556 名前:初モフ♪なの 1/6[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 23:01:52 ID:Xn3sQnhP
557 名前:初モフ♪なの 2/6[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 23:02:59 ID:Xn3sQnhP
558 名前:初モフ♪なの 3/6[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 23:04:05 ID:Xn3sQnhP
559 名前:初モフ♪なの 4/6[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 23:05:24 ID:Xn3sQnhP
560 名前:初モフ♪なの 5/6[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 23:06:31 ID:Xn3sQnhP
561 名前:初モフ♪なの 6/6[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 23:08:05 ID:Xn3sQnhP

久しぶりの休日。なのは・T・スクライアは愛娘のヴィヴィオと手を繋いで買い物に向っていた。
天気も良く、適度な気温の昼下がり。なのはは穏やかな休日を予感していた。
だが、それはヴィヴィオの一言であっさりと打ち砕かれる。

「あ? パパがザフィーラと抱き合ってる」
「え゛!?」

慌ててヴィヴィオが指差す方向を見ると、ザフィーラを抱きしめ恍惚としている夫の姿があった。

「…………ユーノくん?」
「ザフィーラ〜♪」

唖然とするなのはを置いて、仲良しのザフィーラを触ろうとヴィヴィオが駆け出す。
しかし、ザフィーラに触ろうとした瞬間、待ったがかけられた。

                           タ ダ
「あかんで! 今は営業中や。いくらヴィヴィオちゃんでも無料モフは認められへんなぁ」

悪徳商人のような口調で現れた親友に、なのはは頭を抱えた。

「はやてちゃん……何やってんのよ?」
「何って、営業やないか。ヴィヴィオちゃん。モフりたいんなら、1分千円やで。なのはちゃんも
 どないや? ちなみに5千円だしたら6分になってお得や」
「ちょっ! 何そのボッタクリのUFOキャッチャーみたいな値段!? って、言うより明らかに
 ボッタクリじゃないの!?」

抱きしめるだけで、1分間に千円。どう考えても暴利だった。

「チッ、チッ、チッ、舐めたらあかんで? ザフィーラのモフには充分その価値がある!」
「無いって! そんなのに誰がお金払うのよ!?」
「誰って……あ? お〜い、ユーノ君。時間や。6分経ったで〜」

夫が居た。しかも5千円出して6分コースを堪能したらしい。

「ふ〜……ありがとう。ザフィーラ。今日も良いモフ加減だったよ……って、なのは?」


何処からどう突っ込んで良いのか、なのはは悩んだ。そもそも自分はツッコミ系のキャラでは無い。
取り合えず、悪徳商人になった親友と同業者の犬……これは諦める。もう戻っ来れないところに
旅立ってしまったんだろう。だが、せめて夫の眼を覚ましてやらねば……

「ママ〜。ヴィヴィオもモフりたい」

……娘もダメだった。
いや、しかし、認めるわけにはいかない。

「いや。あのねヴィヴィオ……」
「ダメ?」
「う゛……」

悲しそうな瞳に動揺してしまう。だが、ここで甘やかしてはいけない。断固として……

「じゃあ、パパが出してあげよう♪ 
「ありがとうパパ♪」
「毎度〜♪」

泣いて良いかな? そんな事を考える。
なのはは頭痛に襲われながらも、この場を凌ぐ手段を考える。いや、この場だけでは無い。
妻として、母として、こんな馬鹿なことに無駄な出費をさせないようにせねば。

「で、なのはちゃんは?」
「いや、わたしは別に……」

そう言いながらユーノを見る。なのはは夫に満足している。
正確に言えば、夫の肉体の虜になっている。
夫に比べれば、ザフィーラのむさ苦しい肉体では……

「はは〜ん♪ そう言えば、なのはちゃんはザフィーラをモフったこと無いんやったな。
 それやったら、この極上の価値が分からんのも無理はないな。
 いっぺん試してみ? それとも旦那の前で、他の男を抱きしめて恍惚とするのに抵抗あるん?」


その言葉になのはの心に怒りの炎が灯る。

(ザフィーラさんが極上?……ユーノくんを差し置いて、なんて傲慢な)

だが、同時に優越感もある。

(わたしにはユーノくんが居るんだ)

そう思うと、はやてには憐れみすら感じる。
思えば、なのはは初めて出会った瞬間……傷付き倒れる彼に触れた瞬間……に恋に落ちた。
あの、か細く繊細な毛並みの感触。守ってあげたいと母性を駆り立てる柔らかさ。
肩に乗った時の、儚いほどの軽さと、頬に触れる風のような感触。
喫茶店の娘だからこそ断言できる。例えるなら、最高級のスイーツ。

そう……高町なのはは、9歳にしてユーノの肉体の虜になっていた。

ユーノに出会って以来、アリサの犬も、すずかの猫も塵の如き存在に落ちた。
それに比べ、ザフィーラの毛並みは何だ? 繊細さの欠片も無い。
モフ? 単なる剛毛の間違いだ。

