678 着慰 sage 2008/04/18(金) 00:37:48 ID:KBKM52hQ
679 着慰 sage 2008/04/18(金) 00:39:17 ID:KBKM52hQ
680 着慰 sage 2008/04/18(金) 00:40:44 ID:KBKM52hQ
681 着慰 sage 2008/04/18(金) 00:42:21 ID:KBKM52hQ

 ある夜半、フェイトは自室で机の引き出しを開けた。
 入っているのは、どう見てもその場所には相応しくない男物のトランクス。それを手にベッドへとって
返したフェイトは、おもむろに服を脱ぎ始める。
 この後する事が終われば風呂に入るつもりなので、別に服が汚れても構わない。クロノと色々したこと
の痕跡が残る服を見たアルフに、ちくちく嫌味を言われることも初めてではない。
 しかし、独り寂しく慰めたことを知られるのは、何故かとても嫌だった。
 脱いだ服をきちんとたたみ、全裸となったフェイトは再びトランクスを手に取り、顔に押し当てた。
 この下着が最後に洗濯機に入れられてから、数週間が経過している。腐臭とは言わないが、かなりきつ
い匂いがした。
 しかしフェイトは顔をしかめもせず、むしろ急速に眼を潤ませながら深々と息を吸い込んでいく。
 これは恋人が長期航海に出る前夜、身に着けていた物。あの日はお互い制服を着たままベッドに飛び込
み、行為の半ばまでそのまま脱ぎもせず乱れ合った。
 特に最初、制服の上から執拗にクロノの指や膝で刺激され、フェイトはショーツどころかスカートまで
もがどろどろになるまで何度も達した。
 しかしフェイトも朦朧とした意識で必死に反撃し、ズボンの上からクロノを撫で回して何回も痙攣させ
た。
 ようやくクロノが下着を脱ぎ去った時、べっとりと白いものがトランクスを汚していたのをフェイトは
見逃していない。
(……このへんが、一番濃いかな)
 精子が付着したことでぱりぱりになった場所を押しつけ、大きく鼻で呼吸する。
 瞬間、くらりと頭が揺らいだ。
 匂いがひどかったからではない。その奥に、確かにクロノの精臭を嗅ぎ取ったからだった。
 それは妄想と淫欲が生み出した幻臭だったかもしれない。しかし例えそうだったとしても、フェイトの
疼きを加速させるには充分だった。
 色白の相貌が、急速に淡い桜色となる。
「はぁ……クロノだ……」
 口元と目尻をだらしなく歪ませ、フェイトは下着から顔を離す。しかしそれは終わりを意味するもので
はない。
 眼前にぶら下げた下着に、フェイトは舌を伸ばした。
 先端が触れると、口全体に独特の苦味が走った。
 たまらずしゃぶりつく。
「んっ、んぷっ、んんんんっ!!」
 歯で噛み舌でねぶりつつ、空いてる手は自然に下へと伸びていた。
 すっかり出来上がった心と逆に、肉体はまだ濡れるどころか硬いまま。無理はせず、指先でゆっくりと
かき分けて、上下した。
 たったそれだけでも、クロノの精を吸い取る度に敏感さを増していった肉体は、すぐに感応して準備を
始める。襞の間から滲み出てきた愛液が、指に熱い。
「んっ、あっ……はぁ……」
 比例して血の温度も上がり、筋肉から力を失わせた。
 座る姿勢を維持するのも難しくなり、フェイトはシーツに身を投げ出す。
 さらに弄くり完全に出し入れがスムーズになったところで、フェイトは一旦指を抜き下着を持つ手を入
れ替えた。
 身体が冷めないよう乳房をまさぐりつつ、指の間で糸を引く淫水をさっきまで舐めていたトランクスの
股間部分になすりつけた。
 てらてらと輝くまでになったところで、また口に含む。
 己の愛液を口にするという変態行為で自分を追い込み、クロノに開発された被虐癖を刺激しようという
目論見だったが、脳が再生したのは別の記憶だった。
(この味、いつも私がきれいにしてるのと一緒だ……)
 クロノとの最中あるいは事後、膣で精を放ったばかりの肉棒を口に含むことがある。
 その時に味わうフェイトの蜜が混ざったクロノの精液は直に飲むのとまた別の味わいで、味覚経由で身
体を火照らせる材料だった。
「ぷはっ……はふぅ……」
 舐め終わった時には、フェイトの股間は陰毛の先までびっしょりと濡らしつくしていた。
 フェイトは唾液で濡れた下着を指に絡ませたまま、再び秘裂を割った。
「くぁっ……うくっ、大き……いっ!」
 布を幾重にも巻きつけた指は、ちょうどクロノの肉棒と同じぐらいの太さになっている。まだ僅かにこ
びりついた精の残滓を摩り込むように、フェイトは何度も何度も内側に擦りつけた。
 じゅぷじゅぷという水音。呼吸が速く大きくなっていく。
 陰核を刺激せずとも、フェイトは急速に高みへと誘われていった。
「やっ、ああっ、あああんっ!!」
 より深くへ指を咥え込もうと、膣は締めつけながら小刻みに痙攣する。素直に従い、一気に根元まで突っ
込んだ。
 さらに、クロノが終着点間際にそうするように、最も奥にある胎内への入り口を強く押しつけたままぐ
いっと捻った。
「あああぁぁぁっ クロノっ!!」
 愛する人の名前を鋭く叫ぶと同時に、フェイトの脊髄が突っ張る。
 呼吸をするのも忘れて、フェイトは偽りの快楽を全身で感じた。


