293 名前:魔法少女リリカルなのは StrikerS Burst [sage] 投稿日:2010/10/28(木) 19:57:37 ID:R834FX9s [2/5]
294 名前:魔法少女リリカルなのは StrikerS Burst [sage] 投稿日:2010/10/28(木) 19:58:23 ID:R834FX9s [3/5]
295 名前:魔法少女リリカルなのは StrikerS Burst [sage] 投稿日:2010/10/28(木) 19:59:04 ID:R834FX9s [4/5]

第七話:力の意味、力の代償


『ヒューマノイドデバイス』。ゲルダは確かにそう言った。

「簡単に説明するなら、電子頭脳を載せた人型のデバイス。でも、インテリジェントと決定的に違う点があるわ」

ゲルダはガニメデの肩の上に立つと、独裁者が演説するかのように語り始めた。

「まず、魔導師の魔力の供給を受けて独自に思考して動く点。防御魔法の自動発動にとど
まらず、戦闘もやってくれる優れもの。そしてもう一つ。それは『魔導師が居なくても動けて戦える』点」

それが意味するものは・・・・・・

「機械が取って代わる・・・・・・!」
「そう!!性能は劣っても、ガニメデが量産された暁にはミッドチルダは安泰・・・・・
・いえ、もっと発展するわ!!だって、考えても見なさい。いざ、行動を起こしたら巨人
の兵士に返り討ち♪そうすれば、侵略しようって言う馬鹿な考え自体起こらなくなるのは、局員ならわかるはずよね!?」

『幼い故の傲慢』。彼女の目は、それで満ち溢れているようになのはには見えた。
確かに、管理局全体。特に地上部隊の人材不足と練度不足は、はやてが機動六課を立ち上げる遠因となっている。
優秀な空戦魔導師の多くは次元航行艦隊所属で、地上部隊にはごく少数しかいない。
確かに、単独での戦闘も十全に可能なヒューマノイドデバイスはこの問題を解決するだろ
う。だが、少なくともなのはには目の前の巨人の持つ希望よりも絶望の方が大きく見えた。

「魔導師ランクに換算すれば空戦AA、陸戦AA+。圧倒的な火力と装甲は、何人たり
とも勝つことは出来ない!!たとえ、空のエース・オブ・エースでもね!!!でしょう?ガニメデ」
《その通りです、マム》
「そんなわけで、さようなら。ガニメデ、とどめよ」
《イエス・マム。ナックルバスター》

ガニメデの右手に魔力が集まって破壊の奔流が生み出されようとし、なのはが覚悟を決め
たまさにその時、何者かが放った砲撃魔法が紺碧の体躯をぐらつかせる。

「なのはさんを・・・・・・馬鹿にするなぁあああああ!!!!」

砲撃の主―スバルはウィングロードの上を疾走し、輪胴の拳を鋼の巨人に叩きつける。
戦闘機人の乾坤一擲が、ガニメデの体躯を打ち倒した。

「なのはさん!大丈夫ですか!?」
「エリオ・・・・・・キャロも・・・・・・」
「無理はしないでください。今、治癒魔法をかけますから」

キャロの両手の平から薄桃色の光があふれ出し、なのはの体を癒していく。

「私たちがカバーする間に、早く下がってください!!」

両手に持ったクロスミラージュを連射しつつ、ティアナは言う。

「いつまで保つか、判りませんから」
「ティアナ・・・・・・。でも、私だけ休んでいる訳には・・・・・・」

立ち上がろうとしたなのはだが、両足に力が入らず地面に座り込んでしまう。
紺碧の巨人は、一時的にせよ白い天使を大地に引きずり下ろしたのであった。

―――――

繰り出される拳を、スバルは真っ向から受け止める。
数百トン近い衝撃により、体の節々が悲鳴を上げるが憧れの人を侮辱された怒りがそれを上回っていた。

「必中必殺・ディバインバスター!!」

空色の砲撃魔法がガニメデの顔面を直撃し、再びよろめかせる。
そこへスバルは全体重がかかる両足に攻撃を集中させる。
パンチとキックの怒濤の攻勢を受けるガニメデ。
しかし、先に音を上げたのはスバルの方だった。
鋼鉄よりも硬い紺碧の体躯は、異常なまでのパワーを持った少女の連続攻撃に耐え抜いたのだ。

〈か・・・・・・硬い・・・。まるでダイヤモンドでも殴っているみたいだ・・・・・・!〉
「どいて、スバル!!ストライクブレイザー!!」

ティアナの放ったオレンジ色の魔力の塊が直撃するが、ガニメデは平気な顔している。(ロボなので表情があるかどうか微妙だが)

