[588] 司書長室での小会話 1/3 sage 2008/02/22(金) 20:33:57 ID:3nzz1g/w
[589] 司書長室での小会話 2/3 sage 2008/02/22(金) 20:35:00 ID:3nzz1g/w
[591] 司書長室での小会話 3/3 sage 2008/02/22(金) 20:35:51 ID:3nzz1g/w

「ねぇ、ユーノパパ」
「何だいヴィヴィオ?」
何10冊も分厚い魔導書を宙に浮かせて、机で作業をしていたユーノはヴィヴィオに振り向きそう応えた。
しかし、手はブラインドタッチかつ猛スピードで報告書を打っている。

ここは無限書庫の司書長室。なのはが遠くの世界へ演習に出かけている間、ユーノはヴィヴィオ
の面倒を見るようになっていた。最初はパパと呼ばれることに戸惑いを感じていたが、クロノや
エイミィ、はやてフェイトに「本当にヴィヴィオのパパになる前の予行演習だ」と後押しを受け、
今ではすっかりそう呼ばれることにも慣れてしまっている。


ヴィヴィオも最初は分厚い本だらけのこの部屋にきたときは少し怖いと思ったが、今では本の
出し入れなどユーノの手伝いをしてくれるようになっていた。
もちろん魔法で本を一瞬に出し入れしてしまうことも出来たが、ヴィヴィオの精一杯の好意に
甘えることにしていた。

「無限書庫ってすごいんでしょ!?」
「そう思うかい?」
「うん、さっき廊下ですれ違ったヒトが言ってたよ『無限書庫の役割はすごい。我々、管理局の
行動は常に真実であり正義である』って」
ヴィヴィオは台詞だけでなく言った人物の行動も演じているのかエッヘンとばかりに胸を張っていた。

「そうか・・・」
ユーノは魔導書を全て閉じた。宙に浮いた本が全て棚にしまわれていく。
代わりに2冊の本を新たに取り出した。
「ヴィヴィオ僕の近くにきてごらん」
「うん!」
そうしてユーノは近くに来たヴィヴィオをひざに抱き上げた。
「ヴィヴィオ、これはね。辺境の次元世界に伝わる昔話なんだ」

ユーノが取り出した本の内容はこうだ

1、
『昔、オーガと呼ばれる怪物がいました。オーガは人々に暴力をふるっていましたが、
あるとき神々は人々に邪気を払う豆を与えました。その豆を炒ってオーガにぶつけて恐れお
ののかせ、最後に闇の世界へ封じ込め、悪さを出来ないようにしました』


「めでたしめでたしだね♪」
ヴィヴィオそういって振り向くと、ユーノは微笑んだ
「うん、そうだね。でもね、こんな話もあるんだよ」

そうしてユーノはもう1冊の本をめくる

2、
『昔、不正や怠惰を許さない神様がいました。
しかし、あるときその厳しさに耐えかねた一部の人々が他の神様と手を結んで
その神様をはめ、闇の世界へ閉じ込めたのです。
その時、出口の前に芽が出ないように、あらかじめ炒った豆をまいてこう言いました。
“その豆から芽が出たとき、あなたは闇の世界を出てまた人間を正すことができる”と
神様はその人間の言葉を信じて待ち続け、そうして年をとって死んでしまいました』

「グスッ、神様かわいそう」

「ご、ごめんヴィヴィオ!泣かすつもりじゃなかったんだ。でもこの2つの昔話は面白い
点があるんだ。
実はね、このオーガと神様は同じななんじゃないかといわれているんだよ」

「えっ?神様が悪魔なの!?」

「オーガと神様は両方とも『豆』と『闇の世界」という共通点があるだろ?この昔話が伝わる
場所は別々だけどほとんど同じ時代につくられていてさ、だから同じなんじゃないかといわれ
ているんだ」
「へー、そうなんだ」

ヴィヴィオは眼をキラキラさせて関心した顔をユーノに向けた。
知的好奇心が旺盛な子だとユーノは思った。
まるで魔法と出会ったばかりの頃のなのはを思い出させる。

「無限書庫には確かに多くの文献や資料がそろっている。でも、この2冊の本のように全て
本当ことがかかれているとは限らないんだ。だから無限書庫がすごい、絶対の真実というわ
けじゃないんだよ。それに真実を見つけるのは本当に難しいんだ」

そう、夜天の書にしても被害や否定的な意見の書かれた本が非常に多く、本当の由来や目的を
解析した文献がいかに少なかったことか。
ゆりかごや聖王にしても神聖視した書物や、英雄譚は多く見つかったが、これもまた闇の書と
同じであった。


「それに簡単に本当の事や答えがわかっちゃったら面白くないだろ?」
「う〜ん、ヴィヴィオは学校の問題は難しいから答え知りたいな」
「そ、そうか〜、ヴィヴィオにはまだ難しすぎたかな?」

そうしてお互いに笑い合っていると、司書がなのはの来訪を告げた。
そしてユーノは膝からヴィヴィオをおろした。

「ママが来たみたいだね。表まで迎えに行こうか」
「うん!!」

そうして2人は手をつないで司書長室を出て行った。

(ヴィヴィオ、君はこれから色んな人に会って、色んなことを学んでいくんだろうけど
本当のことを見失ってはいけないよ。そこには悲しいことも別れも、眼をそむけたくなる
こともあるだろうけど、逆に嬉しいことや、出会いもたくさん待ってるはずだから・・・)

end



著者:44-256

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