愛人くんと天使ちゃん2(後編)

初出スレ:【従者】 主従でエロ小説 第七章 【お嬢様】
属性:プレイボーイのチャラ男執事と反抗期の暴力お嬢様。ラブコメ。主役カップルはプラトニック。執事とよそのお嬢様らとのエロ。

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「ンあぁー加齢臭がするぅーふふふふぅ」
って、いや、それ万年筆のインクの匂いだから。
(…ん?)
みんなの視線が机から外れたその時、アンジュはまだ付箋が机に張り付いているのに気が付いた。
アンジュも今の今まで知らなかったのだが、付箋は元々2枚重ねられていて、そのうちの上の1枚を彼女が剥がしていったらしい。
2枚目にも真山の文字は続いていた。
アンジュは机から剥がした文を眼前で読むなり、無表情をわずかに崩し、困惑したように首をひねったり華奢な眉を上げ下げした。
予鈴が鳴りだしたので、2枚目の文の存在もそれを読むアンジュの姿も知らないまま、机を囲んでいたお嬢様達の輪は解けて消えた。

「ねえアンジュ、これ何使ってるの?手触りいいね」
「…ワックス…かな…商品名とか…分からないけど…」
放課後、エミナと並んで校庭の木陰のベンチに並んで座る。一緒に購買部で買った新味のピーチフロートはなかなか美味しい。
アンジュはか細いあんよをちまっと、エミナは健康的な長いおみ足を大胆に組んで、野暮ったい七分丈のジャンパースカートからそれぞれに覗かせている。
エミナの撫でるアンジュの天然の茶髪は、自然光の下ではより色素を薄くする。ゆるいウェーブと似合っていた。
そして、手触りがいいとエミナが褒めてくれているように、バ柏木のワックスはベタつきもなく良い感じに馴染んでいる。あのクソと同じ物を使ってると思うと複雑な感情になるが。
エミナは不意に悪戯っぽく覗き込んできた。
「この髪さ、あのホストみたいな執事さんがやってくれたんでしょ?ワックスも彼の。当たり?」
プピピッ
鋭く言い当てられ、アンジュはフロートを飲んでいたストローに息を噴射してしまった。
「…えっ…な、なんで…」

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泡立ってしまったピーチフロートを手に隣を見上げれば、少し寂しげな笑みがある。
「だってアンジュのとこって、身の回りのことやってくれるメイドさん…いないんでしょ?」
そう。普通のお嬢様なら、メイドやスタイリストに朝に髪をセットしてもらって登校してくる。
しかし、アンジュの屋敷では抜き身の刀を怯えてメイドが近づかない。だから、いつも独りで頑張って縦ロールを巻いていたのだ。
「あのホストさん、お調子者でズカズカ入ってくるタイプだし、アンジュにも物怖じしないじゃない?だからその髪も彼がやってくれたと思って」
はい、その通りです。
恥ずかしいので目線をそらし、小さく頷くだけでストローをちうちうする。
さすがは親友。エミナはアンジュのことをよく分かっている。
アンジュとエミナは見た目も性格もまったくちがうし、なぜ仲良しなのか周囲から不思議がられることもあるが、理由は簡単、名前だ。
漢字で杏種と書いて読みは片仮名でアンジュ。そのまんま片仮名でエミナ。ちなみに双方、ハーフでもなんでもない。
さらにはアンジュはフランス語で天使の意味なので、ちょっとアレなものがある。
昨今のキラキラネームに比べたら何でもないような名前に思えるが、学園で薫子さん、撫子さん、千鶴子さん、櫻子さんらに囲まれている本人達はどうにも肩身がせまかった。
そんな二人は同じ辛さを背負う者同士、自然とくっついてしまったのだ。
「ホストさん、悪い人じゃないんでしょー?悪い人ならアンジュの古武術でもう殺されてると思うのよ」
「ん…あのね…それなんだけど…」
アンジュはスカートのポケットから例の2枚目の付箋を取り出してエミナに見せた。自分だけではちょっと理解しかねる内容だったので。
真山の字で、
『柏木くんは、お相手がそう望まぬ限り、決して他人様に触れません。悪い人ではございませんので、ご安心くださいませ。 真山』
と。
エミナはお行儀悪くストローをカップから外して咥えつつ、ふーんと唸ってそれを読んだ。
「つまりぃ、アンジュは柏木くんに触られるのを望んでたのね」ニシシ