 頭から熱が去って真っ先に考えたのは、握り締めたままだったトランクスのことだった。
 もうこの下着は使えない。嗅いでも自分の恥臭しかせず、彼を思い出すよすがになりはしない。
(またしたくなったら……どうしよう)
 指だけでも達することは出来るが、身体はともかく精神がなかなか満足してくれず何度もするはめにな
るのだ。そして時間がかかればかかるほど、終わった時の空しさは大きい。現に今も、心にじわじわと空
洞が生じつつあった。
「…………クロノ」
 絶頂時とは比較にならぬ弱々しさで彼の名を呼び、まだ震えている指をフェイトは枕元に伸ばす。
 飾られているのは、自分とクロノのツーショット写真を収めた写真立て。引き寄せ、濡れて霞む目を凝
らし、恋人の顔を視界にいっぱいに収める。
「早く帰ってきて。それでいっぱい私のこと抱いて、汚して…………クロノの匂いを、染み込ませて」
 最後にそっと、クロノの写し身に口づけを落とした。



           ※



 同時刻、戦艦クラウディア艦長室。
「んんっ!」
 低く呻いて、クロノは自分の手の中に精を漏らした。
 大きく息を吐くクロノ。だが余韻に浸るでもなく、あらかじめ手元に置いておいたティッシュで拭い、
これまた用意しておいた足元のゴミ箱に放る。その表情は鬱々としていた。
 クロノは自慰が好きではない。仕事場がどうだからというのではなく、単純にそこまで気持ちよくない
からだった。
 極上の媚肉であるフェイトの身体を食い慣れた身としては、自分の右手など賞味期限切れかつ脂身だら
けの豚肉にも劣る。
 指だけでなく頭の力も借りて、フェイトとこれまでしたことや、さすがに頼んでもやらしてもらえない
であろうアブノーマルな行為をあれこれ思い浮かべるも、豚肉が半パックから一パックに変わった程度に
しかならない。
 しかし気持ちはどうであれ、身体は頼んでもいないのに勝手に精子を作って溜め込んでいく。発散させ
なければ、だいぶ辛いこととなる。
 なんかこう、もっとフェイトを性的に思い出させるものが欲しい。
(例えば、フェイトの下着とか……って何を考えてるんだ僕は!)
 大慌てで首を振るクロノだったが、一度浮かんだ妄想はその程度では引っ込まない。
 思い出すのは出航前夜、いつもの扇情的な黒下着をびっしょりと濡らしていたフェイト。その股間に鼻
を近づければ、独特の匂いに目眩がしたものだった。
 あの下着の香りに顔を埋めながら、あるいは手にしたままシルクの肌触りで擦り上げたら、果たしてど
れだけの快感が訪れるのだろう。考えるだけで、腰がむずむずしてきた。
 やや真剣な顔で天井を睨み上げていたクロノだったが、やがておもむろにチャックをもう一度下ろすの
だった。



           終わり



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著者:サイヒ

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