232 名前: 396 ◆SIKU8mZxms [sage] 2007/09/23(日) 03:41:53 ID:H/vP6FMn
233 名前: 396 ◆SIKU8mZxms [sage] 2007/09/23(日) 03:42:47 ID:H/vP6FMn
234 名前: 396 ◆SIKU8mZxms [sage] 2007/09/23(日) 03:43:29 ID:H/vP6FMn
235 名前: 396 ◆SIKU8mZxms [sage] 2007/09/23(日) 03:44:46 ID:H/vP6FMn
236 名前: 396 ◆SIKU8mZxms [sage] 2007/09/23(日) 03:45:29 ID:H/vP6FMn
237 名前: 396 ◆SIKU8mZxms [sage] 2007/09/23(日) 03:46:08 ID:H/vP6FMn
238 名前: 396 ◆SIKU8mZxms [sage] 2007/09/23(日) 03:47:16 ID:H/vP6FMn
239 名前: 396 ◆SIKU8mZxms [sage] 2007/09/23(日) 03:48:20 ID:H/vP6FMn

広葉樹が生い茂り様々な昆虫が飛び交う中、息を潜めた夜行性の動物達が地を這い木々を渡り歩く。
ミッドチルダの辺境にあるこの森の周りには人は住んでいない。
ただ、森のとある場所に、現在解放されたスクライア一族が今現在暮らしていた。
解放したとは言え、サイオン達はまだ十数人の人質を捕えている。
全ての計画が終わるまで解放済みのスクライア一族には大人しくしていてもらうために、サイオンはいくつかの条件を出していた。
それは、指定された場所で残り数週間暮らすことと、他の人間と接触しないことの2つ。
監視はつける必要はなかった。人の命がかかっている状態でもし万が一という危険を冒す人間は少ない。今さら管理局に伝えたところで、
人質解放がうまくいくとも限らない。ユーノという希望を信じる方が賢明という判断を一族が取ることは明らかだった。
そして案の定、一族は指定した場所で静かに暮らしていた。彼らはテントも食べ物も購入できない状況で、
洞穴で原始の人間さながらの生活を余儀なくされていた。しかし流浪の旅を続けるスクライア一族にとってさして苦に感じる生活でもなかった。
その洞穴から数十メートルの木の陰に、覆面の男達が銃を手に息を潜めていた。
暗視スコープが草葉の合間から獣のように不気味に光りを放っていた。任務は一族の暗殺。
そもそも今回の計画は、関わった者を皆殺しにすることで達成される。
人質を利用しユーノを操りつつ、管理局にダメージを与える。年端もいかない子供ばかりを起用する脳なし達のメンツを潰す。
無限書庫司書長の裏切りと若手ホープ揃いのアースラの失態。それを実現するためにも事件の全貌を語り継ぐ人間がいてはならない。
サイオン達に都合の良い事実だけが流れる必要がある。裏切り者ユーノの失踪と何者かによる一族の殺戮。その事実さえ残ればよいのだ。
覆面達のリーダーが仲間に合図を送る。男達が洞穴入り口の側面に張り付くように待機した。
すでに時計は合わせてある。今頃グランディアではユーノが転送魔法を発動する頃だ。もちろん実行前に殺される計画になっている。
リーダーの男が時計を確認する。部下達も息を殺し合図を待つ。
男達はぐっと持っている武器を強く握った。もちろん彼らは魔法を使えないわけではないが、この隊は不得手な人間が多い。
その代わり魔法よりも確かな慣れ親しんだ力、銃火器を装備している。魔法という生易しいものより、
この重量感と安定感の方が自分たちに自信と安心をもたらした。男達の家系は代々質量兵器製造を生業としていた。
厳しい規制の中でも祖父の代まではわずかながら需要が存在した。しかし、ついに親の代で全面禁止となった。
魔法文化による統制。援助金なども支払われたが、結果親ともども職を失った。
祖父達がよく口にしていたことがある。職業は生き様だ、と。ただ金を得て、飯を食うだけの人生に何の意味があろうか。
例え人を殺す道具であろうと、道具には人の知恵と魂が込められていると男達は信じている。
倫理や道徳よりも優先される誇りがそこに存在した。
5…4…3…2…1…
パッと時計のバックライトが光ると同時に、リーダーの男が指で突入の合図を送った。
相手に魔法を使わせる隙を与えなためにもすばやく突入する。2人を入り口に残し、8人が低姿勢で一斉に洞穴内部で銃を構えた。
「!?」
一斉射撃の合図をする前にリーダーの男の目が見開いた。洞穴には誰もいない。生活の形跡はあるものの、人一人いないのである。
つい数十分前に洞穴内に入る一族を確認したばかりだ。転移の形跡もない。すぐに気がつく。この明らかに異常な状況に。
「罠かっ!!」
男が叫ぶと同時にすぐさま全員が入口に走った。
星の光が淡く照らす入口に着くと、どさっと2人の男が倒れこんだのが目に入った。
「くっ!!」
全員で銃を構える。光を背に巨大な影を作る何者かが、男たちの前に立ちはだかっていた。
屈強な肉体と、褐色の肌を持つヴォルケンリッターの騎士の一人、ザフィーラだった。
「…投降しろ」
静かに、しかし力強く言い放ったザフィーラにリーダーの男が叫んだ。
「馬鹿が!!一人で八人に勝てると思ってるのか!?」
男達の一人が威嚇するように言った。こちらの武器の方が魔法よりもはるかに連射力がある。
物量で攻めればバリアも突破できるはずだ。
「一人?」
その声のする方向にぎょっとして男達は振り返った。洞穴の奥、暗闇に炎が一直線に伸びる。
炎は下から上にゆっくりと移動し、ぼんやりとその持ち主を映し出した。
「二人の間違いだ」
岩陰から姿を現したのは炎の剣を持った烈火の将、シグナムだった。
予想外の挟撃にリーダーの男に嫌な汗が流れた。

