[262] y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA sage 2007/10/07(日) 00:26:43 ID:sPQehj4D
[263] y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA sage 2007/10/07(日) 00:28:04 ID:sPQehj4D
[264] y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA sage 2007/10/07(日) 00:28:45 ID:sPQehj4D
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[266] y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA sage 2007/10/07(日) 00:30:26 ID:sPQehj4D


第一章 冒頭  新妻の戦場


 夕焼けにはまだちょっと早いうっすらと赤みがかった青い空
日が傾きかけた夕飯時
 商店街の人ごみの中を赤みのかかったおさげの髪がちょこちょこと頭をのぞかせていた
キョロキョロと周りを見ながらメモを片手にぶつぶつと口ずさむ

「えっと…あとはお肉と魚か…あ、くそ、ジャマだぞオイこれ、いつも…ここ…通れねーじゃねーか…よっと」

 くりっと踵を返すと、少林寺の修行僧よろしくプルプルと腕を水平に保持、つま先立ちで移動
口がパタリ○のタマネギみたいになってるが本人はいたって真剣だ
 明らかに体のサイズに比すると大きすぎる買い物籠を注意深く障害物に当たらないように運んでいき
器用に乱雑に置かれた自転車の列地帯を抜けた
ホッと息をつき、そのままテクテクとスーパーの中へ入っていった

ガーッ

 古びた自動ドアが閉まる、中は外見とは裏腹に清潔で活気がある人が多いのは同じだが
雑踏のやや暑く淀んだ中から店内のヒンヤリした空気に触れられ、少女はやれやれと一息ついた
 小柄なその姿―は店内を見回しここがアタシの戦場だぜと言わんばかりにニヤリと不敵に笑った

少女は無い胸を張った、彼女の名はヴィータ、またの名を紅の鉄騎
誇り高きヴォルケンリッターの守護騎士の一人であり
現在は若き無限書庫、司書長、ユーノ・スクライア氏と先日結婚したばかりの新妻である

「…おし!、んじゃ残りもパパっと済ませちまうかー」
空いた方の手をTシャツの腰に当てるとカレーのコーナーの横で
  新米主婦… ヴィータは買い物籠を掲げ、勝ち誇ったように宣言した
店内でお店の幾人かが振り向き、見知った少女の到来を知って声をかけた
少女はここらではちょっとした人気者のようだ

「あら、ヴィータちゃんまたお使いかい?」
かっくりと前のめりにこけるヴィータ、ぐぐっと体を起し努めて笑顔で振り向く
「…ちょ、だからさ、ちがうったらおばちゃん、…アタシはコホン…ほら新婚ばりばり、新妻、若奥さんなんだって!」
ぼりぼりと頭を掻きながらも苦笑してヴィータ抗議を述べた、おばちゃんは気にした様子も無くカラカラ笑って応えた
「ハイハイ、それでどう?今日はコロッケ安いよ?新米奥さんなら買い物上手にならなきゃね」
まったく本気にされていない、ヴィータの外見は10歳以下、世間常識に照らせば当然であろう

 うーむ?…やっぱ、最初にシャマルに付いてきてもらったのが失敗だったのだろうか?
ヴィータは思った
 結婚前のかけこみ修行期間、ヴィータは主にシャマルとはやてに頼み込み
まったく不慣れな家事の得意分野を大急ぎで実地訓練してもらったのだった、今では特訓の甲斐もあって
カレーや肉じゃがぐらいは何とかギリギリはやてに合格の免状を頂いていた

 んで、…あの時は「お母さんですか、ヴィータちゃん可愛いねぇ〜」
などとお店の行く先々で二人セットで言われ、二人してピシリと石化してたりしたんだよな…

シャマルはそのつど怒りを笑顔のオブラートで包みごしごしあたしの頭を力強く撫でた

『い、嫌ですわ、この子はもう妹!…妹なんですよ、おほほやーね、ね…ヴィータちゃん?』
(名前のところでハンオクターブ声色がアップしてたのを報告しておくべきだろう)
コクコクと頷いたあたし
「そ、そうそう歳のかなり離れた…」
などと言ったものだ、物理的に擦られた頭皮が…大変痛かったが…

