[337] white mother 〜後日談〜(1/6) sage 2007/09/13(木) 20:50:19 ID:axLwpC2W
[338] white mother 〜後日談〜(2/6) sage 2007/09/13(木) 20:50:53 ID:axLwpC2W
[339] white mother 〜後日談〜(3/6) sage 2007/09/13(木) 20:51:51 ID:axLwpC2W
[340] white mother 〜後日談〜(4/6) sage 2007/09/13(木) 20:52:56 ID:axLwpC2W
[341] white mother 〜後日談〜(5/6) sage 2007/09/13(木) 20:54:06 ID:axLwpC2W
[342] white mother 〜後日談〜(6/6) sage 2007/09/13(木) 20:55:24 ID:axLwpC2W

 赤子を連れたフェイトがヘリに乗り込もうと中を見ると、エリオとキャロの密着状態に直面し硬直した。
(ご、ごめんなさい!副作用治療中です!)
(み、みなさんきにしないで〜)
冷静に反応するティアとスバル。
「きにしないでって…ねえ?」
「ま、まぁ、仕方ないんじゃないのかな?」
「やっぱりあの薬は、使用禁止にするべきなのかな。でも今回は助けられたから…でも…んー…」
隊長としても母親としても悩み事の多いフェイトさんなのでした。

〜あらすじ〜
なんとかスカリエッティからなのはを取り戻したフェイトさん。
しかしその先に待っていたのは泣き喚く赤ん坊と家庭崩壊の危機だった!?
ちょっぴりおまけのSS、適当に読み流しちゃってくださいねw

 アインヘリアル強奪事件から一週間、物的な被害は元より最重要機密と朝っぱらから
首都上空で堂々と大魔法合戦なんて繰り広げたものだから、地上本部も本局も上へ下への大騒ぎ。
ようやく報道熱も冷め、上層部の言い訳がなんとか様になってきたものの、はやてが指揮官室でクロノ提督と
今まさに話し合っている議題――そう、なのはの処遇がなんとも頭の痛い問題であった。
クロノから分厚い、でも役不足な表現の書類を抱えたまま、結論を告げられる。
「目撃、物証ともに市街地無断飛行、管理局員への魔法攻撃。これは言い逃れのできない事実だ。ただし後者に関しては――」
「うん、フェイト隊長が個人的な決闘、と主張するようにばっちり記録にも残ってるしな」
「正当防衛とまで行かないまでもこれはフェイトに非がなくはないから、うちの妹が厳重注意という形で決着したよ。
アインヘリアル強奪に関しても完全にノータッチ。実質的に違法責任が問われるのは無断飛行だけとすこぶる軽微だ。
聞きたいことは山ほどあるだろうが、共犯にも問えず、法的には拘留すらできない――とここまではいいんだがな」
「うん…問題は職務復帰の方なんよね…」
「なんせ無断欠勤、失踪した挙句、広域重犯罪者と結婚。そして子供までいる、となるとね。
ミゼット提督はまだ若いんだから仕方ないわよ、と笑っていらっしゃったが――さすがにこのまま本局から出向扱いというのは
不可能だ。一旦退役という形を取らざるを得ない。とはいえ重要参考人のあの親子を野放し、というわけにもいかない。そこで…」
「六課で引き取って保護観察、ちゅうわけやな」
「まあ、そういうことだ。地上本部もあまり表沙汰にはして欲しくないようだし、しばらくすれば
職務復帰の話もできるようにはなるだろう――が、それでも10年、20年先の話だ。
可哀相だが、管理局でのキャリアという意味では……絶望的だ。諦めてもらう他ない」
「そっか…まあなのはちゃんは生涯一兵卒でも構わんやろうけど…残念やな」
「優秀だし復帰となれば教導隊だけどね。ただし、そこで一生を終えることになる」
「わかった。後で話しとく。で、当面の扱いやけど、非戦闘員ってことでいいんよね?」
「ああ、それでいい。正式に六課スタッフ扱いで構わないよ。ただし、デバイスに関してははやてが管理しておいて、
使わせる際は使用記録は必ず残すこと。六課内限定だが新人への指導等は好きにしてもらっていい。あー、ただ」
「ただ?」
「ちょっと頭の弱いゴシップ誌が色々嗅ぎまわってるからその辺は気をつけて欲しい。なんせ有名人だからな、なのはは…」
「あぁ、それならこの間勝手に敷地に入ってなんかパチパチやってるのがおったから、
シャマルに頼んでデータのカード抜かせたら腰抜かして逃げてったわ。あれ以来近寄ってきいへん。心配いらんよ」
ああ、そらさぞ怖かっただろうとクロノは苦笑いを禁じえなかった。
「ほんま色々ありがとうな、クロノ提督」
「この程度で済んでまだ良かったとも言えるがな…。
ああ、そうそう…何気にリミッターは全員解除になったから。今度正式に通達後、解除になる」
「あー、そっか、なのはちゃんの分がごっそりなくなったからな…。全く年寄りをこき使わんで欲しいわー」
「嫁入り前の娘が何を言っている…。で、結局なのはの待遇はどうするつもりなんだ?」
「ああ、それなら…」