                 *

「まだシールドは解除できないのかしら…」
治癒魔法を施しながらシャマルは呟いた。かれこれグランディア突入から30分程が経過していた。
一番の目的である人質の解放が成功した以上、後は犯人一味の確保だけだ。乗組員の規模から考えてそろそろ全てが終わっても良い頃だ。
しかし入ってくる念話は負傷や援助要請が多い。シャマルは本来後方支援がその役目であるが、今はユーノにかかりっきりになっている。
一応シャマル達が狙われることも考えて2名の護衛があたりを見回っているが、やはり不安もある。
肝心な艦の制御室の制圧が滞っているのが問題だろうか。艦を覆うシールドを解除しなければ怪我人や人質を艦外へ転移することができない。
まさかとは思うが、負けてしまうということもありえるのではないか、という疑念がシャマルによぎった。
いや、これは疑念ではなく予感だ、と思い直す。確証のない、ぼんやりとした予感。
すぐにそんなことはないと自分に言い聞かせるようにシャマルは首を振った。
ただ、流れがいつもと違うような違和感があった。今回は本来指揮官でいるべきはずのクロノまで出動している。
アースラにいた武装局員を総動員しての完全制圧が目的だった。しかし、それにしては時間がかかりすぎている。
今のシャマルには無事に事件が終わるのをただ祈ることしかできなかった。
すると突然ユーノの体がわずかに動いた。
「う…くっ……」
「ユーノ君気がついのたのね!?」
ユーノの声にシャマルが治癒を続けながら問いかけた。するとゆっくりとユーノの瞳が開いた。
「ここ……は?あぐっ!?」
「まだ体を起こしちゃ駄目よ!!」
ユーノは上半身を起こすと同時に激痛で背中を丸めた。シャマルはユーノの肩を押さえつけ寝かせようとする。
しかし、ユーノは肩をゆすって振り払い、痛みに脂汗を流しながら顔を少し上げて言った。
「み、みんな……人質は…?」
ここにシャマルがいることや自分の状況よりも、ユーノはまず人質の安否を尋ねた。
それほどユーノにとっては優先すべきこと、いや、全てだと言えた。
「大丈夫、全員首輪からは解放されたわ。まだ艦内にいるけど、じきに脱出できる」
シャマルは少し早口にユーノの耳元で言った。
それを聞いてユーノは俯いて体を震わせた。
「……よかった、本当に…」
ユーノの瞳から涙が溢れた。シャマルはそれを見てユーノの背中をさすった。
今回の事件で一番つらかったのはまぎれもなくユーノだ。家族を人質に取られ、心と体を削られながら、それでも諦めずに進み続けた。
仲間の解放というただそれだけのために。今のユーノの心境はシャマルには計り知れない。
それでも、安堵し涙する少年を見て、自然と微笑みが生まれた。
「あ…!!どうしてシャマルがここに…?」
ようやく自分の存在に気づいたことに吹き出しそうになったシャマルだが、作戦遂行中ということもあり的確にその質問に答えた。


