[330]morning coffee<sage>2007/07/18(水) 15:27:46 ID:vlA/gykr
[331]morning coffee<sage>2007/07/18(水) 15:28:25 ID:vlA/gykr
[332]morning coffee<sage>2007/07/18(水) 15:29:19 ID:vlA/gykr
[333]morning coffee<sage>2007/07/18(水) 15:30:23 ID:vlA/gykr
[334]morning coffee<sage>2007/07/18(水) 15:32:11 ID:vlA/gykr
[335]morning coffee<sage>2007/07/18(水) 15:33:42 ID:vlA/gykr
[336]morning coffee<sage>2007/07/18(水) 15:36:42 ID:vlA/gykr


 ずっと、愛が欲しかった。
 本当の母は、生命はくれたが愛はくれなかった。
 けれど十年前に出会った人たちからは、自分の心から溢れるほどの愛をもらった。
 リンディからは家族としての愛。
 なのはやはやてからは友人としての愛。
 エイミィたちアースラのクルーからは同僚としての愛。

 そして、異性としての愛をくれたのは…………。



 その日のフェイトはたいそうおかしかった。
 明らかに集中力を欠いている。エリオとキャロに訓練をつけているのだが、見本をやっ
てみせても始終失敗している。バインドを発動させれば対象を外し、高速移動では木の枝
にぶつかり、バルディッシュを振りかぶれば手からすっぽ抜けて明後日の方角に飛んでい
く。
 おまけに始終笑っている。いつも温かな笑みを絶やさない人であるが、今日のそれはふ
やけたものであり、時折自分でも気づいて引き締めた顔に戻るものの五分もしないうちに
また表情が崩れてしまう。
 あまりの不審さにフォワード陣たちは調子悪いんですか、という声すらかけられない。
なのはとヴィータだけはなにやら訳知り顔で苦笑して見ていた。
 そして午前の訓練終了時刻が迫りだすと、フェイトに変化が出た。笑いが引っ込み、じ
りじりと焦れた顔をするようになり、数分に一回は時計に目をやる。
 そして訓練の終了時間が来た。
「それじゃ午前の訓練はこれで終わり」
「あり…………」
 ありがとうございました、と言い終わる前に、フェイトの姿は訓練場から消えていた。
「……エリオ、フェイトさん今日なんか急ぎの仕事あったっけ?」
「いえ、たしか今日は午後から休暇だったはずですが」
「だったら誰かと待ち合わせでもしてるのかな?」
「そんなところやな」
「八神部隊長!?」
 いつのまにか、めったに訓練場には顔を出さない人物が苦笑しながら立っていた。
「フェイトちゃんの退勤手続きとかは全部こっちでやっといたるから早よ行きって言いに
きたんよ。ついでに軽くからかったろ思ててんけど」
 苦笑がげんなりした顔に代わった。
「言い終わったときには、もうどこにもおらんかったわ」
「久しぶりだから一刻も早く会いたいって気持ちはよくわかるけどねぇ。あはははは」
 なのはが少し乾いた笑いを漏らす。
(私も最近ユーノ君と会えてないなぁ。約束してた映画いつ行けるんだろう……)
(ゲンヤさん忙しいからなぁ。一昨日の夕食も緊急出動でおじゃんなったし……)
 顔を見合わせてため息つく二人を、事情を知らないフォワード陣はハテナマークを浮か
べて見守るしかなかった。
 ヴィータはそんな全員を置いてとっとと食堂に向っていた。

