魔法少女リリカルなのはA's++

[147]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/10/03(火) 19:59:24 ID:epazjyAh
[148]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/10/03(火) 20:00:02 ID:epazjyAh
[149]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/10/03(火) 20:00:38 ID:epazjyAh
[150]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/10/03(火) 20:01:15 ID:epazjyAh
[151]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/10/03(火) 20:01:50 ID:epazjyAh
[152]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/10/03(火) 20:02:33 ID:epazjyAh
[153]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/10/03(火) 20:03:08 ID:epazjyAh
[154]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/10/03(火) 20:03:50 ID:epazjyAh

聞く所によると、二日間はやての家に宿泊していたユーノは、なのはの勧めにより高町家に居候することにしたようだ。
なのはは相変わらず忙しく家にいれない時間もあるがちゃんと夜には帰宅していたし、ユーノも久しぶりの高町家に喜んでいるらしい。
言ってみれば元の鞘に戻った、ということだ。そもそも恋愛感情など数日で生まれるはずはないのだ。
はやてとユーノの関係は単なる思い過ごし、杞憂に過ぎなかったんだ、とフェイトがほっと胸を撫で下ろし登校した翌日。

「あーそこの主人公の台詞は鳥肌もんやったな〜」
「そうだよね!僕も少し憧れちゃったよ」

ユーノははやての肩に乗っていた。なのははユーノがいる間は学校につれてくる、と言っていたので
昨日と同様こっそり連れてきていた。今は昼食の時間で、なのは達のグループはあまり人目がつかないで食べていたので
フェレットのユーノもなんの気兼ねもなくしゃべっている。さすがに人間の姿に戻るつもりまではないようだ。
別にはやてとユーノだけの空間が出来ているというわけではなく、すずかやアリサ、時にはなのはも混ぜて普通に話しているだけだ。
フェイトを除いて誰も違和感など覚えていないし、一見楽しそうな昼食のワンシーンのように見える。
だが、どうしてもフェイトには危機感のようなものを感じざるを得なかった。
まずはユーノのいる場所だ。今までユーノがなのは以外の肩に乗ることなど、フェイトの使い魔であるアルフ以外にはありえなかった。
もちろんアルフとユーノが仲が良いのは立場が似ているということだけで、恋愛感情など皆無だ。
次に、はやてだ。今まさにユーノに自分のお弁当を分けているが、執務官であるフェイトの観察眼を甘く見てもらっては困る。
あれは普段のようにシャマルが作ったものではなく、時々作ってくるはやて自作のお弁当だ。
一人暮らしをしていたこともあってかその腕は誰もが認めるほどで、非常に美味だ。
たまたま、偶然かもしれない。しかし、疑うには材料が多すぎる。

「ユ、ユーノ!!」
ユーノがはやてからもらった玉子焼きにかじりついていると、フェイトが突然話しかけてきた。
「あの、実は母さんがお弁当作りすぎちゃって、ちょっと入りそうにないからこれも食べて!」
そう言うやいなやフェイトはユーノを掴むと流れ作業の如く弁当の中身を口に突っ込んできた。
ユーノの腹を満たし、これ以上はやての料理を食べられなくする作戦である。
「あぐ、むぐぐ!!!」
まるでこじ開けられるように口に入れられるのでユーノはなすすべもなく口を開けた。
こんなに次々と入れられたら味以前に飲み込むことすらできない。
ユーノは頬めいっぱいに弁当の具を溜め込むこととなった。
「あはは!ユーノ君リスみたいや〜」
「ちょっと、フェイト何やってん…くっ!」
それを見たはやてとアリサが笑い始めた。なのはも笑いを堪えている。
「ユーノ君、今は夏だから冬眠の準備には早いよ?」
すずかがぽつりと言った何気ないその一言で、なのは達は笑いの渦に包まれた。
(ちょ…誰か…助け……)
ユーノの顔がどんどん青ざめていく。鼻でかろうじて呼吸できていたが、やはり苦しい。
しかもせっかくもらったのだからと飲み込もうとしたのが運の尽き、喉につっかえていた。
「あぁ!?ユーノ!」
結局ユーノは目を回して倒れた。