「じゃあ…クロノが直接ここに来てるのか…」
「ええ、全体の指揮はリンディ提督がしてるわ。クロノ艦長は直接サイオンと闘ってるみたい」
「なんだって…!?」
ユーノが驚きの声を上げた。確かにクロノは暫定の艦長でありアースラそのものの権限はリンディが所持していた。
しかし、わざわざリンディを召喚してまでクロノが直接戦闘に加わる必要があるのだろうかという疑問が生まれた。
そしてなにより、あのサイオンとクロノが闘っているという。戦闘からどれくらい経ったかはわからないが、決着はまだついていないようだ。
ユーノは顔をしかめながら膝を曲げた。
「それじゃあ…こうしてもいられないな……」
「えっ!?ちょ、ちょっとユーノ君!!?」
急に起き上がり始めるユーノにシャマルが驚いて治癒魔法を止めた。
「うぐっ…!!」
立ち上がったユーノはすぐに激痛で倒れそうになったが、コンテナを背に踏みとどまった。
「何してるの!!動けるような体じゃないのよ!?」
シャマルが叫んだ。鎮痛剤はすでに打ったが戦場であまり強い薬を打つわけにもいかず、それほど効果は期待できない。
荒い息を吐きながらもユーノは顔を背けて言った。
「クロノがサイオンと闘ってるんだ…。僕も、行かなきゃ…」
「な、何言ってるの!?そんな体で…あなたは怪我人なのよ!?」
苛立だしげ言ったユーノにシャマルは怒鳴った。ユーノは本来早く病院に連れていかなければならない重症なのだ。
おそらく意識の覚醒により右腕の感覚は戻り始め、気を失いかねない激痛が走っているに違いない。
例えクロノの所に行ったところで魔法はおろか、まともに動けるはずもなかった。
「寝ぼけたこと言わないで!!戦闘への参加は医務官として、いえ、身内として絶対に許しません!!」
そう言ったシャマルの言葉にユーノがぴくりと体を震わせた。シャマルにとって、ユーノは家族に近い存在になっていた。
ユーノだけじゃない。なのはも、フェイトも、闇の書事件以降知り合ったみんなが大切な存在だった。
ユーノもはやての家で過ごした数日間が脳裏をよぎった。
本当に楽しかった。はやてとの読んだ本の話や、リインフォースとの魔法の勉強、ヴィータのちょっかいや、
シグナムのまっすぐな言葉、シャマルとの気楽なおしゃべり、それを暖かく見守るザフィーラ。
はやて達は、仕事に擦り切れ、精神的に疲弊したユーノに家族のぬくもり、そしてその大切さを思い出させてくれた。
いくら言葉を連ねても感謝を伝えきれない。


―――――それでも


「わかったよ……」
ユーノが肩の力を抜いてシャマルに背を向けた。
「なら、早く横になって。まだ治療は終わってないのよ」
シャマルがホッと胸を撫で下ろした瞬間、真下に魔法陣が出現する。
「えっ…!?」
3本のチェーンバインドが現れシャマルを一瞬で拘束した。敵の攻撃なのかどうか考える間もなく、バインドはシャマルの口を覆ってしまった。
瞬時に気づく。この魔法の発動者がユーノであることに。声を上げたが、鎖に覆われ発声できない。
無駄とわかるとすぐさまシャマルは念話で付近にいるだろう護衛の局員を呼んだ。
なぜ、どうして、という疑問がぐるぐるとシャマルの頭を駆け巡った。
「ごめん、シャマル…」
そう一言だけ言って、ユーノはその場を飛び去った。振り向きもしなかった。
シャマルはどうすることも出来ず、困惑の目でその後ろ姿を追い続けた。