(遅い遅い遅い遅い遅い……!)
 ハンドルを指で叩き、変わらない赤信号にフェイトは苛立っていた。
 隊舎の自室に飛び込みざっとシャワーを浴びて着替え、車を違法すれすれの運転で飛ば
し目指す場所まで残り一km少々。そこまでの所要時間は十五分に満たない。
 神速と言っていい早さだが、今のフェイトにはあまりに遅すぎる。
 左右から車が来ないのを見ていると、信号無視したい衝動に駆られるがなんとかそれだ
けは自省した。警察に見つかったり、ましてや事故でも起こそうものならなにもかもがパー
になる。
 ようやく信号が青になった。アクセルを全力で踏み込み急発進させる。曲がりかけてた
対向車がクラクションを鳴らすが無視した。
 減速しないで角を曲がること三回、視界に目的地が入った。
 今年の頭に出来たばかりのマンション。外装内装ともにシンプルで特徴が無いのが特徴
としか言い様がない物件。自分と彼の地位や給料を考えたら慎ましすぎるが、それでも二
人は一目見て気に入った。そこは二人が始めて一緒に暮らした場所、あの海鳴市のマンショ
ンに似ていたからだ。
 あの頃はまだ二人きりでなく、関係も今のようなものではなく「家族」だった。それで
も二人の関係が始まった家であり、大切な思い出のある場所だ。だから二人が同居する場
所としてこのマンションを選んだ。
 駐車場に入る。フェイトの駐車スペースは当然空だ。しかしその隣のスペースは埋まっ
ている。フェイトのものと同型で色違いの車。
「あ……」
 彼はすでに帰っている。顔が自然にほころんだ。
 車を飛び出し、エレベーターに全力疾走する。だが設置された二基のエレベーターのパ
ネルは、両方とも最上階の数値を表示していた。
 それを見たフェイトは、一瞬の躊躇も無く階段に駆け出した。エレベーターが下りてく
る時間を考えれば、階段を使うのと時間はそこまで変わらない。労力を考えたらおとなし
くエレベーターを待つのが正解だ。
 しかし問題はそんな理論的なことではない。一分でも一秒でも早く、彼に近づいていき
たい。心がそう叫んでいるのだ。
 階段を二段飛ばしで駆け上がる。はしたないという思いは頭をよぎりもしない。
 長すぎる数十秒が経ち、フェイトは自分の部屋の扉の前に立った。息を整えもせず、乱
暴にドアノブを回し、靴を脱ぎ捨て室内に駆け込む。
 リビングに置かれたソファ。そこに、彼はいた。
 驚きに見開かれた眼。眼と同じ色の柔らかい黒髪。子供臭さは抜けたが柔和な顔。
 そんな愛しい彼の名前を、フェイトは腹の底から呼んだ。
「クロノ!!」