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「っ…違う…」
それは勘違いだが、思わぬ墓穴を掘ってしまったようだ。なぜか顔が熱いので、急いで冷却しようとアンジュは急いでフロートを啜る。
ぢゅ…。吸ってる途中で思い出す。
「…ねえ…エミナ、朝にみんなからホッとしたでしょとか色々言われてた…。あれ何…?」
プーッ
エミナの口から吹き矢のようにストローが噴射された。
どうやらこちらも触れられたくない話題だったらしい。
「あ、あれね。アハハ」気まずそうに笑いながら芝生に突き刺さったストローを回収し、「もうイメチェンしたし、いいか」と腹を括って横に座り直すエミナ。
「あのね、実は私、クラスのみんなから頼まれてたのよ」
「……?何を…?」
「今までのアンジュの縦ロールってさ、ガチガチに固めてて、あの…一部でね、バリカタとか呼ばれてたのよ。陰口じゃなくてぇ、マスコットを可愛がる感じでだったんだけどね」
バリカタ。
本日二回目のバリカタいただきました。
柏木の指摘の正しさをお嬢様達から突きつけられ、アンジュはまたしても白眼になりかける。
「それでね、あまりに縦ロールのバリカタ具合がおかしいから、みんなが私にそれとなく、アンジュに縦ロールの巻きを直すように言えって」
アンジュちゃんと一番仲良しなのはエミナさんなのだから、バリカタが粉落としになる前にアンジュちゃんにさりげなく言ってさしあげて?ーーだそうで。
どこまでも豚骨ラーメン。もう何も見たくない。聞きたくない。
「アンジュって結構傷つきやすいし、言いづらくて困ってたのよ。でも良かったじゃない!これからは毎日柏木くんに髪の毛やってもらえるし。ね、アンジュ!」
親友の向日葵のような笑みに、とりあえず死んだ目で頷いておいた。

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ーーー東屋の裏手、死角のようにある薄暗い小部屋に、彼女達はやってきた。
「お待たせしてしまったかしら」
銀縁眼鏡を外しながら撫子様が言う。柏木はポケットに手を突っ込んだまま、寄りかかっていた壁から背を離し笑って首を振った。
「ちゃんとお昼は召し上がれて?」
そんな柏木のネクタイを慣れた手つきでほどきつつ、千鶴子様も気遣ってくれた。
「はい、使用人用のカフェでいただきました」
ジャケットを脱がされ、シャツ越しにもわかるたくましい胸板を晒しながら、柏木のその胸に暗く甘いものが広がる。
ーー朝、教室に踏み入ったあの時、皆に背を向けて立ちはだかった撫子様は、柏木だけに見えるようにチロリと赤い舌で自らの唇を小さく舐めた。
ーーそのすぐ後に立ち上がった千鶴子様は、クラスメイトの視線が自らに集まる前に、柏木に向けて自身の乳首を制服の上からそっと撫でて見せた。
初日にいきなり二人も、お誘いのサインをいただけるとは。
他にも物欲しそうな顔をしていたお嬢様は何人もいた。彼女達の名前はまだ分からないが、時間の問題だ。彼女達も、すぐーー。
形のいい白い歯を並べた柏木の口がニイと笑った。
ひっつめをほどいて黒髪を気だるく搔き上げる撫子様に、ボレロを脱ぎながら千鶴子様が微笑む。
「まさか撫子さんも私と同じだとは知りませんでしたわ」
「私のほうは薄々気付いていてよ」
「まあ、さすがは委員長ね」
くすくすと花のような笑みが二人から零れる。あどけなくて愛らしい、底なし沼のようなガールズトーク。
教室での姿とは豹変した撫子様だが、逆らいがたい厳しさは変わらない。柏木の肩を静かに押すと、その長身を部屋の床へと倒した。

