230 名前:ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ [sage] 投稿日:2012/03/15(木) 23:00:25 ID:wdnitELE [2/5]
231 名前:ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ [sage] 投稿日:2012/03/15(木) 23:00:59 ID:wdnitELE [3/5]
232 名前:ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ [sage] 投稿日:2012/03/15(木) 23:02:17 ID:wdnitELE [4/5]

続・売れ残りと男娼の純愛で奇妙な話


 ギュッ。

「ちょ! いたいですよ」

「あ、ごめんなさい……こ、これくらいで良いかしら?」

 シュッシュッ。

「今度は少し弱いような」

「むぅ〜……む、むずかしいわね」

 うむむ、と。
 シャマルはそう呟いて眉根を寄せ、困り果てたという表情を作った。
 額に掛かった髪をそっと指で掻き上げる。
 手先が僅かに濡れている、汗ではない。
 生臭い臭気を漂わせるそれは、いわゆる男性の我慢汁というやつだ。
 発生源はシャマルの目の前にあるもの、ヴァイスの男性器。
 状況、二人とも裸、ベッド。
 以上の現状から論理的に導き出される解答=えっち。

「それじゃあ、これくらいでどう……かな?」

「ん、ああこれくらいで、できればもう少し柔らかく握って。手を休めないでください」

「うん」

 言葉を交わしながら、ベッドに腰掛けたヴァイスの脚の間で、シャマルは一生懸命手を動かす。
 恋人になった(無理矢理した)二人はまあよーするにこうやって、なんだ……チュッチュしてんだよ言わせんな恥ずかしい!
 そして見目麗しいシャマルの、その白い指先が震えながら弄るのは、赤黒いグロテスクな男性器であった。

「うう……」

 恥ずかしそうな呻きが彼女の口から漏れる。
 まだ男のモノに鳴れていないのか、目尻に涙を溜めておっかなびっくりという呈だった。

「あの、シャマル先生」

「なに」

「別に無理しなくても」

「む、無理なんてしてないわよ!」

「ちょ! いたい!」

「あ、ごめんなさい……」

 そう言いながらも彼女の手は禍々しい局部から離れていない。
 何故そんなにもこだわるのか、原因は先ほど交わした会話にあった。
 床の上でまだ情交に不慣れな彼女を、ヴァイスは熟練者らしくリードして愛撫し、夜の悦びへといざなう。
 だが、まだ男の象徴を見慣れぬシャマルに彼はうっかり口を滑らせた。

『医務官なら見慣れてるんじゃないですか? 治療とか、裸になる事もありそうだし』

 と。
 彼女はのたまった。

『だって……治療でもそんな凝視しないっていうか、恥ずかしくて直視できないし……治療する相手も女の人が多かったし』

 と。
 そして彼は言ってしまった。

『そっちでも初心だったんですね』

『う、うぶじゃないもん! いいわよ、だったら私がデキる女だって教えてあげるわ!!』

 と顔を真っ赤っかにして彼女は凄み、ヴァイスを押し倒し(以下略)こうなったというわけさ。

「あぅ……なんだか手疲れてきちゃった……ちょっと休んでもいい?」

「別に良いっすけど、そうすると萎えちゃうかも」

「ええ〜、じゃあどうしたら……」

「んー、じゃあ口とか」

「くくくく、くちぃ!?」

 仰天したシャマルはぺたんと白く大きな尻を付き、たじろいだ。
 ちなみに真っ裸なので、たゆん、と揺れる胸とか上から見下ろす視点で見る腰のくびれなんかが大変いやらしくヴァイスは眼福であったのはここだけの話である。
 ともあれシャマルは仰天し、怖気づいていた。
 眼前には雄雄しく屹立するペニスがある。

 フェラチオ、つまり彼は口にして愛撫しろと言っているのだ。
 正直に言えば抵抗感があった。
 なにせ男性器とはつまり尿道口であり排泄器官なのだ、それを咥えろとは、ついこの間まで処女だったシャマルにはあまりに難易度が高い。

「あの、別にできなかったら無理しなくて良いですからね?」

 ヴァイスはそう言って諭すのだが、しかしこれが逆効果だった。
 子ども扱いされたりすると、どうにもこの見栄っ張りな医務官の女性はかちんとくる気質らしい。

「だ、大丈夫よ! これくらいよゆーなんだから」

 そう言う割りには顔は真っ赤で手は震えていて話し方もぎこちなかった。
 ともあれ彼女は勇気を振り絞り、ずずいと肉竿に顔を近づけた。

(うう……大きい、それに臭いも……でもああ言った以上、やらないとかっこわるいし……)

 そっと幹を指で握り締め、ゆっくりと顔を寄せる。
 余程自尊心、というか、女のプライドがあったのか。
 えい、と心を決めて舌先を突き出した。
 濡れた、赤く熱い舌でちろりと一舐め、亀頭をなぞる。

「……ッ」

 押し殺した声が、ヴァイスの口から漏れた。
 それだけで彼が快感を得ていると知れた。
 もっとそれが聞きたいと、シャマルは自然に感じる。
 ちゅっちゅ、と小さくついばむような口付けを、何度も先端に繰り返す。
 だがそれでは刺激が足りないのか、あまり反応は芳しくなかった。

(こうなったら……えい!)