「ストラーダ、ロードカードリッジ!」
《エクスプロード!》

続いて、ストラーダをフォルム・ツヴァイに変型させたエリオが右側面から突撃する。
しかし・・・・・・

「無駄よ。ガニメデ!!」
《イエス・マム》

ガニメデの放った裏拳によってゴム鞠のように吹っ飛ばされ、三回ほど海面をバウンドした後、海中に没してしまう。

「エリオ!!くっ・・・・・・こんのぉ!!」

エリオが吹っ飛ばされるのを見て、ティアナはクロスミラージュを乱射する。
しかし、彼女は烈火の将を切り伏せて迫るカグヤに気付いていなかった。

「!!!!」
「今頃気付いても、遅いですの・・・・・・。真っ二つですの・・・・・・」

彼女は咄嗟に半歩下がると同時に防御魔法で防ごうとするが、獅子の刃はその僅かな隙を突いて獲物に食らいつく。

迸る鮮血。ティアナの目に映ったのは、宙を舞う自分の愛銃と・・・・・・自身の左手だった。

「あ・・・・・・あぁあああああああ!!!痛い・・・痛い・・・いたい・・・イタイ・・・!」

今まで経験したことがない、想像を絶する痛みにティアナは傷口を押さえてうずくまる。
だが、もし半歩下がらずに防御のみを選択したら、彼女は3枚に下ろされていただろう。

「斬り損ねましたの・・・・・・。モヤモヤしますの・・・」

一方、ガニメデとスバルの戦いも決着が付こうとしていた。
無数の鉄拳が紺碧の体躯を打ち、お返しと言わんばかりに鋼の巨人は剛拳を見舞う。
それを回避し、最も脆いと思われる顔に攻撃すべくスバルは再び跳躍する。
不意に、銀灰色の鎖が彼女の動きを封じる。ゲルダが発動させたバインド魔法だ。

「今よガニメデ!!」
《イエス・マム。チェスト・スマッシャー》
「しまっ・・・!!」

ガニメデの胸が開いたと思うと、中央の宝石状のパーツに光が集まり、放たれる。
エネルギーの奔流はスバルの体を包み込み、破壊していく。
そして、彼女は砂浜に倒れ、その体から紫電が発せられる。

「スバルさん!!ティアナさん!!エリオ君!!」

若手のフォワード達があっさりと倒され、キャロ自身にも命の危機が否応なく迫る。
竜魂召喚を使っても、フリードリヒで何処まであの巨人に対抗できるか・・・・・・。
いや、シグナムを倒した剣を持った少女の方が危険だろう。
しかし、彼女の運命は良い意味で覆される。

「俺に断てぬもの無し!!チェストォオオオ!!!」

アーヴァレストを大上段に振り上げてジンがカグヤに斬りかかり、

「一撃激震・アースシェイカー!!」

ギンガの放った衝撃波がガニメデの足下を揺るがし、

「穿って、ピアシングアロー!!」

サラがカグヤに貫通力を込めた矢を放ち、

「撃ち抜け、轟雷!サンダー・スマッシャー!!」
「来よ、白銀の風、天よりそそぐ矢羽となれ!フレースベルグ!!」

フェイトとはやての砲撃魔法が周囲を爆撃する。

「みんな、大丈夫!?」
「私はどうにか・・・。でも、なのはさん達が・・・・・・!」

地上に降り立つはやての目に入ったのは、膝を着くなのはとそれに付き添うキャロ。
体から紫電を発しているスバルに、手首を押さえてうずくまるティアナ。
エイジスを杖代わりに立とうとするウェンディ、そして・・・・・・

「シグナム!!」

地に伏している烈火の将だった。

「ちっ・・・。魔導騎士に黒き雷まで出てくるとは・・・・・・潮時ね・・・。ガニメデ!カグヤ!リサ!」
《イエス・マム》
「了解ですの・・・・・・」
「了解・・・」

転移魔法で撤退する三人と一機。残されたのは、六課のフォワードのみだった。

「ロングアーチ1より、ロングアーチへ。ヘリをもう一機寄越して。負傷者や!!」



オリジナルキャラクター解説:4
リサ・バーグマン
クロガネ島で活動していた戦闘機人。コードナンバーはX09。
一人称は「オレ」と、男勝りな言動だが上位ナンバーであるゲルダには頭が上がらない様子。
専用の刀槍・グリフォンスピアを使用する。


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目次:魔法少女リリカルなのはStrikerS Burst
著者:俺的リリカル

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