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千鶴子様が倒された体の上に乗り上げて脱がせてくれるから、柏木はされるがままになりながらも彼女達が制服を脱ぐのを手伝う。
「もう屋敷の使用人は食べ飽きてよ。新しいモノが欲しかったところなの」
「貴方は良さそう……楽しみ」
脱がせば脱がすほど、若い体から発される愛液の匂いが強くなる。
柏木が自らベルトを外そうとすると、千鶴子様の柔らかな手に止められた。
「貴方、プロなのかもしれないけれど執事は新米なのでしょう?なら今日は私が攻めていいかしら?」
聖女のような微笑みの瞳の奥にドス黒いほどの欲がある。
「賛成よ。じゃあ最初は千鶴子さんにお譲りするわ。でも、ちゃんと一緒に愉しませていただけて?」
乱れた髪を妖艶に垂らし、撫子様が再び舌舐めずりをした。
「お望みのままに」
そう笑う柏木の喉を、首を、我先にと二つの可憐な唇が貪っていく。
すべて脱ぎ捨てた二体の肌は、薄暗い室内でもほの光るように白い。その艶やかさ、瑞々しさを競い合うかのように、柏木の逞しい体の上に二人の裸が絡みついてきた。
千鶴子様に暴かれた下半身にむしゃぶりつくように二人の舌が這う。甲乙が付けられぬほどに彼女達の口陰は上手い。
撫子様の赤く薄い舌に亀頭の先端をチロチロと弄られ、裏筋は千鶴子様のふっくらと肉厚な舌にふんだんに唾液を塗りつけられる。
かと思えばすぐさまカリの下の弱いところに音を立てて口付けられ、同時に陰毛近くからズルズルと舐め上げらた。
背筋から腰にかけて、もはや悪寒にも似たような深い快楽が這った。
(たまらねえな……)
柏木は喉を逸らして浅い息を繰り返した。自身を少女達に食まれる快感に笑みが止まらない。
こうも巧みな舌を同時に二箇所、あちこちから受ければ流石に屹立も早い。
二人掛かりで硬く育てた柏木のそれに満足し、千鶴子様は、床に落ちている自らの制服から取り出したコンドームをその口と手を使って素早く着けてくれた。

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「あむっ……ちゅ、大きいのね」
「太い…美味しそう……」
濡れた吐息で笑い合うと、順番通りまずは千鶴子様が跨ってきた。
ふくよかな乳房と大きめのぷっくりとした淡い色の乳首。そして、なだらかな腰の線が美しい。
それでもまだ発展途上であろう裸体にこうして悠々と見下ろされると、ゾクリとする倒錯感が媚薬のように身を蝕む。
触れてもいないのにすでに溢れるほどに濡れている千鶴子様が、有無を言わせずに柏木を飲み込んだ。
「…ッ!」
柏木の眉間に一瞬皺が刻まれ、腹筋が波打った。
ザラつく内側がまるでひとつの生き物のように動いていた。
(すっげ……)
まるで男を堕とすためだけに存在する小さな地獄の穴のように、そこは蕩けるように柔軟に蠢く。
無数の小さい何かが絡みつき、絞り上げているかのようだ。
「あっ…これ、いいっ…太いの好きっ……」
千鶴子様も自らを割り開く柏木の剛直を堪能し、笑った口から唾液を零した。
ゆるりと自ら腰を動かし出した千鶴子様を羨ましそうに眺めていた撫子様だが、柏木に腰を抱き寄せられて満足気に目を細めた。
「ちゃんと同時にできて?」
そんな挑発に、指先だけで脇腹をそろりと優しく撫で上げることで応えてやると、薄い唇から鼻にかかった声が上がった。
たっぷりとボリュームのある千鶴子様の躰とは違い、撫子様は細く痩せている。乳房も、赤い乳首も小さめで、固い果実のような印象だ。
だが、弾むような柔らかな筋肉の感触があった。腰から下を千鶴子様の欲に嬲られながら、柏木は丁寧に撫子様の身をほぐした。
胸を、その先端を、腹を、太ももを大きな掌と長い指でじっくりと愛撫し、散々焦らしてから下腹部へと手を差し込む。
「んぅっ…いいわ…」

