事に苛立ちを覚えていた。それはなのはとユーノの関係に関してである。
別になのはは自分の物だからユーノがなのはに近付くのが許せないとかそういうワケでは無い。
むしろフェイトはとっくの昔に二人の関係を認めている。だが…問題は二人の方が誰の目にも
明らかな程仲が良く、ユーノ自身もヴィヴィオからパパと呼ばれたりと随分懐かれてるのにも
関わらず、未だに「友達」と言う関係と言う事になっている点にある。
これがフェイトには少し許せない事だった。どう見ても友達ってレベルじゃねーぞって状態なのに
友達で通すのは何故だろうか…とフェイトは考えた。その結果…

フェイトはなのはとユーノの二人を呼びつけた。
たまたま二人とも暇だった故、あっさりフェイトの誘いに乗ってくれたのだが、
そこでフェイトは二人に対して言った。
「で…結局二人の関係ってどうなの?」
「へ? 突然何を?」
「良いから。二人の関係について教えて。」
フェイトかなりストレートに質問をしていた。それにはなのはとユーノも戸惑う。
「た…ただの友達だよ…。」
「そうそう…友達友達…。」
二人は笑いながらも、かすかに苦笑いしている様にも見える表情でそう答えた。
それにはフェイトも納得した様な顔になる。
「そうか。二人はあくまでもただの友達と言う事なんだね…………。」
そう言うフェイトに二人もかすかにほっと一息付いている様に思えたが…
「………と言うとでも思った?」
「え………。」
突如フェイトに睨み付けられて二人は凍り付いた。
「本当は二人とも…私に気を遣ってるでしょ?」
これがフェイトがなのはとユーノが未だに「友達」と言う事になっている原因かもしれないと
推理した結論だった。フェイトは二人と違って未だに浮いた話が無い。
それなのに自分だけユーノと幸せになるのは申し訳が無いのでは…となのはは考えたのでは無いか?
自分を犠牲にしてまで他人の事を考えすぎるなのはならありえる話である。フェイトはそう考えた。
「どう見てもラブラブなのに未だに友達と言う事になってるのは…やっぱり未だに
浮いた話の無い私に気を遣っての事なんでしょ?」
「べ…別にそんな事は無いよフェイトちゃん…。」
「そうだよ…僕達はただの友達同士で…。」
「図星か…。」
フェイトの言葉にそう答える二人だが、その苦しそうな表情と口調を見れば分かる。
明らかに図星であると…
「私はね…今凄く起こってるんだよ。別に二人がラブラブだとかそんな理由じゃない。
と言うか皆もうとっくに分かってるんだよ。なのはとユーノがラブラブだって事が…。
なのに肝心の二人は未だにただの友達と言い張る。それが私には許せない!」
「!」

物凄い形相で言うフェイトに二人は思わず震え、何も言い返せなかった。
「やっぱり思った通りだね。二人は未だに浮いた話の無い私に気を遣ってる。
顔を見れば分かるよ。特になのはは自分の事よりも他人の事を第一に考えるタイプだしね。
でもね…それって私としてはとても迷惑な話なんだよね。」
「め…迷惑?」
「そう。なのはなりに私の事を考えてそう言う行動に出たのは分かるけど…私にとっては迷惑。
だってまるで私はなのはがいないと何も出来ない女と思われてるみたいじゃない。
だから無理してまで私に気を遣う必要は無いよ。私は自分の力で幸せを掴む事は出来るから…
なのはとユーノは私よりまず自分の幸せの事を考えようよ…。」
「で…でもそれだとフェイトちゃんが…。」
「だからそれがいかんと言ってる! 確かに助け合いの友情も大切だけど…
時には厳しく突き放す事も友情になるんだよ! だから今は私を見捨てて…
私は自分の力で十分何とか出来るから…二人はまず自分の事を考えて…。
それに…二人が私の事を考える余りに幸せになれなかったら…それこそ本末転倒…。
まるで私のせいで二人が幸せになれなかったと思われてるみたいで…私はそんなの嫌…。」
フェイトの目からは涙が溢れていた。それ程までに真剣に考えていたのである。
思わず二人もフェイトの気持ちが伝わるのであるが…次の瞬間フェイトは
なのはとユーノの後頭部をそれぞれ掴んでいた。
「だから………私の事は気にせずにいい加減にゴールインしろぉぉぉ!!」
「んぶ!!」
フェイトは無理矢理になのはとユーノの顔面同士を押し付けて口付けさせていた。
まあその際に力が入り過ぎて額同士を強く打ち付け合ってしまい、二人が頭を押さえて
のた打ち回るなどと言うハプニングも発生したが、この事が二人を吹っ切らせたのは事実だった。