 羞恥心を焦がしながらも、慎ましく開けた口をさらに開き、舌を差し出して赤黒い異物を口内へ挿入。
 凄まじい臭気、熱、大きさ。
 産まれて初めて口にする男性器は、お世辞にも心地良いものではなかった。
 それでも、

「んッ……うぅ」

 苦しげとも取れる、恍惚の呻きがヴァイスの口から零れた。
 大きな異物を口に入れて涙目になった瞳で見上げれば、快感に耐えるヴァイスが吐く息を僅かに荒げていた。

(あ……ちゃんと気持ちよくできてるんだ)

 口の中に含んだ彼自身にぎこちなく舌を這わせつつ、そんな事を思う。
 夜伽ともなれば一方的に快楽を与えられる側だったのが、自分が与える側になる。
 肉体ではなく、心を満たされるような心地。

(もっと……気持ちよくしてあげたい)

 熱く胸の奥で脈動する想いに、何時しか嫌悪感も薄れていく。
 シャマルは必死に首を上下させ、唇と舌とで肉棒を扱いた。
 まだまだ性の技には疎い彼女だが、とにかく男性器は上下されれば射精する、程度の事は理解できていた。
 尿道口からじわりと広がる塩味。
 先走りの液が滲み始めた。
 口に大きな肉竿を入れているだけでも大変だというのに、余計にむせそうになる。
 目尻の端に溜まった涙がとうとう頬に伝い始めた。

 それでも舌を這わせ、上下運動をして唇で幹を上下するのは止めないあたり、シャマルは一途だった。

「あんま、無理しなくても良いですよ」

 気持ち良さそうに眉を寄せながら、ヴァイスが涙目のシャマルを見て言う。
 案じられて余計に火が点いたのか彼女の奉仕は勢いを増した。
 口内に肉棒を挿入した事で増えた唾液が、じゅぷじゅぷ、と淫らな水音を響かせ始める。
 いやらしい音色、そして涙目の美女に奉仕されるという淫靡な光景に、ヴァイスの欲望もいよいよ昂ぶりを抑えきれなくなる。

「シャマル先生、そろそろ……ッ」

 切羽詰ったような声。
 だが物事に集中すると他の事に気が回らなくなるのか、奉仕に夢中になっていたシャマルには上手く聞き取れなかった。
 ぶるり、とヴァイスの身体が戦慄く。
 それが合図だったのか、とうとう彼の欲望が、熱くぬめる粘膜の刺激に屈し、爆ぜた。

「んッ……んぅぅ〜ッ!!」

 突然口の中にぶち撒けられる大量の粘り気。
 溢れる青臭い臭気。
 びくびくと脈動する肉竿から、それは止め処なく溢れ出る。
 口の中が一杯になって呼吸さえできない。
 慌ててシャマルは顔を離すが、まだ衰えず射精は続いており、彼女の前髪から顔まで白濁が降り注いだ。
 一体どれだけ吐き出したのか、胸元まで白い滴りが落ち、ようやく事は収まった。

「ん、ぷ……ヴァイスくん、だしすぎ……」

 こくん、と幾らか飲み干し、そうできなかった分を唇から溢れさせ、シャマルが喘ぐ。
 独特の臭気、何とも形容し難い味。
 だが彼の悦びの証だと思えば、そこまで嫌悪感はなかった。
 むしろ気持ち良く出来た証拠だと、愛おしさがある。

「大丈夫ですか? 途中で止めても良かったのに」

「だ、だって……ヴァイスくんにも、きもちよくなってほしかったから」

 いつの間にかヴァイスがティッシュを何枚か取り出し、差し出してくれた。
 ん、と頷きつつそれをもらい、付着した精液を拭う。
 くしゅくしゅと顔を清めて顔を上げた時、シャマルはようやく気付いた。
 自分を見下ろすヴァイスの視線が、どこか獣めいた凶暴性を帯びているのを。
 スタイル抜群の美女が懸命に奉仕をし、さらにその顔にたっぷりと欲望の白濁をぶち撒ける。
 男たるもの、これで興奮しないでいろというのが無理な話だ。
 肉食獣を前にしたか弱いカモシカの心境。
 ふつふつと湧き上がる恐怖感に、シャマルは後ろに下がろうとする。

「あ、え……ヴァイスくん? なんだか目が怖いんだけど」

「いえいえ、そんな事ありませんよ。まあともかくあれですあれ」

 いつの間にか、正しく獣並の動きの速さでヴァイスの手がシャマルの肩を掴む。
 身体が揺れたかと思ったら既に押し倒されていた。
 ギラつく瞳の輝きと共に、ヴァイスは言った。

「お返しに、俺もシャマル先生を気持ちよくしてあげますから」

「え、あ、ちょ、ちょっとまって! そんな……ふぁああ!!」

 そんなこんなで抗議の声は甘い喘ぎと代わり、結局なんだかんだで二人はどろどろの濃厚で愛情たっぷりの行為に耽っていったそうな。
 めでたしめでたし。


終幕


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著者:ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ

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