どうやらシャマルの弁明もあまり効果無かったようだ
一軒向こうのお店からもおじさんの声がかかる
「おう、ヴィータちゃんか、ホント毎日偉いね〜、今日はサンマがいいよ!おぅさ
 おじちゃんヴィータちぇんのファンだからさ!サービスしちゃうぞ!」
包丁を片手におじさんはサービス、サービスと商業的にアピールした
危ないなぁ…色々な意味で、とヴィータはタハハと笑って手を振った
「あ、んじゃ後で行くからさ…ホントにサービス頼むよおっちゃん〜」
わっはっはと「おー任せとけ」と言うおっちゃんにヴィータはもう一度愛想良く手を振った
結婚前の彼女では考えられないぐらい、この辺のスキルは上達したと自負するヴィータであった

「さて…んでさ、とりあえず今日は…えーと、おばちゃん!この豚牛のあいびきと…」
ぴったりとガラスケースにはりつき
ヴィータは真剣な表情で、本人は主婦っぽいと信じているその仕草でテキパキと指示を出した
Tシャツにスパッツ、縞々ニーソではそれもあんまり期待薄だろうが
 おばさんは愛想よくガラガラとガラス戸を引き
若過ぎる奥さんの「それそれ」「そっちも」と指差すお肉の山を律儀に丁寧に取り分けていった




ユーノ君の華麗な性活、外伝(そとでん)


             ―ヴィータちゃんと新婚性活−な毎日 Uの―




2章 成長?


てくてくと帰る帰り道、買い物カゴは飛び出たネギやなんかでずっしり重い
「タハハ…やっぱ買いすぎちゃったかな…いっつもこうなっちゃうんだよなぁ」

よいしょよいしょと、それでも気分良く
人ごみを抜け、幾分商店街のはずれの方まで歩いてきた、このあたりになると人の数もぐっと減る
ある地点までくるとふいにピタリとヴィータの足が止まった

 無言で白い建物の看板を見詰める

 プアーン ガタトン…ガタトン…
遠くで電車の音が聞こえる
「……」
夕闇の迫る中、少し風が冷たくなってきていた


総合病院―たくさんの表記の中に一部彼女の目を引き止めるものがある
たった4文字の短い文字の連なり

『産婦人科』

ヴィータは買い物かごを片手にぺたんこのお腹を無言でなでた
「…やっぱ、いくらやってもデキない…んだよなぁ…あたしは…当たりまえか…」
 幾分ションボリしていつもは元気な肩を力無く落とす

ユーノは事あるごとにヴィータを求めてくる、それは今のところヴィータにとっては
それほどイヤでもない、いやむしろ求められるのは、…それほど悪い気分ではない…最近はそう思いすらする
 自分に夢中な時のユーノは確かにバカでスケベでだらしなくてスケベでバカで……あ、いや

とにかく困ったパートナーではあるがユーノは、案外可愛いくもある、ヴィータはそう思っていた
そんな風に考えれるようになった自分が大人みたいでくすぐったいような嬉しささえヴィータは感じていた

でも
苦笑しながらも照れて赤くなった顔が、ふいに寂しげになる

「やっぱさ…できればだけど………居たほうが……いいよな……あたしと…その…あのバカとの…」
そのあとを続けられず飲み込んで、またジッとその文字を見つめた
見つめたってどうこうなるわけでもないのにな…傍の電柱にコツンとおでこを当てた

 我ながら無茶な事を望んでるのはわかってる、騎士の機能それ自体が成長できないのだから…
受け入れ、産み出すその時点まで、成長する事は永遠に無い…そう自分はプログラム
…そう永遠に無いんだ