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花弁を指の腹で優しく優しく撫でてやる。陰核も親指で可愛がるように触れつつ、十二分に濡れたそこにようやく長い指を押し入れた。
声にならない悦びの声が撫子様の喉を震わせる。
親指での刺激もそのままに、器用な指は花弁を割り開き、くすぐり、差し入れた指が撫子様の弱点をゆるゆると探す。
あるポイントで撫子様の体が引き攣る。柏木はそこをやわやわとリズムをずらしながら巧みに弄る。
「こちらが宜しいですか?」
荒い息の下から柏木が問えば、身を跳ねさせながら撫子様が嗤う。
「はっ…!あ!お上手なのね…。っ!んっ!」
快楽に上気する撫子様の菊門に、濡れた指が伸ばされた。
「ひっ…」
息を飲む音。淫乱なお嬢様でも、後ろの穴は未体験という場合は多い。撫子様もその一人のようだ。
さて今日は責めても良いものかと思案した柏木だが、千鶴子様の腰の動きが激しくなり思考が止まる。
ヌチュヌチュと激しい音を立てて柏木自身に絡みつく快楽の門。
見上げれば、縦ロールとたわわな胸を弾ませ、夢中で柏木の杭を体内に打ち込む聖女の姿がある。
視覚に焼きつくあまりに強烈なその光景に、柏木は千鶴子様の中に破裂したように射精した。
反射的に目元を手の甲で覆い、歯をくいしばる。体中のすべてを搾り取られるような、そんな錯覚をするほどの快楽だった。声が出なかったのが不思議なくらいに。
ほぼ同時に達した千鶴子様は、天に向かってほー……っと熱く細い息を吐いていた。反り返る喉にまで絡みつく唾液の線がいやらしい。
「……千鶴子様…お綺麗です」
その腰に手をあてがい素直に賛美する柏木に、ふわりと顔を戻した千鶴子様が微笑んだ。
緩慢な動作で柏木を引き抜き、柏木の太ももに跨ると大量の白濁を受けたコンドームを楽し気に引き抜く。
「あっ…次私なのに…そんなにお出しになったら……」

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蕾を柏木に弄られながらも、撫子様が残念そうな声をあげる。
「ご心配なさらず。撫子様も、どうぞ」
肘を立て、わずかに身を起こした柏木が撫子様の股間から手を引き抜く。
その汚れた手の平を差し伸べれば、撫子様は挑戦的に笑ってその手を取り、赤い舌で自らの零した口周りの唾液を舐めとった。
あれだけたっぷりと射精をした後でも太く脈打っている柏木に「まあ…」と感嘆の声を上げ、千鶴子様が撫子様のために新しいコンドームを着けてくれた。
撫子様は柏木の手を支えに跨ると、そこに花弁をあてがい、息を吐きながらゆっくりと腰を落とした。
相当使い込んでいるのか、細い体とは裏腹に柔らかくゆるゆるとした温かな内部が柏木の杭を包む。
と、唐突に撫子様のお尻の筋肉が凄まじく収縮し、中を強烈に締め上げた。
「アッハ…!」
あまりの衝撃に笑ってしまう。手の甲で目元を隠し、柏木は快感に喉仏をひくつかせた。
「ぁっ…んっ……いかがかしら…っ?」
また内部をゆるゆると緩ませ、急に思い切り締め上げていたぶるように上下に揺すられる。今度は太腿と膝までがビクッと痙攣した。
(すっげ…これっ、変になるわ…)
わざとだ。撫子様はこうしてギャップを与えて男で遊んでいる。いつも地味な眼鏡とひっつめ髪でいるのも全部このためだろう。
「ふふ、柏木さんって感じちゃうと目を隠してしまうのね」
可愛らしいこと、と千鶴子様に意地悪く目元の手を引き剥がされてしまった。
その千鶴子様の手を取って口付け、豊かな乳房に手を伸ばしふっくらした乳首を愛撫していると、また撫子様に不意に緩急を付けて強く絞られる。
「っく」
目の前がチカチカする。
愛おしむようにやわやわとぬかるみに包まれ、急に乱暴なほどにキツく絞られしごきあげられ、甘い痛みを伴った快楽が尾骶骨にまで走る。

