魔法少女リリカルなのは、 〜伝説の傭兵〜

[224]37564<sage> 2006/07/08(土) 01:04:42 ID:i05alAAT
[225]37564<sage> 2006/07/08(土) 01:06:46 ID:i05alAAT
[226]37564<sage> 2006/07/08(土) 01:09:07 ID:i05alAAT
[227]37564<sage> 2006/07/08(土) 01:10:27 ID:i05alAAT

「キエェェェェェェェ!!!」
「気味の悪い声出して近付くんじゃねえぇぇ!!」
ヴィータは奇声を発するマネキン人形の頭をグラーフアイゼンで場外ホームランをかます。
しかし、
「ちっ、顔が無くなったってのに平気で攻撃してきやがる」
頭の無くなったマネキン人形が奇声は発しなくなっても手に持つ包丁で何度もヴィータに切りかかろうとしてくる。
「…本来は唯のマネキンに魔力を流して魔導人形にしたのもだ。
首が取れようが腕が切られようが戦い続ける」
そう言うシグナムの視線には30以上のマネキンの残骸が散らばっていた。
しかし、その全ての残骸は宙に浮き尚もシグナム達を狙っている。
中には、ナイフを持つ『手』だけや頭の半分が壊れた人形もあり、
本当にB級ホラーの光景だった。
「…これじゃ、傀儡兵の方が何倍もましだぜ」
ヴィータが溜息を吐きながらそう呟く。
「お前のギガントフォルムなら完全に破壊出来るかもしれんが…」
「おお!そうか、なら……ってあれ?」
シグナムの言葉を聞いたヴィータが懐を弄ったが、アル物が無くなってる事に気付いた。
「如何した?ヴィータ。やるなら早く…『無いんだよ」!」
「…あたしのカートリッジが一つも無いんだよ…」
ヴィータはそう言ってシグナムの顔を見た。
因みにこの時のヴィータの顔はウケる筈のネタが豪快にスベッた芸人と同じ顔だったそうだ。
              ※
一方、シグナム達から一旦逃走した男は、
「…ベルム…ホルム…」
男が両手をビルの壁に向けて詠唱を行ってると両手の掌から黒い球体が浮び向けていたビルの壁に向かう。
すると、黒い球体はまるで水滴が砂に滲みこむ様に壁に吸い込まれた。
「…ふう、これで大体50%ってとこですね。それにしても大分魔力を使ってしまいましたね」
男はそう言うと懐からアル物を取り出した。
それは、さっきまでヴィータが持っていた筈の数本のカートリッジだった。
「上手く盗めましたが…あの一撃は痛かったですが」
そう、実はヴィータがラケーテンハンマーを食らった一瞬の隙に懐からカートリッジを盗んでいた。
「…まぁ、プラマイゼロと言えばそこまでですが…ん、」
すると、男は手に持っていたカートリッジを全て口に入れ飲み込んでしまった。
「…ふぅ、やはり美味しくはありませんね。さて、残りをやってしまいますか。
…あっ、『彼』にも一応連絡しときますか」
              ※
『…ほう、久々にお前の『アレ』が見れるのか?』
『ええ、今回は数もやや多いですし、これが一番簡単でしょう』
『丁度良かった。俺の方も調子に乗って補給分以上の魔力を使っちまってな。
接近戦で誤魔化しちゃいるがこれじゃあ補給も出来ねえ。…っで、後どの位だ?』
『大方、終わりました。後は貴方が陽動そのちびっ子達を、私はベルカの騎士どもを誘い出します。
場所はあのスクランブル交差点。良いですね?』
『了解。それじゃあ後でな』