 その時、偶然病院から若い女性が出てきた、少しお腹が膨らんでいる、お腹に手を当てて幸せそうな笑顔
ズキンと小さく胸が痛んだ
「…………」
 ヴィータは立ち止まって見つめてしまっていた
「ちぇっ…」
 歩きだせばいいのに足が動かなかった

 本当に、いつまでもユーノはあたしを愛してくれるだろうか?
女の子なら誰でもいいんじゃないだろうか?いつか同じ事しかできないあたしに飽きてしまうんじゃないのか?
そしたら、…そしたらユーノはどこか別の女のところに…
何か確かな夫婦の証が欲しかった…

 あの…
ユーノの気楽な笑顔を思い浮かべる
「アイツ…スケベだけど…優しいところも…あるん…だよな…だからもっと…あたしも…」
あたしらしくもねぇよな…こんなの結婚する前から解ってたことじゃねーか…
アイツだって『今のままの君がいい』って恥ずかしいセリフ言ってさ…
自重気味に微笑した、一つため息をついて、気分を切り替え、ヴィータは歩きだそうとした、その時

「ヴィータ?」
「どぅわ!?」 
 な、何だ?ヴィータは出し抜けに背中から声をかけられ飛び上がりそうになった
 振り向くとよく見知った顔、シグナムが居た、自転車に載って片足をついている
前のカゴには大きめの背負い袋、柄が飛び出ている

「一体何をしてるんだ…そんなとこでボーっと突っ立って?」
「な、…なんでもねーよ、いや買い物帰りって言うか…シ…シグナムこそ、こんな時間、何してんだ?」
(ま、まさか…き、聞かれてた?今の…?)
ドギマギしながらピンクの髪を見つめた、怪訝そうな表情と目が合った

ん?とシグナムを首を傾げると前カゴを見た
「あぁこれか?…前やってたやつ再開して…近くの中学校で剣道を教えているんだが…家計の足しにでもと思ってな…
 ヴィータには言っていなかったか?…」
「あ…あぁ…そうだったっけ?…あ、うんそうだったよな…」
意味も無く問い返しただけだったのでヴィータはゴニョゴニョとつぶやきながら横を向いた
とりあえず恥ずかしい独白は聞かれて無かったらしい…良かった、よし、このまま去ろう、そう決めた時

あれ?
何かいつもと違う違和感を覚えてぐるりとシグナムに向き直った
もう一度、長年共に戦ってきた僚友の自転車に跨った姿を上から下までまじまじと見つめる

「アレ……?………シグナム?」
「ん?」
「あのさ…気のせいかシグナム…お前…何か縮んでねーか?大きさって言うか…全体的にこう…背」

 買い物籠をうでにかけ、両手でゼスチャーした
フムとシグナムが頷いた
後ろで髪を結んだピンクの髪の将はよくよく見るとわずかに背が縮み、高校生ぐらいの背格好になっていた
着ているものがすっぽり被る厚めのパーカーなのですぐに気がつかなかった、下もウインドブレーカーぽいが
 下に着ているのはどうやら今風の体操服らしい、行ってる学校で貰ったのだろうか、なのは達に会う前の昔からシグナムは
貧乏性と言うか何でももらって来る癖がある

 よくよくその姿を見直すと
その服の中から伸びる足も腕もいつもより幾分細く、全体的にシグナムは肉つきが薄くなった印象だった
胸など見ると一目両全だった、だが、人によっては今のシグナムを華奢だと言うかスレンダーで魅力的だと言うか意見の別れるとこだろう
いつもオッパイ魔人とからかっていたヴィータは思わずまじまじと特に胸を見つめた
…マジか?ヴィータはそんな感想を抱いた