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「これっ、美味しっ……!はぁっ!んっ……いいっ!よくてよ…っ!」
目元を朱色に染めた撫子様が自らの快楽を求めてその緩急を早めた。
千鶴子様の蜜壺を指で愛しながらも、こんな刺激じゃ次の射精も早いだろうと柏木は笑った。
赤い乳首の残像を暗い部屋に描きつつ、柏木の上で一心に腰を降る撫子様の姿を見上げれば、こちらのお嬢様の絶頂ももうすぐのはずだったーーー


アンジュが自室のソファーの上で困っていると、ノックもせずにドアが開かれた。
「ただいまー!お嬢様!」
なぜか超ご機嫌のバ柏木。
ここはお前の部屋ではない。何がただいまだ。アンジュはむくれて無視してやった。
元気な柏木は「えー傷つくー」と胸に手をあてておどけて見せる。
「お嬢様の可愛い執事が帰ってきたんだよ?おかえりのキスとかは?」
あったらすごいわ。そんなもん。
フンッ。アンジュはソファーにうつ伏せに寝っ転がって、クソチャラの言動を完全無視する姿勢を取った。
柏木はソファー前のローテーブルに置かれたピーチフロートだったものに気付き、「んー?何これ?溶けてるけど飲みかけー?」と聞いてきた。
そうだ。あれからアンジュは頑張ったけれども飲み干せなくて、水滴で滑るピーチフロートを両手で持って一人学園から帰ってきたのだ。
エミナは「柏木くん迎えに来るんじゃない?彼に持たせれば?」と言ってくれた。
でも柏木と一緒に帰りたくなんてなかったし、それに案の定というか、エセ執事はどこで油を売っていたのか、アンジュの帰宅からかなり遅れてこうして帰ってきた。
溶けたフロートを帰ってからもちうちう吸っていたが、飲み飽きたしなかなか量が減らないしもう温くなってくるし。
そこにペンケース窃盗犯の馬鹿クズが帰ってくるしでアンジュはむくれているのだ。

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「これ、もう飲まないっすか?」と柏木の声が背中にかけられる。
エセ執事でも片付けくらいはしてくれるらしい。無視を決め込んでいたアンジュだが「うん…」と小さく返事をした。
しかし、「じゃー俺飲んじゃうねー」
え?
ギョッとして体を起こし見上げると、柏木はアンジュがちうちうしていたそのストローに唇を重ね、ズズズズーッと景気良くそれを一息に飲み干した。
「へー割と上品な甘さっつーか、温いけどまー飲めなくはないっすねー」
と片手で空容器をプラプラ降る。
しばし固まっていたアンジュだが、やがて弾けるように立ち上がって柏木から容器をひったくった。
「え?だってお嬢様が飲まないって言うからさー」
そうじゃない。アンジュが口をつけていたストローに、柏木が口をつけたら、それって……!
「かっ…間接キス…した…っ!バカバカバカバ柏木っ!」
涙目で真っ赤になって、アンジュは部屋から猛ダッシュで逃走した。
もう、信じられない。最低最悪。バ柏木!死ね死ね死ね!!

残された柏木は呆然と立っていたが、やがて、ぺちんと顔半分を手の平で押さえ、ソファーに尻餅をつくように腰掛けた。
「……マジきゃわわー……」
と、独り言を零して。


おしまい
2019年09月06日(金) 23:58:45 Modified by ID:0Yc35ZP2rQ




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