「あの、えっと、ごめんね…」
ユーノを膝の上に乗せフェイトが申し訳なさそうに言った。
「いや、大丈夫だよ。それに、その、ちょっとしか食べられなかったけど、すごいおいしかったよ」
どうやら怒ってはいないようでフェイトは安心した。
そして、申し訳ないと思いながらもリンディの料理を誉められたのが自分のことのように嬉しく感じた。
「はぁ…はぁ…まだお腹痛いわ」
アリサがようやく気を落ち着かせてしゃべり始めた。
先ほどのユーノの姿が笑いのツボにはまったようでアリサは5人の中で一番笑っていた。
「ほんまにユーノ君はおもろいな〜」
はやてがユーノを見ながら言った。
それを聞いた瞬間フェイトは頭をハンマーで殴られたようなショックを受けた。
しまった。どうやら自分はユーノのポイントを稼いでしまったらしい。これでははやてとユーノの距離が余計縮まってしまう!
フェイトが不安そうになのはを見ると、なのははなぜフェイトがそんなに切羽詰った顔をしているのかわからない、といった表情をした。
(大丈夫、なのは。私がユーノを取り戻してみせるから!)
なのはの気持ちとは別に、決意を新たにするフェイトだった。


それからというもの、フェイトははやてとユーノの会話にとことん介入した。
たとえば、休み時間。
「ユーノ君、今度あの本貸してくれへん?」
「ああ、じゃあ…」
と、ユーノとはやてが小声で話そうものなら、
「あ!ユーノ!!」
「えっと…どうしたの、フェイト?」
「あの、その、わ、私もそれ…貸して欲しいなぁって…」
「え…別にいいけど…」
といった調子で、どこからともなくフェイトは駆けつけ二人だけの時間の邪魔をした。

時には、教室にほとんど人がいなくなる放課後。
みんなで帰る支度をしているとき、
「痛っ!!」
はやてが鞄にノートを仕舞っているときにふいに手を離した。
どうやら紙で指を切ってしまったらしく、ぷっくりと指先から血が出てきた。
「大丈夫!?はやて!」
近くにいたユーノがかけつけ、はやての指先を軽く舐める。
「!?」
「ありがとう、ユーノ君」
フェイトの驚きとはよそに、はやてが微笑みながらお礼を言いユーノが簡易の治癒魔法を使おうとする。
フェイトは超高速で鞄を開け、他の中身も気にせずまさぐる。
「私!絆創膏持ってるから!!はい、はやて」
「え?あ、ありがとう」
絆創膏をはやてに手渡し、ユーノに向き直る。
「誰かに見られたらどうするの!ユーノ!」
「え…でも、僕達以外に誰もいないし…」
「それでも駄目!執務官として駄目!」
といった感じで、はやてとユーノが接しないようにできるかぎりのことをした。
フェイトの中では完璧の作戦だった。


―――数日後


「ユーノの休みも今日で終わりらしいわね」
休み時間、下敷きで自分を扇ぎながらアリサがフェイトに話しかけた。
「うん。そうだね」
フェイトはてきぱきと次の時間の用意をしながら言った。
「…………」
「…………」
アリサとすずかが無言で目を見合わせる。なのはとはやては次の授業の資料運びを任されていて今はいない。
ユーノは帰る準備があるため今日はなのはの家にいるらしい。
「えっと……それだけ?」
アリサがフェイトに聞き返した。すずかも興味ありげにフェイトのことを見つめる。
「え?それだけって?」
フェイトは心底わからないといった感じで首を傾げた。
それを見てアリサはにやりと笑った。
「だって、またしばらく会えなくなっちゃうんでしょ?だったら告白しちゃったほうがいいんじゃない?」

「……………………は?」

長い沈黙の後フェイトは口をぽかんと開けてアリサを見た。
「なのはちゃんもはやてちゃんもこれから好きになっちゃう可能性あるし、今のうちだと思うよ」
すずかがフェイトに小声で囁いた。
「まったくフェイトも不器用なんだから。こういうのはさっさと言っちゃえばいいのよ」
アリサがフェイトを扇ぎながら言った。フェイトは急にきた風で目を細める。
まだアリサとすずかが何を言っているのか理解できない。
「えっと…告白?……好きって、誰が?」
思考は追いつかないがやっとのことで声が出た。風が止みふわりと髪が元にもどる。
「だから!フェイトはユーノのことが好きなんでしょ?」
「なのはちゃん達も絶対気付いてるよね」