 飛びつくようにしてフェイトはクロノに抱きついた。
「うわっ!?」
 立ち上がりかけていたクロノは足をもつれさせて倒れた。なんとか倒れる方向だけは調
整して、ソファの上にぼふっと倒れこむ。
「フェイト、君はいきなり何を……」
「会いたかったクロノぉ」
 恋人の苦言は耳に入らず、フェイトはクロノの胸板に頬擦りする。
 提督服の下に着ているワイシャツ。その奥にあるクロノの体の感触と、鼻腔を刺激する
彼の匂いがたまらなく頭を酔わせてくれる。
「会いたかったって、三日前に君の仕事場で会ったじゃないか」
「そういうのじゃなくて、こうやって二人きりで会いたかったの。すっごく久しぶりなん
だから」
「お互い忙しい身なんだから仕方ないさ」
「むぅ……」
 フェイトは不満そうに眉をひそめた。
 戦艦提督と執務官である二人の仕事量は半端ではなく、休日を合わせることは難しい。
 今日の逢瀬にしても実に一ヶ月ぶりのことであり、それもクロノが午前中だけで仕事を
あがると聞いて、はやて達に無理を言いなんとか半日の休暇をひねり出したものだ。
 そこまでして二人きりの時間を作ったというのに、クロノは分別臭いことしか言ってく
れない。昔からこの手のムードを読むのも作るのも苦手だったが、いくらなんでこれはひ
どすぎる。
 これではあれだけ彼に会いたいと思っていた自分が馬鹿のようではないか。
 クロノを慕っていた熱情が、少し怒りの熱さに変わる。だから、実力行使に出ることに
した。
「だいたい通信は毎晩…………うむぅ!?」
 体を伸ばし、まだなにか言っている唇を自分のそれで塞いだ。すかさず舌も差し込む。
 口内で固まってるクロノの舌を絡めとる。いつもディープキスをする時は舌先でつつき
あうようにして始めるのだが、今日はいきなり激しくいく。
 クロノの舌にまぶされた唾液。それを舐め取るように舌を動かす。すぐにぴちゃぴちゃ
という水音が立つ。
 フェイトが舌を動かすたびに、クロノの表情が変わる。始めの不意打ちで何がなんだか
わからないという顔から、陶然としたものになり目も少しずつ細められていく。
 普段ならここで二人とも目を閉じるところだが、フェイトはあえてそうせずクロノの顔
を観察し続けた。
 頬で唾液をためて流し込むと、直接気管に入ってしまったのか苦しそうな顔になる。一
瞬、フェイトの胸に罪悪感が沸いたが、自分を怒らせるようなことをしたのだからこれぐ
らいはいいだろうと思い直して、構わずキスを続ける。
 舌だけでなく、頬の内側から歯茎まで念入りに舐めつくし、その度に変化する恋人の顔
を堪能しきってから、ようやくフェイトは唇を離した。
 酸素を求めて咳き込むようにあえぐクロノ。唾液で顎の辺りが汚れているが、拭おうと
すらしない。
 そんな恋人を見下ろしながら、フェイトはつぶやくように言った。
「クロノは、私と会いたくなかった?」
「え?」
「私のこと、嫌いになったの?」
 本気で言ってるわけではない。ただ彼を困らせて必死で否定する姿を見てみたいという、
ささやかないたずら心が言わせた台詞だった。
 だが、フェイトが予想してなかった行動にクロノは出た。
「……んう!?」
 クロノがしたことは、フェイトの頭をつかんで口づけすることだった。

 今度はフェイトが口の中を蹂躙される番だった。
 自分がしたように、すぐに舌が侵入してくる。急なことで反射的に顔を背けそうになる
が、後頭部に回された手がそれを許してくれない。
(クロノの……舌が……)
 さっき嫌というほど味わったクロノの舌。それが、なぜか全く違う味に感じられる。もっ
と刺激的でそれでいて甘い味。
 舌を伝わってくるクロノの唾液を、喉を鳴らして飲み干す。それはまるで強い酒のよう
にフェイトを酔わせていく。
 いつの間にか、クロノはフェイトの舌を強く吸い上げて自分の口内に導いていた。その
上でフェイトの舌を貪り尽くす。
 舌に軽く歯を立てられ、フェイトの体がかすかに震える。さっきまでかすかにあったク
ロノに対する優越感などはどこかに吹き飛んでいる。
 実に四分近いキス。最後に唇からこぼれたフェイトの唾液を舐め上げて、ようやくクロ
ノはフェイトを解放した。
「はぁぁ……」
 大きく息をつくフェイト。舌はまだ口から突き出されたまま虚空でひくひくと震えてい
る。
「わかったかい」
「……ふえ?」
 口づけの余韻に呆けていたフェイトは、焦点の定まらぬ瞳で問い返す。
「僕が君を嫌いになるはずがない。今のでそのことが分かったか?」
「あ……うん…………ごめんなさい」
「いいさ、どうせ君だって本気で言ったわけじゃないんだろ」
 優しく抱き締められ頭を撫でられる。指がゆっくりと髪を梳く感触に、心が落ち着いて
いく。そこでようやく、フェイトは下半身に当たる熱いモノに気づいた。
「あ……」
 クロノの男性の象徴。ズボンを押し上げているそれが、フェイトの腿に当たっていた。
(クロノ、興奮してるんだ)
 同時に、自分も子宮の奥にかすかな疼きが生じているのに気づく。
 この疼きを大きくし弾けさせるには、キスだけでは足りない。もっとその先に進みたい。
 体をずらし、クロノの股間に手を伸ばす。そっと撫で上げるとびくりと震えた。
「続きしてもいい?」
「もちろんだ」
「だったら……」
 手がいいか口がいいか問いかけようとした唇が、そっと指で防がれる。
「けど、その前に風呂に入ろう。汗臭いままするのは嫌だ」
「…………」
 そんなに、自分の体は匂うのだろうか。訓練後にシャワーは浴びたがおざなりなものだっ
たし、階段の全力疾走でそれなりに汗はかいたのは認める。しかしこうも直接的に言われ
ると女として傷つく。
 すると不満がまた顔に出たのか、クロノは慌てた顔で弁解した。
「君じゃなくて僕の匂いだ。提督服はけっこう分厚いし、午前中はあちこち歩き回ったか
ら汗をだいぶかいたんだ。それに……」
 そこまで言って、照れたように顔を伏せてぼそぼそと呟いた。
「君の匂いは、嫌いじゃない」
 恋人の不器用な告白に、フェイトはくすりと笑った。小声なのが減点だが、不器用な彼
がこれだけ直接的なことを言ってくれるのは珍しい。
「うん、私もクロノの匂い好きだよ」
「ありがとう」
 二人で笑いあい、どちらからともなくキスをする。激しいものではなく、唇を触れ合わ
せるだけのキス。
「じゃあ、浴室に行こうか」
「うん」
 それが当たり前のように、二人は並んで浴室に消えた。