 どこを見ているのだコイツは…という表情のシグナム
ふっと笑って説明した

「ああ…そういえばお前には言って無かったな…ごく最近と言うか2,3日前の事だ…
 我らが主がリインと組んでかねてから研究していた新しいプログラムを組みこんで下さってな…調整次第で
  我ら守護騎士は…4〜5歳程度の肉体的変化が可能になったのだ、もうシャマルあたりが伝えてると思ったのだが」
「へーそうなんだ…いや、聞いてねぇけど…   すげえ…んだよな…?」
他に言うべき言葉が見つからなく突っ立ったままヴィータは曖昧に感想を述べた
あぁまぁ、とシグナムも曖昧に頷いた

「そうだな…まぁ体を小さくする事によって魔力の消費も抑えられるしな…
 その辺りはフェイトのとこのアルフと同じ発想だ…が
  反面小さい体はその分パワーも落ちるわけだ、そこでまぁ、それを補うために…技術を磨く必要も出てくるわけだ…
 今の私で魔力無しだとそこらの高校生と大して変わらんしな、いい機会だからこの際私としては力に頼らずに技…」

 ヴィータはあーだこーだとシグナムの闘いに対する飽くなき追求を、あー、うんなどと
(シグナムも男っ気無いよなぁ…これだと)
と幾分気の毒そうに聞いていた
と、その時ヴィータは落雷に打たれたようにある事に気が付いた
「あ――!」

 ビクリとしてシグナムが説明の手を止めた、ヴィータが勢いこんでガシっとシグナムの両肩に手をかけた
その迫力に思わず身を縮める烈火の将

「シ、シグナム!」
「な、…何だ!?」
「あ、あのさ…お、おい4,5歳って言ったな?じゃ…じゃあ…あれか…逆に…+5歳もできたりするのか!?」
シグナムは左斜め上あたりに視線をさ迷わせた
「え?…あ、あぁ…そうだな多分…な、あ、しかし、主かリインに聞かねば私では正確なところはわかりかねるのだが…」
自信の無さそうに答える
「そ、そうか…そうだよなリインとはやてに…」
 すると当然、アレがこうなって…

シグナムは自分の服のすそをにぎりしめてブツブツ呟くヴィータを
気味悪そうに見つめた、肩はつかまれたままだ、とヴィータがガバッと顔を上げた
「サンキュー、ぐらっちゅシグナム!…じゃあな、あたしは用を思い出した!」

あ、あぁ…シグナムは聞こえてないであろう相手に一応小さく手を振った

 ヴィータはシグナムの肩からパッと手を離すと砂煙を上げ
全盛期のアラレちゃんもかくやと言うスピードで『バビューン』と漫画チックな効果音付きで
商店街を走り抜けて行った、おそらくは八神家へ、はやての元へ…


そして後にはまばらな人通りの商店街のはずれに目を丸くした烈火の将高校生バージョンが一人ぽつねんと残された
「…何なのだ一体?」
ヤレヤレと首を振りため息をつく

 大きくなったらなったで我らは…よけいに魔力消費が激しくなるのだがな…
…大体大きくなると、胸も大きくなるから余計に肩も凝るし戦闘にはジャマだし…
その辺りの事は解ってるんだろうかヴィータの奴は?仮にも守護騎士たる…
などと、ブツブツとかなり個人的な悩みもピックアップしてシグナムはペダルの足に力を込めた

 まぁいい、ヴィータはヴィータだ何か考えあっての事だろう
考えてみればヴィータの弱点は押し負けしがちな体格の小ささにあるからな…
 うむ、私は帰って日課の素振りでもしよう、私にとってスピードこそが…そう、いつの日か来るべき
好敵手フェイト・T・ハラオウンとの闘いの為…我の取り組むべき主たる課題…
相変わらず熱き思いが色恋に向かわず体育脳なシグナムであった

チリンチリン
ポニーテールをなびかせ
烈火の将が夕焼けに向かって人の間に消えて行った


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目次:ユーノ君の華麗な性活、外伝(そとでん)
著者:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA

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