979 名前:雷刃がいる風景 〜始まり〜 [sage] 投稿日:2010/01/27(水) 23:00:50 ID:tMVltBtg
980 名前:雷刃がいる風景 [sage] 投稿日:2010/01/27(水) 23:05:50 ID:tMVltBtg
981 名前:雷刃がいる風景 [sage] 投稿日:2010/01/27(水) 23:09:22 ID:tMVltBtg

雨が降る海上にて対峙する二人の少女がいた

一人は白き衣装を纏い手には杖を持つ亜麻色の髪の少女

一人は黒き衣装を纏い手には斧を持つ水色で末端が黒き髪の少女

白き衣装を纏う少女――高町なのはは相棒たる杖――レイジングハートを叩きつける

黒衣の少女が吹き飛ばされ体勢を立て直した瞬間桜色の輪が少女を拘束した

「な、なにこれ!?」

「全力全開!」

少女が見上げた先には集う桜色の魔力

「スターライトブレイカー!」

放たれた集束砲が少女を貫くと少女は海へと墜ちていく
それを見届けたなのははレイジングハートを下げる

「終わったかな」

《反応消失。恐らく倒したかと》

「なのは!」

そこに金髪に黒衣の少女――フェイト・テスタロッサが駆けつけ二人は言葉を交わしその場を去っていく


後になのははこう語る


――あの時ちゃんと確認するべきだったの


海鳴市上空
少女を倒したなのはは最後の反応のあったこの地に自ら志願しこの場にいた相手と戦った

肩で大きく揺らし息を整えるなのはの前には消えかけているなのはに似た少女がいる

「ああ……私は消えるのですね。」

「うん……ごめんね。」

なのはの言葉に少女――後にマテリアルSと呼ばれる事が判明する―は穏やかに答える

「なに、強い戦士と戦って破れたのです。生まれた甲斐はありましたとも。」

「うん……ありがとう。」

マテリアルはなのはをまっすぐに見る

「もし、次に見える事があれば、今度はきっと決して砕け得ぬ力をこの手にして、あなたと戦いたいと思います。」

「ん……待ってる、とは言えないけど。」

「次に私と戦うまで、あなたの道が、勝利に彩られますように。」

目を閉じマテリアルは告げる

「それでは……さらばです。」

加速する消滅

「ああそれと……」

「えっ?」

「彼女を宜しくお願いします。根は良い子なので末永く頼みます。」

軽く頭を下げマテリアルは消えていった

「なんだか不思議な子だったな。」

そう呟いたなのは
エイミィやリンディ、クロノのやり取り、遠くからこちらに向かってくるフェイトを見てふとなのはは思った

(あの子を頼みますって……あの子って誰だろう?)

そんな事を思いながらなのははフェイトと共に自宅へと帰って行く

闇の欠片事件と後に呼ばれるようになる今回の事件を解決した後フェイトはそのままなのはの家、高町家にお泊まりする事になった

「お風呂気持ちよかったね〜」

「うん、そうだねなのは。」

髪を拭き終えた二人はなのはの部屋に向かう
徹夜であった事と次の日が日曜日であるためそのまま寝るためである

(なのはと一緒……なのはと一緒……)

頬を赤く染めたフェイト

(駄目だよなのは……そこは恥ずかしいよぉ)

一体何を想像してるのか段々フニャっと顔が緩む

「ふぇ、フェイトちゃん……」

「どうしたのなのは?」

そしてなのはから声をかけられるとすぐに戻るフェイト
まさしくマルチタスクの無駄遣い

「……あれ。」

なのはが指さした場所はなのはのベッド

――ただし明らかに人一人分膨らんでいた

恐る恐る近づく二人
意を決し同時に布団を捲る
そこには――

「待ってたよお姉さま!」

水色で末端がダークブルーという特徴的な髪色をしたあの少女が何故か裸でそこにいた


「な、なんで裸なのーーー!?」

「えっ!そっちからつっこむのなのは!?」

叫ぶなのは
さり気なくレイジングハートが防音結界を展開
バルディッシュもそれに協力し強化するなか事態は進む

「お姉さま!僕が暖めてたから暖かいよ!だから早く使って!」

バムバムとベッドを叩く少女

「というか何でいるの!確かリインフォースさんは構築体(マテリアル)は消えたって言ってたのに!?」

「そうだね。でもそれはもう僕には関係ない。今の僕は君が…じゃない、お姉さまが集束砲で僕を撃ち抜いた時あまりの威力に防衛構築体のプログラムから弾かれた人格と身体データだけ。゙元゙力のマテリアル、雷刃の襲撃者という存在。」

瞳を輝かせ少女――雷刃の襲撃者はなのはを見る

「お姉さまは僕を゙砕け得ぬ闇゙とは違う形で確固たる存在にしてくれた恩人!だから僕は全てをお姉さまに捧げに来たんだ!」

「ええっと……どうしようフェイトちゃん!助けてよ!」

フェイトに助けを求めるなのはだがフェイトは顔を俯かせ肩を震わせていた
そして顔を上げ言い放つ

「ぽっと出のどこの誰かも分からない癖に……なのはをお姉さまなんて言うな!」

「え、あの、フェイトちゃん?」

「私がなのはを一番好きなんだ!」

襲撃者に組み付き追い出そうとするフェイトだが当然襲撃者も黙っていない

「僕とお姉さまの仲を邪魔するな!」

「あなたこそ私となのはの仲を邪魔しないで!」

取っ組み合いになりフェイトが襲撃者の髪を引っ張ったり逆に襲撃者が引っ張り返したりしいつの間にかフェイトのパジャマまで脱げる

「二人とも!」

キャットファイトは続く

「二人とも止めてよ!」

なのはの中で何が溜まる

「止めてってば!」

叫んだ瞬間飛んできた枕がなのはの顔面を直撃
しかし気づかず続ける二人


ブチッ


なのはの目から光が消え手をかざす

「きゃっ!」

「な、なにこれ!」

フェイトに襲撃者が覆い被さる形で二人の手首と足首がバインドされる

「二人とも……」

にじりよるなのは
その手には見慣れない道具を持っている

「な、なのはそれって……」

「お母さんの部屋から見つけたの。」

「む、無理だよお姉さま!そんなに大きいバイブで貫かれたら僕裂けちゃう!」

ジタバタと二人は逃れようとするが現実は非情である


――少し、頭冷やそうか





チュンチュンと鳴く鳥の声になのはは目を覚ます

「んっ……」

伸びをし周りを見回す

右にはフェイト、左には襲撃者
ベッドシーツには赤い斑点が幾つもある

「……っ」

股に走る痛みに顔をしかめるなのはだがクスッと微笑む

「頼まれちゃったし……何より私自身も気になるしね。」

幸せそうに眠るフェイトと襲撃者

「これからが大変だね……」

そう言ったなのはは再び寝転がると二人を抱き寄せ再び眠るのであった


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目次:雷刃がいる風景
著者:イクスピアリ

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