 一時間後、二人の姿はフェイトの部屋のベッドの上にあった。
「……うんっ……んふぅ……んちゅ……」
 フェイトはクロノの上に乗り、高々と隆起したペニスを一心不乱に舐めている。
 クロノはクロノで、フェイトの秘唇を舌で抉るように突いている。
「あふん……!」
 クロノの舌が、いきなり宝珠を舐め上げた。不意打ちにフェイトは甲高い声をあげる。
 にんまりと笑ってるクロノの顔が容易に想像できる。お返しとばかりにペニスに軽く歯
を立てる。尻の方で押し殺したうめき声がしたのに満足した時、ふと思った。
(クロノは汚いとか思わないのかな)
 浴室、脱衣場、寝室とすでに数回行為に及んでいる。フェイトの膣は注がれた精液と自
分の愛液で溢れかえっている。浴室の時などはうっかりお漏らしまでしてしまっていたが、
シャワーの音でクロノは気づかなかったようだ。
 しかし考えてみれば、自分も精液と愛液で汚れたクロノの男根を嬉々として舐めている。
汚いなどとは今の今まで思いもしなかった。きっとクロノも同じだろうと結論付けて、舐
め回す作業に戻る。
「んむ……んっ……んぅ……」
 クロノの男根は大きく、フェイトが根元まで咥えこめば先端が喉に当たってしまう。そ
のため横咥えするようにしてフェイトは舐める。
 舌を這わすたびに、火傷しそうな熱と鈍い苦味が舌に走る。その両方が、フェイトの脳
髄に直接伝わって溶かしていく。
 根元から亀頭まで丹念に舐めて様々なぬめりを落とし終え、フェイトは大きく息をつく。
「クロノ、きれいになったよ」
「君のは中々きれいにならないな。舐めても舐めても中から出てくる」
「それは……クロノがいっぱい出すからだよ」
「僕のだけじゃないさ。この透明なのは明らかに君のものだろう」
「そんなこと言ったらクロノだって先っぽから……ああっ!?」
 全く唐突に、下半身に衝撃が走った。
 繰り返す鍛錬で無骨になったクロノの指。それがフェイトの花弁にねじ込まれたのだ。
それも二本まとめて。
 柔らかい舌の感触に慣れつつあった秘所には刺激が強すぎた。それだけで軽くイッてし
まうフェイト。
 しかしクロノは容赦せずに攻め上げてくる。膣の天井部分にあるざらりとした箇所。そ
こを遠慮なくこすり上げる。
「ひゃぁ――ぁんっ!」
 声と一緒に秘所からも愛液が吹き出す。たちまち指どころか手首までも愛液にまみれた。
「ほら、やっぱり君の方が多い」
「あぅっ! ふ、あぁぁ、んっ……!」
「普段からは想像も出来ないな。こんないやらしい君は」
「んっあぁぁっ……くぅぅ」
 クロノの戯言に答える余裕はフェイトにはなかった。
 ひっきりなしに襲ってくる快感の波。抗おうとした理性は一瞬で決壊し、全身がくまな
く快楽に浸りきる。
 クロノが指を抜いた時には、フェイトは完全に脱力しきってくたりと倒れていた。
 皮膚の下の肉も骨もどろどろになってしまったように動けない。