「5千円で6分だよね?」

財布から5千円札を抜き取り、はやてに手渡す。

「ほう? 結局やるん?」
「ええ」

教えてやらねばなるまい。真の極上とやらを。
はやてに、娘に、何よりも夫自身に。
モフってやろう。そして、6分経ったら、軽く立ち上がり、鼻で笑ってやろう。そして……

『ふ〜ん……この程度?』

……そう言ってやろう。


ヴィヴィオが離れたところで、一歩近付く。
そして、視線が合ったザフィーラを心の中で罵る。

(……この犬め)
「――!」

ザフィーラがなのはの真意に気付いた。

『……良かろう……来るが良い。だが、我がモフの力……侮るな!!!』
(駄犬が吼えるわね)

ザフィーラから送られる念話を無視して、ザフィーラの前にしゃがみ込む。
そして……


モフ♪


(〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!)

ザフィーラの毛並みに顔を埋めた瞬間、身体に電気が奔ったような感覚。

(な、な、なに……これ?)
『どうした? 高町なのは? いや、なのは・T・スクライア!』
『べ……別に……』

初めての感覚。これがモフ? こんな……自分は夫の肉体に満足してるはず。それなのに……
繊細さも無く、母性も湧かない。だが、これは……まるで包み込まれるような快楽。
圧倒的な肉感。そう……それはスイーツの繊細さとは異なる味わい。
例えるなら骨付き肉。確かに肉だけでは飽きるし、スイーツと比較するのは間違っている。
だが、そこにはスイーツなどと気取った食べ物では味わえはない満足感があった。

『どうした? 身体が震えてるぞ?』
『ち、違う! 鼻がむず痒くて、くしゃみが出そうなだけ……』
『ほう……それは大変だ』

ザフィーラが身体を少し動かすと、モフの波がなのはの顔を覆った。


『〜〜〜〜〜っ!!! ザ、ザフィーラさん!?』
『ん? 鼻が痒いと言ったから、かいてやろうと気を利かせただけだが?』
『くっ!……あ、有難うございます。でも、もう平気ですから……』
『遠慮をするな。ほれほれほれ!』
『ひっ! ん〜〜〜〜〜!!! こ、これくらい……ユーノくんの毛並みの方が…』
『ほぉ〜う? やはり、そういうことか……』
『―! ち、違います! ユーノくんは別に!』

心中を見透かされ動揺する。
だが、そこを見逃すザフィーラでは無かった。

『たしか、ユーノ・スクライアには弱点があったな。いや、ある意味、貴様の弱点になるか?』
『え?』
『貴様の弱点……唇だ!』
(んん! ん〜〜〜〜〜!……な、何故この事を?)

モフに唇を塞がれ、なのはが動揺する。
スクライア夫妻の弱点。なのはは、ユーノの毛並みに唇を触れる事が出来なかった。
ユーノが嫌がるのだ。何故なら……

(わたしが……焼き芋と間違ったばかりに……)

それは、まさに悪夢のような出来事だった。幼さの罪。若さゆえの過ち。
当時、9歳にして同棲を始めた2人は、普段は別のベッド(片方は籠とも言う)を使用していたが、
あの夜は、同じベッドで同衾していた。同衾した理由を詮索してはいけない。
ただ、その夜、なのはは夢を見た…………焼き芋美味しい♪
そして、夢の中で口に違和感を感じた彼女が目覚めると………

(ゴメンねユーノくん。背中、痛かったよね)

……自分の口に背中を収め、逃げようと必死にもがいている愛しい人の姿。
その後、ユーノはなのはの口が触れるだけでビクビク震えだすようになってしまった。
ちなみに、その肉体のラインの所為で、実に卑猥な光景になる。


『ところでだ……』
『え?……』

回想に耽っているなのはに、冷たい声がかけられる。

『……その亭主に見られてるぞ?』
(―――!!!)

今の自分を見られている?
この野獣のような男に身体の自由を奪われ、身動きできない今の状態を?
夫一筋の一途な妻であるはずの自分が……

(ダメ……見ないで……見たらダメよ……)
『おまけに娘もな』
(ヴィヴィオ!?)

何て事だろう。夫と娘の目の前で……
愚かな考えだった。強がって、夫と娘の目を覚ましてやるなどと考えておきながら自分が……
貞淑な妻であろうとした。良き母であろうとした。
それなのに、たった一度の過ちが……

「ママ〜、ヴィヴィオもモフるぅ〜」

娘の声。ああ、そうだ。すでに愛しい娘は、この肉体の虜になっていたのだ。
今のなのはには、娘の気持が痛いほど分かった。だったら、もう……

「いらっしゃい……ヴィヴィオ」
「うん♪」

母娘2人で、このケダモノの肉体に身体を預けた。





著者:70スレ562

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