 ピンクのエプロンドレス――平たくいえばメイド服に着替え終わったなのはがフェイトの目の前でくるっと一回転してみせる。
「ど、どうかな?似合うかな?」
「うんー可愛いよー、凄く似合う」
「にゃはは、ありがとうフェイトちゃん」
サイドポニーのメイドなのはを見て、なんて可愛いんだこいつはっ、とフェイトが思っていると、ノックの音で邪魔が入った。
コンコン
「どうぞー」
開いた扉に現れたはやても、すっかり世話役モードになったなのはに感心する。
「お、ばっちり寮母さんやんかー」
「えへへ、これからまたお世話になります」
ぺこり、と頭を下げる。
「まあ…色々あるけど…なのはちゃんのことは信じてるからな」
「うん、ごめんね…ありがとう、はやてちゃん」
「いえいえ。それでな、さっきクロノ提督と話してきたんやけど、簡単にいうと現場復帰は10年単位で先になる。
それから、教導隊には戻れるかもわからんけど…そっから先はないと思っといてな」
「うん」
「六課にいるうちは、教導とかは、好きにしてもらってええけどな。フォワードの子達もまだまだ教えてもらいたいやろうし。
ただし、レイジングハートは私からの貸し出しになる。堪忍な」
「ううん、ジェノの面倒も見ないといけないし、ここにいさせてもらうだけで十分だよ」
「うん、まあ堅苦しい話はとりあえず、ここまでにしてー」
たったったっとベビーベッドに駆け寄るはやて。
「赤ちゃんみせてもらってもええか?」
「いいよー」
そっとなのはが抱き上げた赤ん坊の手に触ってみる。
「うわーほんまちっちゃいなー、かわいいなー、何ヶ月?」
「3ヶ月とちょっとだねー」
「ジェノ、くん?ちゃん?」
「ちゃん、だね。女の子だよ」
「そかあー、お母さんみたいに美人になるんかなー」
「またまたー」
「名前は旦那さんがつけてくれたんかな?」
「うん、辛いこと、悲しいことを打ち滅ぼせるように、弱い心に打ち勝てるようにって。Genocideのジェノ〜ね」
「そかあ、しかしほんまに可愛いなあ」
(フェイトちゃん、例の異常魔力体質のことは聞いてみた?)
(ううん、まだ。そのベビーベッドが弱AMF性能持ってるのは気づいたみたいなんだけど…)
(スカリエッティに関しては?)
(一応それとなく聞いてみたけど、寂しく笑うだけで何にも答えてくれないんだ)
(そかあー…まあ、そのうち何か教えてくれるまでは、そっとしとこか)
(うん)
ぺたぺた赤ん坊に触っていたはやてだが、突然泣き出し始めてしまった。
「あらら、触りすぎてもうたかな?」
「ん〜、おっぱいかなー、ちょっとごめんね」
ベッドに腰掛けて、ちょっと片側の肩だけ脱いで、乳房をそっと赤子に含ませると、器用に飲ませ始める。
「わー、もうなんかーほんまお母さんって感じやなー」
「ねー」
「え、えへへ、そかなー」
「うんうん」
本当に優しい瞳で我が子を愛おしく見つめながら、髪を撫でているなのは。
(ほんまに、なんとかなるといいんやけど…)
(そうだね…)