 そっとフェイトの身体の下から抜け出したクロノは、先程まで秘所に突っ込んでいた指
をフェイトの顔の前に持っていく。
「こっちもきれいにしてくれ」
 身体以上に崩れきった思考は、恋人の言葉を一考もせず聞き入れる。返事することすら
せず、目の前に差し出された指にフェイトは舌を伸ばす。
 ペニスにしたように熱心に愛液と精液の混じった液体を舐め取る。
 そんなフェイトを見て満足げにうなずき、クロノは次の指示をする。
「お尻上げて」
「……うん」
 指から舌を離し、四つんばいになって言葉どおりに腰を持ち上げる。
 尻肉に指が喰い込む感触。秘唇に亀頭が押し当てられる。
 一瞬後に来るであろう衝撃と快感を予想して、フェイトの身体が歓喜に震える。
 その予感はすぐさま叶えられた。
「ひぁっんっ! あ、あぁ――ふあぁぁっ――っ!!」
 一気に最奥までの挿入。亀頭と子宮の入り口が激しくぶつかる。その衝撃に腕から力が
抜け、フェイトは這いつくばるようにシーツに顔を埋める。
 クロノは容赦せず、腰を叩きつけ続ける。目の前に居るのは恋人ではなく、ただの穴の
ように手荒く扱う。
 あまりの乱暴さにフェイトの身体は痛みを覚える。だがとろけきった頭はその痛みすら
も快感に変換してしまう。それでもまだ足りないと本能が叫ぶ。勝手に腰が動いて、突か
れるタイミングに合わせて前後し出す。
 揺すられてシーツと擦れ合った乳首が痺れる。
 口からだらしなくこぼれた涎がシーツに水溜りを作り、カーテンの隙間から差し込む昼
の光を反射して鈍く光る。まだ昼間なのにこんなことしていいのか、という思いはどこに
もない。
 股間の方でも、愛液で水溜りが出来ており、ブロンドの陰毛は濡れそぼってべたりと肌
に張りついている。
 快楽に落ち続けていく思考が、今まで以上の深みに堕ちる気配を感じ取る。
「クロノぉ……はぁっ! ……私、もうっ!!」
「僕も、そろそろ……出すぞ」
「待って、待ってぇ!」
 腰の動きを止めて、フェイトは強引に上体をねじってクロノに振り返る。
「出すなら顔を見ながらにしてぇ!」
 クロノは無言だったが、行動で恋人の要望に応えた。
 身体が持ち上げられ、反転される。背中からベッドに着地したフェイトの身体を、再び
猛然とクロノは穿つ。
「は、あぅん!……ああああっ!!」
 激しさにフェイトは啼くが、息が続かなくなってきて声も絶え絶えのものとなってしま
う。それでもやめてくれとは決して言わず、足をクロノの腰に巻きつけ、下半身に力を入
れてクロノの分身を締めつける。
 そのフェイトの本能的な行動で、クロノに限界が訪れた。
 最後に渾身の力で腰を突き込み、結合部を滅茶苦茶に擦りつける。
「い……く、フェイト!」
 びくり、と体内で男根が跳ね上がる。同時にフェイトの背も弓なりに反る。
「ああっ、いや……あぁぁん!」
 身体の芯に男の熱い飛沫がかけられる感触と、今までで最高の絶頂に白くなる視界。
 その記憶を最後に、フェイトは意識を手放した。