シャマルへのバインドは30秒もすれば解けるし、先ほど念話で局員が来ることもわかった。まず大丈夫だろう、とユーノは思った。
戦場へ行ったところで足手まといになるのはユーノも十分理解していた。右腕は使い物にならないし、麻酔を打たれたのか感覚も鈍い。
若干熱もあるようだ。まさに満身創痍。相手が本気でこちらを殺そうとしてきているのはユーノが一番わかっている。
フェイトがいなかったら今ごろ頭が真っ二つになっていたところだ。このままサイオンの所に向かっても、
たどり着く前に他の魔導師からの攻撃をうければあっけなく死んでしまう可能性さえあった。
それでも、この気持ちは抑えられない。抑えることができなかった。
一族の首に爆弾を取り付け、殺されるかもしれないという恐怖の中一ヶ月も拘束し、犯罪を犯させ、
自分に大切な人を撃たせた。これほどの仕打ち、屈辱があるだろうか。自分のことはまだよかった。
しかし、家族を、なのはを危険に晒した。絶対に許しておけなかった。
この胸の内から湧き起こる感情は、怒り。一心不乱の怒りが、気を失いそうな痛みさえ忘れさせていた。
「この戦いは……この戦いだけは、譲れない。絶対に」
ユーノは小さく、しかし力強く呟き憎き相手を探した。