 母乳ですっかり落ち着いたジェノを連れて、六課の散策にでるフェイトとなのは。
お日様は気持ちよく、風も涼やかで清々しい緑の上で立ったままぼーっとお日様に当たる。
「ね、なのは…」
「うん?」
「子育ては大変だから…私でよかったらどんなことでも手伝うから」
「うん、ありがとうフェイトちゃん…」
「その、私は女性だから、お父さん、ってわけにはいかないかもしれないけど…できるならそんな感じでっていうか」
「お父さんか…こんな素敵なお父さんなら大歓迎だよね、ジェノ」
もちろん乳飲み子に反応を期待するのは酷というものであるが。
「ほんと可愛いね、なのは似かな」
「そかな?」
「あの男、結構目つき悪いから…」
「あ〜、確かに…」
「だから間違いなくなのは似だと思うな」
「えへへ」
「もちろん、なのはも可愛いけどね」
「フェイトちゃん…」
「なのは…」
熱っぽく見つめ合う2人。
「あ”ー、百合もいいけどたまには僕のことも考えて欲しいかなー…、なんて」
びくっとして振り返ると、スーツ姿の一応フェイトの恋人なはずのユーノがちょっぴり怒りマークをつけていた。
「ユーノ、もう人が悪いよ〜」
「ユーノ君っ」
はいはい、とあえて2人の間に割って入る。
「いやそりゃ僕の子を産みたくないっていうなら、それでもいいけど…」
「え、えっとそいうことじゃなくてね、えとね」
肩にすがって甘えた瞳を作ってなだめはじめる。
「あーフェイトちゃんふたまたー」
「え、ええっ!?そ、そいうんじゃなくって、あのその」
慌てるフェイトにユーノがちょっと表情を崩すと、なのはもそれに合わせて微笑んだ。
「ぶー」
フェイトだけがぶーたれるが、構わず本題が切り出される。
「ん、まあそれはおいといて…その子に関して良い知らせだよ」
「ふえ?」
「大事なことだから直接伝えようと思ってね、わざわざ出向いたのにこれだから…」
「ご、ごめんなさい…」
素直にフェイトに謝られて、ちょっとだけ悪戯っぽく笑ってから先を続ける。
「うん、それはいいとして、調べてみたんだ。ジェノサイドホワイトについて」
なんのことだろうと?を浮かべるなのは。
「いい知らせだから言っちゃうけど、確かに遺伝子兵器として完成して、成果もあったんだけど実は一例だけなんだ。
しかも潜入して、突然破壊する目的だったらしいんだけど、この成果のあった例は、生まれたときから精神的に負荷を
かけ続けて5歳前後でやっと爆発する、っていうなんとも臨床実験もいいとこな成功例でね」
「えっと、つまり?」
「ようは…その一例だけ、小規模次元震が起こって、それ以降は実用性もない、母体も用意できない、ってことで
忘れられた技術になったんだ。簡単に言えば、普通に育てればおそらくほぼ安全だってことだね」
「……え?ちょ、ちょっとまって、なんか話が全然違うんだけど…。なのは、その子について何か聞いてない?」
「んー、あーえーっとね」


「ふむ、自分の子というのも案外面白い」
「えへへ、でもこの子ちょっと魔力きつい気がするんだけど…気のせいかな」
「ああ、実はちょっと試してみたいことがあってね、そうしたら成功してしまったんだよ」
「ふ、ふえ!?え、えっと大丈夫なの?」
「ああ、問題ないよ。大事に育てれば、命に問題は無いし、ちょっとばかり魔力が強い子に育ってしまうかもしれないがね。
まあ折角の君の才能を損ねるのも勿体無いし、ちょっとした親馬鹿と思ってくれればいい。
なんにせよ是非とも完成したところを見てみたいものだがね、クククク」
「うん、わかった!頑張って育てる!」