 柔らかい光が目に入り、フェイトは目を覚ました。
 薄ぼんやりとした頭で時計を見れば、短針は六、長針は十一を示している。
(六時か…………)
 晩御飯までまだ余裕がある。もう少しまどろんでもいいだろうと思い再び眼を閉じよう
として、フェイトは気づいた。この季節の夕方六時なら、窓から入ってくる光は夕焼けの
赤でないとおかしい。しかし室内を照らしている光はどう見ても赤ではない。
 一気に眠気が吹き飛んだ。がばりと起き上がり、床に脱ぎ捨てたままだった服から腕時
計を取り出す。
 案の定、デジタル盤の時刻にはAMとあった。
「もう朝!?」
 十数時間も寝ていたことになる。最近やや睡眠時間が不足していたが、まさかここまで
寝入ってしまうのは予想外だ。
 なんてことだ、とフェイトは唇を噛む。せっかくのクロノと過ごす休日。やりたいこと
はいっぱいあった。買い物に行って春物の服を見繕ってあげたかったし、食事を作ってあ
げて食べながら色々話したいこともしたかった。なのに、結局出来たことは獣のように交
じり合っただけだ。休暇は昨日半日だけ、今日からはまた仕事だ。
 はあ、とため息をついてフェイトはベッドを振り返った。ダブルベッドはもぬけの殻で、
隣で寝ているはずの人物はいなかった。いぎたなく眠ってる自分にあきれて自室で眠った
のだろうか。
 天気と反して憂鬱な気分でクローゼットから服を出して着替える。とぼとぼとリビング
のドアを開けると、かすかにいい匂いが漂ってきた。
 リビングの机の上。並んでいるのはトースト、ベーコンエッグといった洋風の朝食。そ
れを用意した人物が、台所からひょいと顔をのぞかせた。
「おはようフェイト」
「…………おはよう」
 台所から出てきたクロノに手渡されたコーヒーをすする。彼の好みはブラックだが、フェ
イトの好みに合わせてミルクと砂糖が多めだ。
 一口飲んだだけでコーヒーを置き、フェイトは頭を下げた。
「……ごめんなさい」
「なにが?」
「私ずっと寝ちゃって。クロノだって疲れてるのに、朝食まで作らせて」
「…………」
「せっかくのお休みでクロノだってしたいことあったのに、何にもできなくて」
「……」
「本当に、ごめんなさい」
 無言で謝罪を聞いていたクロノだが、再度フェイトが頭を下げると自分もコーヒーを置
きそっとフェイトを抱きしめた。
「本当に変なことばかり気にするな君は」
「けど……」
「一日ぐらいはこんな日があったっていいさ。今日やろうとしたことなんか、いつだって
やれる。だって君とは」
 これから何十年も一緒にいるんだからな、とささやいてクロノは愛しい恋人の唇に自分
の唇を合わせた。
 ずっと自分と一緒にいてくれる。その言葉と唇が、フェイトの心にわだかまっていた暗
い憂鬱を流し落としていく。
 背中に回っている手が解かれ、二人の唇は離れる。
「シャワー浴びてくるね。クロノはもう浴びた?」
「ああ、だから気にせずゆっくり浴びてくればいい」
 部屋を出て、フェイトは唇をなぞる。
 朝食はなるべくゆっくり取ろう。エリオやキャロの近況をしゃべったり、クロノの仕事
の話を聞いたりしながらゆっくりと。
 触れた唇には、コーヒーの味と、かすかだがどんな物よりも強い恋人の唇の味が残って
いた。


    終わり

著者:サイヒ

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