                 *

『3番6番隊はヴィータを支援!!医療班は戦闘不能の敵も回収するのを忘れたらあかんで!』
ヴィータの乱入で場が一瞬止まったが、はやての指示に一斉に局員達が動いた。
「どけええぇぇーー!!!!」
ヴィータの鉄球が次々と敵の魔導師を撃墜していく。たとえ三対一になろうと、ヴィータの突撃力を止めることができる魔導師はいなかった。
何より、ヴィータの参戦によって隊全体の士気が一気に上がっていた。
古強者の多い相手の魔導師達はその戦況の変化にすぐさま気がついていた。切り札である兵器の破壊もあり戦況はひっくり返ったと言っていい。
それでも、諦める者など一人もいなかった。全ては、サイオンを信じるがゆえ。
職を失い絶望の淵にいた彼らを拾い、復讐のチャンスを与え、道を指し示し続けたサイオンに絶対の信頼を持っていた。
負傷し、撃墜されたと思われる魔導師達が死者が蘇るかのように局員達の前に再び姿を現す。
その形相と勢いに局員達は息をのんだ。これが復讐者。怒りと憎しみの炎をその身に宿し、その炎で他者を焼こうとする者達。
「ちっ!なんなんだよこいつら…!!」
攻撃を当てても怯まずに向かってくる魔導師達にヴィータは叫んだ。
再び拮抗し始める戦況の中、はやては指示を出しながらも人質達を移動させていた。質量兵器という脅威はなくなったものの
少しでも安全な場所を確保する必要がある。倉庫内では戦いが起こっている場所にばらつきがあるものの安全圏というものは存在する。
全体の戦況を見ながらはやてはそこを目指して人質達や怪我人を移動させていた。
「1番隊の方はまだなんか!」
『まだ制御室に到達できてないみたいです…』
苛立たしげに言ったはやてにリィンフォースがばつが悪そうに返した。突入部隊は医療班も含め10に分かれた分隊で構成されており、
1番隊は優秀なものをそろえ、制御室の制圧という独自行動をとらせてある。しかし、突破力がないためか手間取っているようだ。
はやては唇をかみ人質の移動に専念していると、先ほどヴィータが入ってきた大穴から白い影が入ってくるのが目に入った。
向こうもこちらに気づいたようで一直線に飛んでくる。
「な、なのはちゃんっ!?」
バリアジャケットを身に纏い目の前に降り立ったなのはを見て、はやてが目を丸くして言った。
「どうしてここに!?」
はやては当然の疑問を口にした。グランディアへの突入はつい先ほど急遽決まったことで、もちろんヴィータにはその命令が知らされたが、
魔力のないなのはがここに来るはずがないと思っていたからだ。
「ヴィータちゃんに無理言っちゃった」
少し悪びれて言うなのはの言葉を聞いて、はやてはあまりに早かったヴィータの到着に納得がいった。
どうやらヴィータはなのはをミッドチルダの病院に送ることなく、直接ここに来たらしい。それもなのはの意志を酌(く)んで、とのことだ。
「何言うとるんや!?なのはちゃん、今魔力ほとんどないんやろ?」
「全力の5分の1…ううん、たぶん6分の1くらいかな…」
それを聞いてはやてはあちゃーっと額に手を当てた。なのはの全ての魔力はユーノに移譲されたはずで、一晩空けたとしても魔力は
すぐに回復するものではない。おそらく今現場にいるどの魔導師よりもなのはの魔力は低いだろう。
突入命令を聞いていてもたってもいられなくなったんやな、とはやてが思った時なのはがそれを読んだかのように言った。
「ヴィータちゃんが突入命令を聞かされる前から、私はここにくるつもりだったんだよ。ユーノ君が場所を言わなくても、
きっと自分で探してた」
「そやかて魔力の少ないなのはちゃんじゃ、ここで出来ることなんてあらへんやないか」
俯いてそう話すなのはにはやてが少し怒り気味に言った。
「出来ることは少ない…と思う。でもゼロじゃない。シールドだって張れるし、空だって飛べる。我侭だってこともわかってる。
私ってやっぱりまだ子供なんだって、思った」
弱々しくそう言い終えると、なのはは俯いていた顔を上げて力強く言った。
「それでも…!それでもユーノ君が守りたい人達を守ってあげたい!!ユーノ君が私を守ってくれたみたいに、
私も何かしてあげたい!!」
叫ぶように言ったなのはにはやては何も言えなかった。その気持ちは自分も同じだったから。
そして先ほど自分が言ったことが失言だったことに気づく。魔力のない人間に出来ないことはない。それは間違いだ。
たとえ出来ないことがあっても出来ることを探せばいい。自分が無力だと思ったとき、人は無力になるのだ。
「わかっとる…わかっとるけど…」
眉を八の字にしてはやてが言った。気持ちは理解できるが、やはりなのはの言い分は正しいというわけではない。
組織の一員として、個人で行動するのはご法度だ。なのはに命令が降りていない以上、戦闘はさせられないし現状から見てしてほしくない。
もちろん猫の手も借りたい状況だが、我侭が通せるほど任務が甘くないのはなのは自身が誰よりもよくわかっているはずだ。
そんなはやての心の内を察してか、なのはが言った。
「大丈夫。リンディ提督の許可はもらったから」
「んなっ!?」
嘘やろ、とはやてが続けた。今この場は戦場であり死ぬ危険性さえある。リンディが身内を死地に送るとは到底思えなかった。
「はやてちゃんは制御室の方をお願い。人質の警護は私がするから」
「そりゃ私もそうしたいとこやけど…」
確かに今はここの指揮権を一時的に分隊の隊長にゆずり、制御室制圧に合流したい所だ。
指揮の他に警護という重荷まで背負わせることにはやてはためらいを持っていたが、なのはがその重荷を受け持ってくれるというなら話は変わる。
敵に集束型の質量兵器がない今人質を守るだけのシールドなら今のなのはの魔力でも十分だ。
しかし、それでも万が一ということはある。いざという時の後方支援もエースの役目だ。
「そもそもなんで許可が降りたんや?」
リンディの決定に疑問を口にしたはやてになのはが答えるように言った。
「うん。最初はね、そんな魔力で行くなんてやめなさいってリンディさんに怒られたんだけど…」
少し恥ずかしそうに言いながらなのははポケットからあるものを取り出す。
「でも、これで許してもらったの」
「それは……!!!」
なのはが手に持つ物を見てはやてが驚きの声を上げた。

次回へ続く

次回 第二十五話 「秩序の破壊者」

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目次:魔法少女リリカルなのはA's++
著者:396

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