それを聞いた瞬間フェイトの頭は真っ白になった。
それから先のことは記憶が曖昧であまりよく覚えていない。
ただわかっているのは、自分はとんでもない誤解をされている、ということだけだった。

                 *

「最近フェイトちゃんの様子、おかしくない?」
エイミィがモニターを監視しながら言った。今はフェイトの任務中で、しばらくの間待機状態である。
「そうか?魔力も安定しているし何も問題はないようだが」
クロノは頬杖を解きながら答えた。フェイトはきちんと任務をこなしているし、学校も問題なく通っている。
「いや、仕事のことじゃなくて、私生活の方」
少し呆れ気味にエイミィが言った。
「私生活?……すまない。思いあたる節がない」
考えてみたがやはり思いつかなかった。たまに食事を一緒に取るし、朝も学校へ見送ったが、
別段変わった様子は見受けられなかった。そういえば、ちょっとここのところため息が多かったような気がする。
(これだから男って……)
エイミィははぁっとため息をついた。近頃フェイトは確実に何か思い悩んでいる。任務は完璧にこなす。
その成果はまだ執務官になって日が浅いとは思えないほどだ。
ただ、任務が終わるとぼーっと壁を見つめたり、自動販売機で喉を潤すつもりがおしるこを買ってみたり、
部屋の隅の観葉植物の葉っぱを遠い目をしながら毟ってみたり。あれではまるで…
(そう、あれはまるで……恋する乙女!!)
エイミィはぐっとこぶしを握り締め勝手に確信した。

「そんなことよりエイミィ」
クロノが少しトーンを下げ、真面目な声で話しかけてきた。仕事の話のときのクロノは雰囲気が変わる。
エイミィも頭を切り替え、振り返って真剣な眼差しでクロノを見た。
「最近起こっているミッドチルダでの連続強盗事件。どうやら僕達に声がかかるそうだ」
「え!?だって管轄が違うじゃない」
エイミィが驚くのも無理はなかった。そもそも、時空管理局はミッドチルダだけではなくいくつかの次元世界で運営している。
故に各次元内の問題はその内々で解決する決まりになっていた。
「ところがだ。相手は次元世界を行き来して潜伏、逃走を繰り返しているらしい。次元空間航行艦船所有の可能性まである」
「!?」
エイミィは本当に驚いたといった感じで目を見開いた。次元空間航行艦船。
つまりアースラと同じ機能、次元間航行能力を有しているということだ。
軍艦ですらその機能を持っていない場合があるほど高価で、足がつかないで入手するなど考えられない。
「たぶんかなり大きな任務になるかもしれないから心に留めておいてくれ。はやてにも伝えてある」
「…………」
エイミィは頷いてモニターに目を戻した。何故だろうか。先ほどの話を聞いてとても心がざわめく。
なにかとてつもなく嫌なことが起こりそうな、そんな気がした。
(気のせいよね…)
エイミィはそう思うと自分の仕事に専念した。

                 *




―――無限書庫最深部




休みも終わり、ユーノは休んだ分を取り返すかのごとく働いていた。
今は魔法を使いながら書物の整理に没頭している。ここは管理者権限がないと入ることはできない。よってユーノ一人だ。
置いてある書物はかなり古いものばかりで劣化も激しく、損失部分を補修したり、限界の場合は破棄したりと慎重な作業を繰り返していた。
室温調整もできないらしくおそろしく寒い。冬に着たコートを部屋から引っ張り出しての作業だった。

「まったく、夏だったり冬だったり、これじゃあ風邪ひいちゃうよ…」

白い息を吐きながらユーノは愚痴を言った。暗くて気分も湿っぽくなる。
早く帰って部屋で暖かいコーヒーを飲みたい、と思った。

「…それは困るな」
「!?」

ふいに後ろで声がしたのでユーノは驚いて振り向いた。
暗くて自分の周り以外は見えないが、かすかに人の気配がする。

「誰だ!!」

ユーノが身構えて叫んだ。
広い空間にユーノの声がこだまする。

「ひどいな…。ユーノは僕のこと、忘れちゃった?」

ゆっくりと人影が自分に近づいてくるのがわかった。
照明に足が見え、だんだんとその体を照らしていく。

「久しぶり。ユーノ」

現れた人物の顔を、ユーノは見たことがあった。

次回へ続く

次回 第六話 「青い髪の少年」

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著者:396

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