「こんな感じ」
「……」
「……」
「……」
「だ、だまされた!!スカリエッティめぇーーーーーーー!!あの男だけは、あの男だけは許さない!!
絶対見つけ出してぼっこぼっこにしてやる!!」
「え、ええっ!?な、なにがあったの?」
「あーえー、うーんっとね、まあちょっとした悪戯をされたんだよ」
「ああ、ジェイルって意外とお茶目さんだからー」
「お茶目ってレベルーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
一人で勝手に燃え尽きて灰になったフェイトに最後まで理解できなかったなのははほえっ?としていた。

 丁度フォワード陣の朝の訓練が終わる頃合になり、挨拶ついでに訓練スペースに移動する3人。
スカリエッティの罠にどっぷりはまって凹みっぱなしのフェイトをユーノがなだめていると、
フォワード陣とギンガとヴィータが帰ってきた。
模擬戦をやっていたのか、全員バリアジャケット姿だが、当然エプロンドレスのなのはを見て驚いた。
「おかえりなさい〜」
「えええええな、な、なのはさんそれはいったい…」
真っ先に階段を上がってきたスバルが一番驚くのも無理はない。
「んー、色々あって、寮母になったの。この子もいるから」
「あ、あ、じゃあ戻ってこられたんですか?!」
「え、あーうん、一応…時々訓練もしていいって」
「ほんとにですか!よかった、ほんとに、うっ…うっ」
「もーなかないのーほらージェノも呆れちゃう」
「はう…あ、そういえばこの子…」
フェイトからフォローが入る。
「大丈夫だって、普通に育てれば問題ないみたいだよ」
ぱああ、と気持ちがいいほど表情が明るくなる。
「本当ですか!わー、よかったねー、あ、あのちょっと触ってみても?」
「いいよー、はーいてー」
「わーちっちゃーい」
わらわらと集まってくる他のフォワード陣。
間近まで寄ってくるエリオとキャロも、ちょっと離れたティアもさすがに赤子の前では表情が柔らかい。
「ちっちゃい…可愛い」
特にキャロの感激っぷりは凄く目がきらきらしている。
「ちょっと抱っこしてみる?」
「え、ええ、いいんですか?」
「いいよ〜、しっかりね」
「は、はい」


そっとキャロが腕を差し出すと、認識できたのかジェノが笑った。
「わー…」
と感激していると、渡される前に淡い桜色の光と共にゆっくりと宙に浮いて、キャロの腕に収まった。
「……」
「……」
「えええええええええええええええええええええ!?」
とにかくスバルは叫ぶ。
「こ、この子凄いです!こんなちっちゃいのにもう飛べるなんて!」
「にゃはは、びっくりしたよ」
「えっと今この子何歳ですか?」
「んー?3ヶ月とちょっと」
「わー、すっごーい将来優秀ですね…」
しっかりと抱きかかえながら感激しまくるキャロの後ろで、真っ暗なティアがしゃがみ込んで地面をいじっていた。
フェイトが回り込んで、そっと声をかける。
「てぃ、ティア、そんなに落ち込まないで」
「わかってます…世の中って不条理ですよね…わかってます、大丈夫…」
その様子に気づいたのか、とってった、と歩いてきて一緒に隣りにしゃがみこむなのは。
「あのね、ティア」
「は、はい?」
「六課でまともな人間ってティアだけだから、みんなのことよろしくね」
「…はい?」
どうにも答えにくい笑顔でそれだけ言うと、再びキャロのところに戻った。
「…ああ、そっか」
そういわれてようやくティアも気づく。
「そうね、一人ぐらいまともな人間がいないとだめよね」
ふっと立ち上がると、前より少しだけ胸を張って立てる気がした。
隣りのフェイトには聞こえていたのか、しっかりと微笑んでいた。
「いい笑顔になったね」
「そうでしょうか?」
「うん、なのはは魔法使いだからね」
「…そうかもしれませんね」
と、いい感じの会話をしている最中に可愛いLightningの教え子から爆弾が飛び出す。
「あの、なのはさん」
「うん?」
「その、どうやったら赤ちゃんってできますか?」
「教えてください!」
(ちょ、ちょ、ちょ、ちょ)
「あーそれはね、キャベ」
フェイトが何かを言う前にジェノを抱いたキャロとエリオの後ろに立つなのは。
「うーんとねー、エリオ君のーおちんちんあるよねー」
ぽんとエリオのお腹を触る。
「は、はい」
「エッチな気分になるとそれがおっきくなるから、それをね、キャロちゃんのー」
ぽんとキャロのお腹を触る。
「ここにね赤ちゃんの元があるからー、前の穴に入れてー、エリオ君の種を入れるとできるよー」
「へー…なんか痛そうです…」
「大変そうですね…」
「んー、まあ最初はちょっと痛いけどなれればそうでもないけど、そうねえ16ぐらいになるまではだーめよ?
おかあさんになる方が危ないからね」
「はーい」
「はーい」