二人はきっぱりと「友達と言う事にしていた」関係を止め、あっさりと結婚しやがった。

「ご結婚おめでとう…と言うべき所だけど…あまりにも用意が良すぎるのはどういう事だろう…。」
結婚式に出席していたフェイトは眉を細めながらそう一言呟いていた。
何しろ婚姻届も結婚指輪もウェディングドレスも何もかもが既に用意されており、
何時でも結婚出来る準備が取られていた様にしか思えない。だがまあそこまでとやかく言うのは
野暮と言う物。フェイトはこれ以上細かい事は考えずに二人の結婚を素直に祝福した。

式は何の問題も無く無事に終了した。その後フェイトは一人自室に帰り、
ベッドに倒れる様に寝転ぶのだが…フェイトは泣いていた。
「う…う…うあああ………ひっく……えぐ…えぐ…。」
自分で言った事であるとは言え、やはりなのはとユーノが結婚した事は心苦しい事だった。
故にフェイトは泣いた。子供のように泣いた。しかし…
「でも…これで良い…これで良いんだよ…うう…。」
フェイトは泣きながらも二人の事を考えていた。これで良かったのだと。
そして…同時に自分の力で自分の幸せを見付けるのだと言う決意もまた固めていたのであった。

時を同じくして、なのはとユーノは自室のベッドで寄り添って寝転んでいた。
「フェイトちゃんの方も無理してた様に思えるけど…大丈夫かな?」
「大丈夫だと思うよ。フェイトだってあそこまで言ったんだから…彼女を信じるしか無いよ。
むしろ今フェイトを心配していたら…逆にフェイトに怒られてしまうかもしれないよ。」
「そうだよね…フェイトちゃんが言っていた様に…時には突き放す事も友情になるんだね。」
やはりフェイトの心配をしていたなのはだが、それももう吹っ切った。フェイトならば
自分の力で自分の幸せを見付ける事が出来ると信じて…
「それじゃあ今からは私のわがまま…させてもらうよ。」
「うん。」
二人はゆっくりと口付けをした。それまで自分を押し殺して人の為の事を
優先していた二人にとって数少ない「自分の為」の行為…
そうして二人は少しずつ服を脱いで、肌を露出させ…交わった。
「不束者だけど…これからもよろしくね?」
「うん…。」

なのはとユーノはそれまでの「友達と言う事にしていた」鬱憤を晴らすかのような
それはそれは濃厚な初夜を過ごしたという。

数年後…

なのはとユーノの二人に双子の子供が生まれていた。
母親似の女の子「ゆのは」と父親似の男の子「ナーノ」の二卵性の双子の姉弟である。
その二人の名前を見ての通り、両親の名前をそれぞれにくっつけ合わせた安直なもので、
周囲からも「安直な名前自重」と突っ込まれる程であったが、ぶっちゃけ二人とも
仕事に忙しくて子供の名前まで頭が回らなかったので勘弁していただきたい。

一方フェイトの方はと言うと…未だに浮いた話さえ無かったりする。
故に二人の子供が生まれているなのはとユーノの姿を見る度に
「ちょっと失敗しちゃったかな?」
と内心後悔していたのだが、そこまで二人を憎む事は無かった。
むしろゆのはとナーノの二人をまるで自分の子供のように可愛がってくれた。
ただ…可愛さ余ってついつい首を締め上げてしまいそうになる事が度々あったが…

「でも負けないよ私は…。」
またついつい二人の首を締めてしまい、なのはに全力全開で怒られてしまったフェイトであるが、
それでもフェイトはめげない。自分の幸せを見付ける為の戦いの海へと漕ぎ出して行った。

                   おしまい


著者:◆6BmcNJgox2

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