(さて、俺は一撃を受けて後退の様に見せかけないとな)
すると、直にチャンスが来た。

「隙あり!!」
フェイトがバルディッシュで男の肩に傷を入れた。
「ぐわああああああ!!!(少し芝居臭せえか…)」
男は内心そう思いながらも肩を押さえ絶叫した。
「な、なんだ?アイツの痛がりよう」
クロノは男の以上の痛がりに内心疑ったが、
「(ここでバレちゃ水の泡だ)イテエエェェェェェ!!!
クソーーーー!油断した!!悔しいがここは一旦撤退だ。
覚えとけよお前等!!」
男は大根役者以上の臭い芝居で地上近くに飛んで行った。
(あ…怪しい…(汗)
流石になのはも怪しいと思ったが、
「チャンスだ。なのは、クロノ、一気に捕まえよう!!」
攻撃が通ったのが余程興奮したのかなのはとクロノの返事も待たずフェイトが飛び出した。
「フェイトちゃん!?」
「フェイト、一人じゃ危険だ!」
クロノ達がそう叫ぶと同時にフェイトの後に続いた。
=某ビルの屋上=
「…ん?フェイトかい?…ん、…ん、分かった、あたしも行くよ」
「フェイトからかい?」
「ああ、如何やらアイツフェイトの一撃を食らった途端逃走したそうだよ」
「ええ!アルフ、それは本当!?」
ユーノが声を荒げてアルフにそう聞いた。
「あたしは見て無いけどフェイトがそう言っていたから正しいと思うよ」
(…妙だな、本当にあの男が逃げ出したのか?確かあの文献じゃあ…)
「じゃ、あたしも行くよ。フェイトもあの男を捕まえようとしてるからね」
「それなら、僕も行く…痛ッ!」
ユーノは立ち上がろうとしたものの折れた左腕に痛みがはしった。
「駄目だよ、ユーノ。あんたは此処で傷を治しな。
大丈夫、相手はフェイトの一撃を食らった手負いだよ。あたし達だけで事足りるさ」
アルフは言い終えるとフェイト達の方に跳んで言った。
               ※
「ん?何だ?コイツ等急に動かなくなったぞ」
シグナムのカートリッジを何本か貰ったヴィータは動かなくなったマネキン人形を睨んだ。
「気を抜くな。何か仕掛けて来るかもしれん」
シグナムはそう言ってレヴァンティンを構えを解かなかった。
すると、今まで宙に浮いていたマネキン人形が糸が切れたみたいに次々と力無く地面に落下していった。
「…一体これは?」
シグナムがそう呟くと、
「シグナムーーーー!!!ヴィーターーーーー!!!怪我しとらんーーーーー!!??」
突然、デパートの反対方向から聞きなれた声が聞こえてきた。
「はやて!」
ヴィータが声のした方を見ると声の主のはやてとシャマルにザフィーラが近付いて来る。
「主はやて?もしかして貴方があの人形どもの魔力を『蒐集』したのですか?」
はやてが二人の傍まで来るとシグナムがそう聞いた。
「蒐集?うち、此処最近蒐集なんて使ってへんで」
もしかしたらと思ったシグナムだったがこのはやての言葉を聞いて疑問が生まれた。
(ならば何故あの人形どもは動かなくなったんんだ?時限性の魔力と言うヤツか)
「あっ、あの野郎あんなとこに居やがった!!」
シグナムが考えているとヴィータが男の居る場所を見つけた。
「…何であんなとこに居るんや?」
はやてがそう呟いた。その場所とは、デパートからそんなに遠く無いビルの屋上に居る。
男は見つけてくれと言わんばかりにそこではやて達を見ていた。
「…確かに怪しいわね」
「ケッ、どうせ高みの『カンブツ』ってヤツを決め込もうとしてたんだろ」
「かも知れんな。けどその前にヴィータ。カンブツやなくて『見物』や」
取り合えずはやてはヴィータのボケに突っ込んでおいた。
「良し、突っ込むべきとこも突っ込んだし行くで皆」
そう言うと、はやて達は男の居るビルに向かった。
しかし、シグナムだけは、
(奴は本当に高見の見物をするつもりだったのか?
だとすればあの人形ども動かなくなったのは、…一体…)
そう考え込んでいた。
            ※
「着いて来てますね」
男ははやて達が追って来るの確認すると屋上から飛び、既に1分近くが経った。
時々、男に向けて攻撃魔法を繰り出していたが、ギリギリで全てかわしていた。
『此方は順調。其方は如何ですか?』
『こっちも順調だ。尤もガキが一人足らんが大した事は無いだろう』
『確かに…それでは途中で合流してあそこに追い込みましょう。尤も追い込まれ役は我々ですがね』
               ※
一方、傷を癒す為、一人ビルの屋上に残ったユーノは、考え事をしていた。
 奇妙だな。やはり、あの文献に書かれていたのは唯の伝説なのか?
 …でも、あの男の攻撃魔法と奇妙なフードは文献通りだし、…まてよ、
 もう一人の男の能力は何だ?文献の内容だとそれぞれが特殊能力(魔力)を持っていた筈だ。 
ユーノが其処まで考えた時、ユーノの目に男達とそれを追うなのは達の魔力が見えた。
 確かになのは達が追ってるけど…何か腑に落ちない。
 何だろ…まるで“追いかけてる”と言うより“追い掛けさせられてる”様な…陽動!?
 しかし、陽動したとこで現状の9対2じゃ幾ら何でも…!
この時、ユーノは更に文献の内容を思い出した。
 そうか、これは罠だ!!
 だが、その罠は何処だ!?探すしかない。落ち着け僕の探査魔法で探すんだ。
すると、ユーノの足元に緑色の魔法陣が広がった。
 …見つけた!でも不味い。男達の誘導でかなり近くまで寄せられてる。
 早く行かなきゃ!痛ッ!痛がってる場合じゃない行かなきゃ!!
ユーノは左腕を押さえつつ皆のとこに向かった。
             ※
「…着きましたよ」
「此処か、ならお前の仕掛けはあの建物付近ってとこか」
二人の男がスクランブル交差点の真ん中に着地した。
すると、直に男の後を追ってなのは達が到着し掛けた。

「なんだ?あいつ等あそこで立ち止まったぞ」
「捕まる気にでもなったのかい?」
「分からないけど、チャンスかも知れない」
「良し、一気に捕らえるぞ!」
クロノの声にそれぞれが「オオー」と言う、
(やはり、妙だ。警戒しつつ近付くべきか…)
そんな中、シグナムは男たちの妙な動きに気付きかけていた。
しかし、時既に遅し…

「3,2,1、景気良く行きましょうか」
男がそう呟くと指を鳴らした。
次の瞬間、
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド………
なのは達の周りのビルの壁が次々と爆発し始めた。
「な、なに!これ?」
流石のなのは達もこれにはビックリし足を止めてしまった。
「奴等、これが狙いだったのか!?」
「危ない、はやてちゃん!」
「フェイト!!」
アルフが防護陣を出そうとしたが、
「で、出ない!?何で…」
アルフが呟くと同時に爆発と瓦礫に飲み込まれてしまった。

「ふっふっふっ、これが私の得意技『魔導爆弾』ですよ」
男は誰に言うでもなくそう言って笑みを浮かべていた。

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目次:魔法少女リリカルなのは、〜伝説の傭兵〜
著者:37564

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