「って、なのはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
「ん?どうしたのフェイトちゃん、赤くなって…」
「いやあのそのくぁwせdrftgyふじこlp;@」
「えー、ユーノ君といっぱいしてるんじゃないのー?」
「そ、れは、そうだけ、どなんていうか乙女心っていうか」
「乙女心とか言われても…家出した挙句凶悪犯に篭絡されて子供まで生んじゃうような女だしなぁ」
「自分でいうなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「にゃはははは」
これが母は強しって奴ですか!?と思わずにはいられないフェイト。
「あれ、そういえば…キャロちゃん、この背中のおっきい文字は何?」
「あーっと」
(え?)
「わー、かっこいー六課魂って!いいねー」
「あ、これですね、この間薬飲んだ時にでちゃって、そのままなんです」
「そうなんだー…ってフェイトちゃんなに固まってるの?」
完璧に石化するフェイト。(心象風景です)
「これですね、ケリュケイオンのプログラムに割り込んで書き込まれてる上に、
物凄い勢いで焼き付いちゃってるらしくて戻すのに結構時間がかかるって」
(きゃ、キャロが不良に…)
「それで一人だけだとおかしいからって僕も出してみたんです」
「おー!おそろいだ!いいね!…フェイトちゃん?」
白色に固まってバラバラと崩れていくフェイト。(心象風景です)
知ってか知らずか止めを刺すエリオ。
「フェイトさんもどうですか?」
「いやーーーーーーーーーー!特攻隊長はいやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「フェイトちゃーん!?」
泣きながらどこかに走っていく隊長に呆然とするLightning。
「ど、どうされたんでしょうか…」
「あー、きっと夢が壊れたんじゃないかな。多分だけど」

「みーつけた」
なのはは、訓練スペースの一角で海を見つめてたそがれているフェイトをようやく見つけることができた。
「世界は…こんなはずじゃないことばっかりだよね…」
「にゃははは」
ゆら、ゆらといとし子を揺らしながら、どこかの子守唄を歌い始めるなのは。
「ねえ、なのは…」
「うん?」
「飛べなくて平気?」
「うん、いまは、いいかな」
「そっか」
「でもね、いつかは戻る。空が私の居場所だから」
どこまでも続く青い海の上に広がる晴れ渡った空。
それを見つめながらエプロンドレスのなのはは呟く。
「燃え尽きるまでわずか数秒。空で死ねれば、ってね」
「え…」
「この子が大きくなって、一人で羽ばたけるようになったら、空に溶けてしまうのもいいかな」
「なのは……」
子を抱えたまま、遠い空を見上げるなのはの横顔は、大きな青い空に溶けてしまいそうなほど透き通っていた。

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目次:white mother
著者:27スレ323

このページへのコメント

涙腺が崩壊してしまったよ。
ありがとう。

0
Posted by 鉄 2009年10月10日(土) 12:55:44 返信

……静かな感動をありがとうございました。

0
Posted by 時代遅れの追随者 2009年09月14日(月) 21:03:00 返信

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